『大躍進』とは、『大きく躍進すること』ではあるのだが・・・。
当記事では1958~61年に中国で行われた「大躍進政策」を説明する。
概要
大躍進政策は毛沢東の指導の下、中国(中華人民共和国)にて行われた。名前の通り、中国の経済・産業の大躍進を狙って数々の政策が行われた。当時の毛沢東も「大いに意気込み、高い目標を目指し、多く、早く、立派に、無駄なく社会主義を建設する」ために行うとしていた。
その結果、中国国内で数千万人が亡くなった。主な原因としては以下が挙げられる。
- 鉄鋼生産による農村荒廃
- 中国全土、農村に至るまで鉄鋼が作られるようになった。しかし、原料の鉄鉱石は十分ではなく、鍋や農機具などを鉄鋼の材料に使ってしまった。製鋼法も建物を壊して手に入れた煉瓦を再利用した炉を作るなど、初歩的なものが多くみられた。また、製鋼に必要となる還元剤(多くの場合は石炭)も無かったため、代わりの木炭を確保するため大規模な森林伐採を行い、洪水などの災害が起こりやすくなった。
そこまでの苦労をしてできた鉄鋼は近代工業には役に立たない質の悪いもので、そもそも鉄鋼の供給先も十分に考えられていなかったため、無駄に終わってしまった。さらに、製鋼をしている間に働き手が不足した農地は荒廃し、十分な食料生産ができなくなり飢饉に陥った。 - スズメの駆除
- 当時、「四害駆除運動」と呼ばれる、伝染病を広めたり農作物を荒らしたりする害獣・鳥・虫を駆除する運動が行われた。駆除されたのはハエ、カ、ネズミ、そしてスズメである。しかし、スズメは作物だけでなく害虫も食べる益鳥としての側面もあった。そのため、スズメを駆除してしまった結果、害虫が増えてしまい、かえって農村は飢饉に陥ってしまった。
- 深耕・密植の奨励
- 農業では3m程度に深く耕すこと、密に作物を植えることが勧められた。しかし、苗に必要な養分がいきわたらない上に、深耕による土壌流出を招いたとも言われる。
- 共同食堂での浪費
- 「無駄なく社会主義を建設する」ため、農民は人民公社に組織され集団生活を行うようになった。1958年の豊作期の人民公社の食堂での食事は無料で、量に制限はなかった。これが食料の浪費を招き、飢饉と組み合わさって食料不足に陥ってしまった。
- ノルマ達成(嘘)
- このような状況で生産量は減少していたが、地方幹部は上層部から提示された目標未満の生産量にならないよう、虚偽の過大申告をしたため、政府は問題がないと判断してしまう。さらに政府は増産を予想して、何も食料不足の対策をとることなく過大な目標設定をしてしまうという悪循環に陥った。
その後、大躍進政策の失敗から毛沢東は失脚した…と言いたいところだが、数年後には毛沢東が権力闘争のために起こした行動から文化大革命が始まってしまった。
この結果、関連動画に示されるようなセリフ立ても生まれ、政策や方針に大げさな飾り言葉をつけて人様を鼓舞したり、端的に『大躍進間違いなしだ!』などとして持て囃すという皮肉としてのジョークも生まれている。
関連動画
関連項目
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