サタンとは、漫画「キン肉マン」に登場するキャラクターである。
主に「大魔王サタン」と呼ばれる。
描写や設定は一貫しておらず、出るたびにいろいろ変わるので実情の把握が難しい。
特にゴールドマンとの関係性、「悪魔将軍」という存在の主体は誰なのか、という点は毎回違う。
バッファローマンに、その魂と引き換えに超人強度1000万パワーを授けた魔王。一人の超人を倒すたびに1万パワーを与えるという契約で、1000人の超人を倒したバッファローマンは1000万パワーという巨大な数値を身に着ける事となった……が、「1000人倒したのなら1100万パワーじゃねえのか」とツッコミを喰らい、アニメ版では900人倒して1000万パワーという事になった。
キン肉マンとの戦いの中で友情に目覚めたバッファローマンの精神を支配し、より凶悪な戦法を使ってキン肉マンを襲う。火事場のクソ力を吸収させようと図るが、あまりに巨大なパワーを受け入れられずにバッファローマンの体が炎上。ダブル・キン肉バスターによってバッファローマンは倒された。
悪魔との契約が失われたことでバッファローマンの超人強度は急激に低下していくが、バッファローマンは残された300万パワーを使ってウルフマン、ロビンマスク、ウォーズマンを蘇らせる。サタンは悪魔を裏切った制裁としてバッファローマンを抹殺する。
正義超人打倒のため、黄金のマスクとして正義超人の守り神となっていたゴールドマンをそそのかし、彼の戦闘頭脳を用いて悪魔六騎士が変身したがらんどうの鎧を操作する悪魔将軍という超人を作り出す。この時、悪魔六騎士はサタンの分身と語っていたが、たぶんこの設定は今では残っていないと思われる。
悪魔将軍は驚異的な戦闘能力と不死身の肉体をもってキン肉マンを痛めつけるが、キン肉マンたちの友情パワーを目の当たりにしたゴールドマンが本来の肉体を蘇らせてしまったために無敵性が消失。いったんは体を自傷する事で無敵状態へと復帰するが、バッファローマンが肉体の代理となる事で再びダメージを受けるようになりキン肉バスターで倒された。
しかし、倒されたのはあくまでサタンの命を受けて活動していた代役・悪魔将軍や、その現場指揮官にすぎないゴールドマンでしかなく、本体のサタンは全く無傷のままである。
……であったのだが、この後サタンの活動は特に見られず、完璧超人や五大邪悪神の活動に物語がシフトしていき、最終的にサタンは一度も戦いの場に姿を現すこと無く王位争奪編までが完結した。
アニメ版の映画オリジナルの展開で、キン肉マンに倒された後に宇宙をさまよっていたところ、ニューヨークの大都会パワーを目をつけて復活。ゴールドマンは改心しているので、この悪魔将軍は間違いなく大魔王サタンである。
ニューヨーク市のパワーや、正義超人たちのパワーを奪ってキン肉マンと戦うが、風林火山→キン肉ドライバー→キン肉バスターの超豪華コンボを喰らって倒された。
時は流れて息子世代。
悪魔超人たちは勢力が衰え、残虐超人や完璧超人と組んでdMpという団体を設立。「悪行超人」というグループ内の一勢力に過ぎない立場に追いやられていた。それも正義超人との戦いによって多くの超人が死亡するか正義超人に鞍替えしてしまい、悪行超人内での立場も最小。期待をかけて送り出したチェック・メイトもキン肉万太郎に敗れてしまい、dMp内で悪魔超人勢力が粛清されかかり、反撃のため本部を崩壊させる。こうしてdMpは滅び去り、悪魔超人軍は全滅した……。
そこでサタンは再び悪魔将軍を活動させるべく、不遇な超人たちに「ジェネラル・ストーン」を与えて洗脳・強化し、「悪魔の種子」と名乗らせて正義超人を襲撃させる。ゴールドマンは前回で改心してしまったため、今度はミートの頭脳を軸にしていよいよ悪魔将軍の復活が成るかと思われた時、悪魔としてのあり方を巡ってアシュラマンが反逆。復活はならず、再度の侵攻も失敗に終わった。
この時の悪魔将軍は、ゴールドマンの頭脳を失っているためか前回のカリスマ性を失い、下卑た言動や、それをアシュラマンに指摘されて見限られるという結末、「バゴアバゴア」の口癖など大いにファンの失望を買った。後に完璧超人始祖編でサタンの存在が徹底的に無視されたのは、「ゴールドマン将軍とバゴア将軍は別人だよ」と強調するかのような扱いであった……。
キン肉マンたちよりも前の時代に、キン肉タツノリたちによって悪魔超人軍の侵攻が阻まれていたことも語られている。タツノリはすでに高齢となっていた時期だったが、キン肉バスターで悪魔超人の一人を打ち破っている。
はるかな昔、悪魔超人が正義超人に勝利して覇権を握っていた時代があった事が語られた。
つまり、その後に古代正義超人の誰かによって悪魔将軍が倒された事も確実である。
この話を完璧超人始祖編で語られた新設定と組み合わせた場合、どのような時系列になるのかは不明。
「完璧・壱式ゴールドマンを倒すほど強い正義超人が古代に存在した」とか、「ゴールドマンとシルバーマンがいなくなった後に悪魔超人が勝った事があり、この時の悪魔将軍の中の人はゴールドマンではなくサタンだった」とか、「正義超人(シルバーマン派下等超人)が負けてしまったため怒ったサイコマンが悪魔超人(ゴールドマン派下等超人)を撃滅して勢力図を元に戻した」とか、いろいろ想像の余地がある。
時間超人と、それを追ってきた新世代正義超人たちを加えて再びタッグ大会が開催される。
