ツイン・ピークスとは、1990年から1991年にかけてアメリカで放送されたテレビドラマである。
1992年に前日譚となる劇場版『ローラ・パーマー 最期の7日間』が公開され、2017年には前回から25年後を描いた新シーズン『ツイン・ピークス The Return』が放映されている。
あらすじ
アメリカ北西部、カナダとの国境に近い田舎町ツイン・ピークス。
町の誰もが愛し、高校で人気者だった17歳の少女ローラ・パーマーが湖畔でビニールにくるまれた遺体となって発見された。
時を同じくして、隣州の線路上で、ローラの同級生であるロネット・ポラスキーが発見、保護される。だが彼女は激しく衰弱し、意識不明の状態に陥っていた。
州をまたいだ事件と判断された事で、FBIから特別捜査官、デイル・クーパーが派遣される。
手にしたカセットレコーダーに秘書のダイアンに向けた「所感」を記録し続ける彼は、地元の保安官であるハリー・トルーマン達と共に、この事件を調査する事となる。
ほとんどの人が知らなかったローラの素顔。一見何もない田舎町の裏に隠された秘密。複雑な人間関係が見え隠れする中で、やがて事態は思わぬ方向に進んでいく……
1st第1話から2nd第9話が「ローラ・パーマー事件」として描かれ、事件解決後、ツイン・ピークスを去ろうとしたクーパーに思わぬ嫌疑がかけられる。
程なく疑いを晴らしたクーパーだが、元相棒にして師であるウィンダム・アールの失踪の報を受けた事で事態は一転。
軍の極秘作戦にも関わる重大な秘密が、ツイン・ピークスの「森」には隠されていたのだった……
やがて時は流れ、25年後。失踪者となっていたクーパーの所在が明らかとなる。
凶行を重ねていたクーパーは逮捕・拘留され、かつての上司であったゴードン・コールと面会するが……
解説
世界中で大ブームとなった伝説的なドラマ。
日本でも社会現象を巻き起こし海外ドラマブームの先駆けとなった作品である。
シュール難解な作風で有名な映画監督デヴィッド・リンチと、群像劇を得意とした脚本家マーク・フロストがタッグを組んで制作。
ミステリーサスペンスの枠を超え、ソープオペラ(日本で言う昼ドラ)、ファンタジー、SF、オカルトなど様々な要素を含んだ、非常に複雑なストーリーになっている。
また作中では明かされない謎や不可解な出来事が多く、熱狂的なファンに考察されたりと未だに根強い人気を持っている。
リンチが監督した第1話は当時のテレビドラマでは珍しく「映画的」に作られており、後の海外ドラマに影響を与えた。
テレビシリーズ終了後、前日譚である劇場版を公開したが、これがまた謎だらけの内容だった為に酷評された。これを受けたリンチは「二度と作らない」と発言、完全に終了したかと思われたが……。
2014年、新作の制作が突然発表され、2017年に新シーズン『ツイン・ピークス The Return』が放送を開始。
前シーズンの作中にあった「25年後に会いましょう」のセリフ通り、前回から25年経っての復活であった。(厳密に言えば26年であるが)
新シーズンも前回から25年後の世界を描いており、オリジナルキャストも多数登場する。また全18話全てをリンチが監督し、前シーズン以上に予想外な物語が展開している。
本作のロケはワシントン州キング郡スノコルミーで行われ、ドラマがヒットした後は観光ツアーが多数開催、大勢の観光客が押し寄せた。
現在でもちょいちょい観光に訪れる人もいるとかなんとか。
主な登場人物
- デイル・バーソロミュー・クーパー(演:カイル・マクラクラン)
- FBI・ペンシルバニア州フィラデルフィア支局の特別捜査官。
観察力は極めて高く、秘められた男女関係を一目で見破るなどしている。物的証拠を元にした洞察力とは別に、夢や幻影などのオカルティックな方面にも信を置いており、チベットに関連して直感に重きを置いた「演繹的」な推理法も用いている。
トレードマークは携帯用のカセットテープレコーダー。現状記録に用いられ、秘書のダイアンに向けた呼びかけという形で自身の声を吹き込んでいる。
甘いものが大好きで「ダブルRダイナー」のチェリーパイがお気に入り。コーヒーはブラック。 - ハリー・S・トルーマン(演:マイケル・オントキーン)
- ツイン・ピークスの保安官。自警組織「ブックハウスボーイズ」のリーダーでもある。
ローラ・パーマー事件の調査に当たり、やってきたクーパーの人柄と洞察力に一目置く。彼の事を「クープ」と呼んで友誼を結び、奇抜な捜査方法に当惑しつつも協力を惜しまない。 - ローラ・パーマー(演:シェリル・リー)
- 弁護士であるリーランド・パーマーの娘。ビニールに梱包された他殺体として発見される。
ボランティアや家庭教師として働くなど、誰からも愛される少女であり、高校の人気者でもあった。
解剖の結果、死因は大量出血。左手薬指の爪の下に「R」とタイプされた紙片が押し込まれていた。またコカインの常用者である事が発覚、死亡前に少なくとも3人と性交渉を行っていたなど、暗い一面が明らかとなる。 - アルバート・ローゼンフィールド(演:ミゲル・フェラー)
- クーパーの同僚であるFBI鑑識員。
正義感が強く非常に優秀だが社交儀礼を全く知らず、おかげで周囲とのトラブルが絶えない。ある意味クーパーの真逆を行く男。一方で非暴力主義者であり、暴言に耐えかねたハリーが自分をぶん殴った時もこれを許して和解。深い友情をはぐくむ事になった。 - ゴードン・コール(演:デヴィッド・リンチ)
- FBI地方捜査主任。クーパーたちの上司。
大変な難聴で、補聴器をつけているがほとんど役に立っていないようで、常に大声で話している。
後述する事件で第一線を引いていたクーパーを現場復帰させた本人。名前の元ネタは映画『サンセット大通り』で、『Return』でこの映画を見たクーパーが「ゴードン・コールに電話しろ」という台詞を聞いた事で記憶を取り戻すきっかけになった。 - ウィンダム・アール(演:ケネス・ウェルシュ)
- 元FBI特別捜査官。クーパーの元相棒で、捜査のイロハを叩き込んだ師匠。チェスの名手でもあり、クーパーには一度も負けた事がない。
4年前、妻のキャロライン・アールが重要参考人となった事件において、護衛についたクーパーとキャロラインが相思相愛となってしまい、その隙によって任務失敗。クーパーは重傷を負い、キャロラインは殺害されてしまった。この事件がきっかけで精神に異常をきたし、施設に収容される。
しかし4年後に脱走、ツイン・ピークスの森の奥にひそむ「秘密」を暴こうとし、自分の敵となったクーパーに宣戦布告を行う。
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