フランチェシク・ロムスキー(Francesk Romsky)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。CV.仲村秀生。
自由惑星同盟が銀河帝国に屈するという事態に際してエル・ファシルの独立運動を主導、エル・ファシル独立革命政府の指導者となる。799年末から翌800年6月初頭までの約半年間、ヤン・ウェンリーの最後の上司となった。
肩書は「主席」のはずだが、「政府の代表」「政府首班」「議長」など呼ばれ方が一定しない。地の文などではむしろ「ロムスキー医師」と呼ばれていることも多い。
少なくとも宇宙暦788年にはエル・ファシル本星に医師として在住していた。この頃、体の弱かったグリーンヒル夫人を何度か診察したり、フレデリカ・グリーンヒルからホットコーヒーとサンドイッチを振る舞われたことがある。「コーヒーは嫌いだから紅茶にしてくれればよかった」とは言わなかったらしい。
エル・ファシルの戦いの後の「エル・ファシルの奇跡」にあたっては、エル・ファシル脱出の軍側責任者となったヤン・ウェンリー中尉に民間から協力し、その活動を助けている。
ロムスキーが世に出るのは、その11年後のことになった。宇宙暦799年5月、母国である自由惑星同盟が銀河帝国に屈し、バーラトの和約により建国の理想を失って属国に身を落とすと、彼は民主共和政治の理想を守るため革命家に転身。志を同じくする人々の先頭に立ち、同年8月13日に恒星系エル・ファシルの分離独立を宣言、自治政府主席の座についた。
そのエル・ファシルに、ハイネセンを脱出し流亡の軍勢を率いていたヤン・ウェンリーが姿を現したのは12月9日のことであった。民主国家の英雄であり、同時にエル・ファシルの軍事力を飛躍的に強化することとなるヤンの合流をロムスキーは歓迎し、エル・ファシル独立革命政府主席に加えて自ら軍事委員長を兼任してエル・ファシル革命予備軍を率いるヤンと連携する姿勢を取った。
革命予備軍司令部がヤンの謀略によって奪取したイゼルローン要塞に移動した後も、ロムスキーはエル・ファシルで独立政府首班としての職務に精励。しかし皇帝ラインハルトの直率する帝国軍がヤン・ウェンリーと対決するためバーラト星系からイゼルローン方面への全面侵攻を開始すると、ロムスキー以下の独立革命政府首脳部はエル・ファシルの無防備を宣言した上でイゼルローン要塞へと避難することとなる。
その後に発生した回廊の戦いには関与しなかったものの、戦後に皇帝ラインハルトがヤンとの会見をのぞみ、ヤンがそれを受け入れると、ロムスキーもそれに同行することとなった。この時ヤンは民主主義制度下の軍人として政府の代表であるロムスキーに諮ることをせずに会見をうけてしまっており、その負い目もあってなにかとロムスキーを立てる必要があったのであるが、この事がロムスキーに悲劇を呼ぶこととなる。
6月1日未明、巡航艦<レダⅡ>で会見に向かう途上の一行は、アンドリュー・フォーク予備役准将の襲撃を受けた。これに対し、駆けつけた帝国軍駆逐艦がフォークの乗り組む武装商船を破壊、「ヤン提督にあいさつがしたい」と称して接舷を希望した。前述の引け目から判断を一任されたロムスキーは、ごく紳士的にそれを受け入れる。しかし接続したハッチに現れたのは、ヤンを暗殺せんとする地球教徒であった。
ロムスキーの側近たちの主張で軍人が外交・渉外から外されたため、この時ハッチに出迎えに出たのはロムスキー以下の文官たちのみであった。ブラスターをつきつけられたロムスキーは相手を諭そうとしたが、いきなりの発砲を受ける。咽喉の最上部を貫通した光線により、頸骨と神経線維の束を破壊されての致命傷であった。ロムスキーを殺害した男もまた、直後に発生した<レダⅡ>での射撃戦でスーン・スールの手によって死亡している。
その後、ユリアン・ミンツらが救援に駆けつけヤン以下主要軍人の遺体を回収したが、ロムスキーほかの文官たちの遺体は回収されず、放棄された<レダⅡ>とともに宇宙を彷徨う事となったのだった。
民主主義の擁護に燃える理想家肌の革命政治家であったが、理想が先に立ちがちで、判断力や実務能力についてはけして十分とはいえなかった。現実処理能力にもいまいち欠けており、「自由惑星同盟正統政府」を名乗ることを真剣に提案する、銀河帝国との妥協・共存案に難色をしめすなど、連携するヤンと意見の食い違う事もあった。しかし理想によって人々を牽引する、あるいはそういった雰囲気を作り出す力は確かに持っていたようで、指導者を失った後の独立政府はそのまままとまりを失い、革命運動の責任を死したロムスキーに押し付ける形で解散している。
また、ロムスキーが良心的な人物であることは疑いようがなく、ヤンにも「基本的に善良で、策謀や嫉視と無縁の人間」と評価されている。これに加えてヤンが「ロムスキーの欠点は、だいたいにおいて笑って許容しうる範囲におさまるものとみなしていた」という証言もあり、両者の意見の食い違いが対立に発展するようなことはなかった。この長所は回廊の戦い直前に政府運営委員のひとりから「ヤンの身柄と引き換えに自治を認めさせる」という低次元の策略を提案された時にも発揮されている。彼は「そんな恥ずべきことは私はいやだ」というごく個人的な羞恥心によって提案を却下し、かつてジョアン・レベロ議長を殺したロックウェルと同じ扱いを受けることを回避したのである。
そしてなにより、ロムスキーは紳士であった。
だが、それゆえの判断が、結局のところ彼の死に繋がったのである。皮肉というべきであろうか、彼の最期の言葉は「ヤン・ウェンリーはどこにいる?」という脅迫にたいしてあきれたように返した
あなたたちがなにをのぞんでいるのか知らないが、銃をつきつけるとは非礼でしょう。まず銃をしまいなさい
という、彼の長所と短所双方が現れたひとことであった。
掲示板
36 ななしのよっしん
2023/10/22(日) 01:29:54 ID: tnclAwd5oE
同盟政治家達は腐敗がまずあって、最後のレベロは変節が本当醜いものだったから、医師であり本業じゃない的に能力不足をどれだけ言及されようが、全然相対的に良く見えたな。
37 ななしのよっしん
2023/12/22(金) 14:14:06 ID: ZgxCicXltr
エルファシルを生きている間まとめられていた点は既に指摘されているが、「後世の史書でヤンを賛美するために、ロムスキーは殊更無能として描写された」という考察もあった。
物語上、ロムスキーはお飾りでヤンが実質的トップみたいに扱われているが、ヤンの本来の思想から見ればそれ自体非常におかしな話。
それを正当化するために、「ロムスキーはヤンに任せるしかない無能で、ヤンも任されざるを得なかった」と言う形を取ったという説。
38 ななしのよっしん
2024/01/24(水) 21:08:17 ID: Eok/LAXLAm
フジリュー版銀英伝のこの人やや出しゃばりに改変されてるな。事あるごとに代表は私だと主張して地球教徒に殺害される時も自分を差し置いてヤンの行方を問われた時ムッとして自分が代表だと言おうとした瞬間に撃たれてるし。
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/23(火) 19:00
最終更新:2024/04/23(火) 19:00
スマホで作られた新規記事
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。