M-1グランプリとは、2001年~2010年と2015年〜、吉本興業と朝日放送テレビが主催で開催されている新人漫才師発掘コンテスト、またはそれを生放送するテレビ朝日系のテレビ番組。
概要
2001年にスタート。島田紳助が発起人となって始まった、若手漫才師の日本一を決めるコンテストである。
紳助は「単純におもろい奴を決めるコンテストがしたい」と発言した一方、「なかなか芽の出ない若手漫才師に、芸人の道を諦めるきっかけを作るために始めた」とも発言しており、漫才で立身出世したという紳助の恩返しの意味と、若手芸人に対する才能の見極めを測る場としてM-1を創設したようである。
具体的には当初の出場資格である「10年やって準決勝(現在の準々決勝相当)に行けないヤツは才能がないのでダラダラ続けても不幸になる」という旨の発言をしており、NSCの講演等では「3回戦にも行けないヤツはプロじゃない」としている。
後輩の松本人志(ダウンタウン)に審査員をテレビ番組内で依頼したのがきっかけでこの構想が明らかになり、後援としてカー用品小売の大手チェーン・オートバックスが付いたことによって実現した。
毎年夏頃から予選が始まり、12月末に決勝進出者が生放送の大舞台でしのぎを削る。
また、準決勝敗退者にも「敗者復活枠」が用意されている。
決勝進出者と敗者復活の合計9組のうち、師匠格の審査員が持ち点(100点満点)から点数を点け、合計点数の上位3組が最終決戦に進出。
最終決戦では3組のうち一番面白いと思ったグループに投票し、最も票を集めたグループが王者となる。
この大会はお笑いファンや一般視聴者のみならずお笑い関係者やテレビ業界人も注目しており、王者になったとたんに出演依頼の電話が鳴り響くとまで言われている。
王者となった漫才グループは王冠を手に入れた直後からM-1の事後番組、翌朝の早朝情報番組、朝~昼~夕方のワイドショーと生放送番組をほぼ徹夜で渡り歩き漫才を披露する、まさに「M-1王者のウィニングラン」と呼べる出演コースが用意されており、一気にメディアへの露出度が上昇する。
まさに「日本最大の新人・若手漫才師発掘コンテスト」「若手漫才師の登竜門」である。
「M-1グランプリ」の成功は競合他局にも刺激を与え、関西テレビではピン芸日本一を決める「R-1グランプリ」、TBSではコント日本一を決める「キングオブコント」、フジテレビではM-1グランプリの休止期間を穴埋めする形で復活した「THE MANZAI」や芸歴16年目以上のコンビが競うトーナメント形式の「THE SECOND」、日本テレビでは女性芸人の日本一を決める「女芸人No.1決定戦 THE W」をそれぞれ開催するようになった。
お笑い賞レース史にも大きな影響を与えたコンテストである。
2024年大会で第20回を迎え、エントリー数はついに大台の1万組を超え10,330組となった。
歴史
第1期(2001年~2010年)
出場資格はコンビ(グループ)結成10年以内(2001・2002年大会は10年未満)であること。
たとえ別のコンビやピン芸人として長いキャリアがある芸人であっても新しいコンビを組めば出場できるため、ベテラン芸人同士が即興コンビを作って出場するなど珍しい組み合わせが見られることもある。
大会初年度の2001年大会では早速石田靖と山田花子の即席コンビ「石田・花子」が準決勝進出を果たしている。
優勝賞金は1000万円という当時としては破格の金額。
また、M-1王者には1年間「オートバックス」のCMキャラクターとして起用されることも確約されていた。
当時起こったお笑いブームから注目が集まり、特に第6回(2006年大会)以降は、それ以前と比べて視聴率が飛躍的に向上している。
関東地区でも平均視聴率が20%前後、関西地区では脅威の30%台という「年末の風物詩」として定着した。
しかし、「漫才を全国に広め、若い才能を発掘する目標を達成できた」として2010年の第10回大会をもって一度終了。島田紳助は「漫才を目指す若者が増え、漫才のレベルも上がった。ほんの少し漫才に恩返しできた」と、この大会の意義を述べている。
休止期間中(2011年~2014年)
2011年からは、漫才日本一決定戦はフジテレビ系の「THE MANZAI」が、また朝日放送制作のコンクール番組としては大道芸を中心に世界一の諸芸決定戦「神芸」が、それぞれ後継イベントとして企画・放送された。
しかし、M-1の終了によりやる気を無くし解散するコンビが相次いだり、後の王者であるミルクボーイが有望視されながらもサボり期に入り漫才を蔑ろにして遊び呆けるなど、様々な影響を及ぼしてしまった。
第2期(2015年〜)
2015年7月30日に朝日放送からM-1グランプリの復活が発表され、5年ぶりのM-1グランプリが同年12月6日に開催された。
休止期間が4年間あったことを考慮し、出場資格が「プロ・アマ・所属事務所を問わず2人以上で、結成が2000年1月1日以降であり15年以内のグループ」に改められた。
M-1グランプリ休止期間中の実質的代替大会となっていた「THE MANZAI」は2015年も引き続いて開催されるものの、賞レースを廃して優劣を競わない祭典形式に変更された(なお、一部の若手芸人の出演枠は事前番組で競わせている)。
2023年からはM-1に出られなくなった芸歴16年目以上のコンビを対象とした大会「THE SECOND」が開催されるようになり、出場者も結成15年以内のコンビは「M-1グランプリ」へ、16年目以上のコンビは「THE MANZAI」「THE SECOND」へ出場と棲み分けがされることとなった。
