| 銀河英雄伝説の戦闘 | |
|---|---|
| 第五次イゼルローン要塞攻防戦 | |
| 基本情報 | |
| 時期 : 宇宙暦792年/帝国暦483年 5月6日6時45分~ |
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| 地点 : イゼルローン回廊・イゼルローン要塞周辺宙域 | |
| 結果 : ゴールデンバウム朝銀河帝国軍の勝利 | |
| 詳細情報 | |
| 交戦勢力 | |
| ゴールデンバウム朝銀河帝国軍 | 自由惑星同盟軍 |
| 総指揮官 | |
| クライスト大将 (イゼルローン要塞司令官) ヴァルテンベルク大将 (要塞駐留艦隊司令官) |
宇宙艦隊司令長官 シドニー・シトレ大将 |
| 戦力 | |
| イゼルローン要塞駐留艦隊 (13000隻) イゼルローン要塞守備隊 |
第4艦隊(グリーンヒル中将) 不明部隊(ビュコック提督) など 総数51400隻 |
| 損害 | |
| 要塞外殻部に破損 要塞駐留艦隊多数破壊 |
甚大 |
| 帝国暦時代 | |
| 前の戦闘 | 次の戦闘 |
| カプチェランカBIII基地の戦い アルレスハイム会戦[1] |
ヴァンフリート星域会戦 |
第五次イゼルローン要塞攻防戦とは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。
概要
宇宙暦792年/帝国暦483年5月、大挙イゼルローン回廊に侵攻した自由惑星同盟軍と、イゼルローン要塞を守備するゴールデンバウム朝銀河帝国軍との間に発生した戦闘。
同盟軍は過去四度にわたってイゼルローン要塞に侵攻し敗北した経験から画期的な並行追撃戦法を立案・実行して多大な効果を挙げたものの、帝国軍が自軍の損害を厭わずに要塞主砲”雷神のハンマー”の発射に及んだために五度目の敗北を余儀なくされることとなった。
経緯
帝国領域と同盟領域を結ぶイゼルローン回廊の中心部に位置するイゼルローン要塞は、宇宙暦765年/帝国暦456年の完成以来、銀河帝国軍が自由惑星同盟に侵攻するための前進基地として機能してきた。
そのため同盟軍は、ほとんど国家的な事業として四度に渡りイゼルローン要塞の攻略を試みてきたが、そのたびに要塞駐留艦隊と強固な要塞外壁装甲、そして要塞主砲”雷神のハンマー”の前に一方的に甚大な損害を受け敗北していた。
この不名誉な記録を中断させ、こんどこそイゼルローン要塞を攻略するべく企図されたのが、宇宙艦隊司令長官シドニー・シトレ大将の直率によるこの五度目の侵攻戦である。
戦闘経過
緒戦
宇宙暦792年/帝国暦483年5月2日、自由惑星同盟軍はイゼルローン要塞まで90時間行程の宙点まで接近。5月4日にはイゼルローン要塞から帝国軍の前哨偵察が放たれ、駆逐艦<エルムラントⅡ>が接近する同盟軍を発見、5万隻以上の大艦隊であることを要塞に報告した。要塞司令部と駐留艦隊司令部からなる作戦会議は、要塞に駐留する駐留艦隊単独では戦力差が大きく同盟軍に到底抗し得ないこともあり、過去四度と同じく、駐留艦隊により敵を誘引し、”雷神のハンマー”によりこれを撃破する戦術の実施を決定した。
5月6日2時50分、帝国軍要塞駐留艦隊はイゼルローン要塞から3.6光秒、108万kmの距離にやや弧を描いた陣形で展開し、同日6時、同盟軍を視認範囲内に捉える。6時45分、帝国軍の一斉射撃から戦端が開かれ、両軍は急速に戦闘に突入していった。両軍の戦力には先述の通り大差があり、同盟軍は数をたのんで前進、対する帝国軍は徐々に後退しつつの激戦となる。
8時50分、帝国軍要塞駐留艦隊司令官ヴァルテンベルク大将は、予定通り同盟軍艦隊を”雷神のハンマー”射程内に誘引するため、艦隊に全面後退を下令する。しかし同盟軍総司令官シトレ大将はこのタイミングを読む形で全速前進を命じ、両軍は乱戦状態でイゼルローン要塞前面へとなだれこんだ。
要塞攻防戦
イゼルローン要塞司令部もまた、当初の予定通り後退する駐留艦隊を収容し”雷神のハンマー”により同盟軍艦隊を撃破する態勢を整えていたが、予期せぬ混戦により射程内で両軍艦艇が入り乱れ、要塞主砲の使用が事実上不可能となった。一方で要塞のその他各種通常砲塔は問題なく駐留艦隊を援護でき、両軍の混戦は続いた。
このまま”雷神のハンマー”を封じているうちに一挙に勝敗に決着をつけるため、シトレ大将は次なる作戦としてウラン238ミサイルと液体ヘリウムを積んだ無人艦の要塞突入作戦の実施に移る。その強大な破壊力は、イゼルローン要塞の強固な外部装甲を史上初めて敵の攻撃によって破損させ、外殻部のブロックや砲塔を破壊、要塞司令室にまで突入・爆発の衝撃を及ぼすほどのものとなった。
しかし、この攻撃によって要塞司令官クライスト大将はイゼルローン要塞陥落の危険を悟り、いまだ要塞前面に残る駐留艦隊を無視しての”雷神のハンマー”発射を決断する。”雷神のハンマー”は四隻目の無人艦の突入に応じるかたちで発射され、帝国軍艦艇と同盟軍艦艇とを区別なく破壊した。この予期せぬ攻撃によって同盟軍は恐慌状態に陥り、シトレ大将より退却命令が下されたことで戦闘は終結、帝国軍がイゼルローン要塞を五度守る結果となった。
影響
結果として、イゼルローン要塞はその外殻部の装甲に損害を蒙りはしたものの、同盟軍に奪取される、あるいはその機能を喪失するには至らなかった。よって、この戦いが両国間の戦況に大きな影響を及ぼすことも無かった。
ただし、結果的に敗北したとはいえ、イゼルローン要塞に対して有効な作戦を提示・実行したシドニー・シトレ大将は同盟軍内で高い評価を受け、しばらくの後に元帥へと昇進している。
シトレが行ったこの並行追撃戦法と無人艦突入作戦の組み合わせは要塞攻略戦術においてひとつの頂点をきわめたものとされ、ことに前者はのちの第十一次イゼルローン要塞攻防戦においての帝国軍にみられるように、”雷神のハンマー”の回避戦術として確立されることとなる。
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第五次イゼルローン要塞攻防戦は『黄金の翼』に収録。
ストーリーでは戦闘そのものの流れよりも<エルムラントⅡ>艦長ラインハルト・フォン・ミューゼル少佐と憲兵将校クルムバッハ少佐の宮廷闘争をめぐる因縁がメインとなっている。
関連項目
脚注
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