ロバート・マクナマラ(Robert Strange McNamara, 1916年6月9日 - 2009年7月6日、93歳没)は、元アメリカ国防長官である。
概要
ケネディ、ジョンソン、両政権で国防長官を務める(1961~1968年)。優秀な頭脳の持ち主であるが、ベトナム戦争の本格的介入時の国防長官であることから、「ベスト・アンド・ブライテスト」と揶揄された(元フォード社経営陣・社長経験者であった)。
フォード社の経営を立て直した手腕もあってか、軍の様々な分野に対してコスト面から見た施策を行った。
この点については功罪半ばといったところで、元々用途が違う空軍と海軍の戦闘機を統合化しようとしたF-111に代表される失敗作(F-111は結果的には1990年代中期まで貴重な攻撃機として空軍で使用された)、F-4のような成功例など、その後の複雑な評価を思わせるような結果などが残っている。
当初、ベトナム戦争への介入には積極的だったが、その後は消極的になり、ジョンソン政権下で国防長官の任を外れることになる。ただ、その後の発言などを見ているとどうも自己弁護がいささか強いような気もしないでもない。
その他
MIRV
マクナマラはケネディ政権時代に「コストパフォーマンスがよくなる」という理由で、ICBMの複数弾頭(MIRV)化を推進した。しかしこれは米ソ両方が「敵の核弾頭で潰される前にこちらがいち早く全ミサイルを発射しなければならない」という誘惑を増すだけで、MIRVの軍拡競争はかえって相互の戦略核抑止を不安定にするばかりである、ということが冷戦末期に反省された。その後米国は一方的にICBMを単弾頭化している(SLBMは位置が秘匿されており、先制破壊される恐れもないので各基4弾頭を維持)。[1]
トータル・パッケージ調達(TPP:Total Package Procurement)
マクナマラ時代に作られた、軍用機の調達方式。従来は試作、生産、運用(整備)と、それぞれの段階でメーカーと契約してきたのに対し、すべてを一括して固定価格で契約することで契約総額を低く抑えようとした。しかし、実際にはインフレや開発時の予想外の出費などのリスクを排除できないので、たいていの契約では改定(価格引き上げ)を余儀なくされたため、1970年代にはこの方式は放棄されて、伝統的な競争試作が復活した。[2]
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関連項目
脚注
- *「兵頭二十八の防衛白書 2014」兵頭二十八 草思社 2014
- *「生まれながらのイージス艦アーレイ・バーク級 その誕生の経緯」野木恵一 世界の艦船 増刊 第178集『米イージス艦「アーレイ・バーク」級』 2020
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