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雲の一覧とは、空に浮かんでいる雲の一覧である。
概要
雲の形は雲形と呼ばれる。世界気象機関(WMO)の『国際雲図帳』では、形の特徴や発生する高度によって10種類に分類されており、これを「10種雲形」という。
雲には発生する高さが決まっている層状雲と、高さの定まらない対流雲がある。前者は上層、中層、下層に分類され、後者は積雲や積乱雲があてはまる。
雲は手軽に観察でき、一つとして同じ形の雲はない。雨の前触れになる雲を見つけることもできるので、たまには空を見上げてみてはいかがだろうか。
雲の分類
| 雲形(記号) | 雲底高 | 雲の厚さ | 別名 | 種 | 変種 | 特徴のある形の雲 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 上層雲 | 巻雲 (Ci) |
13000m未満 ~ 500m以上 |
100m | すじ雲 | 毛状雲 かぎ状雲 濃密雲 塔状雲 ふさ状雲 |
もつれ雲 放射状雲 肋骨雲 二重雲 |
乳房雲 |
| 巻積雲 (Cc) |
100m | うろこ雲 いわし雲 さば雲 |
層状雲 レンズ雲 塔状雲 ふさ状雲 |
波状雲 蜂の巣状雲 |
尾流雲 乳房雲 |
||
| 巻層雲 (Cs) |
100~200m | うす雲 ベール雲 |
毛状雲 霧状雲 |
二重雲 波状雲 |
|||
| 中層雲 | 高積雲 (Ac) |
7000m未満 ~ 2000m以上 |
150~200m | うろこ雲 ひつじ雲 むら雲 さば雲 |
層状雲 レンズ雲 塔状雲 ふさ状雲 |
半透明雲 すき間雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 蜂の巣状雲 |
尾流雲 乳房雲 |
| 高層雲 (As) |
400~600m | おぼろ雲 | 半透明雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 |
尾流雲 降水雲 ちぎれ雲 乳房雲 |
|||
| 乱層雲 (Ns) |
1500~4000m | 雨雲 雪雲 |
降水雲 尾流雲 ちぎれ雲 |
||||
| 下層雲 | 層積雲 (Sc) |
2000m未満 ~ 地面付近以上 |
150~400m | うね雲 くもり雲 むら雲 |
層状雲 レンズ雲 塔状雲 |
半透明雲 すき間雲 不透明雲 二重雲 波状雲 放射状雲 蜂の巣状雲 |
乳房雲 尾流雲 降水雲 |
| 層雲 (St) |
50~200m | きり雲 | 霧状雲 断片雲 |
不透明雲 半透明雲 波状雲 |
降水雲 | ||
| 積雲 (Cu) |
2000m未満 | 50~2000m | わた雲 むくむく雲 |
へん平雲 並雲 雄大雲 断片雲 |
放射状雲 | ずきん雲 ベール雲 尾流雲 降水雲 アーチ雲 ちぎれ雲 漏斗雲 |
|
| 積乱雲 (Cb) |
3500~10000m | 入道雲 かなとこ雲 雷雲 |
無毛雲 多毛雲 |
降水雲 尾流雲 ちぎれ雲 かなとこ雲 乳房雲 ずきん雲 ベール雲 アーチ雲 漏斗雲 |
|||
雲の一覧
巻雲
ほつれた毛や糸くずのような、細い線の集まりに見える雲。すじ雲とも呼ばれ、鳥の羽のようにすじに見えるのが特徴。飛行機が雲の中を通ると、氷の粒にぶつかる音が聞こえる。
この雲が空一面に広がっても雨が降るわけではないが、台風や発達した低気圧がやってくる際に真っ先に流れてくる雲でもある。上空の水分が増えてきたことを示している。氷晶でできた雲であるため、上空のジェット気流に現れることもある。また、最も高い位置に現れる雲なので、朝は一番早く、夕方は一番遅くまで太陽で色づいている雲である。
巻積雲 ![]()
いわし雲、うろこ雲、さば雲とも呼ばれる。上昇気流が大きく、一つ一つの雲が丸みを帯びている。
天気の変化が大きい時に現れることが多い。「悪天を知らせる雲」とされ、天気のくずれを予想する目安になる。
巻層雲
ベール雲、うす雲とも呼ばれる。空全体にうすくベールのように広がり、雲があるのかないのかわかりにくい。月や太陽と重なると「かさ」ができるので、それが目安になる。
巻層雲だけなら雨の心配はないが、巻雲や巻積雲につづいて厚みを増している場合、天気がくずれる可能性がある。その場合は雲の高度が低くなって高層雲になっていく。
高積雲
ひつじ雲、うろこ雲、むら雲、さば雲とも呼ばれる。ひつじの群れのように集団で流れてくる雲。巻積雲より低い高度にでき、雲の一つ一つも大きくなっている。
厚さはいろいろで、月の光がすける薄いものから、太陽が全く見えなくなる厚いものまで様々。雲の隙間から見えるのが青空なら雨の心配はないが、その上にさらに雲が広がっている場合、低気圧がやってきて天気がくずれる前触れである。
高層雲
巻層雲の高度が低くなり、雲が厚くなって空一面をねずみ色にする。青空は消え、太陽の光は鈍くなり、かげもできなくなる。おぼろ雲とも呼ばれる。
天気が悪くなる前に現れやすいが、雨が降り続いた後の天気がよくなる前にも現れる。
乱層雲
雨雲、雪雲のこと。空一面を覆うことが多く、雨や雪をもたらす。
雨はしとしとと静かに、長い間降り続ける。高層雲が発達して厚みを増すことで生まれる。
層積雲
