必殺仕置屋稼業とは、朝日放送(現・ABC)が制作し、1975年4月5日~1976年1月9日までNETテレビ(現・テレビ朝日)系列で放送された時代劇『必殺シリーズ』の第6作目である。全28話。
オープニングナレーション
一筆啓上、火の用心
こんち日柄もよいようで、あなたのお命もらいます
人のお命いただくからは、いずれ私も地獄道
右手(めて)に刃を握っていても、にわか仕込みの南無阿弥陀仏
まずはこれまで、あらあらかしこ
概要
裏稼業から足を洗っていた中村主水は、ある夜、若い男が人ごみの中で手際のいい殺し行ったところを目撃、その若い男を追うが見失ってしまった。
そして後日、北町奉行所から南町奉行所へと転属となった主水の前に、主水がかつて「仕置人」だった事を知っているという「おこう」と名乗る女性が現れて主水に殺しの依頼をするが、主水はこれをとぼけて拒否し続けた。
しかし、頼み人が殺されてしまったことで、主水は躊躇していた裏稼業への復帰を決意。
駒が足りないと感じた主水は、自分の知り合いである湯屋の釜番「捨三」、その捨三の知り合いの怪力の破戒僧「印玄」を仲間にし、そして殺しを目撃した事で主水の命を狙っている先日見失った若い男「市松」を対決の末に仲間にした。
ここに仲良し5人組(仕置人)でも義兄弟(仕留人)でもない、いつ裏切られるか分からないギクシャクした関係のチーム「仕置屋」が誕生した。
前作『必殺必中仕事屋稼業』が番組途中で朝日放送がTBS系列からNET系列にネットチェンジして時間帯変更したことや、類似番組『影同心』(TBS)の存在で視聴率が落ち込んでしまい、それを危機に感じたスタッフが、主水を三たび登板させたのが本作である。
これまで、主水がいてもいなくても成り立つ回があった『必殺仕置人』、糸井貢が主人公と言っても過言ではない『暗闇仕留人』と、主水は「要所要所では頼りになる脇のポジション(縁の下の力持ち)」と言ってもよかったが、本作では主水抜きでは成り立たないため、主水シリーズ3作目にしてようやく主水が本当の主役になったという感がある(ただし、エンディングでは市松役の沖雅也がトップ表示で、主水役の藤田まことは起こしのトメ表示。これについては、藤田がごねてシリーズ降板しかけたという話もある)。
登場人物
とりあえず仕置屋のみ。
順番に関しては、エンディングの表示順で紹介する。
- 市松演:沖雅也
- 美形だが氷の心を持った一匹狼の殺人マシーン。
表稼業は竹細工師だが、表稼業よりもむしろ裏稼業で稼いでいると言ってもよい。裏稼業では、主に竹串で標的の首筋を刺す(大抵は刺した後に竹を折って中に入れ込む)仕置技を持っている(折り鶴を使うこともある)。
仕置屋として活動しているが、他の殺し屋の依頼で殺しを行うこともある。
冷徹そのものと言ってもよい仕置屋(殺し屋)活動時とは違って、子供に対しては優しく接している。
最初は仲間(仕置屋)を含めて他人の誰も信用していなかったが、最終的には殺人マシーンから心のある人間へと変わっていった。 - 印玄演:新克利
- 怪力だが躁鬱気味の破戒僧。
主水との初対面では、掌で薪を割って怪力をアピールした。普段はアジト(風呂屋の釜場)から女湯をのぞいたり、仕置前に女郎とアレをしたりするほどの女好き。
仕置技は標的を屋根の上まで連れて行き、背中を押して転落死させるというものだが、それは過去に自分に肉体関係を迫るほどになった母親とその愛人を二階から投げ捨てて殺したことが起因している(仲間に告白後は、他の技も使うようになる)。 - 捨三演:渡辺篤史
- 普段は湯屋「竹の湯」で釜番をしている仕置屋の密偵。
主水の以前からの知り合いであり、主水がかつてアレ(裏稼業のこと)をしていた事も知っていた。
主水に大恩あるらしく、主水のためには「たとえ火の中、水の中」といった感じで危険な偵察任務にもついている。
ちなみに、仕置屋崩壊後は主水同様に足を洗わず、新たに「キザで嫌味な優男」を加えて「仕業人」として裏稼業を続けていくことになる。 - おこう演:中村玉緒
- 上方訛りの髪結いの女主人で、金にがめついところがある仕置の仲介人。
主水が以前に「仕置人」をやっていたことを知っており(事前に調べ上げた?)、それをネタに主水を再度裏稼業に復帰させた。ただ、普段は主水としか接しないせいか、主水以外のメンバーのことをよく知らず、そのため仕置屋のメンバーが標的の仕事を持ちかけてくることもある(十中八九、標的が変更になるが)。
そして、最終回のおこうの言葉がその後の主水を決定づけたと言っても過言ではない。 - 中村主水演:藤田まこと
- 北町奉行所から南町奉行所へ栄転となった(凄腕の)町方役人。
貢の死をきっかけに裏稼業から足を洗っていたが、出会ったおこうのひと言で裏稼業に復帰することになる。
本作から主水は、「仕置(仕事)」を「生きていくための稼業」と割り切るプロの殺し屋になっていく。
まあ普段は義母・せんの密命を受けた下っ引き・亀吉につきまとわれたり、裏では市松と対立することが多かったりと、心の安まる日はないのだが…。
ちなみに最終回では、ある失態をわざと犯して牢屋敷勤務に格下げとなり、減ってしまった食い扶持を稼ぐために捨三や新たな仲間「キザで嫌味な優男」と共に「仕業人」として裏稼業を続けていくことになる。
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