百鬼夜行(ひゃっきやぎょう、ひゃっきやこう)とは、妖怪ものに登場する鬼や妖怪及びその類の行進のこと。
概要
「平安時代に愛人の家から帰る途中に鬼や妖怪の大部隊に遭遇して念仏唱えながら震えていました。」という本当か嘘なのかわからないが、宇治拾遺物語・今昔物語集にそのような話がいくつか収録されている。
主に百鬼夜行に遭遇した人間はいずれも念仏や札を握りしめており生還するのが一般的で仏の偉大さを説くと同時に、遭遇者が死んでしまうような三流怪談話より幾分かリアリティがある。
「夜行」の読みについては地方によって異なる模様。「やこう」でも間違いではなく、地方によっては「やぎょう」とは読まない事もある。結局は2つとも正しいのでどちらで読んでも大した問題はない。
絵巻物・妖怪画
室町時代には、妖怪画としての作品である「百鬼夜行絵巻」が複数作成されている。いずれも構図や妖怪のデザインが似ており、どれが元祖であるかについては研究者の間で今もなお論争が絶えない。上述のような説話の「鬼・怪物の軍勢」ではなく、動物や器物が人間のような形に化けたいわゆる「変化」「付喪神」の行列であるという特徴がある。その恰好や表情は恐ろしいというより滑稽で、その時代の文化の描写、政治に対する風刺的な要素もあると考えられ、「鳥獣戯画」の系譜であるともとらえられるだろう。
時代は下って江戸時代、お化け絵の刷り物や屏風などの作品が人気を博した。その中で特に現代の妖怪・お化け観にも強い影響を与えている作品のひとつとして鳥山石燕「画図百鬼夜行」がある。石燕の作品は妖怪の軍勢・行列を描いたものではなく、個々の妖怪画とその説明書きであるいわば「お化けカタログ」(この方式は現代において水木しげるの手によって再現された)だが、これによって百鬼夜行という言葉に「個性ある妖怪たちがかわるがわる登場する娯楽作品」という新しい意味合いが現れたといっていいだろう。
ついでの知識
- ゲーム「大神」では、敵をひたすら倒し続ける隠しステージとして「百鬼夜行」が登場。Devil May Cryシリーズでいう「ブラッディパレス」に相当するか。はぐれ珠をコンプリートするためには避けて通れない道。
- ゲーム「朧村正」でも同様に、最難関とされる魔窟「百鬼夜行」が登場。その名の通り、下はザコ敵から上は親玉達まで勢ぞろいし、全て倒さなければならない。
- ゲーム「天外魔境II」においてもイヒカの祖先が作った赤い箱「百鬼夜行」がある。これも出てくる100体の魔物を相手にする、という荒行である。
- ファミコンソフト「百鬼夜行」のこと。ジャンルは和風RPG。地上マップは2D、地下マップは3Dに見た目が変化するシステムが特徴。おどろおどろしい独特の雰囲気、BGMも良しとぱっと見は悪くないのだが、強すぎる敵、広すぎるマップ、使い道のないアイテム・職業と、挙げればキリのない程の問題点があるゲームでもあった。開発を担当したユースは現在、XUSEと名前を変えアダルトゲームを制作している。
- 同人ゲーム「東方Project」には、二つ名に百鬼夜行の名を持つ鬼「伊吹萃香」というキャラクターが登場している。
→ 伊吹萃香 - 太鼓の達人シリーズの収録曲。太鼓の達人内でシリーズ化されている楽曲「画竜点睛シリーズ」の一つで、難易度は鬼で☆9とされている。
- 米津玄師の楽曲「百鬼夜行」のこと。シングル『サンタマリア』・アルバム『YANKEE』に収録。
- GuitarFreaks、DrumManiaシリーズの収録曲。一網打尽の流れをくむ楽曲で、ドラムパートの傾向がそれぞれの譜面ごとに全く違うという曲になっている。余談だが、ドラムのNOVICE譜面は全NOVICE譜面中最高Lv。
- PS2用ゲーム「侍」に登場する刀、大黒生(とハルユキ)の一撃必殺技。簡単なコマンドで乱舞が発動し、最大730のダメージを誇る。たいていの雑魚キャラは乱舞中に死に、ボス戦でも絶大な威力を発揮する。しかし、乱舞が自動で発動するという技のため、防御されると刀が折れる(硬度が1下がる、最大は5)まで乱舞を続けてしまう、生身を斬っても硬度には4程度の影響が出るため最大硬度でしか使用できないこと(硬度5の状態でも回復していることが必要)、隙が大きいこと、見切りを習得されていると一切の攻撃が通らないなどの欠点がある。
- 漫画『うえきの法則』に登場する神器のうちの一つ。『百鬼夜行』と書いて『ピック』と読む。
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関連項目
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