気象衛星ひまわりとは、日本が運用する気象衛星であり、地上3万6,000kmの彼方に咲いた、日本の防災の砦である。
概要
1977年に1号機が打ち上げられ、以来7代 34年に渡って日本・アジアを見守り続けてくれている気象衛星である。
「ひまわり」という名は花のヒマワリのように絶えず地球の方を向き続け、1日1回地球を周回するところからつけられた愛称であり、2種類7機(2011年現在)の静止軌道衛星シリーズの事を指す。
GMSシリーズ(1号~5号)
正式名称は、静止気象衛星GMS(Geostationary Meteorological Satellite)。
本体が回転することで安定を保つスピン方式の衛星。スピンしているため円筒状に配された太陽電池パネルと一緒に毎分100回転する大きな可視・赤外走査放射計、回転せずに地球の方向を向き続ける指向性アンテナが特徴。(今のところ)ひまわりと聞いて大部分の人が思い浮かべるのがこちらのタイプ。
初代(GMS)は、宇宙開発事業を展開してまだ間もない(ISASが「おおすみ」を打ち上げたのが7年前の1970年、NASDAが設立されたのが1969年、NASDA初の国内製造ロケットN-Ⅰを打ち上げたのが1975年)日本の技術では十分な性能の衛星もロケットも用意できなかったため、NASDA・気象庁が発注、NECが主契約者となって衛星は実績のある米国・ヒューズエアクラフト社(現ボーイングエアクラフト社)のHS-335を購入、それにサンダバーバラ研究所・レイセオン社の可視赤外走査放射計(VISSR)や各種通信機器を搭載し、米国・ケープカナベラル射場から米国・デルタロケットによって1977年7月14日に打ち上げられた。ちなみにこの日は「ひまわりの日」とされている。
初代こそすべてアメリカの手によって打ち上げてもらわないといけない状態の国内宇宙開発であったが、「近いうちに追いつけるだろうし、そうでなければならない(日本側関係者の言葉)」という決意と意思の元、衛星バス(2代目からはHS-378)など基本部分はヒューズ社のものだが観測機器を徐々に国産のものに切り替え、ロケットも国産のもので運用するようになる。
2005年に打ち上げられた新機種の6号が運用されるまで5代27年間代替わりしながら運用される。基本的に1台1基体制(耐用期限が近付いたら新しい衛星を打ち上げる。静止軌道の空き事情と予算の都合から)
故障知らずで健康超優良児の親孝行者。
MTSATシリーズ(みらい及び6号・7号)
航空管制機能も付加された事で運輸省(現 国土交通省)航空局も運用省庁に加わった大型衛星(大きさはGMSシリーズの約10倍の33m)。姿勢制御は機内のジャイロを使う三軸姿勢制御型のため本機は回転してない。本体から長く伸びた太陽電池パネルとソーラーセール、ミッキーマウスの耳のように大きなLバンドアンテナが特徴。
ちなみにMTSATは運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite) の英語略称で正式名称。気象庁単独では衛星を打ち上げる予算が取れなかったため、気象庁と同じ運輸省内の航空管制業務の予算を使い、航空管制と相乗りという形の衛星となった。
基本設計が時代遅れとなったGMSシリーズに代わって新しい高性能な設計で作られた機種。1号機(みらい)と新1号機(ひまわり6号)は米国・スペースシステム・ロラール社製、新2号機(ひまわり7号)は三菱電機社製。
撮影解像度は1.5倍以上の1億3000万画素、観測回数も三軸安定方式になったことで1時間に1回から30分に1回に増え、それまでできなかった特定地域の集中観測もできるという、きめ細やかな子。
貿易摩擦という経済戦争に翻弄されたり、乗っかったロケットが落ちたり、製造元が倒産してなかなか輿入れさせてもらえなかったり、微妙に星回りに恵まれていない子でもある。衛星なのに
1999年に打ち上げられたMTSAT-1は、ロケットの故障により制御不能となり、地上からの命令で爆破された。なお、この衛星には公募により「みらい」という愛称が用意されていたが、打ち上げ失敗によりお蔵入りとなった。MTSAT-1R(新1号)打ち上げ成功後、愛称をめぐって気象庁と国土交通省で争いとなったが、結局、国民に馴染みのある「ひまわり」の愛称を継承することとなった。「みらい」という愛称は、「縁起が悪い」とかで採用しないことで合意していたらしい。
