偽600族とは、メディアミックス『ポケットモンスター』において、「大器晩成型のポケモン (いわゆる600族)」に見えるような風格を持ちつつも、そうではないポケモンの総称である。600族詐欺とも。
概要
『ポケットモンスター』シリーズに登場するポケモンには、カイリュー・バンギラス・メタグロス・ボーマンダ・ガブリアス・サザンドラ・ヌメルゴン・ジャラランガ・ドラパルト・セグレイブ・ブリジュラスといった種族値の合計が600ありながら伝説や幻のポケモンではない存在が存在しており、これらを俗に「600族」と呼ぶ。
600という合計は、種族値6つについてそれぞれ100ずつ振ってその合計値としたものを最大とすることによって、作品世界中での強さを体現するとともにバランス調整を行っていると見られ、伝説のポケモンの中には600を超える合計値のポケモンも多数存在しているが、一般ポケモンとしては最強格ということになり、ブリジュラス以外は育成も非常に手間がかかる (進化レベルが遅い・経験値タイプが125万タイプで育成に時間がかかる) という特徴を持つ。
この600族ポケモンは見た目も子供にかっこいいと思ってもらえるようなルックスであることが多く、例外はかわいらしさを押し出したヌメルゴン程度。そういったことから、「ルックスはどう見ても600族なのに、そうではないポケモン」を偽600族や600族詐欺と呼ぶわけである。
表現そのものはかなり毒々しいものの、実際の所対戦での強さが600族に劣るかといえば必ずしもそうでもない。例えば鈍足アタッカーであれば素早さのステータスははっきり言ってどうでもいいし、アタッカー気質のポケモンであれば攻撃と特攻のうち、使わないステータスは極論0でも構わない。なので俗にいう「両刀種族値 (攻撃と特攻が両方とも高い)」は無駄が多いとして、よほど飛び抜けていないと敬遠されがちになる。わかり易い例としてガチグマ (アカツキ) (以下・赫月ガチグマ)がいる。赫月ガチグマはルックスは「こんなんに殴られたら即死するだろ」という凶悪な見た目をしているにもかかわらず、攻撃種族値はなんと70と2進化前のヒメグマ(80)以下。赫月ガチグマはブラッドムーンとだいちのちからをメインに、ムーンフォースやしんくうはなどをサブとした特殊アタッカーであるため、使わない攻撃種族値はばっさり切り捨ててしまっているのである。
これに引き換え本物の600族は意外とまんべんなく高いステータスを持っているが、それが仇となって中途半端になってしまっていることも多いのだ。カイリューなどはわかり易い例で、物理アタッカーにすれば特殊の100は無駄になる一方、特殊アタッカーにすれば物理の134は混乱自傷とイカサマのためだけにある目の上のたんこぶと化す。第1世代出身にも関わらず、仕様に苦しめられていた第3世代迄はおろか、第4世代で仕様変更を受けても波に乗れず、第5世代でテコ入れされたと思ったら第7世代まで再度苦境に立たされ続けていたのは有名であろう。その分第8世代ではダイジェットで暴れまわり、第9世代では「カイリュー(の型)って200色あんねん」と呼ばれてしまったが。
一覧
No. | 種族 | 備考 |
---|---|---|
0059 | ウインディ |
中国の伝説に登場することでおなじみ「でんせつポケモン」。実際ルックスはスイクンら三犬やコバルオンら三闘と並んでも引けを取らないが、その実は555族。 しかしながらそれなりに高い耐久性能とほのおタイプの隠れた良耐性、回復技「あさのひざし」、補助技「おにび」、そして特性の「いかく」から受けポケモンとして評価は高い。それでいてフレアドライブやだいふんげきなど攻撃面も引けを取らない。 |
0130 | ギャラドス |
