京成タウンバスとは、京成電鉄の子会社の一つで主に東京23区の荒川より東側の地域を営業範囲とするバス会社である。
概要
2000年に京成電鉄のバス部門から分社化し、2001年から営業を開始した。京成時代の奥戸第二車庫(京成立石駅から中川を超えたすぐの場所)が独立した形になっており、現在はそこに本社と営業所と車庫が存在している。
京成電鉄時代に赤字を出していた線を引き継ぐ形で独立したが、柔軟なダイヤ設定と路線の改定や新規路線開拓など積極的に行っている。
独立した経緯
京成電鉄のバス路線は、かつて広大な路線網を鉄道線の沿線に持っていた。と言っても、その頃は営団地下鉄(現:東京メトロ)東西線や都営新宿線、京葉線や武蔵野線と言った路線は無く、東京からほど近い地域でも鉄道空白地帯が大量にあった為、京成沿線からそれら空白地帯の交通を一手に引き受けていたことも有り、葛西・一之江・船堀や浦安・行徳と言った地域から総武線や京成線の駅を結ぶ路線や、常磐線北側の埼玉県三郷市周辺から金町方面へ行く路線なども保有していた。
また、地下鉄の路線もそんなに無かった当時はバスが都心直通の任を担っており、葛飾区や江戸川区辺りから街道を突っ走り、都営バスと相互乗り入れして都心まで直行する路線も有ったのである。
ところが、モータリゼーションが進み道路の慢性的な渋滞が酷くなるとダイヤ通り走れなくなってきてしまった。追い打ちをかける様に、地下鉄や国鉄・私鉄の路線の延伸や新規開業が相次ぐと時間通り走れない上に詰め込みが効かないバスからそれら鉄道路線へ乗客が移行する様になり、運転するだけ赤字の路線が増えてきてしまったのである。
この間、ワンマン化や長距離路線の短縮・廃止等を行い、地域輸送メインに転換する様になっていったが、京成電鉄本社が一括して管理している事も有って柔軟な政策がとれているとは言えないような状況も生まれてきてしまった。
そこで京成は地域の車庫ごとに分社化し、柔軟な運営と子会社化による賃金体系の見直し策を図る事とした。1995年、成東営業所の「ちばフラワーバス」化からスタートし、千葉県の半数近くの営業所が分社化されるとバス部門自体も京成バスに分社化される運びになった。
しかし、葛飾区にあった奥戸営業所に関しては都区内ながら赤字路線を多く抱えていた為、路線バス部門を別途子会社に分社化する事にしたのである。こうして生まれたのが京成タウンバスである。
路線
路線は主に新小岩駅・亀有駅・金町駅を起点に展開しており、大体の路線は京成線とどこかしらの駅で接続している(新小岩駅からの数本は京成沿線とは逆方向に路線が伸びているので無理だけど)。
京成電鉄直営時代と同じく系統番号とは別に路線名が付いており、他のバス事業者との相違点になっている。但し、幾つかの路線はタウンバスに移行後に路線名を変更している。
新小岩駅を発着する路線
綾瀬線(新小51)
新小岩駅の南口ロータリーを出て、平和橋通りをひたすらまっすぐ北上。小菅付近で横道に入りそのまま綾瀬駅のガード下で折り返す。平日朝は10分間隔、その他時間帯と土休日は15分間隔で平日は1時間当たり1~2本タウンバス車庫発新小岩駅行きが運転される。かつては平和橋通り線と呼ばれていた。
本線は渋江公園~葛飾警察署間で京成押上線と交差するが、この部分が踏切かつ交差点となっているので、ラッシュ時はここがネックとなっている。出入庫線はこの踏切の渋江公園側の交差点で京成立石駅方向に曲がっていくため、綾瀬方向と新小岩方向で分岐する停留所が異なるので注意が必要。
運賃は現金220円、ICカード216円。但し綾瀬駅から堀切中央病院までの区間だけの利用は、ICカード利用時のみ150円となるので、適用されたい場合は乗車時に運転手に降りる停留所名を言って料金設定してもらう必要がある。
四ツ木線(新小52・新小52乙)
新小岩駅の北口から平和橋通りを渡った所にできた東北広場から発車。東上平井停留所から荒川方面に左折し、首都高下の道路を北上。京成押上線の四ツ木駅を潜ると押上線に寄り添うように走り、渋江公園の踏切交差点から奥戸街道に入る。そのまま直進し立石駅通り、タウンバス車庫と進んでいくと蔵前橋通りに合流。そのまま千葉県へ突入し、市川駅のロータリーに滑り込む。
一方の乙系統は立石駅通りから左折して京成線を横切り、かつしかシンフォニーヒルズの前を経由して青砥駅前へ。そこからまた左折し、片側一車線の細い道を青戸公団・亀有新道と直進し亀有駅へと向かう。
新小岩~市川間の本線が概ね20分間隔を維持しているのに対し、乙系統は全線を通しで運転するのは平日の一往復だけで、後は亀有駅~タウンバス車庫の出入庫便のみとなっており、実質亀有駅を発着する路線に使う車両を、回送じゃもったいないからこの系統名義で営業している様なもんである。