なおこのトラブルによって設計寿命を大きく超え本運用を続けた5号(GMS-5)をバックアップする為、2002年よりアメリカの環境観測衛星GOES-9を借り受ける事となるが、こちらに関しては「気象衛星GOES」の項目を参照頂きたい。
2005年から運用が開始され、本運用(6号)と待機(7号)の二基体制でアジア・太平洋地域の天気を見守ってきたが、2010年7月観測業務がバトンタッチされ本運用(7号)と待機(6号)となる。但し、データの中継や画像の配信といった業務は引き続き6号が行っている。
後継機
2014年及び2016年に、観測機能を大幅に強化し「静止地球観測衛星」として打上げが予定されている。今回気象庁の単独予算により三菱電機が製造、運用は14年(本運用・待機ともに7年)となり観測時間がMTSATシリーズの約3分の1になる等の高性能化もなされる。
また経費節減の為に、衛星の管制(制御)を民間事業者に委託するPFI方式が導入される。
世界気象観測計画とひまわり
全世界が連携した気象観測を行う事を目的として、「世界気象機関(WMO)」が国連の専門機関として1951年に前身の国際気象機関を引き継ぐ形で設立(ちなみに南極観測もこの機関が管轄)。
1963年の世界気象会議で気象衛星を含む全地球的な気象観測網の確立、大型コンピュータによる資料処理システムと通信網の整備、役割分担を定めた「世界気象監視計画(WWW)」が取りまとめられ、日本もアジア、オセアニア及び西太平洋地域の観測を担っている。
| 監視区域(経度) | 衛星(運用国・地域) | 衛星の位置 | |
| 静止衛星 | 西太平洋 (東経108度~東経180度) |
MTSAT-2 「ひまわり7号」(日本) MTSAT-1R「ひまわり6号」(日本) |
東経145度 東経140度 |
| COMS-1「千里眼」(韓国) | 東経128.2度 | ||
| 東太平洋 (西経180度~西経108度) |
GOES-15(アメリカ) | 西経135度 | |
| 西大西洋 (西経108度~西経36度) |
GOES-13(アメリカ) GOES-12(アメリカ)南米地区観測 |
西経75度 西経60度 |
|
| 東大西洋 (西経36度~東経36度) |
METEOSAT-9(欧州) METEOSAT-8(欧州) |
西経0度 東経9.5度 |
|
| インド洋 (東経36度~東経108度) |
METEOSAT-7(欧州) | 東経57.5度 | |
| KALPANA-1(インド) INSAT-3A (インド) |
東経74度 東経93.5度 |
||
| FY-2D「風雲2号D」(中国) FY-2E「風雲2号E」(中国) |
東経86.5度 東経105度 |
||
| Electro-L N1(ロシア)運用前試験 | 東経76度 | ||
| 極軌道衛星 | NOAA-19(アメリカ) | 高度870km | |
| FY-1D「風雲1号D」(中国) FY-3A「風雲3号A」(中国) FY-3B「風雲3号B」(中国) |
高度866km 高度836km 高度836km |
||
| Metop-A(欧州) | 高度837km | ||
| METEOR M-N1(ロシア)運用前試験 | 高度830km | ||
| その他低軌道衛星の一例 | TRMM(日本・アメリカ) | 高度400km | |
関連動画
ひまわりの画像から作成された動画
ひまわり打上げ時の模様
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関連リンク
関連項目
http://dic.nicomoba.jp/k/a/%E6%B0%97%E8%B1%A1%E8%A1%9B%E6%98%9F%E3%81%B2%E3%81%BE%E3%82%8F%E3%82%8A


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読み:キショウエイセイヒマワリ
初版作成日: 10/02/14 13:16 ◆ 最終更新日: 12/05/23 16:31
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