フィギュアとは、人の形をした、立体的な像のことである。
1/35スケールの兵隊シリーズはフィギュアと定義されたくないという人もいるのだが、ここでは一応フィギュアとして扱う。
一般的なフィギュアのスケールは1/35 1/12 1/8 1/6 1/4である。
等身大フィギュアというものも存在するが、フィギュアを好んで買う人でも嫌悪する場合や、高額な場合が多いため、一般的とは言えないだろう。
値段はガチャポンの200円から5万〜10万までするフィギュアがあるが、塩化ビニール(以下PVC)で作られている1/6スケールなら、大抵は1万前後といったくらいだろうか。値段によってその造形の完成度が変わってくる場合が多いが、値段と不釣り合いなほどうまくできているフィギュア(俗にいう神)も、下手なフィギュア(俗にいう邪神)もある。
組み立て+塗装済み完成品か未組み立て+未塗装のフィギュアがあるが、前者を塗装済み品と呼び、後者を一般的には未塗装キット、それが少数ロットの場合ガレージキットと呼ぶ場合が多い。(最近はガレージキットの定義が曖昧になっているため、いろいろな定義がある。)(例:ボークスなどの全国チェーンの模型店がガレージキットを店内で販売しているものを少数と言えるかどうか定かではないが、ガレージキットと言う名をうって売っている。)
塗装済み完成品は基本的に大量生産を前提として作られていて、ガレージキットと違い、PVCを使っている場合が多い。企業は大抵、中国の工場で金型を作り、複製、おばちゃんによる塗装、パッケージングをして、日本で販売をしている。塗装の完成度はその依頼をした工場のおばちゃん達の慣れによって変わってくるため、原型がすばらしく、サフ(表面処理剤)を吹いたあともすばらしいが、色がつくと突然品質の劣化が現れる場合がある。
ガレージキットは基本的に、少数生産未塗装未組み立ての物のことを指す。素材はキャストやレジン、コールドキャストを使っている場合が日本の場合多い。時々アクリルもある。PVCと比べて、そこそこ高価な素材であることもあり、それに加え、金型を使った大量生産に対してフィギュア一体に対するコストが高いため、塗装済み完成品のフィギュアのほうが安い場合がよくある。
だからガレージキットなんであんなに高いの?馬鹿なの?死ぬの?と言った素人まるだしの意見をする人も居る。そんな人がいたらちゃんと説明してあげてね。
ガレージキットの利点としては、PVCに比べ耐久性があるのと同時に、自分の満足するまで塗装のレベルをあげることができる。(これは制作者の腕次第だが)大量生産を前提にしている商品は、塗料などを値段と見比べて判断しているため、必ずしも満足が行くレベルに達していない場合がある。自由に塗料の色を選択することができ、自分の好みの色にすることができる。
例)塗装済み完成品の場合:なんでパンツが無地なんだ!ええい、スカートがとれねぇwww
大手サークルのガレージキットが時々、企業によって塗装済み完成品になる場合もあるが、イベント限定ということで必死に並んで手に入れたガレージキットが安価かつ、塗装済みででると悲しい感情がわき上がってくるが、一般人にはそんなことは関係ないだろう。
ガレージキットを組み立てたいが、自分では色を塗る自信が無い!でも、このフィギュアかっこいい!と言った要望に応えているサークルがよく取る手段としては、カラーレジンとデカールである。
カラーレジンとは、複製したシリコンの中に入れるレジンにマジック用のインクやコピックのインクなどで色をつけ、組み立てるだけで、基本的な色塗りが必要の無い段階までできてしまうという便利なテクニックであるが、原型制作する方が泣いてしまうほど、それは困難な作業が要求される。
デカールとは、シールの一種である。目をデカールで作る場合が最近増えており、カラーレジンと組み合わせることにより、初心者でも簡単に自作を楽しむことができるようになっている。
目を塗るのはかなりのテクニックが要求されているにも関わらず、下手をすると、邪神が生まれるリスクもでかく、デカールはデジタルで描いて、シールにプリントアウトし、貼るだけという作業で、塗料以上のクオリティでできる場合が多い。
原型という用語をいままで使ってきていたが、説明をしていなかった。
原型というのは、販売をするための複製品を作るための元の造形物である。
原型制作に使う素材は様々であるが、一般的には、石粉粘土(ファンド、ラドール、プリミエ)、ポリエステルパテ、エポキシパテ(軽量、タミヤエポパテ、マジックスカルプ、ミリプット、グレードSなど)、スカルピー(オーブン粘土)、インダストリアルクレイ、ワックス、などがある。
原型をまったく一から作ることをフルスクラッチという。ときたま、フルスクラッチをせずに、他者のガレージキットを改造し、複製し、自分の作品として販売してしまう人がいるが、当然許される行為ではない。フルスクラッチの制作行程はページ下部に書かせていただく。
フルスクラッチをするのは、ちょっとした知恵と知識と努力と愛情とお金さえあればできるので、チャレンジしてみてはいかがだろうか?フィギュアのHow to本も増えてきたので、検索してみるのもいいだろう。
フィギュア制作に関わる版権について。
立体物は厳しく著作権などによって、管理されている場合が多く、個人が勝手に作った、版権キャラクターのフィギュアを勝手にイベントで販売することは犯罪行為である。本来同人誌もアウトな場合が多いが、絵なので黙認されている場合が多い。いわゆるグレーゾーンであるが、立体物は黒と判定される場合がある。
ではどうするのか?