M-1開催再開からは関西ローカルながらABCラジオでも決勝で披露される漫才を同時放送しつつ独自に出演者がトークをする「ラジオでウラ実況!?M-1グランプリ」という番組が放送されるようになった。
予選
毎年夏頃から行われる長い予選を経て、数千組の中から決勝進出者8~9組に絞られている。1回戦は東京・大阪を中心に北海道、沖縄、広島、名古屋などの主要都市で行われ、2回戦~準々決勝は東京・大阪/京都と東西に分けて行われる。
準決勝もかつては大阪・東京に別れていたが、出場組数が60~70組と非常に多く、芸人からも「多すぎて準決勝感が無い」と言われており、2010年に「準々決勝」が新たに導入され24~30組に削減。現在では東京のみで行われている。
それぞれの予選で設定された制限時間を15秒ほど過ぎると警告音が鳴り、さらに15秒過ぎると爆発音と共に赤い証明が灯され強制終了となる。タイマーのカウントはおおよそ挨拶の終了からなので、若干の前後はある。インポッシブルや怪奇!YesどんぐりRPGなどはこの演出を逆手に取りオチに使った。
予選の審査員は放送作家やTVディレクターなどが担当する。予選の審査基準は公表されておらず、時間を過ぎたからといって必ずしも失格となるわけではないが、勝ちあがるにつれ減点の対象になると言われており、決勝の審査員の中には「持ち時間を過ぎたので減点しました」と明言する者も存在した。
予選開始前
M-1の戦いはエントリー段階から始まっている。エントリーシートにコンビ名や年齢、出身地などの基本情報と共に、都合の良い会場・日程を第三希望まで記入する。M-1のエントリー数が5000組以下だった頃は第一希望でも通ることが多かったが、毎年1,000組ずつエントリー数を増やした近年では会場のキャパシティをオーバーし抽選になり、抽選漏れすると第二希望の会場に回される。第三希望まで回されることもある模様。
特にエントリーが集中する終盤日程を選んでいると抽選の倍率は上がり、1回戦にすら出場できずに終わる通称「0回戦落ち」となる。特に前年よりエントリーが1,790組も増えた2024年大会は顕著であり、1日に200組ちょっとの出場が限界の中、550組もの出場希望者が集まる日も発生。最終的に635組の0回戦落ちが発生してしまった。東京の予選回数は増えなかったため、出場者数を見誤った運営のミスとも言われている。あまりの抽選漏れの多さに、もともと伝統的に抽選漏れのコンビ数も総エントリー数に加算されていたのだが、「こんなに出れない人が居るのに1万組突破と言っていいのか?」と批判の声も上がった。
近年では1回戦のトップ3動画の配信が始まった事を受け、敢えて動画に載ることを狙い地方会場を希望し遠征するコンビも存在する。なお、最も人気で倍率が高いのはヨシモト∞ホールとされている。
1回戦
2,000円を払えば誰でも出ることが可能な1回戦。ちなみに2,000円は会場の受付で払う。シードのコンビは免除となるが、シード権は原則的に1年のみ有効なので時にはファイナリスト経験者から小学生コンビまでが入り交じる舞台になる。思い出づくりやレジャー感覚で出るアマチュアも多く、かつては「発声さえちゃんと出来れば通る」「落ちたらプロ失格」と言われていたが、近年ではレベルが上がり侮れない難易度になっている。実際に2018年・2022年にはファイナリスト経験のある変ホ長調と馬鹿よ貴方はが敗退してしまった。
基本的にエントリーフィーさえ払えば「来る者は拒まず」であり、ロボット同士のコンビ、Vtuber同士のコンビ、金魚のビニール袋を握った強盗、15人組のオーケストラなど何でもありである。
野田クリスタル「2,000円くらい我慢しましょうよ」
1回戦のみ完全に同一コンビでの再エントリーが可能で、エントリーNo.3000以下で出場を果たす事が条件である。ただし抽選であり、必ず再出場できる訳では無い。ネタ時間は2分。
2016年から各会場の予選MCが特に印象に残ったアマチュア1組を「ナイスアマチュア賞」として選出しており、合否に関係なくYouTubeチャンネルでネタが配信される。さらにすべての予選を通して、最も上位に進出したアマチュアに「ベストアマチュア賞」が送られ、準決勝で特別にネタを披露できる。ベストアマチュア賞の受賞者は後に事務所に所属しプロに転向する者も多い。(完熟フレッシュ、ラランドなど)
2019年からは各予選ごとの上位のネタをYouTubeチャンネルで配信する「トップ3配信」が行われており、無名のコンビが名前を売るチャンスになっている。実際にトップ3配信からは2019年にぼる塾が話題になり、後の大ブレイクに繋がった。2023年大会からはシード権が拡大され「前年の準々決勝以上のコンビ」となったため、無名コンビの選出が多くなっている。
更には2021年より「キラリと光るマヂカルスターを探せ!」という特別番組も恒例になっており、1回戦に登場したヤバい漫才師や漫才を舐めきってるアマチュアを特集している。見届人のマヂカルラブリー野田いわく「この番組でゴミどもが救われる」。これらの企画が実を結んだのか、2021年からは毎年エントリーが1,000組以上増え続けている。増えすぎて色々と心配されていたが、ついに2024年大会では1,790組も増えてしまい、1回戦で抽選漏れが相次ぎ問題視された。
2回戦
ネタ時間が2分から3分に伸び、多くのコンビがこの1分の扱いに泣かされ敗退する2回戦。およそ1,200~1,400組が進出し、多くの若手芸人・アマチュアの最初の壁になっている。この2回戦に阻まれ続け解散するコンビは非常に多い。ネタ時間が伸びた事で公演時間が10時間に達することもあり、観客の負担は凄まじく令和ロマン曰く「ある意味(観客は)1回戦よりきつい」「客がメチャクチャ重い」。しかしシード組の実力者が登場するので、ご褒美的な感じで所々に挟まっている香盤になる。
