魔導物語A・R・Sとは1993年12月10日にコンパイルから発売されたPC-9801用のRPGである。魔導物語シリーズとしてはリメイク・他機種への移植作を含めて第5作目のタイトル。
通称は「魔導ARS」「ARS」等。「ARS」の読み方は当初は「アース」であったがコンパイル晩期には公式にも「エー・アール・エス」と呼ばれるようになっていた。
概要
『魔導物語1-2-3』の主人公アルル・ナジャと、サブキャラクターとして登場したルルー、シェゾ・ウィグィィのそれぞれの過去が描かれた作品。『魔導物語1-2-3』と同様に3つのエピソードから成り立っており、タイトルの「A・R・S」とは各エピソードの主人公、アルル(Arle)・ルルー(Rulue)・シェゾ(Schezo)の頭文字を順に並べたものである。各シナリオ別にそれぞれ「魔導A」「魔導R」「魔導S」とも呼ばれている。
ゲームシステムは『魔導物語1-2-3』同様3Dダンジョン探索形式でファジー・パラメーター、オートマッピング、マジカル・ボイス等の特徴的なシステムもそのまま踏襲している。
PC98版『魔導物語1-2-3』ではキャラクターが高頭身でリアルに描かれたが「ぷよや魔導のイメージと合わない」ということで元のデフォルメ調に、また敵出現時などの文章表現もシンプルなものに戻っている。
楽曲はレベルアップファンファーレ、毒状態BGM等も含めて全て新曲。これらの内いくつかの楽曲は後に『はちゃめちゃ期末試験』『ルルーの鉄拳春休み』『魔導師の塔』等でアレンジされた。
階層をまたいだ大がかりな仕掛け等、謎解きがより複雑で凝ったものになった分、シリーズ中でも特に難易度が高い。途中のイベントやキャラクターの台詞には十分注意し、入手した道具など試せるものは積極的に色々試せば道は開けるはずだ。
脚本はうゑみぞ、キャラデザインは『ぷよぷよ』シリーズでもおなじみの壱と『精霊戦士スプリガン』『電忍アレスタ』の龍王院 弘が、BGMは『GGアレスタII』のBM.Mと今未PONが担当している。『魔導物語1-2-3』以来初の、そして『魔導物語1-2-3』脚本の米光一成他初期スタッフ退社後初の完全オリジナルストーリー作品となった。(ただし脚本退社後の92年10月にはすでにアーケード版『ぷよぷよ』が稼働、93年12月3日にゲームギア版『魔導物語I 3つの魔導球』が発売されている。)
ルルーとサタンの出会いやシェゾの過去など各キャラクターの設定が掘り下げられ、以降の魔導物語・ぷよぷよシリーズ全体の方向性やイメージを決定づけた作品と言っても過言ではないだろう。
ソフト自体がプレミア化しているだけでなく、発売された機種がPC98のみで、現在一からプレイ環境を整えること自体が困難な状況となっている。また版権複雑化で魔導シリーズ復活が絶望視されていた中の2008年にGG版魔導3作(I、II、III)が携帯アプリとして配信開始、さらにMSX版『魔導物語1-2-3』が限定復刻したこともあり本作の復刻を熱望する声も高まっている。
アルル編
「いっきまーす!」 |
年齢はこの時4歳であり、時系列的には魔導幼稚園に通い始める前(卒園試験の話である魔導1の約2年前)の話である。主人公としては他ゲームでも類を見ないほどに幼く、使える呪文も最初は魔導力を消費しない護身用魔導「ホット(熱湯を浴びせる)」と「コールド(冷水を浴びせる)」の2つのみ。本作品中では、妖精たちの助けを借りることで使える呪文が増えてゆく。
迷子の森序盤のフィールド曲は人気が高く、後に「Fiend Empire」として『わくわくぷよぷよダンジョン』にてリメイクされる。
ルルー編
「いきます!」 |
年齢はこの時16歳であり、時系列的にはアルルと出会う2年位前(魔導1と2の間)の話である。「呪文のたぐいは使えない」代わりに「総合格闘技の使い手」と紹介されており、攻撃手段の多くが掌底突きや投げ技などの格闘術となっている。これがルルーの「格闘女王」としてのイメージ誕生のきっかけとなった。また良家のお嬢様とも紹介されており、そのためかダンスも得意なようだ。
伯爵の城最初のフィールド曲は後にルルーのテーマ曲として定着する。
シェゾ編
「さぁ、いくか!」 |
年齢はこの時14歳であるが他の話との時系列の関係は不明。少なくともアルルと出会う(魔導2)より前の話である。この話でシェゾはごく普通の少年として描かれており、それまで怪しい魔導師でしかなかったシェゾのイメージを大きく変えることとなった。
鏡の迷宮のフィールド曲やエンディング曲は後に『魔導物語 はちゃめちゃ期末試験』や、シェゾが主人公である作品『魔導物語 魔導師の塔』にてリメイクされている。
OPの花はサザンクロス。花言葉は「遠い記憶」「夢を叶えて」。
その他
- 「ミノタウロスの目元の傷を付けたのはルルーである」という設定が米光氏のメモにあったらしく、それを見たうゑみぞ氏はルルー編でそのエピソードを描く予定だったがストーリーがシリアスになりすぎるとのことで没になったらしい。他にもGG版『魔導物語I』に見られるストーリーの大幅なアレンジなど、アーケード版『ぷよぷよ』の大ヒットにより、当時、魔導シリーズも路線をよりライトな方向にシフトさせつつあったことがうかがえる。
- ルルー、シェゾの綴りが、パッケージ上では「Rulue」「Schezo」となっているがゲーム中では「RURUE」「SHE-ZO」となってしまっている。
- 本作にはゲストキャラクターとして『魔導師ラルバ』からアウルベア、あらいぐまパスカル、ドナルゾドック、占いオババ、おさる、ハーゲンダック、ラルバ?の7キャラが登場している(『魔導師ラルバ』『魔導物語』は米光一成脚本であり、世界観やキーワードなどに類似点が見られる)。他にも『サムライキング メガスオンZ』からは侍、『精霊戦士スプリガン』からはスプリガンが雑魚モンスターとして登場する。
- 後にシナリオAのみ『魔導物語A ドキドキばけ~しょん』としてゲームギアに移植リメイクされた。しかしストーリーは全くの別物になっている。
- 角川スニーカー文庫から出版された山本剛 著の小説『新☆魔導物語』は本作をメインモチーフとしている。
- 『ぷよぷよフィーバー2』の主人公3人組、『ぷよぷよ7』の新キャラ3人組のイニシャルがARSとなっている。
フィーバー・・・アミティ(Amitie)、ラフィーナ(Raffine)、シグ(Sig)
ぷよ7・・・あんどうりんご(Andou Ringo)、りすくませんぱい(Mr.Risukuma)、ささきまぐろ(Sasaki Maguro)
そのため「スタッフが意識したのではないか」と一部ファンの間で言われている。
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関連コミュニティ
関連項目
- 魔導物語
- コンパイル
- アルル・ナジャ
- ルルー
- シェゾ・ウィグィィ
- 魔導師ラルバ
- ディスクステーション
- わくわくぷよぷよダンジョン ・・・主人公が本作と同じアルル、ルルー、シェゾの3人
- Fiend Empire
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