AT4とは、肩撃ち式の個人携行対装甲兵器である。米軍の制式記号はM136 AT4。
概要
設計はスウェーデンFFV、現在はサーブ・ボフォース・ダイナミクスが生産している。
口径84mmの翼安定弾を発射する使い捨て式の無反動砲である。しばしば誤解されるがロケットランチャーではなく、RPG-7のように砲弾をロケットで加速する機構も持たない、純然たる無反動砲である。コンセプトとしてはベストセラー携行型無反動砲であるカールグスタフM2を使い捨てにしたものと考えれば近いだろう。
砲弾は発射筒(砲身)に密封して装填された状態で支給され、発射後の発射筒は放棄される。反動は後方に噴射される装薬の燃焼ガスで相殺するため、後方爆風の危険域に留意しないと周囲の味方、或いは射手自身が危険にさらされる。
砲弾口径の関係上、第3世代主力戦車の正面装甲を貫通するほどの貫通力は持たないが、その他の装甲車両やソフトスキン車両などには十分な威力を持っており、歩兵に対装甲戦闘能力を与えられる装備として、米軍をはじめNATO各国で広く使われている。
なお、AT4の名称は弾頭口径(84→エイティ・フォー)とかけたダジャレであり、AT3やAT5などは存在していない。
主な弾種
- HEDP 502 (High Explosive Dual Purpose)
- 軟目標及び軽装甲車両に対応するための両用弾頭。
- HEAT (High Explosive Anti-Tank)
- モンロー/ノイマン効果を利用した対装甲弾頭。均質圧延鋼装甲(RHA)換算で420mm程度の侵徹力を持つ。
- HP (High Penetration)
- 改良型のHEAT弾。RHA換算で500~600mmの侵徹力を持つ。
- AST (Anti Structure Tandem-warheads)
- 市街地戦闘用に開発された新型弾頭。HEAT弾と榴弾を前後に配置したタンデム構造になっており、遅延信管モードでは一段目が壁を破壊して破孔を開けた後、内部に侵入した二段目が爆発して建造物内部の敵を殺傷する。着発モードでは、建造物の壁などに人が通れる大きさの穴を開けることが出来る。
性能諸元
口径:84mm、全長101.6cm
初速285m/秒 (HP型:220m/秒・AST型:205m/秒)
重量6.7kg (HP型:7.8kg・AST型:8.9kg)
運用開始:1990年代
・前任はM72LAW。1960年代。現在も一部は使われている。
そちらは口径66mmだが、同じく使い捨てでAT-4より小型軽量。(2.5kg)
AT4CS
AT4の主要な改良型の一つである。最大の改良点は後方爆風を相殺するためのカウンター・マスを搭載していることであり、これによって屋内などの閉所からでも安全な射撃を行うことが可能になった。CSとはconfined spaceの略である。
カウンター・マスとしては塩水が用いられ、発射時に後方に向けて勢いよく噴射される。真水ではないのは比重の点で塩水の方が有利であるからである。このようなカウンター・マスを用いる無反動砲はデイビス式無反動砲(対して従来型AT4はクルップ式に分類される)と呼ばれ、陸上自衛隊も採用しているパンツァーファウスト3などでもこの形式がとられている。
関連動画
関連項目
- M72LAW - 前任(一部は現役)
- 兵器 / 対戦車兵器
- 無反動砲 / ロケットランチャー
- カールグスタフ
- スウェーデン
- ホマンドー
- HEAT弾(成形炸薬弾)
- 携行ロケットランチャー・無反動砲等の一覧
- 軍事 / 軍事関連項目一覧
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