梶尾真治(かじお しんじ)とは、熊本県在住のSF作家。愛称は「カジシン」。
ガソリンスタンドチェーン「カジオ貝印石油」元社長。現在は自称「無位無官の年金生活者」。
概要
1947年12月14日生まれ、熊本県熊本市出身。福岡大学経済学部卒業。
1971年、SF同人誌『宇宙塵』に掲載された短編「美亜へ贈る真珠」が『SFマガジン』に転載されてデビューするが、父が社長を務めるカジオ貝印石油に入社するとともに一時SF執筆を禁じられる。
1978年、父の逝去とともに短編「フランケンシュタインの方程式」で再デビュー。以降、主に短編SFを中心に活躍し、1979年には「地球はプレイン・ヨーグルト」で第10回星雲賞日本短編部門を受賞。1982年にはカジオ貝印石油の社長に就任し、長年社長業と作家業を兼業した。
1991年、『サラマンダー殲滅』で第12回日本SF大賞受賞。星雲賞はその後「恐竜ラウレンティスの幻視」「あしびきデイドリーム」「黄泉人知らず」で計4回日本短編部門を受賞し、『怨讐星域』で日本長編部門も受賞している。
2003年、『黄泉がえり』が草彅剛主演で映画化されると興行収入32億円のヒット作となり、SFファン以外にもその名を広く知られることになった。2005年には『クロノス・ジョウンターの伝説』が『この胸いっぱいの愛を』のタイトルで映画化。2004年には社長職を辞して専業作家宣言をし、以降もコンスタントに作品を発表している。
デビュー作の「美亜へ贈る真珠」がそうであるように、短編SF、特に「時間」を題材にとった恋愛SFの名手。『黄泉がえり』のイメージもあって「泣ける話を書く作家」というイメージが強いが、ドタバタSFやグロテスクなホラー、『サラマンダー殲滅』のようなハードな復讐譚など作風はわりと幅広い。代表作は短編では「美亜へ贈る真珠」「おもいでエマノン」「時尼に関する覚え書」、長編・連作長編では『サラマンダー殲滅』『クロノス・ジョウンターの伝説』『黄泉がえり』あたりか。
初期は短編作家だったが、専業作家宣言以降は長編が中心。また熊本在住のため、熊本を舞台にした作品が多い。
試しに読んでみようかという人は、2022年現在新品で手に入る作品では『美亜へ贈る真珠』(ハヤカワ文庫JA)、『黄泉がえり』(新潮文庫)、『クロノス・ジョウンターの伝説』(徳間文庫)あたりから入るのがいいだろう。
作品リスト(小説のみ)
赤太字は2022年12月現在新品で入手可能なもの。
- 地球はプレイン・ヨーグルト (1979年、ハヤカワ文庫JA)
- 時空祝祭日 (1981年、早川書房→1983年、ハヤカワ文庫JA)
- おもいでエマノン (1983年、徳間書店→1987年、徳間文庫→2000年、徳間デュアル文庫[1]→2013年、徳間文庫[新装版])
- 綺型虚空館 (1984年、早川書房)
→ 宇宙船〈仰天〉号の冒険 (1986年、ハヤカワ文庫JA[改題])
- 躁宇宙・箱宇宙 (1985年、徳間文庫)
- 占星王をぶっとばせ! (1985年、シャピオ→1987年、新潮文庫)
- 未踏惑星キー・ラーゴ (1986年、新潮文庫→1992年、ハヤカワ文庫JA)
- ゑゐり庵綺譚 (1986年、徳間書店→1992年、徳間文庫→2009年、扶桑社文庫)
- 占星王はくじけない! (1987年、新潮文庫)
- チョコレート・パフェ浄土 (1988年、ハヤカワ文庫JA)
- ギャル・ファイターの冒険 Dr.ファナティックの陰謀 (1989年、小峰書店)
- 有機戦士バイオム (1989年、ハヤカワ文庫JA)
- ヤミナベ・ポリスのミイラ男 (1990年、早川書房→2006年、光文社文庫)
- サラマンダー殲滅 (1990年、朝日ソノラマ→1992年、ソノラマノベルス[上下巻]→1994年、ソノラマ文庫[上下巻]→1999年、ソノラマ文庫NEXT[上下巻]→2006年、光文社文庫[上下巻]→2018年、徳間文庫[上下巻])
- 恐竜ラウレンティスの幻視 (1991年、ハヤカワ文庫JA)
- さすらいエマノン (1992年、徳間書店→2001年、徳間デュアル文庫→2014年、徳間文庫)
- 泣き婆伝説 (1993年、ハヤカワ文庫JA)
- ドグマ・マ=グロ (1993年、ソノラマノベルス→2003年、新潮文庫)
- 笑うバルセロナ (1993年、文春文庫)
- ジェノサイダー 滅びの戦士たち (1994年、ソノラマ文庫)
