フリアン・アルバレス(Julián Álvarez, 2000年1月31日 - )とは、アルゼンチン出身のサッカー選手である。
スペイン ラ・リーガのアトレティコ・マドリード所属。サッカーアルゼンチン代表。
ポジションはFW、MF。170cm71kg。利き足は右足。愛称は「ラ・アラーニャ(蜘蛛)」。
2000年にコルドバ州カルチンで生まれる。人口2000人にも満たない小さな村で、兄弟や友達と集まっては小さなピッチでサッカーを楽しむ幼少期を過ごしていた。4歳にも満たない頃、兄が『見てみろ、エル・アラニータ(小さなクモ)だ』と言ったことで現在でも定着している愛称がついた。
そんなサッカー少年はたくさんのゴールを決め、幼少期からすでにアルゼンチン国内で注目されるようになる。11歳の時にはボカ・ジュニアーズとリーベル・プレートというアルゼンチンが誇る二大クラブの入団テストに合格したが、スペインへと渡り、名門レアル・マドリードのセレクションを受ける。トーナメントの優勝に貢献したことでクラブも入団の意向を固めたが、13歳未満の選手とは契約できないというルールや、家族全員がスペインへ移住せざるを得なかったことから、アルゼンチンに戻る決心をする。
その後はアルゼンチン国内でのプレーを続け、2014年からは地元クラブのアトレティコ・カルチンでプレーする。それでもこの小さな村のダイヤの原石に様々なクラブがアプローチを続けていた。あのリオネル・メッシの父親であるホルヘ・メッシからFCバルセロナへの入団するように薦められたという逸話もある。
16歳となった2016年にCAリーベル・プレートの下部組織に入団。リーベルとしては4年越しに逸材ストライカーを手にすることになった。クラブの一員としてジェネレーション・アディダス・カップに出場したり、年代別のアルゼンチン代表に選ばれるなど順調に成長を重ねていった。
2018年、18歳で満を持してCAリーベル・プレートのトップチームに昇格。10月27日のCAアルドシビ戦でプロデビューを果たす。11月1日にはクラブにとっての永遠のライバルであるボカ・ジュニアーズとのコパ・リベルタドーレス2018の決勝に後半から出場。プロデビューからわずか4日後に南米王者となる瞬間を経験する。その1か月にはUAEで開催されたFIFAクラブワールドカップ2018に出場。12月22日の3位決定戦では鹿島アントラーズを相手にゴンサロ・マルティネスのゴールをアシストする。2019年3月17日のCAインデペンディエンテ戦でプロ初ゴールを記録。プロ1年目の2018-19シーズンはコパ・アルヘンティーナ優勝も経験。アルバレスの才能に対し、マルセロ・ガジャルド監督も「一流」と評すのだった。
2019-20シーズンはプリメーラ・ディビジオンでは7試合0得点に終わったが、2019年12月のコパ・アルヘンティーノ決勝ではゴールを決め、チームのタイトル獲得に貢献。コパ・リベルタドーレス2020では、グループステージの6試合で5ゴールという大暴れを見せる。
2021年シーズンのプリメーラ・ディビシオンでは才能が完全に覚醒。フィジカル的にも大きく成長を遂げ、リーグ戦でコンスタントにゴールを量産。コパ・リベルタドーレス2021では11試合で5ゴールを決めれば、プリメーラ・ディビシオンでは35試合2ゴールを記録し、エースとしてリーベル・プレートを7年ぶり21回目のリーグ優勝に導く。さらにプリメイラ・ディビシオンの得点を獲得し、21歳にして2021年の南米最優秀選手賞を受賞。いよいよ欧州のビッグクラブからも熱視線を浴びるようになっていた。
22歳の誕生日でもある2022年1月31日、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティFCと5年契約を締結したことが発表される。7月までの半年間はレンタルという形でリーベルに残ることになる。リーベルでの最後のシーズンはリーグ戦17試合で11ゴールを記録し、5月26日のコパ・リベルタドーレス2022グループステージ第6節アリアンサ・リマ戦では1試合6ゴールのダブルハットトリックというとんでもない置き土産を残す。
2022-23シーズンより、いよいよマンチェスター・シティでプレーすることになる。公式戦デビューとなった2022年7月30日のFAコミュニティシールドのリヴァプールFC戦では早速移籍後初ゴールを決める。新天地での初スタメンとなった第5節ノッティンガム・フォレスト戦では、プレミアリーグ初ゴールを含めた2ゴールを記録する。移籍1年目は同時期に加入した怪物アーリング・ハーランドの控えという立場ではあったが、少ない出場機会で高い決定力を見せる。2023年5月17日のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝レアル・マドリードとの2ndレグでは決勝ゴールを決める。4日後の第37節チェルシーFC戦でも決勝ゴールを決め、シティのプレミアリーグ優勝を決定させる。この年はシティ初のシーズン三冠(トレブル)を経験。史上初めて同じシーズンにワールドカップ優勝とトレブルを両方達成した選手となる。公式戦では51試合17得点を記録し、ハーランドの化け物じみた活躍に隠れがちだが、存在感を見せた。
