概要
国鉄の路線無煙化のために投入された電気式のディーゼル機関車。
機構が複雑で性能の割りに高価であったこと、エンジン出力が不足していた[1]など、 課題も多かったため後発のDD51に取って代わられたほか、本来とって代わられるはずだった蒸気機関車(C57型など)が、故障したDF50の代走として日豊本線のブルートレインを引っ張るという鉄ヲタホイホイな珍しい現象も起こっている。
どんだけ出力が足りなかったかというと、この機関車で牽引される季節運転の急行「きのくに」が、白浜~和歌山間を走る間に途中御坊駅でディーゼル急行「きのくに」に追いぬかれ、さらに和歌山駅では1時間6分後に白浜を出発するその次の「きのくに」が僅か6分後にまで迫られていた(=つまり所要時間がちょうど1時間遅い)ぐらい(なお、和歌山駅でEF58にバトンタッチするため、天王寺駅までは1分差でかろうじて逃げ切っていた)。
DF50の出力がちょうど電車の電動車1両分程度の出力しか無かったため、例えば(写真で見る限り実際にあった)客車7両牽引の場合、さしずめ1M7Tで電車を走らせるようなものであった。それくらい非力であったということである。
しかし、トンネルが多く乗客も乗員も蒸気機関車の煙で真っ黒になっていた路線では、乗員の負担や危険を減らし乗客の旅を快適にするなど、確たる実績も残した。
晩年は九州南部・紀伊半島・四国などで列車を牽引し、1985年に全ての車両が引退した。現在は愛媛県西条市の四国鉄道文化館(1号機)や大阪市東淀川区の菅原天満宮公園(4号機)、岡山県津山市の津山まなびの鉄道館(18号機)で実機を見ることができる。
そもそも『電気式』って何ぞや
エンジンで発電機を回し、得られた電気でモーターを回して走る方式。そんなことしなくても普通にエンジンで得られた回転で直接動輪回したらええやんと思うかも知れないが、実は1000馬力級の力に耐える『変速機』を『小さく』作るのはとてつもなく難しい。変速するための歯車が力に耐えられないのである。これは21世紀になった現代でも変わらず、ちょっと脱線するが戦車で1500馬力級のエンジンを「変速機込みで自前」で実用化に成功した国が今のとこ日本とドイツとしかないという現状がそれを如実に表している。[2]あ、1200馬力ならロシアとウクライナとイギリスが実用化してたな。なんかイギリスはもう作れないという噂が聞こえてるけど。
DF50は当時の日本では適当なエンジンを作ることができなかったため、0番台はスイスのスルザー社製、出力向上版の500番台はドイツMAN社製エンジンをライセンス生産した物を搭載し、これによって発電機を回して直流モーターで走行していた。
後にエンジンも国産でいいのができ、変速機も大馬力に耐えうる液体変速機ができたため次期主力機関車となるDD51は液体式を採用。電気式のDF50は本州から駆逐され四国に追いやられることになる。
電気式が再び脚光を浴びるのは1992年、DF200の出現による。その出力は1957年製造開始であるDF50の実に3倍以上であった。
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関連項目
脚注
- *最高出力は機関車1両につき600kw=トルク面なども考慮すると単純比較はできないが、僅か201系の電動車1両分に等しい最高出力でしかなかった。ちなみに馬力換算だと810馬力になる。
- *イスラエルのメルカバ戦車はアメリカ製エンジンとドイツ製ミッションの組み合わせ。アメリカのエイブラハムは特性がモーターに近いガスタービンを採用。フランスのルクレールは普通のディーゼルとガスタービンのハイブリッド。中国の98式はドイツ製を輸入。韓国K2は自前で作ったら見事に炎上、おとなしくドイツ製にしよっかという話が聞こえている。
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