Windows 11とは、米国マイクロソフト社が開発するWindows 10の後継バージョンに当たるNT系のオペレーティングシステムである。
概要
元々はWindows10の機能アップグレード「21H2(2021年後半に提供される予定の機能アップグレード)」として開発され、開発者向けにも提供されていた。しかしこのバージョンは新機能の追加に加えてユーザーインターフェースも刷新されている為、主にマーケティングの観点から「Windows 11」という新しいブランド名を付けたものと考えられている。[1]
2021年6月24日にマイクロソフトから発表され、2021年10月5日から対応しているPCには無料アップグレードが実施(今の所期限は設定されていない)、Windows11を搭載したPCの販売も開始されている。
システム要件
CPU | 第8世代Core、第2世代Ryzen以降で周波数1GHz以上で2コア以上の64bitCPU(またはSoC) |
メモリ | 4GB以上 |
ストレージ | 64GB以上 |
システムファームウェア | UEFI,セキュアブート対応 |
TPM | 2.0対応 |
グラフィックカード | DirectX 12以上に対応しているGPU |
ディスプレイ | 9インチ以上の8ビットカラー,720p以上のディスプレイ |
インターネット接続 | 個人向けのWindows 11 Pro と Windows 11 Homeで初期設定時、Sモードの解除、一部の機能や更新、ダウンロードを行うためにMicrosoftアカウントと必須。 |
Microsoftアカウント | 初期設定時の他に一部の機能の利用のために必須。 |
Windows 11のシステム要件について詳しく確認しておきたい場合は、Windows 11 の仕様 - Microsoft で確認することができる。
なおメインメモリの記載はOSを最低限動かす為に必要な容量が4GBなので普通に使う場合は8GB、出来れば16GB用意しておくと良い。3Dゲーム用途の場合は24GB~32GBは用意しておくと良い。
動作条件は厳密に決められており、CPUについてはintel製では2017年後半以降、AMD製は2018年中盤以降に発売された製品が必要で、TPM2.0(TPMは「Trusted Platform Module」の略で、システムが使う暗号化機能)も必須になっている。[2]
マイクロソフトはWindows 11の製品ページで「PC 正常性チェック アプリ」を公開しており、これをダウンロードして実行することで、手元にあるPCがWindows 11に対応しているかどうかを確認できる。当初はWindows11の発表と同時に公開されていたが改良のために一旦提供を中止、2021年9月に改めて公開された。
※マイクロソフトでは、自己責任でCPUとTPM2.0のチェックを回避してWindows 10からWindows 11にアップグレードする方法を公開している。[3]
エディション
エディション名 | エディション説明 |
---|---|
Home | 一般向け。 リモート機能やドメイン参加などに制限がある。 |
Pro | ビジネス・上級者向け。リモート機能やドメイン参加の使用、BitLockerなどの機能が使用できる。 |
Pro for Workstations | ビジネス向けの中でもワークステーション端末向け。 スペック上限がProよりもさらに高く設定されている。 |
Enterprise | 大企業向け。Insider Previewも別のものとなる。 |
Education | 教育機関向け。HomeおよびProからアップグレード可能。 |
IoT Enterprise | POSや制御端末などの組み込み向け。組み込み用の機能が搭載されている。 |
大型アップデート
現在までにリリースされている大型アップデートは下記の通り。
赤色:サポート期間終了済み
橙色:サービス中の過去のバージョン
黄緑:サポート中の最新バージョン
バージョン | リリース日 | ビルド番号 | サポート終了日 | 備考欄 | |
---|---|---|---|---|---|
Home,Pro, Pro Education, Pro for Workstations |
Enterprise, Education, IoT Enterprise |
||||
21H2 | 2021年10月5日 | 22000 | 2023年10月10日 | 2024年10月8日 | リリース開始。 |
22H2 | 2022年9月20日 | 22621 | 2024年10月8日 | 2025年10月14日 | Windows11 2022 Updateにて配信。 |
23H2 | 2023年11月1日 | 22631 | 2025年11月11日 | 2026年11月10日 | Windows11 2023 Updateにて配信。 |