- スカーレット・スターの耀奈 (1994年、アスペクト→2004年、新潮文庫)
- クロノス・ジョウンターの伝説 (1994年、朝日ソノラマ→1999年、ソノラマ文庫NEXT→2003年、ソノラマ文庫→2005年、朝日ソノラマ[新編]→2008年、ソノラマノベルス→2015年、徳間文庫)
- 百光年ダイアリー (1995年、出版芸術社)
- OKAGE (1996年、早川書房→1999年、ハヤカワ文庫JA→2004年、新潮文庫)
- ちほう・の・じだい (1997年、ハヤカワ文庫JA)
- 黄泉がえり (2000年、新潮社→2002年、新潮文庫)
- かりそめエマノン (2001年、徳間デュアル文庫)
- まろうどエマノン (2002年、徳間デュアル文庫→2014年、徳間文庫[2])
- 美亜へ贈る真珠 梶尾真治短篇傑作選〈ロマンチック編〉 (2003年、ハヤカワ文庫JA)
→ 美亜へ贈る真珠 新版 (2016年、ハヤカワ文庫JA)
- 黄泉びと知らず (2003年、新潮文庫)
- もう一人のチャーリイ・ゴードン 梶尾真治短編傑作選〈ノスタルジー編〉 (2003年、ハヤカワ文庫JA)
- フランケンシュタインの方程式 梶尾真治短編傑作選〈ドタバタ編〉 (2003年、ハヤカワ文庫JA)
- インナーネットの香保里 (2004年、青い鳥文庫fシリーズ)
- 未来のおもいで (2004年、光文社文庫)
→ 未来のおもいで 白鳥山奇譚 (2022年、徳間文庫[改題・増補])
- 波に座る男たち (2005年、講談社→2009年、講談社文庫)
- 精霊探偵 (2005年、新潮社→2008年、新潮文庫)
- この胸いっぱいの愛を (2005年、小学館文庫)[3]
- 時の“風”に吹かれて (2006年、光文社→2008年、光文社文庫)
- きみがいた時間 ぼくのいく時間 (2006年、朝日ソノラマ)
- つばき、時跳び (2006年、平凡社→2010年、平凡社ライブラリー→2018年、徳間文庫)
- 悲しき人形つかい (2007年、光文社→2009年、光文社文庫)
- ムーンライト・ラブコール (2007年、光文社文庫)
- あねのねちゃん (2007年、新潮社→2010年、新潮文庫)
- アイスマン。ゆれる (2008年、光文社→2010年、光文社文庫)
- 穂足のチカラ (2008年、新潮社→2012年、新潮文庫)
- メモリー・ラボへようこそ (2010年、平凡社)
- ボクハ・ココニ・イマス 消失刑 (2010年、光文社)
- 壱里島奇譚 (2010年、祥伝社→2013年、祥伝社文庫→2022年、徳間文庫)
- ゆきずりエマノン (2011年、徳間書店→2014年、徳間文庫)
- クロノスの少女たち (2011年、朝日ノベルズ)
- ダブルトーン (2012年、平凡社→2020年、徳間文庫)
- アラミタマ奇譚 (2012年、祥伝社→2015年、祥伝社文庫)
- 妖怪スタジアム (2013年、岩崎書店)
- うたかたエマノン (2013年、徳間書店→2016年、徳間文庫)
- 怨讐星域1 ノアズ・アーク (2015年、ハヤカワ文庫JA)
- 怨讐星域2 ニューエデン (2015年、ハヤカワ文庫JA)
- 怨讐星域3 約束の地 (2015年、ハヤカワ文庫JA)
- 猫の惑星 (2015年、PHP研究所→2019年、PHP文芸文庫)
- 杏奈は春待岬に (2016年、新潮社→2018年、新潮文庫)
- たゆたいエマノン (2017年、徳間書店→2020年、徳間文庫)
- デイ・トリッパー (2017年、キノブックス→2021年、徳間文庫)
- 黄泉がえりagain (2019年、新潮文庫)
- 彼女は弊社の泥酔ヒロイン 三友商事怪魔企画室 (2020年、新潮文庫nex)
- おもいでマシン 1話3分の超短編集 (2022年、新潮文庫nex)
- クロノス・ジョウンターの黎明 (2022年、徳間書店)
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関連項目
- 小説家の一覧
- エマノン
- SF
- 星雲賞 / 日本SF大賞
脚注
- *デュアル文庫版以降は「あしびきデイドリーム」を追加収録。
- *『かりそめエマノン』を併録。
- *『クロノス・ジョウンターの伝説』の映画版のノベライズ。