鈴木彩艶(すずき ざいおん、2002年8月21日 - )とは、日本のプロサッカー選手である。
イタリア・セリエAのパルマ・カルチョ1913所属。サッカー日本代表。
経歴
プロ入り前
アメリカ合衆国生まれ、埼玉県さいたま市浦和区出身。父親はガーナ人、母親は日本人のハーフ。幼くして日本で住んでいるため、アメリカでの記憶はないとのこと。先にサッカーを始めた兄の影響もあり、幼稚園の頃からサッカーを始める。幼少の頃は兄の練習相手となっていた。
4歳から6歳までは地元の大東少年団に所属。小学生になった2006年から浦和レッズのアカデミーである浦和レッズジュニアに入団。幼少の頃は前半はGK、後半FWといった具合にプレーしており、当時から身体能力は同年代の子よりも抜きんでていた。小学校高学年になるにつれてGK一本でプレーするようになり、4年生の頃にはすでに6年生に混じってプレーし、PK戦で3本止めたというエピソードもある。
中学生になると浦和レッズジュニアユースに昇格。この頃には異次元の身体能力を持つGKとして注目を浴びるようになり、中学3年生のときには飛び級でU-17代表に選出され、U-17 FIFAワールドカップに出場している。高校生になると浦和レッズユースに昇格。
2019年2月1日、浦和レッズとクラブ史上最年少となる16歳5か月11日でプロ契約を締結。2種登録選手としてトップチーム登録される。2020年にはトップチームでの出場機会こそなかったものの、リーグ戦16試合でベンチ入りする。
浦和レッズ
2021年より浦和レッズのトップチームに昇格。背番号は12となる。J1リーグ開幕戦から第2GKの座を射止めベンチ入りする。3月2日、JリーグYBCルヴァンカップ第1節湘南ベルマーレ戦でスタメンに抜擢、公式戦初出場を果たす。リカルド・ロドリゲス監督からビルドアップ能力の高さを買われ、J1第15節ベガルタ仙台戦で正GKの西川周作に代わってスタメンで起用され、J1リーグデビューを果たす。このデビュー戦から3試合連続で無失点に抑える活躍を見せ、脚光を浴びる。ルヴァンカップでは9試合でゴールを守り、GKとしては史上二人目となるニューヒーロー賞を受賞。リーグ戦では終盤に西川にポジションを譲ったものの6試合に出場。
2022年はクラブに新設された若手キャプテンに任命される。しかし、西川がシーズンを通して好調を維持していたためこの年のリーグ戦出場は2試合のみとなった。ルヴァンカップでは2試合、AFCチャンピオンズリーグでは4試合に出場。
2023年も西川の牙城を崩すことはできず、前年同様カップ戦でのみの出場となっていた。8月にはイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドから移籍金9億円でオファーが届くが、出場機会を懸念しこれを拒否している。
シント=トロイデン
2023年8月5日、ベルギー ジュピラー・プロ・リーグのシント=トロイデンVVへ期限付き移籍することが発表される。クラブにはパリ五輪代表でチームメイトである藤田譲瑠チマ、山本理仁も加入している。背番号「1」を付け、8月20日の第5節セルクル・ブルージュ戦で新天地のデビューを飾る。以降は前年まで正GKだったシュミット・ダニエルに代わってレギュラーを獲得。デビュー戦から年内までの16試合連続でゴールを守る。
2024年2月1日には完全移籍に移行したことが発表される。AFCアジアカップ2024出場のため一時チームを離れるが、復帰後はそのまま正守護神としてシーズン終了までプレー。データ分析サイト「DataMB」では空中戦勝利率は100%、パス成功率は94%、ゴール阻止率89%などのデータを提示し、パフォーマンス指数スコア94で2位に8ポイント差をつける国内最高評価を与え、「ベルギーで最も評価の高いゴールキーパー」と称えられた。
パルマ
2024年7月15日、イタリア・セリエAのパルマ・カルチョ1913に完全移籍することが発表される。契約は2029年6月30日までの5年間で、移籍金は17億円。セリエA開幕戦から正GKの座を射止めると、8月24日の第2節ACミラン戦ではビッグセーブを連発し、強豪相手の金星相手に貢献。しかし8月31日のSSCナポリ戦では後半30分にキャリア初の退場処分を受ける。
日本代表
中学2年生だった2016年にU-15日本代表に初選出。中学3年生となった2017年には飛び級でU-17日本代表に選ばれ、10月にインドで開催されるFIFA U-17ワールドカップのメンバー入りを果たす。高校2年生となった2019年5月にはFIFA U-20ワールドカップに出場するU-20日本代表に飛び級で選出。
2019年10月にはブラジルで開催されるFIFA U-17ワールドカップ 2019のU-17日本代表メンバーに選出。この大会で初めて国際大会でゴールを守ると、グループリーグでは3試合連続で無失点に抑え、日本の首位での決勝トーナメント進出に貢献。ラウンド16のメキシコ戦では2失点を許し、日本はここで敗退となるが、全4試合で正GKを務め、海外の関係者から注目される大会となった。