Windows11からアップデートは年一回となり、それに伴い旧バージョンであるWindows10のアップデートも同様のものとなった。
内部バージョン番号はWindows 10と同じNT 10.0となっている。現在の最新ビルドは 10.0.22631.xxx。
Windows 10との違い・新機能
Windows 11 は Windows 10 と同じパワーとセキュリティを備えていますが、デザインを刷新し、装いが新たになりました。また、新しいツールやサウンド、アプリが加わりました。細部にまでこだわったデザインです。これらが統合され、お使いの PC に新たなエクスペリエンスをお届けします。
UIが大幅に変更になるが、中身は基本的には同じらしい。
ただ、一部このバージョンアップに合わせて廃止になる機能もあり、おそらく互換性を損なう変更なのでメジャーバージョン番号を上げたのだと思われる。
Androidアプリ対応(サポート終了)
Androidアプリを実行するためにWindows Subsystem for Android(WSA)が用意されており、Androidアプリは「Amazonアプリストア」アプリからインストールする。
ただ、WSAのサポートは2025年3月に打ち切られることが発表されている。Amazonアプリストアも既に新規インストールすることはできず、同時期の2025年3月にサービスを終了する。[5]
32ビット版廃止による64ビット版への統一
Windows 10のシステム要件と異なりハードウェアの要件が64ビットと明記されており、32ビット版は廃止された。スマホもミドルレンジ機で6GB積む時代に4GB未満しかメインメモリを扱えない32ビット版の必要性を問われていたのでこれで良かったのだろう。
インターネットエクスプローラーの廃止
一般向けのWindows 10では、IEは2022年6月15日にサポート終了になるとされているが、Windows 11では始めからIEが存在しない。なお企業向けのWindows 10では2025年以降もIEサポートがあるらしい。
Skype & People標準での非搭載化
2011年に85億ドルで買収したSkypeはWindows 8.1, Windows 10には標準搭載されていたが、Windows 11では標準搭載されずストアからダウンロードする必要がある。
誰も使ってなかったPeopleもタスクバーから除去され、これらの代わりのコミュニケーションツールとしてMicrosoft Teamsが組み込まれる。
スタートメニューのフォルダ
「名前付きグループやアプリのフォルダーには対応しなくなり、レイアウトは現状ではサイズ変更できません。」とのこと。Windows 8でスタートボタンが廃止された時のことを思い出す。
タブレットモードの廃止
スマートフォン向けにWindows Phoneがどうとか言っていた時期に、Winodws 8, Windows 10ともUIがスマートフォン向けを意識していた気配があった。タブレットモードもその一環であったと思われるが、Windows 11では廃止される。
Intelがスマートフォン向けATOMチップの開発中止をしたり、ARM版Windowsが不人気だったり、2画面向けWindows 10Xが開発中止になったりで、スマホ・タブレット関連は逆風続きだが、Windows 11ではタスクバーのアイコンが中央に寄った新しいUIはやはりスマホ・タブレット方面を意識しているようで、まだ諦めていないのかも知れない。(執筆者は左下に戻した。)
ローカルアカウント(Home Editionのみ)
Home Editionについては、初回セットアップにMicrosoftアカウントによるインターネット接続が要求される。セットアップ後にログアウトできるかもしれないが、いずれにせよローカルアカウントでの利用者に厳しい仕様になる。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
- *Windows 11発表。年内提供予定でWindows 10からは無償アップグレード 2021.6.25
- *Windows 11「今すぐ移行か、待機か」判断のポイントは? 2021.10.9
- *Windows 11非対応のPCでもアップグレードできる方法を米Microsoftが紹介 ただし自己責任 2021.10.7
- *最近のアップデートで、Core2 Duo等LGA775系CPUがWindows11新バージョンの更新に失敗したという報告も上がっている。導入は買い替えも含めて慎重に
- *「Windows Subsystem for Android」のサポートが2025年3月5日で終了 2024.3.6
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