合同結婚式とは、世界平和統一家庭連合(統一教会)が開催する行事である。
概要
定義
合同結婚式は、統一教会独自の儀式で、年ごろの男女信者を参加させ、教祖の決めた組み合わせで強制的に結婚させるというものである。
統一教会の宗教2世への圧力
統一教会の信者は、合同結婚式で結婚したカップルから生まれた子供を「祝福2世」とか「神の子」と扱って大いに尊ぶ傾向がある。このため統一教会の信者は、自らの子ども(宗教2世)に対して「合同結婚式に参加しろ」と強く圧力をかけることになる。
統一教会の宗教2世は「合同結婚式に参加しろ」と信者の親から強く圧力をかけられ、非常に苦しむという(動画)。
統一教会の宗教2世は、恋愛の自由を与えられず、思春期になって恋愛するとそれだけで信者の親からひどく叱責される。このため恋愛に対して恐怖を感じることもあるという[1]。
統一教会の宗教2世の中には、家出したり、親と絶縁したり、苦悩の末に自殺したりする者がいる(記事)。
連帯責任を追及するので宗教2世への圧力が強まる
統一教会は、信者個人に対して責任を追及するのではなく、信者の一家に対して連帯責任を追及する気風を持っている(動画)。
「一家の中で1人でも合同結婚式に参加せず異教徒と結婚する者が出てくると、一家そろって地獄行きになるし、霊界にいる先祖も地獄に落ちる」と信者に教え込むのが統一教会である[2]。このため、宗教2世への「合同結婚式へ参加しろ」「恋愛をするな」という圧力が極めて強くなる。
合同結婚式のあとに韓国へ飛ばされていく人がいる
日本において統一教会が勧誘の標的にするのは圧倒的に女性が多い(動画)。
そして合同結婚式に参加する日本人女性信者は、「海外の男性と結婚するように教団に指示されても決して断るな」「極貧の男性と結婚するように教団に指示されても決して断るな」と言われる(動画)。このため極貧の韓国人男性と結婚することを強要されたという例もある(動画1、動画2)。
統一教会の合同結婚式に参加した日本人女性の中には、韓国の貧しい寒村に飛ばれていく人もいる。そういう寒村は深刻な嫁不足に悩まされており、「日本人女性がこんなところに来てくれた」と喜ぶという。寒村で待ち受けている韓国人男性は統一教会の信者でもなく、ただ単に「合同結婚式に参加すると若い日本人女性を嫁にもらえる」と言われて参加しただけの人であることもある。そういうところに嫁入りさせられて貧困生活に苦しむ日本人女性は「自分が苦しむほど韓国への謝罪になる」と統一教会に教え込まれるという(動画)。
韓国人男性と強制的に結婚させられて韓国に単身で渡ってそちらで生活するはめになった日本人女性信者も数多く、6千人以上の日本人女性が統一教会の合同結婚式で韓国に渡ったという(動画)。
統一教会は「韓国はアダム国家で日本はエバ国家」という教義を持っており、韓国人男性と日本人女性の結婚は統一教会にとっての理想形である。
北朝鮮が日本人を拉致したことは悪名高いが、統一教会の合同結婚式もそれに匹敵する事件と言える。表向きは「統一教会の信者が自発的に自分の意思で合同結婚式に参加し、韓国へ渡っていった」という形式なので、日本の警察もなかなか刑法第223条の強要罪を適用できず、刑事事件にしにくい。
憲法や法律に違反している
日本国憲法第13条の自己決定権や日本国憲法第24条の婚姻の自由を侵害している
日本国憲法第13条は自己決定権(最狭義の人格的自律権)を保障しており、自分のことを自分で決める権利を保障している。
そして第13条から派生する形で日本国憲法第24条が存在している。第24条では婚姻の自由を保障しており、婚姻を決定する権利を当事者2人のみに限定することを保障している。
しかし統一教会は日本国憲法第13条や日本国憲法第24条をまるで尊重せず、信者の自己決定権を制限し、「婚姻の自由」を侵害している。
日本国憲法第19条の思想・良心の自由を侵害している
統一教会の宗教2世は、幼少期から合同結婚式に参加することを要求され、恋愛を禁止される。
恋愛というのは人の内心領域において個人の人格の核心を形成する精神作用であり、日本国憲法第19条によって自由に行うことを保障されている思想・良心の典型例である。
その恋愛を禁止する統一教会は、日本国憲法第19条を公然と破る宗教団体であり、思想・良心の自由という基本的人権を侵害する宗教団体である。
児童虐待防止法に違反している
児童虐待防止法という法律があり、18歳未満の児童に対して監護者が虐待することを禁止している。