2007年頃には「ヨシモトファンダンゴTV」でネタを見ることが出来たが、現在では唯一のブラックボックスになっており、予選に足を運んだ人しかネタを見ることが出来ない。故に出場芸人は全力で挑める。しかし2回戦終了後に一部出場者へインタビューが行われ、後にYoutubeチャンネルにアップされるため、会場の空気感は若干窺い知ることが出来る。
3回戦
毎年300組前後(2023年以降は400組弱)が進出する。島田紳助がプロを名乗って良い条件として一つに挙げており、結成したての若手やアマチュアが進出すると一目置かれる存在となる。テレビ露出の多い有名コンビもここで多数が敗退しており、毎年この頃からM-1が大きな盛り上がりを見せる。チケットは当然即完売・抽選である。
2015年からは動画配信サービスGyaO、2020年からは加えてYouTubeにて通過・敗退を問わず全組が配信されており、一定の知名度があるコンビであればネタバレは免れない。そのため準々決勝を見据えた場合「どのネタを隠すか」という戦略も求められる。
一方で予選の盛り上げに一役買う即席コンビや色物コンビにとっては大きな壁となっており、アイデンティティ田島などは「3回戦が我々の決勝戦」と自虐している。事実、2010年以降でこの手のコンビは準々決勝が天井である。
準々決勝
2010年に初導入。2001~2009年の準決勝に相当するものであり、当初は75組だったが毎年微増を続け、現在は120組前後で争っている。大阪はなんばグランド花月、東京はルミネtheよしもとと言う笑いの聖地で開催される。ネタ時間も更に1分増え4分になる。
M-1予選の中でも地獄と言われる舞台であり、ファイナリスト経験者も容赦なく敗退する。7年連続、8年連続で準々決勝敗退を続ける通称「幽閉」のコンビも存在するほどで、準決勝に進出すれば地上波出演は確約されるので予選全体を通して最大の壁になっている。当初は3回戦同様に全組がネット配信されていたが、2019年から進出者は配信が無くなる配慮がされた(が、2021年から準々決勝の有料配信が始まった)。
2015年からGyaOで、2023年からはGyaO終了に伴いTVerで「ワイルドカード枠」が設けられており、最も視聴数/投票数が多いコンビが準決勝に復活できる催しを行っている。しかし謎の力で2015年に無名のニッポンの社長が復活しスベリ散らして色々とシステムが変わった事件や、2018年に自動再生機能の不具合で一番最初に表示された魔人無骨がそのまま復活する事件が発生し、近年では一部のファンが票を売買し芸人から苦言を呈されるなど問題も多い。
準決勝
毎年わずか24~30組しか進出できない準決勝。東京のみでの開催でネタ時間は4分。ここまで来れば間違いなく一流漫才師である。敗者復活戦が地上波で行われる現在ではテレビ出演も約束されている。
当初は様々な会場で行われていたが、現在は東京都港区のNEW PIER HALLで固定されており、漫才向きではないこの会場向けの対策を行うコンビも多い。ぶっちゃけ演者・客双方に不評である。
ネタ順はベストアマチュア賞組⇒ワイルドカード組⇒以後抽選となっている(2016年の馬鹿よ貴方はのみ、ワイルドカード枠ではあるが仕事の都合でAグループのトリで出場)。なおベストアマチュア賞組はエキシビション扱いで審査対象ではなく、後のコンビとネタが被らないようにM-1自体を題材にした通常では反則気味のネタをすることが不文律になりつつある。
敗者復活戦
準決勝で敗れたコンビがたった1枚の切符を争う敗者復活戦。当初はランダムで選ばれた会場の観客100人の投票制であり、後にテレビ放送が始まったがCS限定だった。2015年からは地上波放送が始まり、視聴者がインターネットで投票する「国民投票」に変更された。決勝進出者は番組内で発表され、即座に会場からテレビ朝日まで移動する。
しかし前年のファイナリストなど知名度が高いコンビが軒並み復活し、プラス・マイナス、金属バット、令和ロマンなど会場を湧かせたコンビがあと一歩の所で敗退する例が跡を絶たず、2020年にはABCテレビ社長が疑問視するなどしていた。2023年、ついに制度が変更。観客投票+芸人審査の導入が発表された。
出場者はA・B・Cブロックに分けられ、ランダムに選ばれた観客500人が暫定勝者と今ネタ披露をしたコンビのどちらが面白かったか投票し、勝ち抜いていく方式となった。更には最終投票としてA・B・Cブロックの勝者にM-1王者の芸人審査員が無記名式で投票し、最も票数を集めた物が決勝進出となる二段階システムとなっている。初導入の2023年大会では決勝以上の盛り上がりの末、過去の方式では選ばれなかったであろうシシガシラが復活。大成功を収めた。
会場は長らく屋外(大井競馬場、神宮球場、六本木ヒルズアリーナなど)で行われており、寒さや騒音など過酷な環境の中で漫才を披露しなければならず、番組内で「地獄からの生還」などと呼ばれたりする。2023年は前述の制度変更に伴い会場も屋内に変更となり、恵まれた環境へと変貌した。
決勝戦
生放送・全国ネットで放送される決勝戦。現在では当たり前だが、漫才限定のコンテストが生放送で全国に流れるというのは開始当初では珍しいことだった。原則7人の審査員が100点満点で点数をつけるファーストラウンドと、上位3組が進出し審査員が最も面白いコンビ1組に投票する最終決戦(通称「決勝の決勝」)に分かれている。
