SCP-6733 単語

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包丁。悲鳴。暗転。

Knife. Scream. Cut to Black.

ここはいったい何処なんだ?!


SCP-6733 - SCP財団exitより,2022/08/12閲覧

SCP-6733とは、シェアード・ワールドSCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。

名は『Knife. Scream. Cut to Black II (包丁。悲鳴。暗転 II)』。タイトルからもわかりやすいだろうが、『SCP-5733 - 包丁。悲鳴。暗転。』の続編である。

概要

SCP-6733
基本情報
OC Safe
収容場所 サイト-73アーカイブ
記憶媒体セクション
テープ保管庫F
番号ST
番号#1994
著者 Dysadron
作成日 2021年11月7日
タグ 人間
現実改変
知性
破壊不可能

視覚
観測
記憶媒体
録音録画
リンク SCP-6733exit
SCPテンプレート

サバーブ・スラッシャーの逆襲 (The Suburb Slasher Strikes Again)』というホラー映画が録画されているVHSテープカセット。このビデオテープの外には、この映画1985年に「クリスタルエルムズ・プロダクション」という制作会社が製作したことが記載されている。SCP-5733――『サバーブ・スラッシャーの帰還』と同じプロダクション、同じ『郊外の切り裂き魔(サバーブ・スラッシャー)』の登場、そして『帰還』に対する『逆襲』。これはおそらくSCP-5733の続編であろうと言うのは容易に推察できよう。

ただし異常性はSCP-5733べると非常にあいまいでわかりづらい。SCP-6733を見た人は局所的な現実性の不安定化を起こす導体となるというのがSCP-6733の効果である。この映画の視聴経験はカーペンター博士、つまりSCP-5733研究主任と同じ人の示で一度だけ行われている。しかし、財団は実際には実験はもっと行われていたのではないか、と推測している。

ともあれ、記録上にある実験はただ一度、SCP-5733異常性の発現時点 (ヘザーが鑑賞者に助言をめてくるシーン) まで視聴したDクラス職員によって行われている。彼は、試験室のテレビにあるVHSプレイヤーにSCP-6733を入れ、テレビで視聴した。具体的な効果、異常性が不明であるため、映画の終了後にインタビューを受けることになった。以下、その映像である。

補遺

第一幕: 試験ログ

映像開始。

マルコムベイン博士試験室に入ると、D-1974テレビと向かい合って座っている。ベイン博士Dクラスに話しかけると、Dクラスは今まで参加した実験では楽しい方だと回答する。その回答に満足したベイン博士は、D-1974の認知障害テストを行う。問題がないところを確認し、ベイン博士インタビューを開始する。

D-1974は語る――これはなスラッシャー映画だ。高校卒業したばかりの10代の若者たちが、卒業祝いに近所の畔にあるキャンプ場に行く。その知覚で、1年前にサバーブ・スラッシャーが大暴れした挙句、警察に射殺された現場があるという話をグループの1人がする。しかし主人公女の子以外はそれに関してあまり真剣に取り合っていないようであった。主人公だけは父親が警官であるため犯行の映像を見たことを発言する。だが『サバーブ・スラッシャーの帰還 (SCP-5733)』の登場人物にはも言及しないし、登場することもない。サバーブ・スラッシャー以外の共通する登場人物がいないのだ。

そうこうしているうちにキャンプ場の管理人が画面外で殺され、サバーブ・スラッシャーが若者たちを殺し回る。前作同様包丁で。当時にしてはグロい映像が流れ、顔を切り裂いたり、オタクっぽい男のに突き立てたり、頭を踏み潰されてパックリ割られる。そしてメインの管理棟にはウォークイン冷蔵庫があり、主人公友達の1人がるされている (キャンプ場にそんな大きな冷蔵庫が必要な理由は映画中に説明がない) 。サバーブ・スラッシャーは閉じ込めた犠牲者にるされている死体を投げつけて、死体は砕けてしまう。

全体として、悪くはないが名作でもない古臭い映画というところだったという。しかしラストシーンはへんてこだった。主人公女の子と、彼女を守ってきた青年が地下室に入るが、サバーブ・スラッシャーは青年の首をもぎ取り、主人公岸辺まで追いかけていく。主人公サバーブ・スラッシャーが近寄ると、ゆっくりズームインを始める。