くもり雲のこと。うね雲、むら雲とも呼ばれる。波のように行列したり、横に広がったりして雲海を作り出す。山の上から見た時、足もとに広がっている雲海は基本的にこの雲。
1年間の中でもっともよく見られる。雲の厚みが増せば天気がくずれる前触れ、しだいに高くなっていくなら天気が良くなっていくと予想できる。
層雲
霧雲とも呼ばれる。霧が地面からはなれてできたもので、雲の中でももっとも低い位置にできる。
気温が下がった朝に見られることが多く、山間部で特に見られる。太陽が昇って気温が上がるにつれて消えていき、昼間は晴れることが多い。反対に、天気が悪い時に現れる層雲もある。
積雲
わた雲、つみ雲、むくむく雲とも呼ばれる。晴れた日の空にぽっかりと浮かぶ底が平らな雲で、「雲」と聞いて多くの人が浮かべるイメージに近い形をしている。
晴れた日の午前中に現れることが多い。太陽によって熱くなった地面や海面から湿った空気が上昇し、平らな積雲を作り出す。太陽に照らされている部分は白いが、底の方が灰色がかっているのが特徴。発達すると雄大積雲となり、シャワーのようなにわか雨をもたらす。また、高層雲の下をとぶちぎれ雲のような積雲もあり、雨がまもなくやってくる合図となる。
積乱雲 ![]()
入道雲、雷雲、かなとこ雲(金床雲)とも呼ばれる。積雲が高く大きくのび、頂上付近が羽毛のようにぼんやりとした形になる。嵐のような激しい雨をもたらし、あちこちに雷が落ちるようになる。
真夏に発生することで知られているが、日本海側では冬でもよく発生し、大雪をもたらす。また、5月から6月にかけてはひょうを降らし、農作物へ被害をおよぼすこともある。
特殊な雲
レンズ雲
吊るし雲とも呼ばれる。両端が尖った巻積雲や高積雲のこと。上空の風が強いときに、山の風下側で発生しやすい。
飛行機雲 ![]()
飛行機が通った後にできる、細く直線のようにのびた雲。ジェットエンジンから排気された水蒸気が、周りの冷たい空気によって温度が下がり、凝結することで生まれる。
笠雲
富士山など、高い山の頂上にかさをかぶせるようにできた雲。高積雲や高層雲、積雲などでできることが多い。山頂が雲で見えなくなったり、山から離れて雲が浮かんでいたりする。上空の風は強いが、気層は安定する。
夜光雲
地球上で最も高い場所にできる雲。あまりにも高い場所にあるため、日の出前や日没後にも太陽の光を反射して光って見えることからこの名前がついている。
本来、雲は地表から上空約11km程度までの範囲(対流圏)でしか発生しない。それ以上の高度だと気圧が低すぎて沸点が下がってしまい、水蒸気が冷やされても水滴(=雲)になりにくいことが理由。
ところが、もっと高い場所(高度80km程度)まで上昇すると話が変わってくる。ここまでくると気温が約マイナス80度と大変低くなり、気圧が低くてもそれ以上に低い気温のために氷粒による雲が発生することがある。これが夜光雲となって地上から観測される。
高緯度地方でしか発生しない雲と言われていたが最近になって中緯度での観測も増えており、日本でも北海道で2015年に初めて観測されている。またロケットの打ち上げによって運ばれた水蒸気やちりが夜光雲になることもあり、2017年や2020年には種子島宇宙センターからのH2Aロケット打ち上げ後に関東以西の太平洋側で観測されている。
真珠雲
真珠母雲、極成層圏雲とも。夜光雲のように高緯度・高高度でできる雲だが全くの別物で、こちらは高度20~30kmのオゾン層がある付近にできる。雲粒が均一なため虹色に光って見える。
環八雲
東京湾と相模湾からの弱い湿った南風が環八(東京都道環状八号線)あたりでぶつかってできる雲。環八の道路に沿って列をなすように雲ができるのが特徴的。
原因としては自動車の排ガスのみならず、上述したような風の流れ、さらに環八に沿ってヒートアイランド現象が発生して気温が高くなり上昇気流が発生しやすくなるなどの要因がある。
キノコ雲
核爆発によって発生する現象と思われがちだが、科学的には一般的な雲のように上昇気流で発生するものであり、それが特に強いエネルギーであった場合にキノコのような特徴的な雲形として現れる。そのため、地上に急激に大きな熱エネルギーが発生する現象、例えば火山の噴火などでもキノコ雲は発生することがある。要は鍋のフタを開けたときに勢いよく立ちのぼる湯気のスケールを大きくした感じのもの。
キノコ雲は強い上昇気流によってできるという点から積乱雲に近い特徴を持つ。そのため雨や雷を降らせることがあり、それが放射性物質を含むものであればいわゆる黒い雨と呼ばれる。
コミケ雲 ![]()
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参考文献
- 『総合百科事典 ポプラティア 新訂版』 ポプラ社 2011年
- 塚本治弘 『雲と天気』 あかね書房 1970年
- 塚本治弘 『おーい雲! 四季のお天気観察』 さ・え・ら書房 1983年
- 新田尚 『雲のかたちで天気がわかる』 大日本図書 2002年
- 下中直人 『気象の辞典』 平凡社 1999年
- 日本気象学会 『気象科学辞典』 東京書籍 1998年
- 小川佳則 『気象予報士 ポイントレッスン』 新星出版社 2008年
関連項目
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- 0pt



