茶風林とは (チャフウリンとは) [単語記事]

茶風林（ちゃふうりん、1961年 12月4日-）とは、日本の男性声優である。大沢事務所所属。

概要

本名は「嶋沢弘隆（しまざわひろたか）」。

『名探偵コナン』の目暮警部に代表されるような、中年以上の太った男性キャラに似合う独特の声をもつ声優。ちなみにその声質故、若い頃から実年齢よりも上の役柄が多く（『機動戦士Vガンダム』では30代前半の頃に85歳の老人であるロメロ・マラバル役を演じている）、先述のような年齢・体型のキャラでもおじさん役から悪の黒幕、下品な男性キャラなど様々な役を演じてきた。ちなみに演じてきた中年役に多かった年齢の50代を迎えている。

『サザエさん』で長年磯野波平を演じてきた永井一郎氏の逝去にともない、二代目波平として面談等を経て就任が決定した（出演は2014年 2月16日放送分より）。前番組である『ちびまる子ちゃん』でも永沢君役でレギュラー出演しているため、日曜夜 18時台の顔となった。

芸名の由来は喜劇王チャップリンから。18禁ゲームに出演する際は邪風林という名前を使う。

演技者への道程

小学生の時に舌癌を患い、舌と頬の内側の一部を切除。その影響で滑舌が悪くなりいじめを受け不登校になった経験を持つ。そんな生活の中で、高橋亮子による演劇部を題材にした漫画『つらいぜ!ボクちゃん』を読み演劇の世界に興味を持つ。

高校になるといじめも収まり演劇部での演劇生活に没頭する…といっても滑舌の問題からあまり役はもらえず裏方が多かったとか。裏方は裏方で楽しかったがやはり演じてなんぼと滑舌のトレーニングを積む内に老人の声なら比較的うまく喋れることに気がつき、そこから演技の幅を広げていったそうだ。

大学に進んでも留年しない程度に勉強してあとは演劇に没頭。そんな生活も残り一年となって流石に就職活動もしなきゃな…ということでNHKが主催していた吹き替え講座（のようなもの）を「修了すれば何か仕事を紹介してくれるだろう」と目論んで受講しに行くようになる。

そんなある日…
茶「先生、講座が終わればどこか仕事を紹介してもらえるんですか？」
講「そんなのうちはやってねーよ」
あくまで講座であって斡旋所ではないということで、あっさりと目論みは潰えてしまったのだが、なんやかんやでこの講師がディレクターを担当していた吹き替え現場を見学しに行くことに。
現場に行ってみると声優に欠員がありプロデューサーが大激怒な修羅場中。
プ「おう、そこのお前！演技ぐらい出来るんだろ、お前がやれ！！」
茶「ええーっ！？」
無我夢中だったので何をどう演じたのか全く覚えていなかったが、その後このディレクターがたまに仕事を回してくれるようになり茶風林の声優業が始まったのである。

永沢君の話

茶風林はもともと「ちびまる子ちゃん」の現場にはヒデじい役で入っていたのだが、モブキャラたちの声も他の声優たちと共に受け持っていた。
そんな中ある日の放送を見た作者・さくらももこが茶風林の演じた玉ねぎ頭のモブ男子をいたく気に入り、さ「あの玉ねぎ頭の子演じたの誰！」
と電話してきたそうな。
そんなこんなで玉ねぎ頭のモブ男子は「永沢君」と名前付きキャラクターに昇格したのである。

…ところがこの永沢君の役柄に引っ張られ、心の中に封印してきた過去のいじめの記憶が蘇ってしまい「ちびまる子ちゃん」の収録では永沢君モードであるため陰鬱な時間を送ることになってしまった。
収録後に声優仲間と打ち上げで食べに行っても永沢君モードが尾を引いて全然楽しめなかったというから重症である。長い時間かかってなんとか克服できたそうだがいじめ、だめ、絶対なエピソードである。

磯野波平を引き継いだ時の話

茶風林はもともと永井一郎を大好きと公言していて、永井の急逝にともない「サザエさん」側から呼ばれて一応面談を受けたのだが「自分はこれだけ永井さんを好きだったのだから、波平役は自分が演じることになるに違いない」となぜが確信があったそうだ。

その思いどおり2代目波平に決まり初収録の際、サザエ役の加藤みどりが
加「このマイクは永井さんが使っていたものだから」
と宣言し、マイク一本まるまるを茶風林に託したそうだ。（※声の収録は通常の場合、数本のマイクを複数の声優が入れ替わり立ち替わりで録っていく）
茶風林は波平という超有名役を引き継ぐことになった重圧に対する加藤の気遣いを感じて嬉しかったと述べている。