元々は新小岩~亀有間が本線だったのだが、1996年に上野線(上34:市川駅-向島-上野広小路)が廃止となり、立石駅付近で両者を合体させて市川方面を本線としたものである。しかも、亀有方面は京成バスが新小53として運転している上に15分間隔でやってくるため、今では免許維持のために乙系統を動かしている様な感じ。
運賃は現金220円、ICカード216円。但し本線の市川駅~江戸川駅通りの区間のみ利用の場合は、現金170円、ICカード165円。同じく乙系統の亀有駅~修徳学園入口間のみの利用は現金210円、ICカード206円である。
環七線(新小58)
- 本線:新小岩駅南口-上平井中学校-奥戸三丁目-スポーツセンター-青砥駅東交差点-亀有駅
- 出入庫:タウンバス車庫-奥戸二丁目-スポーツセンター-青砥駅東交差点-亀有駅
- 出入庫:タウンバス車庫-奥戸二丁目-奥戸三丁目-上平井中学校-新小岩駅南口
新小岩駅南口ロータリーから出発。平和橋通りに合流し総武線をアンダーパスした直後の交差点を、右斜め前に右折し奥戸街道にぶつかるまで直進。奥戸街道に合流後は左折し奥戸三丁目に停車するが、直後の交差点を右折し葛飾区の総合スポーツセンターへ。その後環七通りへ合流しまっすぐそのまま走り切り、亀有駅入口交差点を左折して南口ロータリーに到着する。
元々環七通りを縦断するバス路線が無かったので、葛飾区の要請によって1996年に開設された京成電鉄直営時代末期に出来た路線。今でも15分間隔で走り始発が6時台すぐ、終バスも22時台近くと言うダイヤからも解る通りかなりのドル箱路線である。タウンバスが開設された後も暫くは京成バスの金町営業所が管轄していたくらいである。
亀有駅~奥戸運動場間は、京成バスが運営するシャトルセブン(環08急行系統:亀有駅-葛西駅-東京ディズニーリゾート)が並走していて、実質シャトルセブンの各駅停車版として運転されている。
新タワー線(新小59)
新小岩駅の東北広場からひたすら蔵前橋通りを都心方面へ直進。亀戸四丁目交差点で明治通りへ右折し、福神橋からは浅草通りに左折。スカイツリーの真下を通って直進し、吾妻橋を渡って浅草へ。雷門交差点で左折し浅草雷門停留所に停車。その後再び浅草通りに戻り、田原町駅近くの浅草寿町停留所で終点となる。
東京スカイツリーが完成したのと同時に、総武線沿線からの観光需要を見込んで開設された路線で、出来た当初は京成バスと半々で運行され、ダイヤも1時間当たり2本。停留所は新小岩を出るとスカイツリータウン前まで無く、その後も浅草雷門と浅草寿町しかない為、かなり勝負に出た運営をしていた。
しかし、当初の乗車はそこそこ有ったものの、停留所を絞りすぎたのが徒になって乗客数は低迷。2013年からは亀戸香取神社前と平井駅入口、それに新小岩公園停留所を新設したが焼け石に水であり、ついには当初の半分まで本数は減り、京成バス担当便も土休日ダイヤの1往復のみになってしまった。果たしてこの路線に未来は有るのか。神のみぞ知る。
運賃は現金220円、ICカードは216円。浅草地区と東京スカイツリータウンまでの区間のみ使う場合は現金210円、ICカード206円である。
大杉線(新小20)
蔵前橋通り近くにある東新小岩三丁目の操車場から出庫。たつみ橋交差点で平和橋通りへ左折し、道路上に有る新小岩北口停留場に停車。その後南口ロータリー近くの交差点を左折し、上一色付近で環七に合流するまで片側一車線の通りを総武線沿いにグネグネと蛇行する。環七に合流後はひたすら南下し、一之江駅で終点となる。
1987年から運行しており、歴史は長いが今一地味な路線で本数もそれほど多くない。開設当初から都営バスと共同運行しているため、珍しくダイヤが平日・土曜・休日の3本立てになっている。
当初は担当本数・運行区間が厳粛に決められていたが、やがて双方に都合が良いように変わってきており、休日ダイヤでは朝と夜だけタウンバスが担当し他の時間帯は都営バスに投げっぱなしだったり、逆に都営バスは新小岩側の終点を自身の操車場がある東新小岩四丁目まで延長する等やりたい放題である。
一応、前述のシャトルセブンと並走しているが、こちらの本数が少ないうえに上一色中学校前~一之江の一区間しか被らないので、新小58系統みたいな扱いはされない可哀想な存在である。
運賃は都営バスに合わせて現金210円、ICカードは216円。一日乗車券は都営は都営発行分の、タウンバスはタウンバス発行分しか有効でないので注意が必要
関連項目
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