このシーンは体感10分をかけている。最初は流れていたシンセサイザー音楽が止まると、スラッシャーの足音と主人公鼻水でくぐもった命乞いしか聞こえなくなる。サバーブ・スラッシャーは突然カメラ側を見始める。主人公は画面外に這って逃げる。悲鳴がその後も続いているが、サバーブ・スラッシャーにカメラズームするに連れて悲鳴が止み、そしてビデオが止まるのだ。

ラストシーン不思議ではあったが、D-1974は少なくとも異常がどうだこうだと言われれば非異常だった、と語る。そして、もうひとつ気になることについて言及する。登場人物名前がなかった気がする、と。

第二幕: 事案ログ

ベイン博士がD-1974の寮室に入る。D-1974はあれ (SCP-6733) はスナッフフィルムではないよな、と確認する。昨晩映画と同じようなを見た、と語るD-1974は、ラストシーンの暗転後覚めるとドアのくもりガラス越しに何かが立って覗き込んでいるのを見つけたのだという。ベッドで身体だけ起こし、を離さなければ入ってこないと考えて見つめ続けた。太陽が登るとそのは消えていた。

ベイン博士はD-1974に、部屋の外に何者かがいたはずはない、いれば廊下の警備員が警報を鳴らしていたはずだと。しかし何かあったら教えてくれ、というと、退室した。そして当直の警備員に話しかける。昨ここに詰めていた人はだれだと。

警備員は、エージェント・カニンガム――だったと語る。彼はシフトの前に町に行ってそのまま戻ってこなかった、と。

になる。サイト外部の監視映像に、の中で何かが動いているのが見つかり、警備員が派遣される。しかし何も見つからない。D-1974の寝室ではD-1974寝返りをうつが、突如覚醒して悲鳴を上げる。警備員はD-1974の寮室に駆け込んで落ち着かせ、何があったかを尋ねるが、D-1974はどんなを見たか思い出せない。下水道でも侵入者警報が発せられ、警備員が派遣されるが、何ら収穫は得られなかった。


D-1974奮状態にあった。彼は、サバーブ・スラッシャーが常に自分を狙っているとベイン博士に訴える。それも、決まって自分が一人きりで、シフトの合間など移動しているときだけだと。ベイン博士は助けを呼びに行く――いや、行こうとしているとD-1974を宥め、退室する。しかしベイン博士がいなくなったとき、部屋ガラスを何者かが割る。そうだ、サバーブ・スラッシャーだ。D-1974は悲鳴を上げ、ドアキーパッドに解錠番号を入力するが、キーパッドエラーを吐く。サバーブ・スラッシャーはD-1974に近づく。D-1974なんとか解錠すると、廊下に飛び込む。D-1974は立ち上がって逃げようとするが足がもつれ転んでしまう。サバーブ・スラッシャーは包丁を振りかざしてD-1974に接近する。

巡回中のローレン警備員がサバーブ・スラッシャーに気づき、を構え警告する。サバーブ・スラッシャーはそれでも包丁を置かないので、ローレンは発する。しかし何発当ててもサバーブ・スラッシャーは静止しない。サバーブ・スラッシャーはローレンの首をつかむと、包丁を差し込み、顔の正面を部分的に両断する。

D-1974恐怖の形相でそれを見届けている。サバーブ・スラッシャーが振り向くと、D-1974は再び逃走を開始する。ロッカールームに駆け込んだD-1974は、そこにいたエージェント・マクリーにロッカーに隠れるように伝える。そしてふたりともロッカーに身を隠すが、サバーブ・スラッシャーはロッカールームに到着するとひとつずつロッカーを開け、そしてやがてエージェント・マクリーのロッカーも開けてマクリーのをかけていた眼鏡ごと包丁で突き刺す。

しかし包丁を抜こうとして引っ掛かり、その隙にD-1974は逃走を再開。サバーブ・スラッシャーもなんとか包丁抜くとD-1974を追いかけ始める。そこに、財団の保安偵察チームが到着し、マクリーの死体を調する。そして、二手にわかれアノマリーの捜を開始する。しかし片方は1人は極低温度容器に放られてしまい、もう一人は頭を破砕されてしまう。


