フィル・フォーデン(Philip Walter Foden, 2000年5月28日 - )とは、イングランド出身のサッカー選手である。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティFC所属。サッカーイングランド代表。
ポジションはMF(トップ下、インサイドハーフ、サイドハーフ)、FW(ウイング、偽の9番)。171cm70kg。利き足は左足。
イングランドのストックポート出身。8歳の頃からマンチェスター・シティに所属しており、少年時代から神童と呼ばれた超エリート。異例のスピードで昇格を重ね、2017年に17歳でトップチームにデビュー。2016年のFIFA U-17ワールドカップでは圧倒的なポテンシャルを発揮し、イングランドを初優勝を導くと共に大会のゴールデンボール賞を受賞。次世代のスター候補として注目されるようになる。
「アカデミーの最高傑作」「マンチェスター・シティの至宝」「ストックポートのイニエスタ」と言われ、繊細なテクニック、卓越したゲームビジョン、大胆なアイディアとオフェンスに関する能力を極めて高いレベルで持ち合わせ、プレーメーカーでありながらも得点力も高い万能型のアタッカー。
マンチェスター・シティでもその才能に惚れ込んだジョゼップ・グアルディオラ監督によって大切に育てられ、世界中のスター選手が名を連ねるタレント軍団の中で順調にキャリアを重ねていく。UEFAチャンピオンズリーグではクラブ史上最年少ゴールスコアラーであり、2021年と2022年には、プレミアリーグの年間最優秀若手選手とPFA年間最優秀若手選手に選ばれている。
2000年5月28日、イングランドのマンチェスター郊外のストックポートで生まれる。母親が筋金入りのマンチェスター・シティのファンであり、自身も物ごころついたときにはシティのファンとなり、週末にはスタジアムへと足を運んでいた。街自体がフットボールと密接な土地柄という環境もあり、5歳のときには友人とストリートでフットボールをプレーしていた。
8歳になるとトライアルに無事合格し、憧れのマンチェスター・シティの下部組織に所属。この頃からシティはUAEの企業による投資によって金満クラブへと変貌しており、アカデミーには最先端の練習施設が整い、世界中から才能のある子供たちが集まっていた。ジェイドン・サンチョやブラヒム・ディアス、コール・パルマーも在籍していた恵まれた環境と厳しい競争の中ですぐに頭角を現すようになる。
最初はU-9のカテゴリーでプレーし、その後異例のスピードで上のカテゴリーへとステップアップしていき、順調に育っていく。同年代の子供よりも体格は華奢で不安を感じていた時期もあったが、それを補ってあまりある卓越した技術によって各世代のイングランド代表でもエースとして活躍し、次世代のワンダーボーイとして大きな期待を集めるようになる。アカデミーの最高傑作とも言われるようになった神童のことはトップチームのジョゼップ・グアルディオラ監督も注目していた。
2017年7月トップチームのアメリカ遠征に帯同すると、そのプレーぶりをみたグアルディオラ監督が才能に惚れ込み、「ダイヤモンド」と評する。11月22日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第5節のフェイエノールト戦でトップチームでの公式戦デビューを果たす。12月17日のトッテナム戦では後半38分から出場し、本拠地エティハドでプレミアリーグ・デビューを果たす。フォーデンを大事に育てたいというグアルディオラ監督の方針によって少しずつ出場機会を与えられ、2017-2018シーズンは公式戦10試合に出場。
2018-2019シーズンからは本格的にトップチームを主戦場にするようになる。2018年9月25日、EFLカップ3回戦オックスフォード戦ではトップチームでの公式戦初ゴールを決めている。ダビド・シルバ、ケビン・デ・ブライネらスター選手が名を連ねるチームの攻撃陣ではなかなか出場機会を得られず、途中出場がほとんどであったが、それでもCLで2ゴールを記録するなど少ない出番の中で才能の片鱗を見せていく。2019年4月21日のトッテナム戦ではプレミアリーグ初ゴールを記録。
2019-2020シーズンのオフ期間には、他チームへのレンタル移籍で出場機会を増やす話も持ち上がったが、自身の手元に置いて育てたいグアルディオラ監督の方針もあって引き続きポジション争いの厳しいシティに身を置いている。シーズン前半戦はなかなか出場機会に恵まれなかったが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う中断期間明けにチャンスを得ると、再開後の3試合で4ゴール1アシストと結果を残し、第32節では首位のリヴァプールを相手に1ゴール1アシストの活躍によって勝利に貢献。いよいよトップレベルでの戦いでもその才能が開花するようになった。