万太郎のチームとキン肉マンのチームが直接対決をする事になり、その試合の前に時間超人や完璧超人と組んでキン肉マンに呪いをかける。
その直後に時間超人の攻撃で切り裂かれて退場。死んだのかどうか定かでは無い。
……と、ここまでの出番は「悪の親玉であることは間違いないが、実際にリング状で戦うことはない相手」「いまいち強くもなくカリスマ性もない」「肉体がないので倒せないのかと思っていたら時間超人に一発でやられた」などなど、いまいちな印象であったが……。
ハブられた。
久々の悪魔将軍復活、中の人は待望のゴールドマン、しかも実力もカリスマ性も以前より数段風格を増して……とファン感激の展開だったのだが、ゴールドマンを推すためなのかサタンの存在は一切無視された。まるで「かっこいい場面はゴールドマンの担当、だめな部分はサタンの担当」だったかのような扱いである。悪魔将軍も非難轟々だった「バゴアバゴア」の口癖は使わず、「あのバゴアは違う人だよ」と言わんばかり。とどめに「魔界は超人墓場を模してゴールドマンが作った世界」という事になっててしまい、魔界の王という立場まで失ってしまった。現在、魔界の王はアシュラマンの父親がやっている。
ここまで来ると大魔王サタンの設定自体消えたかとすら心配されていたのだが……。
まさかの復活。
完璧超人始祖との戦いを通して、犠牲は大きかったが、より良い世の中が到来した事に憤慨し、この平和を乱すべく活動を開始。母星の復興とザ・マンの打倒を志すオメガマン・アリステラに話を持ちかけ、オメガ・ケンタウリの六鎗客に地球を襲撃させる傍ら、正義超人・悪魔超人・完璧超人のほとんどを封印してしまう。その目的は、アリステラが火事場のクソ力を身に着けたら彼の体を乗っ取り、その力でザ・マンを倒して世界を奪うことだった。
残った正義超人たちでは六鎗客を防ぎきれず、五大邪悪神が救援に向かわせた運命の王子たちやキン肉アタルの戦いによってようやくアリステラが倒されると、粛清のために姿を現す。幻影体のまま放った巨大な針をマリキータマンが身を挺して阻止すると、悪魔将軍にも似た巨体の姿を取ってアリステラに襲いかかる。
(以降、加筆予定)
サタン編で初めて実体として顕現する前は、サタンの行動は「超人に力を与える」という事が主であった。だが、それは強さと引き換えに魂の堕落をもたらし、本当の強さから遠ざけるものでしか無い。
バッファローマンは100万パワーを持ちながらテクニックが身につかず勝てない日々を送っていたが、そんなバッファローマンに「一人倒すたびに1万パワー」など持ちかけられても、まずその最初の一人をどうやって倒したらいいのか困っているのにそんなこと言われても無理というだけである。
そこでバッファローマンはどうしたのか。「自分で頑張って今よりも強くなる」という考えを閉ざされている彼が選べる道は一つしか無い。「強くならずとも現時点で倒せる超人を襲い、1万パワーぶん強くなる」ことである。彼に与えられたのは「ザコ狩りで経験値を溜めてレベルアップできる能力」なのだ。
こうして、バッファローマンは強大なパワーを手に入れるのと引き換えに、「今の自分よりも強い相手と戦うにはどうしたらいいか」という発想を失っていく。それは「もっと弱い超人を倒して超人強度を上げればいい」になってしまうのだ。最終的に、彼は「テクニックなんか無くてもいい、俺には1000万パワーがあるのだから」という考えに陥ってしまった。
かつてサタンと巡り合う前には嵐の中で降りかかる巨大な十字架をかわして新技のヒントを得ていたというのに、サタンに与えられた力に酔っている時期にはその事をすっかり忘れてしまっていた。それを「超人十字架落とし」という技に昇華できるのはサタンと決別した後になってからである。
サタンに支配されたバッファローマンは、キン肉マンの火事場のクソ力を吸収しようとして失敗している。しかし、後に彼が真の力を発揮した時にはキン肉マンを超える8000万パワー以上にまで力を高めることが可能になっており、その時には体がパワーを抱えきれずに炎上するような事はなかった。これがバッファローマンの真の実力であり、サタンに与えられた1000万パワーは、実は力を磨き上げる事を阻害する要因でしか無かったのである。
また、ゴールドマンは空っぽの鎧を動かすことで無敵の超人・悪魔将軍となっていたが、本来の肉体が現れると無敵性を失ったために恐怖に怯えてしまっている。旧設定の超人の神であっても、新設定の完璧・壱式であっても、ゴールドマンの本来の実力はキン肉マンを大きく上回っており、キン肉ドライバーなど恐れる必要は無かったはずなのに。悪魔に与えられた無敵の能力に頼るあまり、自分が本来は何者だったのかすら分からなくなってしまっていたのだ。
数億年もかけて修行した戦闘能力も、ザ・マンと誓った願いすらも忘れ、惨めに悪魔騎士に助けを求める姿──そして自身の肉体を破壊させて哄笑するゴールドマンの姿を見たザ・マンの嘆きと悲しみはどれほど深いものだっただろうか。そして、それこそがザ・マンの統治する秩序ある世界を憎むサタンにとって最高の愉悦であった事だろう。
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最終更新:2024/05/29(水) 13:00
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