アルバロ・デ・バサン級フリゲートとは、スペイン海軍が運用するフリゲートの艦級である。
スペイン海軍の艦隊防空の要として配備されたイージス艦であり後述の経緯からそれまでのイージス艦とは異なる外観をしているのが最大の特徴。
スペイン海軍では6隻配備の予定が5隻に減らされたが2025年時点でノルウェーで4隻、オーストラリアで3隻の派生型が運用されている。
スペイン海軍では1967年に軍事協力の一環としてアメリカ合衆国からモスボールされていた軽空母『カボット』を導入し『デタロ』と改名したうえで当初は対潜水艦用のヘリ空母として運用していたが1972年に改装を行った上でハリアー戦闘機の運用能力を備えた現代式の軽空母となった。これ以降1989年に新造軽空母『プリンシペ・デ・アストゥリアス』を『デタロ』に代わって配備、そして2010年にはファン・カルロス1世級強襲揚陸艦が配備され小規模ながら艦隊航空戦力の維持を続けている。
しかし、これら3隻は個艦兵装に乏しく(機関砲程度)、有力な護衛艦艇が不可欠であった。この需要に応えるべく、スペイン海軍は1974年からアメリカから支援を受けバレアレス級フリゲート[1]5隻を配備したのを皮切りに1986年からはサンタ・マリア級フリゲート[2]6隻を配備した。
だが、これらは所謂『ターター・システム艦』で改修をしてもミサイルや航空機による飽和攻撃に耐えきれず突破される懸念があったため、1990年代に新型艦対空ミサイル艦の導入が進められた。
当初、同じく新型艦を欲していたドイツ、オランダとの3国連合によるTFC計画での開発を実施する予定だったが、導入予定だった新型戦闘指揮システム『NAAWS』のコスト、能力に疑問符をつけたスペインは計画を離脱し、最終的に技術実績が長く、当初よりコストも比較的安くなったイージスシステムの導入を決定したのであった。
全長147m、満載排水量6000t級の本級最大の特徴はその艦橋上にある構造物である。この構造物にはイージス艦の象徴であるSPY-1レーダーを初めとする各種アンテナやマスト、第一煙突も組み込まれたもので欧州各国で見かける長船楼型のフリゲートとは一線を画している。
更に艦対空ミサイルの誘導管制に使うSPG-62レーダーを前後1基づつ=2基とし、推進方式はガスタービン+ディーゼルを組み合わせたCODOG方式と、それまでの米日イージス艦とは一線を画すものとなった。
この様な事になったのは安くなったとはいえ、まだ水上戦闘艦の中でも高価であるイージス艦の建造コストを浮かすための処置である。一方で前述の構造物が重心を高くしていて荒天時に転覆しやすいのではないか、という意見もある。
武装面でもコスト削減の措置が取られ、対空ミサイルはSM-2とESSMの2種を装備する一方、Mk.41VLSは艦首側の48セルのみとなる。
対潜面ではアスロック等の対潜ミサイルは装備しない代わり、Mk.32短魚雷発射管(船体固定連装型)を両舷に2基に加え、艦載ヘリ1機を搭載する能力を持ち、後述の派生型に受け継がれているが本級では更に対魚雷防御も想定した対潜迫撃砲も2基搭載している。
また、CIWSとしてスペイン国産のメロカを2基搭載する計画だが現時点では搭載せず、対水上用の25㎜、20㎜機関砲を各2基搭載するのみに留まる。
対水上用としては艦中央部に4連装ハープーン発射機2基に加え、アメリカ製5インチ砲1門を艦首に搭載しているがこの砲は新造品ではなくアメリカのタラワ級強襲揚陸艦の改装で余剰になったものを小改修したものである。
なお、対地攻撃用にトマホーク巡航ミサイルの運用プログラムを組み込んでいるが実弾搭載には至ってない。
2017年から運用が始まったオーストラリア仕様で基本構成はアルバロ・デ・バサン級と変わらないが以下の相違がある。
2006年から運用が始まったノルウェー仕様。但し、ノルウェーの防衛事情に合わせて以下のようになっている。
と書いていくと別にイージス艦でなくても良いのではないか、無理やり詰め込んだのでは、と思う人もいるだろうが実は本級は完成体ではなく、以下の武装を計画している。
本来は5隻が運用されていたが2018年11月に4番艦『ヘルゲ・イングスタッド』が大型タンカーと衝突事故を起こし、右舷を大破して8名の軽傷者を出した後、浅瀬への座礁措置も及ばず沈没・全損となった。
掲示板
1 ななしのよっしん
2019/08/20(火) 23:56:35 ID: VuN++L68qw
VLS48セルはイージス艦にしては少ないが、それでも日本のあきづき型よりは多いし、排水量もそれほど変わらんし、他国の基準なら駆逐艦だよなぁ
2 ななしのよっしん
2021/05/26(水) 20:18:53 ID: /8Xrrmi2di
日本海航行したらセウォル号状態待ったなし。
チャイナイージスもその関係で構造物を高く取れなかったみたいだし。
速力が妥協されてるのも地味に辛い。
3 ななしのよっしん
2022/06/16(木) 08:34:11 ID: toHK8LjOVn
フリチョフ・ナンセン級、スタンダードミサイルの運用能力こそイージス武器システムの最大の売りだと思うんだが、スタンダードミサイルを積まない個艦防空良くて僚艦防空程度の能力に限定するのにイージスシステムって必要なのか……?
というかほぼノルウェー版もがみ型って感じだな(もがみ型がこの辺のフリゲートをパクった説はあるけど)
規模的にも兵装的にも非常に似てる。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/08(月) 12:00
最終更新:2025/12/08(月) 11:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。