2020-2021シーズンは長年チームの象徴的な選手だったダビド・シルバが退団したこともあり、これまで以上に期待を受けることとなる。相変わらずワールドクラスのタレントがひしめく厳しいポジション争いが待っていたが、グアルディオラ監督の信頼を勝ち取りレギュラーを獲得すると、中盤のみならずWGや偽の9番でもプレーし、どのポジションでも期待に応え、才能を発揮。これまで苦手とされていた守備面でも成長が見られるようになる。2021年2月7日プレミアリーグ第23節リヴァプール戦では、カットインからDF3人の間を抜く圧巻の弾丸シュートを決める。4月14日のCL準々決勝2nd legドルトムント戦では、チームを準決勝へと導く決勝ゴールを決めている。CLの決勝トーナメントに入ってからは全ての試合で終盤までプレーしており、いかにシティにとって重要な選手になったかを物語っている。5月19日のプレミアリーグ第37節ブライトン戦では、ドリブル突破からインサイドキックで丁寧にコントロールした圧巻のスーパーゴールを決め、世界中の度肝を抜いている。公式戦49試合16ゴール10アシストと大きく飛躍し、シティのプレミアリーグ優勝に貢献。この活躍が評価され、PFA年間最優秀若手選手賞、プレミアリーグ最優秀若手選手賞を受賞している。
2021-2022シーズンは開幕から出遅れるが、2021年10月3日のプレミアリーグ第7節リヴァプール戦では1ゴール1アシストの活躍でアンフィールドでの勝ち点1獲得に貢献する。12月14日の第17節リーズ戦で先制ゴールを決め、7-0の大勝に貢献するが、試合後にジャック・グリーリッシュと共にクラブで夜遊びしていたことが発覚。グアルディオラ監督から苦言を呈され、ペナルティとして次戦では起用されなかった。年明けから調子を上げていき、2022年4月6日CL準々決勝アトレティコ・マドリードとの準々決勝では途中出場で流れを引き寄せ、相手5人を引き付けてのラストパスでデ・ブライネの決勝ゴールをアシスト。2シーズン連独で公式戦二桁得点二桁アシストを記録し、プレミアリーグ連覇に貢献。2年連続でPFA年間最優秀若手選手賞とプレミアリーグ最優秀若手選手賞を受賞。
2022-2023シーズンは開幕から主に右ウイングのファーストチョイスとしてプレー。2022年10月2日のマンチェスター・ユナイテッドとのマンチェスター・ダービーにおいてプレミアリーグでは初のハットトリックを達成。ちなみにこの試合ではアーリング・ハーランドもハットトリックを果たしている。しかし2023年に入ると1月に負傷で戦線を離脱。一度は戦線に復帰したが、3月には急性虫垂炎によって手術を受け、再び離脱。欠場中にチームが好調だったことによって復帰後もスタメンを外れることが多くなっていた。5月3日のウェストハム戦で自身初のリーグ二桁得点に到達し、チームは三冠獲得を成し遂げたが、不完全燃焼なシーズンとなった。
2023-2024シーズンは、デ・ブライネの長期離脱もあって中盤で起用される機会も増える。2023年12月16日のFIFAクラブワールドカップ決勝のフルミネンセ戦でゴールを決め、タイトル獲得に貢献。2024年2月5日、プレミアリーグ第23節ブレントフォード戦では自身二度目となるハットトリックを達成し、チームに勝利をもたらしている。デ・ブライネ復帰後は右ウイングでの起用が中心となるが、変わらずハイレベルなプレーを披露し、すでに前年を上回るチャンスクリエイト数を記録。3月3日の第27節マンチェスター・ユナイテッド戦では圧巻の2ゴールで勝利をもたらし、マンチェスター・ダービーの主役となる。4月3日の第31節アストン・ヴィラ戦ではシーズン2度目となるハットトリックを記録。
早くからイングランドの至宝として注目され、2015年のイングランドU-16代表に選出されたのを皮切りに各年代のイングランド代表の主力として活躍している。
2016年のイングランドU-17代表は、ジェイドン・サンチョ、カラム・ハドソン=オドイ、エミール・スミス・ロウといった逸材が揃った黄金世代と呼ばれていたが、その中で背番号10を背負い、チームのエースとしての重責を担っていた。2017年10月に開催された2017 FIFA U-17ワールドカップに出場し、高いポテンシャルを見せつける。決勝のスペイン戦では2ゴールを挙げ、5-2の大勝に貢献し、イングランドを初優勝に導く。さらに大会のMVPに該当するゴールデンボール賞も受賞し、国内のみならず海外からも次世代のスター候補として注目を浴びる。
2018年からは飛び級としてU-21代表でプレー。UEFA U-21欧州選手権には2019年大会に出場。2019年大会では、初戦のフランス戦でゴールを決めたもののグループステージで敗れている。
2020年8月にイングランド代表に初めて招集され、8月6日のアイスランドとの親善試合でフル代表デビューを果たしている。ところが、試合後の夜にコロナ対策のための厳戒態勢が敷かれているにも関わらず、メイソン・グリーンウッドと共にホテルに女性を連れ込んだことが発覚。規律違反を犯したとして代表からの追放処分を受け、所属するマンチェスター・シティからも厳しい声明により非難されている。
