ソングバード(Songbird)は、2013年生まれのアメリカの元競走馬で、現在は繁殖牝馬である。馬名は「鳴禽類」もしくは「歌姫」という意味であり、アメリカの女性歌手エヴァ・キャシディの同名のアルバムに由来する。
概要
父Medaglia d'Oro、母Ivanavinalot、母父West Acreという血統。
父メダグリアドーロは金メダルという名前の割にやたら2着が多かったがGI3勝を挙げ、種牡馬としてプリークネスSを筆頭にGI5勝を挙げた女傑レイチェルアレクサンドラなどを出していた。母イヴァナヴィナロットはGII勝ちを含む9勝を挙げた活躍馬で、イヴァナヴィナロットの高祖母フラワーベッドはグロースタークやヒズマジェスティの母となったフラワーボウルの全妹である。母父ウェストエーカーも不出走馬だが近親に*ヨハネスブルグやプルピットがおり、十分良血の部類に入る血統であろう。
2014年10月の1歳セリにおいて40万ドルで落札され、ジェリー・ホーレンドルファー調教師に預けられた。鞍上は全レースでマイク・スミス騎手が務めた。
2歳時
2歳7月に6ハロンの未勝利戦でデビュー。ここは結果的に生涯唯一となる2番人気だったが、スタートから逃げて6馬身半差で圧勝するという衝撃的な勝ち方で初陣を飾る。続くデルマーデビュータントS(GI・7ハロン)では逃げたところを内から絡まれる展開となったが、直線半ばで先頭を奪い返すと5馬身1/4差を付けて完勝した。更にシャンデリアS(GI・8.5ハロン)でも、スタートから逃げて4馬身半差で勝利した。
3戦無敗で挑んだブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(GI・8.5ハロン)では、レイチェルアレクサンドラの娘にして自身も2戦無敗でスピナウェイS(GI)を制する活躍を挙げていたレイチェルズヴァレンティナなどが出走してきたが、単勝1.6倍という圧倒的人気に推された。レースでは大外から軽快にハナを切っていくと、2番手に付けていたレイチェルズヴァレンティナを直線で突き放し、5馬身3/4差で圧勝。鞍上のスミス騎手は自身の持つブリーダーズカップ最多勝記録を「22」に更新し、レース後には「ゲートを飛び出したら、あとは自分が乗っているかどうかの問題だった。道中はあくびをしているような気分だった。自慢じゃなくて、彼女はそれほどの信頼感を与えてくれるんだ」とソングバードをベタ褒めした。
4戦無敗・付けた着差は合計22馬身という圧倒的な内容により、当年のエクリプス賞最優秀2歳牝馬を261票中260票の得票で受賞。エクスペリメンタルフリーハンデ(2歳レーティング)で与えられた125ポンドのレーティングはBCジュヴェナイルを勝った全体トップの牡馬ナイキストの1ポンド下、牝馬2位タイのキャッチアグリンプス(BCジュヴェナイルフィリーズターフ)およびレイチェルズヴァレンティナの5ポンド上というハイレベルな数字で、21世紀の牝馬としては最高であった。
3歳時
3歳時は、ラスヴァージネスS(GII)を単勝1.05倍の支持に応えて6馬身差で完勝。ケンタッキーダービー参戦すら取り沙汰されたが、牡馬相手のプレップレースを挟まないと出走馬選定ポイントが足りなくなる可能性があることなどを理由に早い段階で否定された。その後、サンタイサベルS(GIII)を単勝1.1倍の支持に応えて3馬身3/4差で勝利し、サンタアニタオークス(GI・8.5ハロン)も不良馬場を楽に駆け抜け3馬身3/4差で勝利した。しかしその後熱発し、ケンタッキーオークスは回避を余儀なくされた。
夏になり、サマータイムオークス(GII)で復帰すると、これを6馬身半差で圧勝。続くCCAオークス(GI・9ハロン)とアラバマS(GI・10ハロン)ではどちらも途中まで競りかけられたものの、最終的に前者は5馬身1/4差、後者は7馬身差で完勝。コティリオンS(GI・8.5ハロン)も5馬身3/4差で勝利しデビュー11連勝を挙げ、遂に初の古馬対戦となるブリーダーズカップ・ディスタフへ挑んだ。
ブリーダーズカップ・ディスタフでは、ソングバードは単勝2.1倍に支持されたが、前年の最優秀3歳牝馬ステラーウインドが3.5倍で2番人気、ここまでGI10勝を挙げエクリプス賞を3回受賞している6歳牝馬ビホルダーが4.3倍で3番人気と、流石に楽なメンバー構成ではなかった。レースでは果敢にハナを奪ったが、4角でビホルダーの射程に入れられると、直線では長い叩き合いの態勢のまま並んでゴール。写真判定の結果、惜しくもハナ差で敗れ、デビュー初黒星となった。それでも相手の実績を考えれば十分に濃い内容で、エクリプス賞では満票で最優秀3歳牝馬を受賞した。
4歳時
4歳時は3月に始動する予定だったが、馬房の壁を蹴った際に脚に腫れ物が出来てしまい、6月のオグデン・フィップスS(GI・8.5ハロン)から始動した。それでも1番人気に応えて勝利したが、本調子ではなかったのか着差は1馬身と大人しめだった。続くデラウェアハンデキャップ(GI・10ハロン)も、他馬が116ポンド(約52.6kg)以下のハンデで収まる中で1頭だけ124ポンド(約56.2kg)という斤量を背負ったのが影響したのか1馬身差の勝利であった。
続くパーソナルエンスンS(GI・9ハロン)は4頭立てとなったが、前年のBCディスタフで3着に一蹴していたフォーエヴァーアンブライドルドに差し切られてクビ差の2着に敗退。このレースの後、後脚の故障が判明して引退が決定した。
通算成績は15戦13勝2着2回、うちGI9勝。勝ったレースの着差は4歳時の2戦を除いて全て3馬身以上、合計で62馬身半(平均4.8馬身)に達し、負けた2戦はハナ・クビ差というほぼ完璧な成績を残した。スミス騎手曰く気性も大人しく、*アゼリやゼニヤッタなど多くの名馬の手綱を執った彼をして「競走馬に求められる全てのものを持ち合わせていた」と言わしめたのも頷ける、素晴らしい馬であった。
引退後
引退後は11月の繁殖牝馬セールで950万ドルという高額で落札され、落札者のウィスパーヒルファームで繁殖入りした。1年目の2018年はアロゲート、2019・20年はタピットが交配され、現在のところ2年連続で牝馬を出産している。
血統表
Medaglia d'Oro 1999 黒鹿毛 |
El Prado 1989 芦毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Lady Capulet | Sir Ivor | ||
Cap and Bells | |||
Cappucino Bay 1989 鹿毛 |
Bailjumper | Damascus | |
Court Circuit | |||
Dubbed In | Silent Screen | ||
Society Singer | |||
Ivanavinalot 2000 黒鹿毛 FNo.4-d |
West Acre 1995 鹿毛 |
*フォーティナイナー Forty Niner |
Mr. Prospector |
File | |||
Narrate | Honest Pleasure | ||
State | |||
Beaty Sark 1986 鹿毛 |
Deputy Minister | Vice Regent | |
Mint Copy | |||
Torsion Belle | Torsion | ||
Patriotic Petunia |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.375%)
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 1
- 0pt