イベントに参加し、フィギュアを販売する場合は、一日版権というものに申請する必要が生まれてくる。東方のようにガイドラインに沿って、申請すれば必ず許可を出してくれる所も少なからずあるが、造形物に対する企業側の意見が多数飛んでくる場合もある。原型制作が完了していて、いざ販売しようかと思ったら、不許可で版権が降りなかったという場合もあり、泣き寝入りしてしまうこともある。ローゼンメイデンなど有名な例だが、今まで版権の許可が出ていたところが、他雑誌に移り、版権の許可が降りなくなってしまった場合もある。ファンとしては悲しいことであるが、企業の譲歩によって、活動できているファンの領域であるため、許可をいただけるだけでも、うれしいことであり、感謝すべきことである。
ちなみに、個人的に作った版権キャラのフィギュアを友人間で売買するも版権が関わってくる。
ただ、この程度の小規模なら許してくれる企業も多いのではないだろうか?しかし、あまりおすすめはしない。
オリジナルのキャラクターのフィギュアを作って売れば、この問題は解決するのだが、オリジナルキャラクターはどうしても知名度の高い版権キャラクターに比べて売れ行きが悪くなることが多く、原型制作者の知名度や、造形のうまさ、キャラクターの特徴により大きく左右されてしまう。
そのため、東方のフィギュアが多く、イベントで作られているのはそういうことである。知名度があり、版権の問題をほぼクリアできているからである。
お好みのフィギュアを作る時に、大まかにジャンルは3つくらいある。
2.既存のフィギュアのポーズを変えたり、髪の毛や服を変えて、別キャラなどを作る。いわゆる改造。(セミスクラッチとも言うがしっくりこないので、ここでは改造と定義しておく。)
3.フィギュアの服や下着を削り取って肌を露出させる。いわゆる魔改造。きゃーえっちー。これは紳士のみが成せる所行である。・・・え?男のフィギュア改造するの?・・・
フルスクラッチの行程を大まかにまとめると6つに分かれる。
フィギュアを作る時の行程。
基本的には絵を描く。
絵が描けなくても、脳内でシミュレートしてでも大体の髪の形や体型、服装を決めておこう。
次にポーズを自分で取ってみて、できるポーズか否かを確認し、目的にあったポーズか確認する。
例:振り向きざまにお断りしますのポーズ→男だとかわいくないけど、女の子だったら案外かわいいかも?
ここで頭身を決めておかないと、頭が小さすぎたりするので、よく寸法を決めておくとよい。
針金をよって作る方法もあるが、分割や頭身調整をする際邪魔になり、しかも針金の状態から頭身を把握するのが難しいため、初心者にはこれから制作に使う素材を使って棒状の物体を作ることをおすすめする。
頭のサイズを想定した楕円形の球体、肩と胸を想定した三角形、腰を想定した三角形、腕→肘の左右分の棒 肘→手の左右分の棒、股関節から伸びる膝までの足を左右の棒、膝からかかとまでの足の左右の棒に作る。
作ったそれらのパーツが完走した後、針金で間接部になるところに刺し、接着剤で固定した後、絵などで描いたポーズにする。
ここからは感性に任せる部分が多いのだが、最初の頃に必要だと述べた、愛情と努力、知識と知恵でここは乗り越えるしか無い。
ポーズが決まったら、それに素材を肉付けをする。自分の筋肉や、お気に入りの絵師さんの描く筋肉などを確認しつつ(リアル系ならばお気に入りのグラビアアイドルの写真も使えるはず。男系のフィギュアを作るならアスリートなどの筋肉を参考にするとかっこいい筋肉ができる。)筋肉のラインに沿うに肉付けすれば、だんだん形になっていくはず。(初心者とプロの差は経験と観察力。プロは経験でどこまで削ればいいかわかるが、初心者ならば自分の体が理解できるか、まぐれが起きるまで繰り返し作っていけばよい。)シャーペンなどで中心線を引き、左右の崩れを修正しつつしていくとよい。左右比対称を演出上狙う手法もあるので、これはお任せする。
顔はフィギュア原型師でも、絵描きでも自分の表現したいものが一番現れるところではないだろうか?フィギュアはこれのでき次第である程度優劣が決まる。元になる絵や、絵柄、求める顔を求めて作り込んでいくしか無い。顔の崩れが生じていることを確認するために、顔のパーツを持っていって、鏡に向かってみせることによって左右対称かどうかを確認できる。
3.分割。
裸の状態のフィギュアができたら、今後の作業のために分割をする。
スカートを履かせるなら、胴体分割などをする(スカートを前後分割するということもできるので、一概には言えないが。)ワセリンやリップクリームを塗ると、素材同士がくっつかないため、離反処理ができる。
2に戻り、服装を作り、複製ができるような分割になっていない場合3に戻ってくる。
4.研磨。
複製ができる分割ができ、パーツがほとんどそろったら、素材の表面を研磨する。素材の表面を調整し、平らや曲面にする作業を表面処理という。ここまで着たら、やっと原型の半分ができたと言えるだろう。
サーフェイサーを数回吹いて、表面を800~1000番台のやすりで研磨し、表面に細かなでこぼこが無くなり、理想通りの形になったら、そこで原型が完成である。
業者に依頼して複製することを業者抜きという、それとは逆に業者に頼らず、個人で複製することを手流しという。業者抜きは特殊機材を使うため、そこそこなお金を支払わなければいけないが、手流しとは別次元の複製精度が望める。(気泡が少ない、薄いパーツも複製できるなど)
6.イベント販売した翌日に販売したことを後悔。つまり反省。
軽視している人も少なくないだろうが、ここの作業が結局今後の作品に影響する。舐めてはいけない。
売り上げた数、もらった意見などを参考にし、人気の傾向を探るのもよし、原型の技術を磨くのもよし、
作風を見直すもよし。
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最終更新:2024/05/15(水) 12:00
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