ついにベイン博士インタビュールームに戻ろうとする。そこで彼はローレン死体を見つけ、またD-1974を発見する。ベイン博士はD-1974に助けを呼びに行ったが見つからなかったと語り、一緒に行動しようと言う。しかしD-1974は不審に思った。ベイン博士が行ったという部屋が、徒歩で1時間はかかるはず、と。D-1974錯乱し、ベイン博士の制止を振り切り階段を登る。そして、「サイトの反対側にあるはずの部屋」にすぐにたどり着いてしまう。そして、の前には先程首を破砕された保安職員が、首死体で動いている。


そしてここからどんどん様子がおかしくなっていく。保安偵察チームの死ななかったもう片方の人間休憩中だ、と首なし人間に語る。相棒も、「まさかまた書き直したのか」と愚痴る。そしてD-1974は走り出し、を見つけてサバーブ・スラッシャーに発を開始する。後ろからベイン博士は近寄り、「君はアドリブなんだな。まずは地下室に行こう」と語りかける。D-1974ベイン博士を突き飛ばすと、ベイン博士は廊下の突し、そしてごと倒れた。後ろには、全な暗闇が広がり、天井から照明が落下する。そして画面内に複数の人物が入ってきて、ベイン博士を気遣ったり、制作照明を呼び戻さないとなどと会話している。かがカットカットと叫ぶ中、カメラサバーブ・スラッシャーにズームしていく。画面外でD-1974はここはどこだ、ここはどこなんだと叫び、悲鳴を上げる。画面は暗転する。

――という映像を、カーペンター博士監督した試験セッションD-1888がテープを視聴した後に作成した。財団にマルコムベインズという人物が雇用されたことはない。D-1888は最高度保安措置を提供される。

解説

財団はSCP-6733の実験が既に複数回は行われているはずだ、と考えている。そのとおりだろう。SCP-6733の実験ログ事案ログは最初こそ、「サバーブ・スラッシャーの復讐」というチープなスラッシャー映画を見たD-1974ベイン博士インタビューから始まり、そのあとにサバーブ・スラッシャーが実際に現れた、というインデントとして記録されている、と読者は思っていたはずだ。しかしよくよく読むと、その直前に「映像開始」とあるのだ。つまり、この「『サバーブ・スラッシャーの復讐』という映画をみたDクラスと、そのDクラスに起きた事件」、という体の映画こそがSCP-6733の内容だったのである。

当然、これはおかしな話である。SCP-5733、『サバーブ・スラッシャーの帰還』の内容はヘザーという女の子とその友人たちがサバーブ・スラッシャーに襲われる映画だったはずだ。その続編がこんなメタフィクションなはずがあるかと。しかも内容が財団の中のお話である。そして、ベイン博士をはじめ何人かは映画登場人物を『演じている』のだが、D-1974は演じている様子はない。なので、自身が置かれた状況に明らかに動揺している。

このD-1974の状況は、前作である『サバーブ・スラッシャーの帰還』におけるヘザーの描写と非常に近い。ヘザーもまた、カーペンター博士示に従いあるき続けると、なぜかの反対側に自分が住んでいた袋小路を発見する。D-1974も、サイトの反対側にあるはずの部屋に、すぐにたどり着いてしまう。この2人が遭遇している状況は、まるで2人が「セットの中に」いて、しかしセットの中であること、より詳述するなら「自分たちが映画登場人物であること」を把握していないことを示している。

SCP-6733の効果はおそらく、映画を見た人を「映画を見たという内容のメタフィクション映画」にしてしまうのだろうと思われる。D-1888を最高度保安措置においたのも、カーペンター博士がD-1888を一人きりにすることで、「この世界ビデオの中の世界にすることを防ぐ」的があるのだろうと思われる。

だが、これはある意味で上手く行っていない、というか手遅れである可性もある。そもそもSCP-5733、SCP-6733ともに、発見に至るまでの経緯が一切記されていないのだ。つまり、作中世界に「作劇上必要だから」存在しているだけのアノマリー、ということになる。SCP-6733を認知した時点で、その世界物語の中に埋め込まれてしまっているのだと言えよう。

もう既に、カーペンター博士物語中の人になってしまったのかもしれない。もっとも――

今これを読んでいる読者らも、ほら、の外を見るのだ。そこに、麻袋を被って包丁を持った人間が見えるだろう?

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