上里翔流(かみさと かける)とは、ライトノベル『新約とある魔術の禁書目録』に登場する、どこにでもいるような平凡な少年である。あと新約17巻の真ヒロインである。
初登場は新約13巻。
数日前まで学園都市外のとある高校に通っていた高校生。
平凡どころか貧相だと自ら認めるぐらいの特に鍛えられているわけでもない体格。
口癖は「好きでこんなことをやっているわけじゃないよ」。
無趣味で無個性なことを悩んで首の関節を鳴らす癖をつけてみようとしたが、なかなか鳴らない。
不良系の幼馴染がいたが少し前まで疎遠になり、再接近は果たしたが中々上手く会話できない。
クラスの園芸部員にちょっと憧れているが遠目で眺めるだけで満足できる程度だった。しかし向こうのちょっとムッツリスケベな内面を知ってしまい少々辟易している。
…という、本当にどこにでもいるような平凡な少年である。後半二行嘘をつけ。
――上条当麻の『幻想殺し』に匹敵するだけの特異な右手「理想送り(ワールドリジェクター)」を持ち、
100人規模の女の子で構成される『上里勢力』を引き連れていること以外は。
新約13巻ラストで魔神「娘々」を『新天地』に追放し、また裏では他の魔神達を新天地に追放していた。
彼自身、自分の運命を歪めた魔神をかなり憎んでいる様子。
アレイスター=クロウリーと木原脳幹は上里の事を知らなかった。
一方、ローラ=スチュアートだけは上里の事を知っており、クロウリーにとっての「イレギュラー」として上里を学園都市に誘導した(その意図は彼女の「正体」に隠されていた)。
2021年4月18日:スマートフォンゲームアプリ「とある魔術の禁書目録 幻想収束(イマジナリーフェスト)」で新役13巻ベースのイベントである「とある魔神の都市襲来」のイベントに登場した。
初登場時から強調されている皮肉めいた言葉である。世界をいとも容易く壊す『魔神』の天敵と呼べる力を秘めた少年に対しては、不適切と言える。
なお、これに関しては本当に皮肉であったことが後に判明している。
願い・夢・可能性を集積した右手。幻想殺しと同質、そして対極と呼べる力。
理想郷を願ったものを『新天地』へ追放する力とされている。
効果の対象は「願望の重複」…わかりやすく言えば「軸がブレてる者」がこの右腕の対象となる。
だって、願っただろう?
絶対に叶わないと分かっていても、それでも願ってしまっただろう、『魔神』ども。
宇宙の果ても重なる位相も調べ尽くして、もう新しいものなんかないと分かってしまって。けれどもしもそんな事ができるのならば、煩わしい俗世の全てを捨て去って────誰も知らない新天地で羽を伸ばしてみたい、って
上条たちの「世界」は時間や空間のように伸縮するが、一方で容量に無駄が多く、人間が認識できる枠以外にも空きスペース(余剰領域)が生じている。
フィルムのコマ割りで説明されているが、本来あるべき60コマのフィルムを10コマしか使用してない状態らしい。その余剰領域の中を「新天地」と称し、そこに対象を送っているわけである。
だが、人が認識できない時系列に飛ばすということは「今ある世界から存在を消し去る」事と同義なので、そういった意味で実は幻想殺しの消去と大差ないのかもしれない。
「新たな天地を望むか」という言葉が発動トリガーとなっている。…って作中で言われてたのに無言でやったシーンも結構あるのでなんとも言えない。
また、幻想殺しと異なり右手ではなく右手の影がその効果範囲である。
効果対象は人だけでなく該当人物の所有物にも及び、アレイスター=クロウリーの場合は対魔術式駆動鎧やロケットブースターまで新天地に送られている。
新約13巻ではネフテュスの位相を握り潰したり、上里が右手を開閉すると理想送りで新天地へ追放された魔神ヌアダの銀の腕がいきなり現れた事がある(後者は単なるブラフだったようだが)。
常時発動中の幻想殺しとは違い、ある程度は使用者の意志で制御が可能なようだが、日常生活や社会活動で役立つような特性は今のところ余りみられない。精々自衛や瓦礫・土砂の撤去等に使える程度か。
ネフテュスの仮説を要約すると
「上条当麻がオティヌスの理解者となった事で、焦った魔神が無意識に願って生まれた力」。
魔術サイドの99.9%を魔神が占めるのだから、その理想が反映されるらしい。なんて迷惑な神様だ
魔術師は「願いを叶えるため」に魔術の力を行使する。