現在では1万組近い中からたったの10組しか進めない大舞台にも関わらず、滑ったら損するまである(オール巨人談)という非常に厳しい戦いである。二度の最下位を味わったPOISON GIRL BANDいわく「4,000組の中の9位なのに、今日本で一番おもしろくないヤツとして扱われる」との事。スベったり敗退したにしても、暫定ボックス内での振る舞いや敗退時のコメント(通称:平場)で取り返すことも可能であり、漫才以外のスキルも重要である。2003年の千鳥、2021年大会のアキナは漫才・平場共に失敗し、非常に深い傷を負ったという。
ファーストラウンドの事実上の最低点は開始当初50点だったが、現在では80点とされている。全体レベルの上昇と審査員の軟化が重なった結果、2024年現在では80点台後半(87~89点)でも低得点として扱われる。なお2006年以降は点数で色分けされており、90点以上が金、80点台が銀、70点台が銅となっており、点数が出る際に「銀色がいっぱい続く」と芸人的には絶望するらしい。
ちなみに一応70点以下の色もプログラム上設定されているらしく、ロンハーで点数表示のプログラムを流用した「M-2グランプリ」というドッキリ企画の際は50~69点は青色になっていた。
各回の結果
表は上から出番順。決勝1stステージでの得点、票数は最終決戦での票数、王者になったグループ名は黄色背景。
※第1回の得点は特別審査員の得点のみ掲載。[1]
第1期(2001~2010)
M-1グランプリ(第1回) 後のM-1とは採点方式が異なり、審査員7人に100点ずつ、東京、大阪、福岡会場の客それぞれ100人に1点ずつ持ち点を与え、合計1000点を用いて審査を行った。 会場によって同じ芸人に対する審査得点が大きく異なったことから疑問の声もあがったものの、結果的には中川家が他芸人に大差をつけて勝利した。今大会では大阪会場(なんばグランド花月)の観客審査員の点数の偏りが極端で、特に松竹・東京勢に対する採点が辛く、本当につまらなかったのだがおぎやはぎの採点が100点満点中9点という結果だったことに対して松本人志が「大阪会場の人は頭おかしいんとちゃう?」と言ってしまったほどである。 本番組は朝日放送制作だが、第1回決勝戦のテレビ中継は東京・砧にある関西テレビレモンスタジオから生放送で行われ、他に客席審査員が居る札幌・大阪・福岡の吉本直営劇場からの中継が挟まれた。 サブ司会の赤坂泰彦が中川家のことを石川家、ハリガネロックのことを「アメリカンロック」と言ってしまう(ユウキロックがとっさに「(アメリカザリガニと)一緒にやりましょうか?」と叫んだほど)など、全体的な段取りは生放送としてはややgdgdな面も見られたが、これも第1回ならではであろう。 |
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M-1グランプリ2002(第2回) 放送前は前年二位のハリガネロックが優位と思われたが、トップでの登場が仇となり最終決戦進出も叶わなかった。 決勝では新進気鋭の漫才師『笑い飯』が会場を沸かし、最終決戦に進出。ますだおかだに加え、フットボールアワーとの三つ巴の戦いを制したのは当時ラストイヤーのますだおかだであった。 前年の一般客の採点については、前述のとおり大阪会場の観客の採点が極端に偏っていたことから採点方式が見直され、一般客の採点方式がなくなり、審査員7人に100点ずつ計700点を用いる方式に変更された。 審査員の立川談志がテツandトモに対し「お前らはこんなところに出るべきではない」と発言し、一瞬会場が凍りついたが、直後に「お前ら(の芸は立ってる=もう完成されているから)、こんな(コンクールのような)ところに出るべきではない」という真意が分かり、その緊張感は一気に緩和された。 この回より、決勝戦の場をパナソニック有明センターに移動。東京ビッグサイトの目と鼻の先にある国際展示場駅前の広場で敗者復活戦が行われ、さらに第2回と第4回はコミックマーケットの日程と重なったこともあり、多くの見物客が足を止めて立ち見する光景が見られた。 |
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M-1グランプリ2003(第3回) 千鳥などそれまであまり知られていなかった芸人が登場したことや、敗者復活から最終決戦進出を果たしたアンタッチャブルなどにより多いに盛り上がった。 柄にもなく緊張したトップバッターの千鳥に始まり今一つの立ち上がりで大会は進むが、4組目の笑い飯が伝説のネタ「奈良県立歴史民族博物館」を披露、昨年のますだおかだ・612点を遥かに超える656点という当時としては異次元の高得点を獲得した。 これに食らいついたのは前年準優勝のフットボールアワーで、663点を獲得。続いて史上最年少ファイナリストの高校生コンビ・りあるキッズも登場し、前半パートは爆笑をかっさらうも、後半に大きく失速し惜しくも最終決戦進出を逃す。最後に敗者復活で上がってきたアンタッチャブルが3位通過で滑り込んだ。 最終決戦では前年敗れた笑い飯がフットボールアワーと再びしのぎを削るが、わずかの差で敗れる。 |
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M-1グランプリ2004(第4回) まったく知名度のなかったダークホース南海キャンディーズの登場により波乱の展開を迎えた第4回。 連続出場の笑い飯は最終決戦にも残れず、去年と同じく敗者復活から勝ちあがってきた麒麟が最終決戦に進出した。 しかし、結果的にはアンタッチャブルが大差をつけて優勝し、去年の島田紳助の言葉通りとなった。 この大会のみ、M-1一期では唯一紳助が謹慎期間中で不在であり、松本人志もジャンクSPORTS(フジテレビ)特番の裏被りを回避という名目で審査員を外れている。 |