2020年にはパリオリンピック出場を目指すU-21日本代表に選出されるが、2021年7月4日に東京オリンピックに出場するU-24日本代表のメンバーに飛び級で選出。本大会での出場機会は無かったものの、森保一監督からポテンシャルを期待されていることをうかがえる出来事となった。
東京オリンピック後は、本来のパリ五輪代表での活動が中心となる。こちらでは正守護神を任され、2022年にはドバイカップU-23で優勝に貢献。6月にウズベキスタンで開催されたAFC U-23アジアカップでは正GKとして5試合に出場。準決勝のウズベキスタン戦では2失点を許し敗れたものの、好セーブを見せ3位に入賞している。
7月にはEAFF E-1サッカー選手権2022に出場する日本代表に初選出。7月19日の香港戦で19歳にしてフル代表デビューを飾っている。
2023年10月に1年3か月ぶりにフル代表のメンバーに選出されると、レギュラー組が出場するチュニジア戦のスタメンに抜擢。11月21日、FIFAワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦に出場し、川口能活が持つ21歳220日でのW杯予選ゴールキーパー最年少出場記録を塗り替える。2024年1月1日のタイ戦までフル代表でゴールを守った試合は4試合連続無失点。
2024年1月にカタールで開催されたAFCアジアカップ2024のメンバーに最年少で選出。大会では全試合で正GKを務めるが、至るところで判断のミスや不安定さを露呈。失点に直結したミスもあり、代表GKとしての資質を疑問視する声が噴出し、ついには人種差別的な誹謗中傷を受ける事態になる。結局全試合で失点を許し、5試合で8失点を喫するなど課題が山積みの大会となった。
個人成績
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2021 | 浦和レッズ | J1リーグ | 6 | 0 | |
2022 | 浦和レッズ | J1リーグ | 2 | 0 | |
2023 | 浦和レッズ | J1リーグ | 0 | 0 | |
2023-24 | シント=トロイデンVV(loan) | ジュピラー・プロ・リーグ | 32 | 0 | |
2024-25 | パルマ | セリエA |
個人タイトル
プレースタイル
ガーナ人の血を引いていることもあり、身体能力は日本人GKの中でも規格外であり、190cm93kgという恵まれた体格で長い手足を活かした安定したセービングと驚異的な反射神経が持ち味。反応速度に加え、ポジショニングもいいことから相手のシュートコースを防ぐこともできる。そのため、無理なくセービングすることが多く、相手のシュートを正面で難なくキャッチする。
また、長年日本人GKに不足していたビルドアップに貢献できるタイプの現代型GKであり、持ち前のパワーを活かしたロングキックとロングスローで直接攻撃に繋げることもできる。ロングスローではハーフウェイ付近まで、ロングキックは敵陣PA内まで届く。飛距離だけではなく精度も高く、左右への蹴り分けまでこなせる。11人目のフィールドプレイヤーとして攻撃の起点となれる日本では貴重な存在といえる。
元日本代表であり、アンダー代表のGKコーチとして直接指導したこともある川口能活は、「体重があるのが魅力的」と評価している。
ショートパスは左右両足で蹴れるが、左足のロングキックは弾道が低くなりすぎることがある。また、ジャンプ力はあるもののタイミングを間違うことやパスの出しどころを間違うことがあることは課題となっている。ハイボールの処理の不安定さやキックとロングの判断を間違うことなど、まだ若いこともあって判断の部分は改善点が残る。
人物・エピソード
- 名前の「ザイオン」は聖書に出てくる聖なる丘「Zion」に由来している。これはガーナ人である父親がキリスト教を信仰していることが影響している。
- ストイックな努力家であり、オフのときも研究やトレーニングに励んでいるほど。
- フィジカルトレーニングに懸命に励んでおり、高校生時点でベンチプレス125kg挙げられる程の筋力を誇る。
- GKを小学生の頃から始めた理由は「ボールを止めるのが楽しかったから」。
- 小学生の頃は、サッカーだけではなくピアノを習い、発表会にも出ていた。
- 甘いもの好きで、試合の前はどら焼きや羊羹、あんパンなどあんこ系の和菓子を食べている。
- 街中でNBA選手の八村塁と間違われたことが何度もある。
関連項目
親記事
子記事
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兄弟記事
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