蒲蒲線とは、京急蒲田駅ないし大鳥居駅と東急の蒲田駅を地下で結ぶ、東京都や大田区等が計画している鉄道路線である。
概要
大田区にある京急蒲田駅と東急及びJR蒲田駅は名前こそ同じだが、実際には約800m離れており両者間の乗換には徒歩で10分を要する
そこで大田区は1989年に京急蒲田駅と東急の蒲田駅を連絡する整備案を発表した。しかし後述するように計画には問題点が多く、2000年代はほとんど動きがなかった。
2011年11月に東急が構想を発表し、再度具体化することとなった。2014年には東急が国に対して事業化を要望していることも明らかになった。
2022年時点では矢口渡駅〜東急蒲田駅〜京急蒲田駅間を先行で建設することになっており(後述の問題にあまり影響が無いため)、同年10月に大田区と東急電鉄により第3セクター会社「羽田エアポートライン」が設立された。
計画
「蒲蒲線」という通称から京急・東急の蒲田駅同士を接続する計画と捉えられやすいが、実際には東急多摩川線矢口渡駅付近から、東急蒲田駅・京急蒲田駅付近の地下を経由し、空港線大鳥居駅に至る路線として計画されている。
京急空港線を介してそこから羽田空港への短絡を果たすことが大きな目的である。運行案の一つとして、東急多摩川線を介して東急東横線、さらに東京メトロ副都心線から東武・西武方面への運行も想定されている。
しかし京急(1435mm)と東急(1067mm)は線路幅が異なる為、直通運転は出来ない。その為、京急蒲田駅地下に東急側からの接続駅を建設する案と、大鳥居駅で相互直通することなく同一面での乗換駅建設案がある。しかし快特通過駅である大鳥居駅に接続したとしても、その利便性に疑問が残ることとなる。
また軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の採用も検討されている。この場合は直通運転が可能となる。しかし、羽田空港第1・第2ターミナル駅は2線しかなく(ただし終端部を延長して留置線を設置する計画がある)、京急蒲田駅の立体交差化完成後、横浜・品川方面からの更なる列車本数の増加も影響をし、空港線容量切迫やダイヤの複雑化など問題は多い
問題点
このように羽田空港アクセスの路線としても期待されている同線であるが、建設にあたっては課題も多い。
大田区の両駅付近は建設物が密集している為、蒲蒲線は全線地下路線とする必要がある。その為高額の建設費がかかるが、羽田空港駅(当時)の利用者が約8万人に留まっている現状では、確実に採算が取れないと考えがあった。ただし、その後利用者は増加しており、2019年時点で羽田空港第1・第2ターミナル駅と羽田空港第3ターミナル駅の利用者の合計は約12万人である。
前述したように相互直通運転の可能性が低い為、建設されたとしても渋谷駅から空港へは1回以上の乗換が必要になってくる。つまり、渋谷や新宿方面からは品川駅で京急線に乗り換える現状と大差ないという見方ができる。
また、JR東日本がりんかい線及び東海道貨物線を活用して池袋・新宿・渋谷(副都心)方面から羽田空港へ直接乗り入れるアクセス鉄道の計画を発表しており(羽田空港アクセス線)、同じ副都心方面からの空港アクセスを目的とした鉄道と見た場合、乗り換えが必要でJR新線よりも所要時間がかかるであろう蒲蒲線の必要性は薄いという指摘も存在する。
運賃にしても、JRはりんかい線を買収する案があり全区間自社線となる可能性があるのに対し、蒲蒲線経由では(東京メトロ+)東急+京急の2・3社合算運賃となり、割高となる可能性が高いと見られている。
東急多摩川線沿線からの羽田空港へのアクセスにしても、JR・東急の蒲田駅からは頻繁に京急バスが発着しているため、鉄道を敷設する意義があるのかどうかが問われている。
また京急は、蒲蒲線を敷設されると運賃収入が品川~羽田空港から京急蒲田ないし大鳥居から羽田空港までに減少してしまうため、蒲蒲線計画には積極的にならないと見られている。
この通り、昭和の末頃から長年計画されてはいる路線ではあるが、問題点が多いため着工には未だ至っていない。
関連動画
蒲蒲線ときいて、♪か~ま蒲蒲蒲… っていうあの懐かしの洋楽を思い出した人も多いことだろう。
そう、それは Karma Chameleon (Cluture Club) である。もうテーマソングでいいんじゃね?w
蒲蒲線の駅に発車メロディができるとしたら、きっとこんな感じになるのではないだろうか?
関連項目
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