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M-1グランプリ2005(第5回) 連続出場の笑い飯、麒麟、千鳥、南海キャンディーズなど誰が優勝してもおかしくない第5回。 1番手の笑い飯は2024年の令和ロマンが現れるまで唯一となるトップバッターでの1stラウンド逃げ切りに成功。番狂わせは5番手ブラックマヨネーズだった。「4分の使い方が完璧」と評される直球勝負のしゃべくり漫才で1位に躍り出ると、そのまま1位を維持して最終決戦に駒を進めた。 期待されていた南海キャンディーズは(特にしずちゃんが)売れっ子になってしまい、漫才の練習が出来なくなり最下位で終わる。千鳥も敗者復活戦から返り咲くも、妙に間の詰まった出来になり今ひとつ点数が伸びなかった。 第5回大会は大阪で知名度のある芸人が多く、大阪に限定して言えば目新しい芸人はいなかったとされている。 最終決戦では麒麟がツカミで沸かせるも失速。1st同様のスタイルで「喧嘩の強い男」を披露したブラマヨが4-3の激戦を制して優勝した。なお、笑い飯の「ハッピーバースデー」も優勝こそ逃したものの「~民俗博物館」「鳥人」に並ぶネタとして語り草になっている。 この回からテレビ朝日が制作協力に加わり、以降第10回までテレビ朝日本社第1スタジオから決勝戦の模様が生中継された。 加えて地下格闘技をイメージした渋いセットから一気に華やかなセットに様変わりし、現在のM-1のイメージの第一歩となった。角張ったM-1独特のフォントが初登場したのもこの大会である。 |
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M-1グランプリ2006(第6回) 本命無しの第6回。一方で第3回優勝者のフットボールアワーがまたもや出場したり、史上初の5人組、アマチュアの決勝進出と話題づくしの大会となった。 中盤まで大きな笑いのないまま進行するが、6番手チュートリアルで爆発する。最終決戦までチュートリアルの勢いが落ちることはなく、審査員全員一致で優勝した。 初のアマチュアファイナリスト・変ホ長調にプロであるPOISON GIRL BANDが負けたことが今でもネタにされたりする。決勝に残れなかった芸人は全組そうである。なお、変ホ長調は準決勝で芸能人をイジりまくる反則気味のネタをしたものの、落とさずを得ないほどウケたという。 |
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M-1グランプリ2007(第7回) またもや本命無しの第7回。第1回以降六年ぶりにキングコングが決勝に舞い戻ってくる。 トータルテンボスやキングコングが会場を盛り上げるもののはっきりとした決定打がないまま、敗者復活から這い上がった9組目サンドウィッチマンが登場。それが功を奏したのか、それまでのたまった笑いをすべてかっさらうように大爆笑を誘った。その勢いは最終決戦でも衰えることなく、敗者復活枠による初めてのM-1優勝となった。 審査員のオール巨人が、「なぜこのコンビが準決勝で落ちたのか」と発言したことが有名。松本人志も巨人の意見に同意するとともに、吉本偏重の選出のあり方に疑問を呈していた、という裏話がある。 大きなM字型の登場ゲートが初登場し、せり上がりの方式や扉の構造は毎年異なるものの現在でも使用される決勝ステージの形が完成した。 |
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M-1グランプリ2008(第8回) ナイツやキングコングなど世間での下馬評が高かったコンビはいたもの本命がいななかった第8回。 NON STYLE優勝で決まりかと思われたが、最後に登場した敗者復活枠のオードリーが高得点を獲得し1stステージ一位に。前年のサンドウィッチマンの様に、この勢いのまま最終決戦でもオードリーの一人勝ちかと思われたが、ネタ選びがよくなかったためか爆笑とはならず。安定してネタを披露したNON STYLEの優勝となった。 ただ決勝での功績が認められたためか、その後仕事が爆発的に増えたのはオードリーであった。 また、一部で残念なネタの代名詞として引用された、キングコングの「お口チャックマン」が飛び出しスタジオを凍りつかせたのもこの年。ザ・パンチも張り切ったのか久々に「死んで~」を繰り出し、スタジオを冷やしてしまった。 |
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M-1グランプリ2009(第9回) またもや下馬評が高かったコンビはいたもの本命がいななかった第8回。 笑い飯が決勝で披露した「鳥人」ネタで、審査委員長の島田紳助が大会史上初の100点満点を付けるなど、審査員が軒並み高得点付けた。 |