しかし、魔術を究め神様にまで到達した魔神は「既に願いを叶えてしまった存在」であるからこそ次なる新天地に理想を抱くという。これは生理的欲求に近い。
例えるなら右手は「甘い香り・粘液(願い・希望・夢)を分泌する食肉植物」と言える物であり、対象は希望を集積した右手の誘惑に駆られた末に新天地へと追放される。上里は“喰う”と表現している。
対象に恐怖や痛みは無く、希望で支配される。漫画『北斗の拳』に登場するトキが得意とした「北斗有情拳」の快楽を希望に置き換えてみてほしい。大体あってる。
あと幻想殺しと実際にぶつかるとなると、こっちの方が強いらしい。
「ふ、ふふ。やっと終われる、これで解放される……。わたし、わたしい!! ネフテュス、すごいよこれえ!わたし、ああ、わたしは、このすんごい安心を待っていたあ!!あはははは!!」
魔神にとって、ただ「存在」できる新天地はそれだけで理想郷だった。上里は殆どの魔神からかなり嫌われていたが、魔神も新天地自体は気に入っている様子。
アレイスター=クロウリーや魔神は、幻想殺しではなく上条当麻こそが「事象の中心」だと述べていたが、やはりそれに匹敵するような何かが上里にもあるらしい。
「幻想殺し」「神浄」「右手」は、クロウリー論つまりテレマ教
でいう「オシリスの時代(アイオーン)」では説明しきれないものらしい(「ホルスの時代
」の概念が関係すると推測できるが、理想送りや上里にも当てはまるかは不明)。
だけど、暮亞が植物に近かったり、琉華がブードゥーと海賊を結びつけてレグバ=アディボンとやらの魔術を使えるようになったりしたのはやっぱりおかしいと思う。何かがねじれている。そっちについては、右手の影響も少なからずあったんじゃないかなって
だとすれば、きみの周辺でも同じような歪みは存在するのかもしれない
でも一方で、きみの周りにあるものはきみの常識で説明できるもののはずだ。つまり、ぼくとは違って周りの人達に伝染していくような歪みじゃないんだ
上里もこの特異性には勘付いており、新約17巻上里編ラストの上条との会話でこう述べていた。
※一応補足しておくと、きみ=上条。
別名……というか実態「上里ハーレム」とでもいうべき集団。その数はなんと約100名。
空から降ってくるお隣在住再会系幼馴染み現不良縦セタおっぱいベルト巨乳強調狐耳狐尻尾家庭的魔法少女(ばんそうこうガード)、はんなり系京都弁ぶかぶか引きこもりピザ好き白衣科学者、植物ツインテールムッツリスケベ純白薄着エプロン脇出しバイオ系元園芸部員眼鏡っ娘。
…など、青髪ピアスが歓喜しそうな個性あふれる者が揃っている。
出番に恵まれたのは年齢詐称自在な空回り系海賊少女、自作サイボーグ義妹、毒舌系UFOうさぎ少女あたりだが、この他にも幽霊だの獣だの色々と濃いキャラ属性を有する面々である。
上条勢力と同じく損得勘定ではなく感情で動く。上条勢力は勢力としての自覚が無く、世界中に点在して協力関係が希薄な部分があるのに対し、 上里の協力者は明確に勢力としての自覚を持っており、上里に対しては絶対的な協力関係を持つ者が上里本人の身近に集まっている。
そしてなにより大きな違いは「上里に対しはっきりとした好意を表現してくるところ」である。もげろ。
ちなみに結成までの期間は推定1カ月ほど。妹達ブーストを抜きにしたらあのフラグゲッター上条当麻でさえ追いつけない凄い速度での膨れ上がりである。
なお彼女達は上里に本気で惚れ込んでいるが、上里自身は『理想送り』が作用した結果だと思っている。
しかし、その異常なまでに早い結成期間とインフレ故に、問題も見え隠れしている。
上条勢力に入るのも裏切るのもあっさりな土御門、神裂の抜けた後も特殊かつ粒ぞろいの天草式十字凄教という組織をまとめられた建宮のような、次期頭首や代役のような存在が用意できなかった様子。
上里と義妹の談からして、両親はストッパーとして当てにならず、結成動機が動機なだけに親船やオルソラのような一時的にでも指導役になれる存在との縁がなかったことも、厄介である。
サンプル=ショゴスに侵食されたパトリシア=バードウェイを保護し、最終的に上条当麻と協力してサンプル=ショゴスを引き剥がすことに成功。
さらにアレイスター=クロウリーに遣わされた木原脳幹に勝利。脳幹は結果的にコールドスリープでいつ目覚めるともしれぬ眠りにつく程の重体となる。
上条との対決では幻想殺しに打ち勝ったが、上条の肩口から現れた『謎の存在』を前に撤退している。