その後、ガレス・サウスゲート監督に謝罪し、若気の至りとして許されたことで11月に代表へ復帰。11月18日、UEFAネーションズリーグのアイスランド戦では代表初ゴールを含む2ゴールの活躍によってイングランドの勝利に貢献している。
2021年6月に開催されたEURO2020では、ポール・ガスコインを真似た金髪にイメチェンするが、最初の2試合にスタメンで起用されるが精彩を欠き、第3戦のチェコ戦以降はスタメンから外れ、準決勝のデンマーク戦に延長前半5分から出場したのみの出場となった。決勝のイタリア戦は怪我のために欠場となる。
2022 FIFAワールドカップ・カタール大会のメンバーにも選出され、初戦のイラン戦に途中出場しワールドカップデビューを果たす。初スタメンとなった第3戦のウェールズ戦で大会初ゴールを記録している。決勝トーナメントに入ってからは家庭の事情で離脱したラヒム・スターリングに代わってスタメンで起用されるが、大きな活躍はできず、ベスト8でチームは敗退。
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2016-17 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 0 | 0 | |
2017-18 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 5 | 0 | |
2018-19 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 13 | 1 | |
2019-20 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 23 | 5 | |
2020-21 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 28 | 9 | |
2021-22 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 28 | 9 | |
2022-23 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 32 | 11 | |
2023-24 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ |
リオネル・メッシ、シャビ、アンドレス・イニエスタといった数多の逸材を見てきたペップ・グアルディオラが「私が選手と監督のキャリアを通じて見てきたなかで、まぎれもなく才能を持った選手だ」と称賛するなど、寵愛を受けているほどの才能の持ち主である。
フィジカルはさほど高くないものの、身体が非常にしなやかであり、走り方やドリブルの姿勢が非常に美しい。そのため、細身であっても接触プレーによって簡単に倒れず、相手の力をうまく利用することができる。このしなかさなドリブルによって勢いのある突破ができる。ストライドが大きく、ボールを体の中央に必ず置くためDFは次の進行方向が読みづらく、迂闊に飛び込むことができない。スピードは無いが、推進力が非常に高いため、本職である中央のみならずワイドで起用されても才能を発揮できる。ドリブルの姿勢が綺麗ため、常に立った状態でプレーでき、首を振りながら周りの情報を取り入れ、ドリブルをしながら次のプレー選択を準備できている。
テクニックやアジリティが高いため、狭いスペースで相手に寄せられたとしても無理やり前を向くことができる。これはイニエスタやダビド・シルバと共通した才能であり、ライン間などで相手のプレッシャーを掻い潜ることができる。体の使い方もうまいため、相手のプレッシャーを受けても懐に入らないようにさせることができ、ボールロストが非常に少ない。
視野も広く、全体の動きを瞬時に見渡せているため、スペースに最高のタイミングで質の高いパスを送ることもできる。キックのフォームも体の姿勢が真っすぐを保てるためボールが綺麗に浮いて、行きたい方向へボールを送ることができる。ミートさせるときは右手を開くことで反動をつけ、インパクトの瞬間にミートを強めている。このフォームはデイヴィッド・ベッカムを逆にしたようなものである。シュートの時にもこの特徴が生きており、強烈なシュートが得意な理由でもある。
フィジカルコンタクトが要求される守備は得意ではないが、前線からのプレッシング時には相手のパーソナルスペースにうまく入っていけるため、相手の次のプレーを制限でき、周りの選手がプレスに行きやすい状況を作ることができる。
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最終更新:2024/05/11(土) 17:00
最終更新:2024/05/11(土) 17:00
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