「きょうあくポケモン」という名前の通り凶悪な顔をした、ドラゴンみたいな見た目のみず・ひこうタイプのポケモン。レベル20で進化するとはいえ、進化前があの最弱のコイキングであることから見ても育成難度は高め。加えて、初代ポケモンだけあってみずタイプのくせに平然とほのお技やくさ技を打ってくる。これでも540族。 作中でもチャンピオンであるグリーンやミクリ、ジムリーダーでもナギ、マキシ、四天王のズミが使う他、ドラゴン使いであるはずのワタルやイブキ、でんき使いであるはずのデンジまで連れて来る。きょうあくポケモンであるがゆえにギンガ団のアカギ、フレア団のフラダリも使う他、第9世代では主人公の通うアカデミーの校長であり、生徒思いで教師の鑑たるクラベルも使用してくる。こうした実力者が相次いで採用するあたりも誤解しやすい理由かもしれない。 |
0230 | キングドラ |
第2世代で登場した、2体目のドラゴンポケモン。ギャラドス同様540族だが、風格は600族と言われてもおかしくない存在であった。進化条件もりゅうのウロコを持たせて通信交換する必要があり、特殊なアイテムと友人がいないと進化できないという難易度、更に図鑑設定ではカイリューとライバル関係にあるとまできている。 |
0306 | ボスゴドラ |
はがね・いわタイプのいかにも硬そうなてつヨロイポケモン、ボスゴドラ。公式からの扱いもバンギラスと対にされることが多く、山を破壊するバンギラスと、山に土を運び、木を植えて掃除するという山を守るボスゴドラは対にされてメガシンカまで与えられている。 しかしその実は530族。耐性も多く生半可な物理攻撃ではびくともしないが、特殊には滅法弱く、また物理もかくとう・じめんが4倍弱点なので鉄壁とはいかない。この性質もあってかメガボスゴドラでは珍しくいわタイプをなくしたうえに耐久力を上げる特性「フィルター」を備えたはがね単タイプという物理要塞になった。一方で種族値の物理偏重故に攻撃面では多数覚える特殊技を全く活かせないというちぐはぐさもある。 |
0359 | アブソル |
第3世代で登場したわざわいポケモン、アブソル。アシンメトリーデザインのかっこいいデザインと、「災いが起きるときその直前に現れるために凶兆として恐れられてきた」という逸話 (アブソル自身はむしろ警告のつもりであり悪気はまったくない) からいかにも強いだろうと初見では思ってしまう。 しかし蓋を開ければ465族。攻撃こそ130と高水準ではあるが、耐久も素早さも低い。特攻が75しかないので一応ホウエン種族値と呼ばれることはないが、ホウエン種族値とどっこいどっこいの悲しい性能である。おまけにメガシンカポケモンの一体であるために進化形が登場しないことが半ば確定してしまっているという点も絶望に拍車をかけている。当のメガシンカも単体で見れば強いが、メガシンカ枠を消費することを考えるとメガガルーラ等と枠を競合するためにまあまず採用はされることはなかった。 |
0452 | ドラピオン |
第4世代で登場したばけさそりポケモン。進化前のスコルピからレベル40で進化する高レベル進化ポケモンであり、タイプもむしを失うなど強さを誇示するような要素は多い。 だが種族値は500。防御種族値こそ高いが他は高水準とはいえ100を超えているものはない。物理アタッカーにするのが多いが、アタッカーというよりは何かしらの相手の妨害を必ずこなす仕事人扱いされることもしばしば。 |
0464 | ドサイドン |
でもただのサイドンじゃねぇぞ 先生や野菜丼の異名を取るドリルポケモン、ドサイドン。プロテクターを持たせて通信交換という進化条件と、いかにも強そうな体躯は600族と勘違いさせるのに十分だった。 しかし以外にも535族であり、実は御三家のラグラージと同じ。そんなにすごく高いわけでもないのである。とはいえ、特性「ハードロック」による難攻不落の耐久に、ストーンエッジやじしんといった高火力技もあって対戦でも活躍した。苦手な特殊面は第8世代ではダイマックスとダイロックでどうにか出来てしまったのも大きいか。 |
0526 | ギガイアス |