2022年12月27日になって厚生労働省の子ども家庭局長が指針を出し、その指針の中で「宗教の信仰に基づいた児童虐待」をいくつも例示している[3]。その例示の中には「交友や結婚の制限のため脅迫や拒否的な態度を示すことは心理的虐待に当たる」というものがあり、合同結婚式に参加させるため脅迫や拒否的な態度を示すことを児童虐待の心理的虐待と扱っている。
恋愛の禁止や合同結婚式への参加の強要を裁判で無効にする理論
家訓・家憲・「家の掟」で子どもに義務を課す
統一教会の信者が子どもを持った場合、家訓とか家憲とか「家の掟(おきて)」と称して子どもに義務を課す傾向にある。そして、その義務の中に「恋愛をしない義務」「合同結婚式に参加する義務」が含まれている事が極めて多い。
こうした家訓とか家憲とか「家の掟」は、裁判所によって無効になる可能性がある。
間接適用説で民法第90条を通じて憲法を適用して無効にする
日本は間接適用説を採用している国であり、憲法が私人同士の争いに適用されることがありうる。私人といえども憲法を完全に無視することができない国である。
統一教会の信者が、その子どもに対して家訓・家憲・「家の掟」を定め、それによって恋愛を禁止し、子どもの思想・良心の自由を侵害したとする。子どもが親を訴えて家訓・家憲・「家の掟」の無効を求める裁判を起こしたとすると、裁判所が「その家訓・家憲・『家の掟』は、社会的に許容できる範囲を超えて日本国憲法第19条を侵害しているから、民法第90条の公序良俗に違反しているのであり、無効である」という判決を下すことがあり得る。
統一教会の信者が、その子どもに対して家訓・家憲・「家の掟」を定め、それによって子どもに合同結婚式への参加を義務づけたとする。子どもが親を訴えて家訓・家憲・「家の掟」の無効を求める裁判を起こしたとすると、裁判所が「その家訓・家憲・『家の掟』は、社会的に許容できる範囲を超えて日本国憲法第13条や日本国憲法第24条を侵害しているから、民法第90条の公序良俗に違反しているのであり、無効である」という判決を下すことがあり得る。
他者加害原理に基づく「信教の自由」の制限
日本の憲法学では「他者加害原理に基づいて基本的人権を制限することがありうる」という思想が主流である。
このため「他者に危害を加える者は、他者加害原理に基づいて『信教の自由』という基本的人権を制限されることがありうる」という考えが成り立つ。
統一教会の信者が家訓・家憲・「家の掟」を定め、子どもに対して恋愛を禁止したり合同結婚式への参加を強要したりしつつ、「そうした行為を自由に行うことは『積極的宗教的行為の自由』であり、『信教の自由』の一部分であり、憲法によって保護されている」と主張したとする。その場合、「『信教の自由』の中の『積極的宗教的行為の自由』は、他者加害原理により制限される」という反論が成り立つ。
関連動画
関連項目
脚注
- *「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜の第3話は統一教会を題材とした話である。統一教会の宗教2世として生まれた女の子が登場するのだが、その女の子は幼稚園の時から「男の子を好きになるな、男の子に好かれるな」と教え込まれ、「恋愛を知ってしまう恐れがある」という理由でテレビ視聴を禁止され、マンガを買い与えられても恋愛が出てくるページを破り取られていた。そのおかげで、「自分を好きな男の子がいる」と友達に教えられると恐怖で震えてしまうようになっていたという。
- *「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜の第3話の47~48ページでは「恋愛せずに純潔を守るべきだ。そうしないと恋愛した子だけではなく家族全員が地獄行きになる」という意味の言葉を両親が子どもに語りかけるシーンがある。55ページでは、子どもが統一教会の教えに背いて自由恋愛をしたことを知った親が「先祖もろとも地獄行きだ!!」と叫ぶシーンがある。
- *詳しくは宗教2世の記事の『宗教2世問題への対処法』の“2022年12月27日の厚生労働省指針”という項目を参照のこと。
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- ページ番号: 5661307
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