2023-24シーズンは負傷によって長期離脱となったケヴィン・デ・ブライネに代わって二列目のレギュラーとして起用されるようになる。開幕2試合で1ゴール1アシストを記録すると、その後もコンスタントにゴール、アシストを記録。ジョゼップ・グアルディオラ監督の期待に応え、万能型アタッカーへと進化を遂げる。プレミアリーグでは18試合連続でスタメンで出場。CLでもグループステージ5試合で4ゴールを決めている。デ・ブライネが戦列に復帰した後半戦はベンチに座ることも増えたが、それでも少ない出場時間で決定力の高さを見せる。プレミアリーグ第36節ウルヴァー・ハンプトン戦、第37節フラム戦ではいずれも出場時間8分ながらも2試合連続でゴールを決める。リーグ戦での得点数が初めて二桁に到達、公式戦53試合で19ゴール13アシストと二桁得点二桁アシストを達成。チームからは必要な戦力とされたが、大事な試合でスタメンで起用されない状況に不満を抱き、移籍を希望するようになる。
2024年8月12日、スペイン ラ・リーガのアトレティコ・マドリードに6年契約で完全移籍することが発表される。加入から5試合目となった9月15日のバレンシアCF戦で試合終了間際にラ・リーガでの初ゴールを決める。当初はチームへの適応に苦しみ、期待外れと揶揄されたが、次第にディエゴ・シメオネ監督のチームにフィットするようになると、FWのファーストチョイスとなっていく。2025年1月21日、CLリーグフェーズ第7節バイヤー・レヴァークーゼン戦では前半で10人になったチームに勝利をもたらす2ゴールを決める。3月1日、ラ・リーガ第26節アスレティック・ビルバオ戦で決勝ゴールを決め、リーグ戦二桁得点、公式戦20ゴール超えを達成する。4月6日、第30節敵地でのセビージャFC戦では1ゴール1アシストの活躍で劇的な逆転勝利を演出。続く第31節ラージョ・バジェカーノ戦では2ゴール2アシストを記録。移籍1年目にしてFWの柱となり、公式戦54試合29ゴール7アシストを記録。
2025-26シーズンは開幕直後こそ調子が上がらなかったが、2025年9月24日のラ・リーガ第6節ラージョ・バジェカーノ戦でハットトリックを達成。続く9月27日、レアル・マドリードとのマドリード・ダービーでは2ゴールを決め、5-2での大勝に貢献。
2018年にU-20アルゼンチン代表に選出。11月には2018 FIFAワールドカップに出場するフル代表の練習試合にU-20代表として招待され、憧れのリオネル・メッシとの初対面を果たす。12月にチリで開催された2019 南米ユース選手権に出場し、9試合1ゴールで準優勝となる。
2019年5月にはポーランドで開催された2019 FIFA U-20ワールドカップに出場。初戦の南アフリカ戦でゴールを決めるが、チームはラウンド16のマリ戦でPK戦の末に敗れている。
大会から4か月の9月にはU-23代表に選出。2020年1月には東京オリンピック南米予選に出場し、1次ラウンド第3戦のベネズエラ戦でゴールを決める。7試合で1得点を記録し、1位で東京オリンピック出場権を獲得している。しかし、その後フル代表に招集され、コパ・アメリカ2021に出場していたことから東京オリンピックのメンバーには出場しなかった。
2021年6月、アルゼンチン代表に初選出。6月3日の2022 FIFAワールドカップ南米予選のチリ戦でアンヘル・ディ・マリアに代わって後半から出場し、21歳でフル代表デビューを果たす。その直後に開催されたコパ・アメリカ2021のメンバーにも選出されるが、1試合のみの出場に終わる。
2022年3月29日の2022 FIFAワールドカップ南米予選第18節難所であるアウェイのエクアドル戦でスタメンで出場し、代表初ゴールとなる先制ゴールを決める。さらには9月22日のジャマイカとの親善試合で代表2ゴール目をマーク。これらの活躍もあってワールドカップ本大会の登録26人のメンバー入りを果たす。
