カラデシュ!すごい!本当にすごいんだ!
カラデシュのすごさがわかる概要
2016年9月、マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)の新しいエキスパンション『カラデシュ』が発売された。エネルギーが溢れる自然と、発明家たちが活躍するアーティファクト満載の次元と紹介されたが、これまでのMTGのアーティファクト満載のブロックといえば『MoMa』や『親和』といったイカれたデッキを毎回産んできた悪しき伝統があり、『カラデシュ』もそうなるのではないかと心配するプレイヤーもいれば、「何度も失敗してるんだからさすがにもう大丈夫だろう」と考えるプレイヤーもいた。
そして『カラデシュ』のプロモーションビデオが公開された。そこには「カラデシュ!すごい!本当にすごいんだ!」とはしゃぐ開発部の偉い人、Mark Rosewater(通称マロー)の姿があった。
本当にすごいんだ(呆れ)
『カラデシュ』発売後、新しく登場したアーティファクトの“機体”のうちの1枚、《密輸人の回転翼機》を主軸にしたデッキがスタンダードで大暴れを始めた。機体のほとんどはかつての“装備品”の反省からかかなり控えめな能力だったが、この1枚だけは別格の強さだった。無色のアーティファクトでどんな色のデッキにでも入るため、ビートダウンデッキで《密輸人の回転翼機》を4枚積むのは当然という風潮になってしまい、遂には《精神を刻む者、ジェイス》以来の「グランプリトップ8に32枚」を達成。
また、6連ガチャこと《霊気池の驚異》も《約束された終末、エムラクール》というSSRがいたため活躍。結果、『カラデシュ』の次の『霊気紛争』発売と同時に《密輸人の回転翼機》と《約束された終末、エムラクール》、そして《密輸人の回転翼機》と一緒によく使われた《反射魔道士》の3枚がスタンダードにおける禁止カードに指定された。スタンダードにおける禁止カードは《精神を刻む者、ジェイス》と《石鍛冶の神秘家》以来、5年半ぶりであった。
しかし、それだけでは終わらなかった。
『カラデシュ』の続編の『霊気紛争』では《守護フェリダー》が登場。『カラデシュ』のプレインズウォーカー、《サヒーリ・ライ》と組み合わせることで即死コンボとなるこのカードは、開発部の「We did miss the interaction with Saheeli(我々は確かに《サヒーリ・ライ》との相互作用を見逃してしまいました)」というコメントと共に物議をかもし、結果《記憶の壺》以来18年ぶりとなる緊急禁止カードとなった。
そして、《密輸人の回転翼機》も《守護フェリダー》もいなくなると今度は《霊気池の驚異》が《絶え間ない飢餓、ウラモグ》というSRと共に復活。「4ターン目に約10パーセントで試合が終わるのは好ましくない」という理由で《霊気池の驚異》も禁止カードに指定された。
しかし、これでもまだ終わらなかった。
《霊気池の驚異》が禁止されてしばらくすると、『ティムール・エネルギー』というデッキが台頭した。『カラデシュ・ブロック』のエネルギー・システムをフィーチャーしたこのデッキは、あの『親和』と並べて“ブロックの怪物”[1]と公式で呼ばれるほど『カラデシュ・ブロック』のカードだけでほとんど完成していた。そのため、その次の『アモンケット・ブロック』、さらにその次の『イクサラン・ブロック』の強力なカードだけを追加してどんどん強化され、逆に『アモンケット・ブロック』や『イクサラン・ブロック』のシステムを中心にしたデッキはティムール・エネルギーとその派生デッキの完成度に敵わず駆逐されてしまった。結果、エネルギーデッキの中心カードだった《霊気との調和》と《ならず者の精製屋》が禁止された。同時に、ティムール・エネルギーの唯一の対抗馬だった『ラムナプ・レッド』の《ラムナプの遺跡》と《暴れ回るフェロキドン》も禁止された。ちなみに、《暴れ回るフェロキドン》は《守護フェリダー》に対抗するためにデザインされたのに、登場したときには《守護フェリダー》は禁止カードになっていたという笑えないオチがある[2]。また、《霊気との調和》はコモンカードであり、この禁止により『カラデシュ・ブロック』はコモン、アンコモン、レア、神話レアの全てのレアリティでの禁止カードも達成してしまった。
最終的に、カラデシュブロックはスタンダードにおける禁止カード5枚、周りのブロックも含めると9枚もの禁止カードを出した悪い意味で歴史に残るブロックになってしまい、《守護フェリダー》や《霊気池の驚異》が禁止になった際には「カラデシュ!すごい!本当にすごいんだ!」とはしゃぐマローの画像が皮肉交じりにSNSなどで投稿された。
ちなみに、マローは後に「私はウィザーズでの22年近い歴史の間に作ったものの中で『カラデシュ』を一番誇りに思っている(欠点がなかったとは言っていない)」[3]と語っている。
カラデシュのすごさがわかる動画
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関連項目
脚注
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