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M-1グランプリ2010(第10回) M-1一期最後の開催となった第10回。OPでは「全員がラストイヤー」と称された。準決勝はまさかのキャパ7,000人という両国国技館で開催。音響が悪すぎた。決勝戦では第2回から連続出場を続けていた無冠の帝王・笑い飯に期待がかかっていた。 そんな中、大きな衝撃を与えたのがスリムクラブ。朴訥とした奇人のボケに冷静なツッコミで返すというスタイルに、島田紳助ですら「本物かどうか1回目だけでは判断しかねる」と評し、3位に食い込んで最終決戦に進出した。 そして、本命視された笑い飯は前年の鳥人の続編的ネタ「サンタウロス」で668点を獲得。さらには前年の優勝者で何故か予選9位で落とされたパンクブーブーが敗者復活を制し登場、日本語を巧みに使ったネタで大爆笑をとり668点の同点を獲得するという珍事も発生。審査員が最高点を付けた人数の差から、パンクブーブー1位、笑い飯2位として決勝を通過した。 結果、スリムクラブ3票、笑い飯4票、パンクブーブー0票で辛くも笑い飯がついに優勝を飾り、第1期のM-1の歴史に幕を下ろした。 |
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第2期(第11回~)
M-1グランプリ2015(第11回) 5年ぶりの開催となったM-1。 決勝冒頭、メイプル超合金と馬鹿よ貴方はの2組が得体の知れないシュールなボケをかます漫才で会場をざわつかせ「(M-1未開催の)5年のうちに漫才が変わってしまった」「心に闇を抱えている」と審査員も困惑。 ファラオ「やっとM-1らしくなってきましたね」 最終決戦に残ったのはジャルジャル、トレンディエンジェル、銀シャリの3組。正統派しゃべくり漫才の銀シャリ、技術力のあるジャルジャルを抑えて、敗者復活戦からの勢いに乗ったトレンディエンジェルが切り抜ける。 優勝発表後、勝利コメントを求められたトレンディエンジェルのたかしが「パズドラ、課金します!」とプレミアムスポンサーの一社であるCygamesのライバル会社のガンホー・オンライン・エンターテイメントのゲームの名前を言ってしまったため、ネットで波紋を呼んだ。 |
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M-1グランプリ2016(第12回) 再び審査員が大御所・ベテラン芸人からの選出に戻ったが、7人揃えることが出来なかったのか歴代で最も少ない5人での審査となった。 一方で準決勝で大爆発したスリムクラブも決勝では低調で、またも上沼に(89点ながら)「発想が飛びすぎ」「あんたらの事好きやから言っとるんや」と叱責されるなど、後の上沼怒られ枠の始まりとなった。 最終決戦に残ったのは銀シャリ、和牛、スーパーマラドーナの3組。 |
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M-1グランプリ2017(第13回) 第1回以来の10組による決勝戦となった。また、「最初にネタ披露するコンビは不利で、順番が最後になる敗者復活組が有利」という批判を受けたことにより順番決めの方法を一新。番組冒頭で敗者復活者を発表した上で、ネタの披露前ごとに「笑神籤(えみくじ)」と呼ばれるおみくじを引いた組が発表する方法に変更された。 最終決戦に残ったのはとろサーモン、和牛、ミキの3組。 |
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M-1グランプリ2018(第14回) 敗者復活枠の発表は「笑神籤」で出番が決まった瞬間に発表し、すぐに会場に向かいネタを披露する方式に変わった。 優勝候補筆頭のスーパーマラドーナがツカミで大受けするも失速しまさかの低得点、ゆにばーすが緊張で噛みまくりM-1復活後では唯一の500点台を記録、準決勝で爆発したギャロップまでもがややスベリと、ジャルジャルが「国名分けっこ」で沸かせた以外は低調な大会だった。 しかし8番手で登場したトム・ブラウンがケンタッキー丸呑み宣言の後に「サザエさんの中島君を5人合体させる」という謎のネタを披露し最初こそ引かれながらも空気を一変させると、次に登場した霜降り明星が大爆発。続く敗者復活で登場した和牛も会場を大いに沸かせた。 最終決戦に残ったのは霜降り明星、和牛、ジャルジャルの3組。 この年はR-1グランプリを濱田祐太郎、キングオブコントをハナコと当時20代の若手芸人が王者になっており、翌年以降、彼らと同世代の芸人を中心として「お笑い第7世代」が台頭することになる。トム・ブラウンも意外にもゴールデンタイムに定着するブレイクを見せた。 大会終了後、とろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智が審査員の上沼恵美子に対し採点についての不満を含む暴言を吐いたことから炎上騒動になった。 |
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M-1グランプリ2019(第15回) 決勝進出を果たした10組のうち7組が初進出というテレビ的にはほぼ無名のコンビばかりとなった大混戦の第15回。M-1マニアには喜ばれたが、故に話題性や視聴率を気にする声も上がった。 そんな中、開催年の2019年で漫才テレビ初披露というミルクボーイが放った「リターン漫才」と称される特定の物に対して偏見の強い肯定と否定を繰り返す独特のパターンの漫才で会場を沸かせ、歴代最高となる681点という高得点を記録。 最終決戦に残ったのはミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱの3組。審査員も口を揃えて「過去最高レベルの大会」「どのコンビを支持するか悩んだ」という激戦であったが、ミルクボーイ6票、かまいたち1票、ぺこぱ0票でミルクボーイが令和初の王者となった。 特にミルクボーイ1本目のネタ「コーンフレーク」の反響は凄まじく、翌日コンビニやスーパーの棚からコーンフレークが消えるなどだった。また、ネタ内で暗にイジられた虎のキャラクター、トニー・ザ・タイガーを自社商品「コーンフロスティ」に使用しているケロッグがこれに反応し、M-1決勝翌日にミルクボーイに対してコーンフロスティ1年分を進呈するという異例の発表も行った。M-1スポンサー外の企業がこのような進呈を行うのは異例である。その後もタイアップCMを行なったり工場見学に招くなど、かえってコーンフレークのネタをやり辛い状況に陥った事も嬉しい悲鳴か。 |
