結城晴朝とは (ユウキハルトモとは) [単語記事]

結城晴朝（ゆうき・はるとも　1534 ～ 1614）とは、下総の~~フレッシュアイドルはるちん~~戦国武将である。

概要

関東八屋形の一家・下総結城家第17代当主。

北条氏が関東を席巻する中、巧みに生き残りを図った中小勢力のひとり。初め親北条の立場だったが、最終的には反北条へ転じた。やがて、天下を手中に収めつつあった羽柴秀吉に接近し、秀吉の養子となっていた徳川家康の次男・結城秀康を養子に迎える。

こうして戦国時代を生き抜き、結城家を存続させたに見えたのだが…。

天下三名槍のひとつ・御手杵（おてぎね）を作らせた人物でもある。

生涯

家督相続まで

小山高朝の三男。伯父の結城政勝に跡継ぎがいなかったため、養子となった。『晴』の一字は古河公方・足利晴氏からの拝領。

そもそも父・高朝は結城氏の生まれである。小山氏と結城氏は同族（小山の方が宗家）だが、この時代は二代続けて実の兄弟が両家の当主を務めた事になる。小山氏の家督は兄・小山秀綱が継いだ。

そんな訳で、結城氏と小山氏は同族連合体のような形で長年固く結びついていた。しかし時は戦国時代。両家は歴史の流れに翻弄されていくことになる…。

1559年、養父・政勝が死去したため家督を継いだ。直後に常陸の不死鳥・小田氏治に攻め込まれたが、実父・高朝の救けもあって撃退した。

上杉と北条の狭間で

当時の結城氏・小山氏は親北条路線をとっており、周囲の佐竹・宇都宮・小田といった勢力と対立していた。1560年、そんな状況に転機が訪れる。

軍神が来た。

北条氏康に敗れて越後に亡命していた関東管領・上杉憲政の要請を聞き入れた越後の長尾景虎が、上杉政虎と名を改め、北条討伐を掲げて関東に出兵してきたのである。（※以下では謙信で統一）

結城晴朝は引き続き北条方に属する事を表明したが、傘下にいた山川・多賀谷・水谷といった諸国人は次々上杉方へとなびいてしまう。更には兄・小山秀綱も上杉方へとついてしまった。

孤立しながらも~~村雨の人~~足利義氏を擁して抵抗していた晴朝だったが、古河御所は上杉軍に制圧されて（本来の後継者である）足利藤氏が古河公方となり、謙信は鶴岡八幡宮で関東管領に就任。この圧倒的な状況に、遂に降伏して反北条に転じることになった。

ところが結局小田原城を落とす事が出来ないまま謙信は撤退してしまった。すると関東の諸将も再び北条になびいたりと、事態はかなり流動的なものになった。晴朝も秀綱も1563年には早くも親北条に復帰している。が、帰ってきた軍神にボコボコにされて再び降伏する羽目になった。

こんな感じである時は北条に、ある時は上杉に付き、時には実家の小山家とも戦ったりしていたが、1569年に越相同盟が締結された事で軍神は去っていった。ほとんど天災である。

といっても、関東では親北条と反北条の戦いが延々と続いていく。いやぁ～乱世乱世！

反北条同盟へ

1574年の年末に実父・小山高朝が死去するが、この時は別陣営（結城は親北条、小山は反北条）にいたため、葬儀に行く事も出来なかった。ああ無情。

しかしこの頃を境に佐竹氏・宇都宮氏との結びつきを強めるようになり、本格的に反北条路線を歩むようになる。1576年に小山氏の本拠地・祇園城が北条軍に落とされ、翌年には結城城も攻撃にさらされるが、先述の同盟関係から救援を得て守りきった。

この時点で晴朝は40歳を超えていたが、男子に恵まれなかったため、1577年に宇都宮広綱の次男（宇都宮国綱の弟）を養子に迎えて結城朝勝と名乗らせた。朝勝の母は佐竹義昭の娘（佐竹義重の妹）である。こうして結城晴朝・佐竹義重・宇都宮国綱の3大名は本格的な連合関係となって、北条氏に対抗していく事になった。

一方この頃、中央では織田信長が、そして豊臣秀吉が大勢力を築き上げつつあった。晴朝たちは北条氏に対抗するため、今度は秀吉に接近する。（なお小山秀綱は完全に北条の従属下に置かれてしまった）

1587年頃には朝勝に家督を譲っていた形跡が見られるが、その一方で秀吉に養子縁組を打診するというしたたかさを見せている。

小田原征伐、そして

念願かなって豊臣秀吉による大々的な小田原征伐が行われると、もちろん結城晴朝は豊臣方として参陣した。兄・秀綱は北条方として戦ったため戦後改易となり、小山の旧領は結城家に与えられ、秀綱は晴朝の下で余生を過ごす事となった。諦めの悪さに定評のある小田氏治も改易され、のち結城家臣となる。

更に以前から秀吉に打診していた養子の件が通り、秀吉が養子（人質）としていた羽柴秀康（徳川家康の次男）が迎え入れられた。結城秀康（秀朝）である。一方北条が滅んで用済みになった結城朝勝は廃嫡・養子縁組を解消されて宇都宮に帰っていった。現実は非情である。

豊臣政権とがっちり手を結び、新たな関東の主となった徳川家康の子を養子に迎える事に成功した晴朝は中久喜城に隠居して、秀康に家督を譲った。戦国の荒波を乗り切った結城の家名はこれで安泰…と思われたのだが。

1600年、秀吉死後の関ヶ原の戦いを家康が制し、1603年に江戸幕府が開かれた。この際に結城秀康は加増の上で越前北ノ庄（のちの福井）67万石に移封される。それまでの結城領が10万石ちょっとだったので大出世ではあるが、晴朝は先祖代々頑張って守ってきたはずの結城の地をあっさりと離れる事になってしまった。なお兄・秀綱は越前には同行せず、まもなく死去した。