公式の発売前のがんじょうの説明にも使われたこうあつポケモン、ギガイアス。見た目が無骨で鋭角なデザインをしており、600族と勘違いした者も多い。 しかし進化条件からも分かる通りゴローニャに毛が生えた程度の505族 (XYでは特防が10上がり515族になった) 。物理面のステータスはまず強いが、特殊面が10上がっても依然厳しいという状況であった。第7世代ではその耐性面を強化するすなおこしを獲得したことで強化された。 |
0612 | オノノクス |
イッシュチャンピオン・アイリスの切札でもあるあごオノポケモン、オノノクス。ブラック・ホワイト発売前の初期段階からビジュアルが判明しており黄金のボディスマートな怪獣というかっこよさに全振りした見た目から600族らしさを随所に感じられる。レベル48進化という高レベル進化も600族っぽさを思わせてしまう。 しかし以外にも540族。中速物理偏重アタッカーという独自のポジションを邁進している。なおアイリスは前座として初手でサザンドラをめっちゃポップでかわいらしい音楽と流れ星をイメージしたファンタジックな戦闘フィールドに繰り出すので、前座のほうが種族値合計が高かったりもする。 |
0637 | ウルガモス |
イッシュチャンピオン・アデクの切札でもあるたいようポケモン。中国語名が「火神蛾」となっており、見た目も伝説のポケモンと勘違いしがちなみためで、おまけにメラルバからの進化レベルは59。しかし意外にも550族であり、ウインディやフラージェスに負けている。 しかし公式が明言して「元々強いポケモン」を意識して作られただけのことはあり、特攻・特防・素早さが高水準で優秀な専用技と優秀な積み技も持つ。 |
0681 | ギルガルド |
人とポケモンを支配して自分のための国を作ったという恐ろしい伝承を持つおうけんポケモン。英語名はアイギス、独語名はデュランダル、仏語名はエクスカリバーを含むなどそのへんの伝説ポケモンより伝説している。やみのいしを使う珍しい石進化ポケモンでもある。 しかし600族ではなく、種族値合計は第7世代まで520族、第8世代以降は500族にナーフされている。……ポケモンでは珍しいナーフがされているのには理由があり、このポケモンは戦闘中にブレードフォルムとシールドフォルムを使い分けるフォルムチェンジをするポケモンであり、ブレードフォルムのときは攻撃と特攻が150 (140) で防御と特防が50、シールドフォルムのときは防御と特防が150 (140) で攻撃と特攻が50になる。つまり実質種族値720 (680) の逆600族詐欺であり、第7世代までは「実質アルセウス」「むしろアルセウスよりもある意味で上」と称されるレベルのおかしな種族値をしていたのである。 |
0884 | ジュラルドン |
発売前のPVでバンギラスと戦っていた第8世代出身のごうきんポケモン。怪獣みたいな見た目にキョダイマックス持ち、更にはがね・ドラゴンとディアルガと同じタイプを持つドラゴンとして話題となった。キバナの切り札でもある。 恵まれた見た目であるが種族値合計は535族で、ラグラージと被っている。非進化でドサイドンやラグラージレベルと考えれば悪くはないが……。特性もヘヴィメタル・ライトメタル・すじがねいりとダブルでは多少活かせるかなくらいのなんともいえない特性ばかり。 第9世代では600族のブリジュラスに進化したことで、脱・偽600族となり、特性も技も優秀なものを獲得した。一方で、既存の600族と比較して進化があまりに簡単でかつ経験値タイプも他の600族より育てやすいということから「600族とはなにか」論争が起きてしまった。実際、海外における600族を示すグループ『Pseudo-Legendary Pokémon (=似非伝説ポケモン) 』にはブリジュラスは含まれていない。 |
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- なし
- 0
- 0pt