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M-1グランプリ2020(第16回) 新型コロナウィルス流行により開催自体が危ぶまれていたが、予選会場の入場制限、予選の回数削減などの感染対策を施して無事に開催された。 準決勝の直前にR-1ぐらんぷりがルール改訂、出場資格が芸歴10年以下となり、多くのピン芸人は寝耳に水の事態となった。これにより、ピン芸人ユニットのおいでやすこがは両者共全てを失い、これをツカミに使うなど追い風にし準決勝で大爆発。史上初のユニットファイナリストとなった。 決勝戦では優勝候補と目されたアキナに「スベリ大魔神」が出現、史上最年長のファイナリスト(錦鯉・長谷川)、トップバッターが敗者復活枠(インディアンス)など様々な話題が出たが、特においでやすこがは「聞いたことありそうで聞いたことない歌」ネタで爆発し、ファーストラウンドトップ通過。その前後の出番で、3年連続ファイナリストの見取り図、どうしても笑わせたい人がいるマヂカルラブリーがそれぞれファーストラウンドを通過した。 最終決戦は見取り図、マヂカルラブリー、おいでやすこがの順でネタを披露。投票数が2,3,2で割れるという史上初の事態となったが、最終決戦はマヂカルラブリーが制し優勝。野田クリスタルは霜降り明星の粗品に続きM-1グランプリとR-1ぐらんぷりの二冠を獲得した。 第13回大会に決勝進出したもののその独特すぎる漫才スタイルから一度は第10位に沈んだマヂラブがその後もスタイルを崩さず第16回大会で見事に王者となるという劇的ストーリーとなったが、そのスタイルが故にネットを中心に「漫才か漫才じゃないか論争」まで巻き起こす波紋を生んだ。 |
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M-1グランプリ2021(第17回) 2020年に引き続き新型コロナウィルスの影響により感染対策を施したが、流行が収まってきた中での開催となり番組演出面ではかなり緩和された。 決勝進出者9組のうち4組が非吉本の事務所所属のコンビ、さらにいずれも一癖も二癖もあるコンビばかりという、昨年度巻き起こった「漫才か漫才じゃないか論争」に対する運営側の回答とも思われるコンビたちが名を連ねた。これに関しては、決勝進出者であるロングコートダディの堂前透が「週4くらいでお笑いライブに通っているお笑いファンが高熱の時に見る夢みたいなメンバー」とまで決勝進出者発表会見の場にて評している。 本番前から大波乱が予想されていたが、前半はまさにその予想通りとなる。特に2番目に登場したランジャタイが奇声と奇行を繰り返すカオス漫才を披露し、審査員が頭を抱えることに。この場の空気を荒らしまくったランジャタイの影響からか、前半5組はランジャタイを除き点数が1点差で順位がつく接戦に。 最終決戦はインディアンス、錦鯉、オズワルドの順番でネタを披露。どのコンビも手堅く笑いを取ったが、最終決戦で5票を集めた錦鯉が優勝。サンドウィッチマン以来となる非吉本の事務所所属のチャンピオンが誕生し、長谷川雅紀が歴代最年長優勝記録(50歳)を更新した。 |
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M-1グランプリ2022(第18回) 2018年以来に審査員の顔ぶれが変更された。昨年度で審査員を辞退する旨を表明していた上沼恵美子とオール巨人に代わり、山田邦子と博多大吉が審査員に名を連ねた。 その予感は見事に的中。決勝1組目に選出されネタを披露したカベポスターに山田邦子は84点というここ数回の大会では辛めの採点をつけ、2組目の真空ジェシカには95点という高得点を付けた。この振り幅の大きい採点はこの後も続き、次第に他の審査員の採点も振るわなかった出場者に辛めの点数をつけるようになった。 2年連続ファイナリストロングコードダディが大喜利の要素もあわせたコント漫才で、5年ぶりファイナリストのさや香が徐々にボケツッコミが入れ替わるしゃべくり漫才で爆笑をさらい高得点を付け、男性ブランコが音符運びという発想力勝負のネタで受けた流れの後に登場したのが女芸人の賞レース「THE W」でファイナリストに名を連ねたばかりのヨネダ2000。共に20代半ばという若さながら、独特すぎる世界観と予想不可能な異次元のネタに審査員は頭を抱え、「ランジャタイ枠」と言わしめた。残念ながら最終決戦には進めなかったものの、立川志らくとナイツ塙が「自分でもなぜこの点数を付けたのかわからない」と困惑しながら高得点をつける珍事が起こった。 ラスト2組は同じ事務所のタイタンからキュウとウエストランドが登場。特に最後の登場となったウエストランドがあるなしクイズの体で恋愛映画、YouTuber、ネタの分析をしてくるウザいお笑いファン、路上ミュージシャン、佐久間宣行と世間のあらゆる人間に井口が偏見に満ちた毒舌を吐きまくる漫才で爆笑をさらい高得点を獲得。 こうして、さや香とロングコートダディがファーストラウンドを1位、2位通過。3位にはウエストランドが滑り込んだ。 