辻村深月(つじむら みづき)とは、日本の小説家。女性。よく間違われるが、「美月」ではなく「深月」である。
1980年生まれ、山梨県出身。2004年、第31回メフィスト賞を『冷たい校舎の時は止まる』で受賞し、講談社ノベルスからいきなり上中下巻の3分冊、3ヶ月連続刊行でデビュー。著者紹介には「新時代の潮流に突如現れた、エンターテインメント界の期待の大型新人」と書かれるなど、当初からかなり力を入れて売り出されていた。
当初はあまり文学賞の対象と見なされないノベルスでの作品発表にも関わらず、第3作『凍りのくじら』が吉川英治文学新人賞候補、第4作『ぼくのメジャースプーン』が日本推理作家協会賞候補になるなど順調にキャリアを積み、第6作の『名前探しの放課後』からはハードカバーで作品を刊行するようになった。2009年、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』で初めて直木賞候補になる。
2011年、『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞を受賞。2012年、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。同年、『本日は大安なり』がNHKでドラマ化、『ツナグ』が映画化された。また『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』もNHKでドラマ化の企画が立ち上がったが、脚本の原作改変に納得がいかなかったらしく、撮影開始直前にドラマ化の許可を取り下げるという騒動が発生。NHKから損害賠償を求めて訴えられる羽目になったが、2015年に地裁でNHKの訴えが棄却され勝訴した。
2013年には『ふちなしのかがみ』収録の「踊り場の花子」が『世にも奇妙な物語』で「階段の花子」として映像化、『鍵のない夢を見る』がWOWOWでドラマ化。2014年には『太陽の坐る場所』が映画化。本屋大賞では2014年『島はぼくらと』(3位)、2015年『ハケンアニメ!』(3位)、2016年『朝が来る』(5位)で3年連続候補入りしている。
『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『ロードムービー』『光待つ場所で』の装画を担当しているイラストレーターの佐伯佳美は大学時代の親友だそうである。
肥大化した自意識をもてあました思春期の少年少女の心理を、透明感のある文体で描くのを得意とする。もう少し俗っぽく言えば、中二病的な若者のイタい心理を非常にリアルに書く作家。また、学校のクラス内の息苦しいヒエラルキー(スクールカースト)を書かせれば天下一品。そのためハマる人(特に若者)はめちゃくちゃハマるし、歳をとってから読むと言いしれぬ苦い思いを抱く読者も多い(推定)。作中にしばしば登場するベストセラー作家「チヨダ・コーキ」の作品が「若い頃にどれだけハマっても皆やがて自然に卒業していく」と評されているのは自己言及的なところがあるのかもしれない[要出典]。
綾辻行人と藤子・F・不二雄(特に『ドラえもん』)の大ファンであり、ペンネームの「辻」は綾辻に由来する。メフィスト賞に応募したのも、受賞すれば館シリーズと同じ講談社ノベルスから本が出せるからだそうな。また藤子・F・不二雄関連では、『凍りのくじら』でドラえもんのひみつ道具が作品の根幹を為すガジェットとして扱われている。
初期は上下巻になるような長編が多かったが、近年はそれほど長くならない傾向にある。
作品に明確なシリーズものは無く、どれも基本的には単独で読めるが、初期の講談社作品を中心に多くの作品が同じ世界観上で繋がりあっており、ある作品の登場人物が別の作品で再登場することが非常に多い。中には「最後の最後で別の作品の後日談(前日談)だったというオチがつく」作品もあるので、『光待つ場所へ』までの初期12作(特にそのうち講談社から出た10作)は可能な限り刊行順に読んでいくのをオススメしたい。『冷たい校舎の時は止まる』の長さに尻込みする人は、初期作品の中では比較的短い『凍りのくじら』か『ぼくのメジャースプーン』から入り、気に入ったら『冷たい校舎~』に戻るのがいいだろう。具体的には(ややネタバレ反転)少なくとも『ロードムービー』は『冷たい校舎の時は止まる』を読んでから、『名前探しの放課後』は『ぼくのメジャースプーン』を読んでから、『V.T.R.』は『スロウハイツの神様』を読んでから、『光待つ場所で』は他の講談社刊行の作品を一通り読んでから読むのをオススメしたい。(反転終了)講談社ノベルスのサイトには相関図もあるが、思いっきりネタバレなので注意。
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最終更新:2025/12/06(土) 05:00
最終更新:2025/12/06(土) 05:00
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