MP3とは、
1.音声圧縮技術の一つ。ドイツのフラウンホーファー研究所が開発した「MPEG Audio Layer-3」の略。
2.イタリアのピアジオ社が製造しているビッグスクータータイプの三輪自動車。
である。当項目では1.について説明する。
概要
MP3(MPEG Audio Layer-3)は、MPEG-1のオーディオ規格として開発された、音声圧縮方式の一つ。ドイツのフラウンホーファー研究所が1995年に開発し特許を取得。CDと同じ音質でファイルサイズを10分の1まで圧縮すると言われるほどの高い圧縮効率に定評があり、デジタルオーディオプレーヤーの一般的なフォーマットとして採用されるなど、オーディオ圧縮規格として広く普及している。
世界で最初にmp3フォーマットに採用された曲はスザンヌ・ヴェガの「Tom's Diner」と言われている。
MPEG以外の動画にも使用でき、ニコニコ動画の代表的な動画フォーマットであるFLVにも使われている。そのため、FLVから劣化なしでMP3の音声ファイルを抽出可能である。
MP3をそのままCDに焼いたMP3CDというのもある。通常のCDよりも大量に楽曲を収納できるが、iPodの普及と共に音飛びが激しいCDプレイヤー自体が敬遠されるようになってあまり普及しなかった。
MP3プレイヤー
世界初のMP3プレイヤーは1998年に発売された韓国の「MPMan」だとされる。32MBで39800円だった。
その後、iPodが発売され、MP3プレイヤーは一気に世界中へと浸透した。詳細はiPodの項に譲る。
ソニーは独自フォーマットに固執し、MP3を嫌ったため、ウォークマンの売り上げが落ち、iPodにみすみす独走を許してしまうことになる。
音質など
128kbpsが一般的な基準とされ、音楽を圧縮する場合はビットレートが128Kbps以下になると音が破綻する場合が多い。具体的に言えば「圧縮ノイズの出現(高音域で分かりやすい)」「左右チャンネルの分離が曖昧」などで、中間位相をキャンセル状態にするとレートの高低が顕著に判別可能である。
なお、当初MP3は「128KbpsでCDと同じ音質」とされていたが、実際にこのビットレートで圧縮したMP3データをCDと聞き比べると、やや劣ると感じる人もいる。ストレージの大容量化でオーディオデータが大きくなっても保存が容易となった今日では、より高レートで圧縮して、または可逆圧縮(ロスレス)音源を用いてリッピングする場合も少なくない。
一方で後発の規格であるAACと比較すると、低ビットレートではMP3の音が破綻しやすいが、192Kbps以上の高ビットレートで圧縮した場合は顕著な差はなくなる。仕様としては最高で320kbpsである。また、エンコーダーによって音質が異なる(といっても人により主張は異なる)ともされ、iTunesの内蔵エンコーダーは一般にあまり評価が高くない。
ちなみに、曲間をシームレスに繋ぐギャップレス再生には標準で対応しておらず、ハード・ソフト側で各々が処理する必要がある。現在でもこれに対応していない機器が散見されるため、注意したいところ。
MP3とアングラ
CDをWAVした際よりも遙かにファイルサイズが小さいことを活かし、アナログモデム接続が一般的だった90年代には音楽の違法共有・アップロードのためのフォーマットとして広く普及した。エンコーダーが無料で配布されていたことも大きい。
1997年には棚井(ほのかマ)なる人物がMP3リンク集を作り始め、さらにエンコーダーの配布も開始した。同年には「WinAMP」が公開され、普及に一役買った。この頃は寝る前にCD一枚分のMP3変換をソフトに入力して、起きたら出来上がっているぐらいの変換速度であった。
MP3は隠語で「もせあ」と呼ばれた(日本語キーボードの人はキートップの印刷を見てみよう)。MP3は別に罪もないのに「ワレズ」同様アングラの代名詞にもなった。
ちなみにMP3プレイヤーである「MPMan」が「禁断のハード」と呼ばれていたことからも、CDからWAVへ変換することさえグレーゾーンと認識されていた当時の感覚がうかがえる。CDからWAVに変換するCD2WAVというソフトウェアも、1999年頃に不正競争防止法に抵触する恐れがあるという理由でいったん配布を停止している。
あまりにもMP3がアップロードされるので、拡張子がMP3のファイルはウェブサイトに掲載できなくなったりした。このため、JPEGなど、様々なファイルに隠蔽され、分割してアップロードされるようになった。この頃のMP3変換ソフトでは「午後のこ~だ」などが有名。
2001年頃からは常時接続の普及、Napster・Gnutella・WinMXなどのP2Pファイル共有ソフトウェア普及で段々MP3を掲載した違法サイトは減っていく。2000年代中盤以降は、iTunes Storeなどオフィシャルなダウンロードサイトや音楽のストリーミング配信の台頭、それに追随した各レコード会社の動きもあって大きく数を減らした。とはいえスマホに音楽入れて聴くというスタイルは結構楽なので今でもYoutubeやニコニコ動画の曲のPVや音MADをMP3化して聴くと言う人は多いだろう。
近頃はハイレゾがどうとか言われているが320kbpsくらいにして聞いておけば特段違和感なく聴けるだろう
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関連項目
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