最終決戦はウエストランド、ロングコートダディ、さや香の順でネタを披露。ウエストランドは決勝10番目に続いて最終決戦1番目の披露という形となったのを上手く利用するように、1度目のネタの続きと言わんばかりの毒舌漫才を展開。悪口の対象はより全方向になり、R-1グランプリの権威が無いことや、M-1グランプリの感動路線すらも敵に回すネタを披露した。 後発のロングコートダディ、さや香もしっかり笑いをとったため、審査員は頭を悩ませることになったが、最終投票で6票を集めたウエストランドが優勝。特に近年のトレンドであった「誰も傷つけない笑い」の真逆を行く「誰もかれも傷つける笑い」は審査員に高く評価され、松本は「窮屈な時代だけど、キャラクターとテクニックさえあれば毒舌漫才もまだまだ受け入れられる」と評し、富澤は「ウエストランドのネタで笑ってる奴は共犯」と話した。 2年連続で非吉本の事務所所属のコンビが優勝したことになるが、同時に「M-1感動路線を全否定する毒を吐きまくっていたのに、そのM-1感動路線の象徴的存在であるM-1アナザーストーリーで大々的に取り上げられることが確定する」という事態になった。 |
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M-1グランプリ2023(第19回) 前年まで審査員を務めていた立川志らくが審査員を卒業する旨を事前に表明、後任の審査員は海原ともこが務める。 前年までは公式サイトからの投票で勝ち上がりを決めていた敗者復活戦のルールが今回は大きく変更された。 また番組編成も見直され、敗者復活戦と本選の間に「ANNスーパーJチャンネル」「相葉マナブ」を放送する従来の編成から、敗者復活戦と本選をぶっ続けで生放送する合計7時間強の一大イベントへ変更。さらに前後の関連番組や配信を含めると昼間から深夜まで10時間以上にわたって放送が展開される「M-1デイ」とも言える一日となった。翌日にはゴールデンタイムの生放送で舞台裏の模様を放送する「速報!M-1ネクストデイ」が放送された。 敗者復活戦はAブロック勝者のヘンダーソン、Bブロック勝者のナイチンゲールダンス、Cブロック勝者のシシガシラの中から芸人投票によりシシガシラが敗者復活となった。 決勝ファーストラウンドでは今大会最年少の令和ロマンが歴代トップバッター最高得点の648点を記録。トップバッターは後続の基準点となるため点数が伸び辛いと言われる中での高得点となった。 その後はさや香がファーストラウンドトップの659点、ヤーレンズが2位の656点を記録。令和ロマンが3位に残った。(トップバッターが最終決戦に残ったのは2005年の笑い飯以来) 最終決戦は令和ロマン、ヤーレンズ、さや香の順でネタを披露。ファーストラウンドから続き堅実なネタを披露し笑いを取った前者二組に対して、さや香はファーストラウンド時のしゃべくり漫才から一転、客席に語り掛けながら架空の計算「見せ算」を説明するネタを展開して大きく失速。最終投票では0票という結果になってしまった。審査員の山田邦子から「さや香の最後のネタ全然よくなかったよ」と評され、放送後に話題になったという意味では爪痕を残したと言えるかもしれない結果となった。 【視聴率】 |
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大会公式スポンサー
大会スポンサーとして第1期(2001年~2010年)にはオートバックスが付いていた。
この時期に優勝したグループには、副賞として賞金1000万円の他に優勝年翌年のオートバックスのCMキャラクターを務められる権利も与えられていた。
第2期(2015年~)からはオートバックスに変わって、複数社がプレミアムスポンサーという名目で大会をサポートする方式へ変更。
毎回4社ほどがプレミアムスポンサーとして特別協賛しているが、不定期に入れ替わりも行われている。
これらのスポンサーはM-1関連番組(本大会、敗者復活戦、事前番組など)では歴代のM-1決勝進出者による特別CMが制作・放送されている。
プレミアムスポンサーの変遷は以下の通り。
第11回(2015年) | Cygames | 日清食品 | ファミリーマート | ユニクロ |
第12回(2016年) ↓ 第16回(2020年) |
サントリー | |||
第17回(2021年) ↓ |
セブンイレブン (セブン&アイホールディングス) |
関連項目
- テレビ番組の一覧
- 朝日放送
- お笑い
- 島田紳助
- 松本人志
- THE MANZAI
- R-1グランプリ
- キングオブコント
- 女芸人No.1決定戦 THE W
- THE SECOND 〜漫才トーナメント〜
- オートバックス
2001年~2010年に冠スポンサーについた。 - 東方M-1ぐらんぷり
- VM-1グランプリ
- VM-1グランプリ2010
- 漫才か漫才じゃないか論争
- 上沼恵美子怒られ枠
脚注
- *特別審査員の票はますだおかだが2位だったが、一般審査員の得票を合算すると4位となり最終決戦に進出できなかった。
- *ちなみに、この「ライフ・イズ・ビューティフル!」というセリフは、キングオブコント王者であるバイきんぐの小峠英二にネタを見せてアドバイスを貰った際に追加されたもの。実は長谷川は言葉の意味をわかっておらず、M-1優勝後の殺人スケジュールが終わり帰路につく途中、「ライフ・イズ・ビューティフルってどういう意味?」と相方の渡辺に聞いたという後日談がある。
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