研ナオコとは (ケンナオコとは) [単語記事]

研ナオコとは、自転車の荷台に乗ってそうな独特の顔つきで知られる女性歌手・タレントである。

概要

「日清ちびっこのどじまん」（フジテレビ系）で熱唱した「星空に両手を」（島倉千代子＆守屋浩のヒット曲）を「子供がそんな（大人びた）歌を歌って･･････」と評され不合格になった12歳の少女。――彼女こそが数年後に研ナオコを名乗り、艶のある美声で日本中に知られることになる、浅野なを子であった。

地元・静岡放送の「のど自慢大会」を含むのど自慢に何度か出場した後、歌手を目指して上京。所属した研音（競艇紙で有名であった研究出版の音楽事業部に由来する大手芸能プロ）から名字を貰うほどの期待を背負い、1971年に17歳で東宝レコードレーベルの第１弾『大都会のやさぐれ女』でレコードデビューを飾る。伊豆出身の17歳がそんな歌を歌って･･････。ザ・タイガースの前座等を経たのち、一時期は『愚図』『あばよ』で記録的大ヒットを飛ばすほどの売れっ子歌手になるが、1977年に大麻取締法違反（所持）の被疑者となる（本人曰く、逮捕はされていない）。結局は起訴猶予処分に留まったものの、半年間ほど芸能活動を自粛。だが翌年に『かもめはかもめ』で日本歌謡大賞放送音楽賞、第20回日本レコード大賞金賞を立て続けに受賞し、華々しく復帰を果たした。

その一方で、持ち前のカラッとしたキャラクターを活かしてＣＭやバラエティ番組にも数多く出演するようになり、「カックラキン大放送」での野口五郎との祖母と孫のコント、ザ・ドリフターズとの共演時の志村けんとの老夫婦コントなどで人気を博し、かつては美人画画家の岩田専太郎から「百年に一度出るか出ないかの不世出の美人」と評された個性豊かな容姿をも惜しみ無くネタにしてお茶の間を湧かせた。バブルが崩壊した1990年代からは、歌番組の衰退によりコンサート以外で歌手活動をする機会はめっきり減ってしまい、お笑いブームの質的変化より身体を張ったコントからも身を置くようになったが、相変わらずの冴えと味わいのあるトークにより、お茶の間に笑顔を届け続けている。

一応、所属事務所は田辺エージェンシーではあるが、夫の野口典夫が代表を勤める芸能事務所・ケンズファミリーと提携し、プロデュースに携わるようになる。一方で北海道音更町に彼女がプロデュースした農園、ケンズ・ファームがオープン。かぼちゃ、じゃがいも、たまねぎ、にんじんを収穫し、全国へネット販売している。

歌手活動が盛んだった1970年代にはバックバンドにTHE ALFEEがいたり、高田みづえや野口五郎の姉貴分として面倒を見ていた、笑い界にも広い人脈を持つなど、人柄のよさが伺える交友関係を見せる。一方でストーカーを自身のマネージャーにするといった豪胆なエピソードも存在する。だが、そんな彼女を高いところに連れてったり、エスカレーターやエレベーターに乗せないようにしましょう。すっごく苦手なんだそうです（しかし上京後しばらくはアルバイトで東京宝塚劇場のエレベーターガールをしていたらしい）。

代表曲

愚図

自身にとっては初めてオリコンチャート10位内を獲得したシングル。FNS歌謡祭で最優秀歌謡音楽賞を受賞するほどの高い評価を得ている。当時、売り上げは27万枚を突破した。ちなみに作詞・阿木燿子、作曲・宇崎竜童というゴールデンコンビが手がけている。

LA-LA-LA

ファンにとってはおなじみの、中島みゆき提供曲のひとつ。この曲で初めて紅白歌合戦に出場することに。

あばよ

自身最大のヒット曲（売り上げは60万枚）。日本レコード大賞歌唱賞、日本歌謡大賞放送音楽賞、FNS歌謡祭最優秀歌謡音楽賞と、業界でも高い評価を得ている。後に曲を提供した中島みゆきが『おかえりなさい』でカバーした。他にもちあきなおみや徳永英明もカバー。

かもめはかもめ

芸能活動自粛後の復帰第１弾。アルバムからのシングルカットにもかかわらず33万枚の売り上げを記録、「ザ・ベストテン」での初ランクインを果たす。こちらも中島みゆきによる提供曲で、日本レコード大賞金賞と日本歌謡大賞放送音楽賞を受賞し、２度目の紅白歌合戦出場も実現した。11年後、声帯ポリープ切除手術後という２度目の芸能活動復帰の際にもこの歌で紅白に再出場しており、本人曰く「自分の中でとても大切な歌」（審査員を務めた「爆笑！スターものまね王座決定戦」の席上にて、セロテープで鼻を吊り上げた清水アキラに替え歌「アキラはオレだ」を歌われて。さしもの清水も下ネタは自重したが、研は「･･････バカ」と絶句）。ちなみにＢ面の「ふられた気分で」は４年後に別アレンジで「ふられた気分」と改題されシングルＡ面に昇格。

窓ガラス

『かもめはかもめ』の次に出たシングルで、オリコン8位をマーク（Ｂ面は『さよならを伝えて』）。実は「ザ・ベストテン」を含む音楽番組出演時に、まだ無名だったTHE ALFEEがバックコーラスとギター演奏で参加している（関連動画参照。どうやら、当時は同じ事務所だった縁での起用なんだとか）。残念ながらレコードやＣＤの音源には参加しておらず、今の4人でこの曲を演奏してほしいというファンも多いのではないだろうか。

愛をもう一度／なつかしい朝

アニメ映画『未来少年コナン』オープニング／エンディング主題歌。アニメファンにはこちらの方が馴染み深いのではないだろうか。この曲は研のヒット曲といえばこの人、中島みゆき･･･ではなく、谷山浩子が提供していたりする。

ひとりぽっちで踊らせて

大ヒットではないが、オリコン 100位以内には24週間ランクインし続けた、いわゆる知る人ぞ知るロングヒット。紅白歌合戦でもこの曲が歌われたが、唄い出しを間違え早めに歌ってしまった。が、ピアノで参加した世良譲のフォローにより、事なきを得る。Ｂ面の「海鳴り」は提供者である中島みゆきのアルバム『愛していると云ってくれ』収録曲のカバー。

夏をあきらめて

サザンオールスターズのアルバム『NUDE MAN』収録曲のカバー。この曲も日本レコード大賞金賞、日本有線大賞優秀音楽賞、全日本有線放送大賞最優秀スター賞を受賞したり、オリコン初登場5位を記録したりと、『あばよ』並にヒットしている。桑田自身もこの曲でレコ大の作曲賞を受賞しており、非常に驚いたに違いない。Ｂ面の「今はブルース」は来生えつこ作詞・鈴木キサブロー作曲。

この曲も何回か「ザ・ベストテン」で歌われているが、その中で中継出演した回では、当時は今のようにヘッドセットでの楽器確認も出来なかったため、屋外の騒音でバックの演奏が全く聴こえない状態の中、勘だけを頼りに寸分狂わずヴォーカルをアテて見せるという離れ業を見せた。視聴者は誰一人そのことに気付かず、後年本人が明かして初めて知られるところになった。