ヤシオリ作戦とは、映画「シン・ゴジラ」に登場する作戦の名称である。
劇終盤、ゴジラに対抗するため、自衛隊と米軍、および民間企業の総力を結集して行われた一大作戦。
作戦名の由来や説明については説明が多い本作ではめずらしく劇中では語られていないが、日本神話にてヤマタノオロチを討つ際、酔わせるために用いられた酒「八塩折之酒(やしおりのさけ)」であることが公式記録集「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」にて語られている。
なお、当記事ではヤシオリ作戦に関連する用語「矢口プラン」についても解説する。
当作戦を要約すると『薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!』作戦と呼べる。結城スペシャルへのオマージュを思わせる所もある。
人間の8倍もの遺伝子情報を持ち、個体での進化および無生殖増殖を行い、死をも克服する「完全生物」ゴジラ。生半可な攻撃では効果をあげられないうえ、それに対する反撃により東京は壊滅的な被害を受けてしまう。日本政府に残された選択肢は、国際連合の多国籍軍による熱核攻撃を容認しゴジラを滅却するか、「ヤシオリ作戦」によりゴジラの活動を凍結させるか、のいずれかのみとなった。
熱核攻撃開始までのカウントダウンが始まり、そのタイムリミットが迫る中、ついに里見内閣総理大臣の承認のもとヤシオリ作戦が実行に移された。
ヤシオリ作戦の中核を成す要素として、内閣官房副長官・矢口蘭堂が率いる巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)のメンバーが計画した「矢口プラン」の存在がある。これは、完全生物ゴジラのメカニズムを逆手に取った手段である。
ゴジラは体内に「熱核エネルギー変換生体器官」と呼ばれる生体原子炉を有しており、核分裂により発生させたエネルギーで生命活動を行なっている。その際の排熱処理は血液流による循環冷却にて行われているが、この循環冷却に不全が発生した場合、メルトダウンを防ぐために生体原子炉が自らをスクラム(強制停止)させ、結果、ゴジラの全身は急激に冷却され凍結してしまう。この仕組みを利用し、血液凝固剤を投与してゴジラを凍結させようとする試みが矢口プランである。
劇中で成分の選定と精製を行い、ゴジラへと投与した血液凝固剤ならびに抑制剤の詳細は下記の通り[1]。
名称 | 構成主成分 |
---|---|
血液凝固剤 (GBC-A140-F6) |
合剤「カフタルスK」、凝固促進剤、ビタミンK製剤、フィトナジオン、凝固因子製剤、濃縮血液凝固第VIII因子、濃縮血液凝固IX因子、血液凝固因子抗体迂回活性複合体、血液凝固第IX因子複合体、フィブリノゲン、血液凝固第VII / オプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)、血液凝固第VIII因子 / エクトコグアルファ(遺伝子組換え)、血液凝固第VIII因子 / ルリエクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、トロンビン、爬虫類血漿由来乾燥血液凝固第XII因子、静脈瘤硬化剤、メナテトレイン、抗プラスミン剤、テムネキサム酸、カルバクロムスルホン酸ナトリウム水和物、ナドレノクロムモノアミングアニジンメシル酸水和物、酢酸デスモプレシン、ポリドカノール、モノエタノールアミンオレイン酸塩、酵素止血剤、ヘモコアグラーゼ |
抑制剤(GM-AIP01) | Chilas1124、CKBP(CK506)、チラス水和物、クァロラムヴェニコール、スレイトマイシン、アンフォシンリテA、ベミノール、ロクシヘキシミド、オルフェリン、エノファロム、ソルグリセリン、フォトンブラッド水和物、デルタ-333 |
なお余談として、上記の通り、抑制剤主成分のいくつかは特撮作品「仮面ライダー555」の用語のパロディとなっている。関連して、抑制剤製造メーカーの名称は「Smart Brain Peculiar Chemicals Pharmaceutical Company」、住所は「茨城県つくば市桜新町9-13-555」となっており、こちらも同作品のパロディである。
ヤシオリ作戦は、前述の矢口プランを実現するために、自衛隊と米軍、そしてその協力部隊が実行するものである。
当初、自衛隊から矢口蘭堂へ提示された作戦名は「巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要綱」であったが、「長いですね…」という矢口の判断により、現在の名称へと決定している(なお、他の候補として「ゴジラ凍結作戦」という名称も挙がったものの、こちらは「子供っぽい」という理由で却下されている)。
劇中盤、放射火炎を使用しエネルギーを消耗したゴジラは東京駅で活動を停止。生体原子炉によるエネルギーチャージのため休眠状態となっていた。そこを舞台として当作戦は策定され、ゴジラが目覚めるまでの間に周囲の環境が入念に整えられていった。
作戦の内容は、ゴジラへ経口にて血液凝固剤を投与するという目標を達成するための陽動と無力化に終始している。無力化は、囮となる無人機をゴジラにけしかけ、放射火炎をわざと使用させ消耗を狙う内容である。段取りはおおまかに下記の5段階。
作戦実行中のコンティンジェンシープランとして、ゴジラが暴れた場合は、E231系/E233系電車に爆薬を搭載した「無人在来線爆弾」という予備の攻撃手段を準備している。それに併せて特殊建機中隊も第2小隊、第3小隊と複数を編成しており、不測の事態に備えている。
劇中では、特殊建機第1小隊での血液凝固剤投与作業中にゴジラが暴れるというトラブルが発生したものの、上記コンティンジェンシープランにて再度ゴジラの動きを封じ、薬剤の全投与およびゴジラの凍結に成功している。
ただし、巨災対のメンバーである尾頭ヒロミが劇中で述べている通り、この凍結によってゴジラは沈黙したものの、果たして死亡しているのかどうかは不明である。
なお、ここで登場するアメノハバキリ(天羽々斬)とは、日本神話にて須佐之男命がヤマタノオロチを討伐した剣のことで、過程は神話とは異なるものの、ゴジラをヤマタノオロチに見立て、八塩折之酒と天羽々斬を用いてこれを討伐する、という矢口の想いが込められているものと思われる。それに関連して、特殊建機中隊のエンブレムはヤマタノオロチとアメノハバキリがあしらわれたデザインとなっている。
掲示板
337 ななしのよっしん
2023/04/22(土) 22:11:15 ID: KcGN2/pXl5
>>327
ヤシオリより元ネタの84年のカドミウム弾の方が有効。
中性子減速材を飲み込ませて原子炉停止に追い込むと言う、冷却凍結機構と言う仮定に依存しない、シンプルで確実な作戦。ゴジラを寝かす必要もない。
ゴジラを昏倒に追い込み、ソ連原潜の核ミサイルによるEMPショックが無ければそのまま倒せてたはず。なんで再現しないのか不思議でならない。
338 ななしのよっしん
2023/11/28(火) 23:11:46 ID: 88WqXrOpVI
放射線を吐かされまくって体力が落ちてるとはいえ、高層ビルの瓦礫ぐらいであの巨体が本当に転倒するのか見るたび気になってる
339 ななしのよっしん
2023/12/04(月) 19:15:08 ID: UhoYaqJ0mO
>>338 ビルはスカスカで見た目より軽いけど、崩れかかったら運動エネルギーは相当なものがあるからゴジラも倒れると思う。ってか重さで言えばゴジラが自重を支えてるのも相当キツイのでは?
雪は水より相当軽いけど屋根から落ちて来た雪には倒されるし埋まったらほぼ動けなくなる。
ゴジラは普通に立っちゃったけど。
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最終更新:2024/12/26(木) 21:00
最終更新:2024/12/26(木) 21:00
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