2022年11月から開催された2022 FIFAワールドカップ カタール大会では、開幕当初は控えのFWという立場だったが、レギュラーのラウタロ・マルティネスが不調だったこともあって第3戦のポーランド戦でスタメンに抜擢。すると、後半23分にワールドカップ初ゴールを決める。この活躍によって決勝トーナメントに入ってからメッシの相棒として完全にレギュラーを獲得。ラウンド16のオーストラリア戦では2試合連続となるゴールで勝負を決める。準決勝のクロアチア戦では前半に自陣から約50メートルの距離をドリブルで独走してからのゴールを決めれば、後半にはメッシのクロスを冷静に流し込み、試合を決する3点目をマーク。1試合2ゴールの大活躍でアルゼンチンの決勝進出に貢献。決勝のフランス戦でも102分までを戦い抜き、アルゼンチンのワールドカップ優勝の立役者となる。この大会で世界中にフリアン・アルバレスの名を轟かせるのだった。
2024年6月にアメリカで開催されたコパ・アメリカ2024では、開幕戦のカナダ戦で大会のファーストゴールを決める。グループステージ最終戦と準々決勝はスタメンを外れたものの、準決勝のカナダ戦からはメッシの相棒の座に復帰し、先制ゴールを決めて2大会連続の決勝進出に貢献。ゴールを量産したラウタロ・マルティネスの活躍の影に隠れた感はあるものの、精力的な動きとメッシのサポート役でアルゼンチンのコパ・アメリカ連覇に貢献。
コパ・アメリカ決勝からわずか10日後には、パリオリンピックに出場するU-23アルゼンチン代表にオーバーエイジとして参加。4試合全てにフル出場したものの、最後までゴールを奪うことができないままチームは準々決勝でフランスに敗れ、敗退。エースとして期待された仕事を果たせなかった。
| シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018-19 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 5 | 1 | |
| 2019-20 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 7 | 0 | |
| 2020-21 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 10 | 2 | |
| 2021 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 35 | 20 | |
| 2022 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 17 | 11 | |
| 2022-23 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 31 | 9 | |
| 2023-24 | マンチェスター・シティ | プレミアリーグ | 36 | 11 | |
| 2024-25 | アトレティコ・マドリード | ラ・リーガ | 37 | 17 | |
| 2025-26 | アトレティコ・マドリード | ラ・リーガ |
前線であればどこでもプレーできる万能型のアタッカーで、マンチェスター・シティ移籍後は二列目でもプレーするようになったが、見事に適用している。体格から同じアルゼンチン出身のセルヒオ・アグエロになぞらえることもあるが、アグエロのようなストライカーというよりは様々な役割をこなすタイプである。
なんといってもオフ・ザ・ボールの動きのうまさが最大の特徴であり、ピッチに神出鬼没に顔を出し、ポジショニングセンスが抜群のためどのポジションでプレーしても相手DFが嫌な立ち位置を取れる。また、裏へ抜け出す際もきっちりDFの視野の外のコースを取って抜け出すことができ、裏を取ってからのニアにシュートを放つのがもっとも得意なゴールパターンである。
素早いパスとワンタッチサッカーをプレーするテクニックとビジョンを備えており、前線と中盤を繋ぐリンクマンとしての素質も高い。味方にスペースを与えるための術も心得ており、アルバレスのスタイルはドイツのトーマス・ミュラーに近いと言われている。
それでいて、南米の選手が得意とする狭いスペースでのテクニックも持ち合わせており、小柄ながらもフィジカルが強く、粗暴な南米の守備を相手にしても機動力を発揮できる。
運動量も豊富で常に動き回ることができ、守備での貢献度も高い。最前線からプレスをかけることで守備陣を助ける働きをし、アルゼンチン代表ではメッシの運動量の少なさもカバーしている。
大きな弱点は無い選手だが、強いてあげるなら高さがないためヘディング勝負になると分が悪いこと。
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最終更新:2025/12/10(水) 11:00
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