グフ飛行試験型(MS-07H)とは、メカニックデザイン企画「MSV」に登場するモビルスーツである。
初の飛行型MS開発へ
戦力で圧倒的に連邦に劣るジオンだが、宇宙では新型機動兵器「モビルスーツ」による機略縦横な部隊展開と、それを可能とさせた高い三次元機動力を活用しつつ、一気に優勢に持ち込む事に成功した。
しかし、地球降下作戦後…つまり1G重力下における機動性はこれまでの迅速な展開に耐えられないほど鈍重で、機動戦略と呼ぶには余りにも重々しい展開速度になってしまった。
事態を憂慮したアイザック・ウーミヤック大佐は当時としては無謀なMS飛行化プランを提唱する。
この飛行試用プランはMS-06J「陸戦型ザク」から発展した陸戦用主力機YMS-07B「先行量産型グフ」の配備と同時期に構築された。
MSの重力下飛行の試みは画期的であり、「TMS」の前身的な思想だった。
H型のバリエーション
MS-07H グフ飛行試験型(グフH型)
ジオン軍がMSを重力下で飛行させる為に開発した試作機。「07A型」3機と「07B型」1機を改造のベースにしている。07型の軽量さを活かして飛行させる為に熱核ロケットエンジンを脚部に集中させ、スラスターを強化、リア・スカートに推進機を増設し、空力特性を一切無視して力業で飛行させる魂胆が覗える。
しかし試験の実情は“惨憺”たるもの。H型は4機が製造されたが、いずれも失敗に終わってしまう。
アリゾナのフラットネイル基地にて本国の航空機部門のビリー=ウォン=ダイク大尉を招集・チーフに任命し、6名のテストパイロットを編成して8週間で38回(一説に48回)の試験が行われた。
しかしVTOLテスト移行間にも十数回トラブった上に、肝心の航行試験は航行と言える程の持続距離を残せておらず、精々が長距離ジャンプ程度の距離とだった。
(これ以前にビリー大尉達の到着が遅れてテスト期間が削られたという話もある。)
H初期型は推力不足とエンジン調整不足に悩み、満足な航行結果を得る事はなかった。
後のTVアニメ「機動戦士Ζガンダム」に登場。戦後に連邦軍に接収され、新型の熱核ジェット・エンジンへの換装とコックピットのリニアシート方式への変更が行われた。そして飛行試験のデータ収集のあと少数が量産された。
ジャブロー攻略戦で戦闘シーンがあったが、この戦闘での移動方法は「ドム」とほぼ同じで、“陸戦機としては”相当な強さを持っていたと言える。
H型は「ドムの着想の原点」であり、MSDでも『ドム試作実験機』がH型を参考にした事になっている。
MS-07H-2
『MSV』における設定文のみ。H型の後部にドロップタンクを取り付けた機体。
MS-07H-4 グフ飛行型
こちらも『MSV』に登場。
ジオン軍が開発した4機のグフ飛行試験型の1機。その内、YMS-07Bを改修したグフ飛行試験型4号機に、4度目の改修を施した機体がこのグフ飛行型である。
型番と号数が一致して少し誤解を招きやすいが型番はH型4つめのバージョン、改修状態を指す。
脚部は推力を更に増強してフレアを大型化、肩部スパイクアーマーを撤廃して整流板に形状変更し、腰両サイドアーマーは75°可動のベントラルフィンを増設している。
出力はこれまでのH型と比べると増加した一方でエンジントラブルが続き、不安定な稼働が懸念されていた。結果、テスト開始10日目にテストパイロットのフランク=ベルナール少尉を載せたまま空中爆発を起こし、ベルナール少尉の生命と共に機体は失われてしまった。
MS-07H-6 グフ・ホバータイプ
グフ・カスタム(グフB-3型)をベースにした機体。ツィマットから提供された熱核ジェットエンジンのデータを使用して完成度が高められ、1G環境下でのドムタイプ並みの機動性を実現。また、ベース機の白兵戦用能力を向上させるためにブーストナックルというスラスターを利用する打突兵器が装備されている。
ジオン本国で開発が進められていたが、データ調整などで開発が難航し、いよいよ完成を迎える最中にキャリフォルニアベースが陥落、地球に向かうことなく終戦を迎えた。
この機体のデータはジャブロー配備機(恐らくZガンダム登場機)で活かされたと言われている。
MS-07H-8 グフ・フライトタイプ
関連項目
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