新約15巻では、木原脳幹の一件で彼の弟子である木原唯一の復讐対象となり、不意をつく形で腕を切断され『理想送り』を奪われる。理想送りを取り戻すまでの繋ぎとして木原唯一の腕を代用(縫合)した。
新約16巻では、木原唯一が作ったエレメントに対抗するために尽力。
高温に弱いというエレメントの弱点を見破り、学園都市全体に不思議UFO少女こと烏丸府蘭がマイクロ波を照射し大熱波を発生させる。しかし、そのせいで学園都市のインフラが使用不可となり、学園都市全体が水の奪い合いに躍起になるという世紀末状態になってしまった。
木原唯一との『窓のないビル』内での直接対決において、巧みな話術・心理戦と上里勢力の協力で圧勝。腕を取り戻すことには成功した。 しかし、実は窓のないビルとはクロウリーが地球に依存した魔術を捨てるために、宇宙に発射するロケットそのものであった。木原唯一はそのロケットを使い、相打ち覚悟で大気層を突破する際に生じる熱を以って上里を殺害しようとする。
仮の所有者の木原唯一と比較しても、現在の上里は魔神への復讐という軸がブレ始め、内面は上条との接触を境に少しずつ変化が蓄積していた。それこそ自身が理想送りの対象となってしまう程に。
(上里の心情の変化は少なからず上条によってもたらされた。例えば上里勢力が理想送りではなく「上里という人間性に惚れ込んで自然と作られた勢力」という事実を気付かせたのは上条である)。
『願望の重複』が生じていた上里は、世界からの消失を承知の上で、木原唯一と自分の腕を直接切り落とし、理想送りを自分の体に再び縫いつけた。
「……全部、俺のせいだっていうのか。お前を苦しめているものは、全部……」
「ははっ、そいつは違うな」
「確かにきみは戦いの決定打にはならなかった。役には立ったけど、別の駒でも話はそのまま進んだかもしれなかった。だとしたら、きみの役割は『そこ』じゃなかったんだ。きっと、こんな一言を届けるために今も立ち続けているんだろうさ」「何を……」
そして上条に少女たちを託してブースターを理想送りで消し飛ばすことに成功。
直後、上里の存在が世界から消失した。
木原唯一はその場に残された右腕を再度手に入れ、残された理想送りを「上里が現世に復活する残された可能性」だと示唆した事で、上里勢力の殆どは万が一の可能性を考慮して木原唯一に付いてしまう。
一方の上条は「上里をこの世界へと連れ戻す」と決意。まるで上里がヒロインのようだ
新約17巻で上条は木原唯一側に付かなかった上里勢力のUFO少女と協力し、上里を助ける方法を模索する事となる。そして上里勢力の海賊少女を味方に引き入れ、御坂美琴やパトリシア=バードウェイの協力を得て、遂には上里を隔絶された世界から連れ戻すことに成功する。
記事では流石にかなり端折っているが、丸々1巻使っての大スペクタクルである。
余談だがこの時の上里は、新天地で『魔神』同士のちょっとスケールがおかしい遊びに巻き込まれていた。もう少し具体的に言うと魔神たちからボコられそうになり、何故かネフテュスと娘々に気に入られて味方されたり…。
あと帰還直前に溜め込んだ心中をぶっちゃけている。前に似たような事やった人がいた気がする…。
掲示板
126 ななしのよっしん
2022/09/04(日) 00:23:57 ID: m3IaCq5QoP
127 ななしのよっしん
2023/11/15(水) 22:58:13 ID: dqxmDBXXgy
上里に対する評価は17巻で割と上がったというか血塗れな手段で解法を用意すること以外の才能がないからこそ「普通の高校生」に焦がれていたっていうのはかなりいい造形だと思うんだけどなぁ……
上里勢力は去鳴と府蘭以外は上里翔流の話をする為の道具みたいな運用だったからやたら気持ち悪く感じるんだと思う。
128 ななしの執行人
2024/04/21(日) 23:41:02 ID: oCGio7uvOp
やってる事が、君のことが大大大大大好きな100人の彼女、だよな。
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最終更新:2025/12/06(土) 14:00
最終更新:2025/12/06(土) 14:00
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