天才ギュウジン丸の隠された最終計画。それは「不死」「原始」「宇宙」、3つのS級侵略者を合体させ、最強のSSS級侵略者「天災」を生み出す事だったのだ!
天災 デドダム(ディザスター デドダム)とは、TCG『デュエル・マスターズ』に登場するクリーチャー(キャラクター)カードである。
天災 デドダム P 水/闇/自然文明 (3)
クリーチャー:トリニティ・コマンド/侵略者 3000
このクリーチャーが出た時、自分の山札の上から3枚を見る。そのうちの1枚を手札に加え、1枚をマナゾーンに置き、残りの1枚を墓地に置く。
DMBD-10 「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 SSS!! 侵略デッドディザスター」で登場したトリニティ・コマンド/侵略者。3文明のマナを必要とする3コスト獣という、普通に召喚するにはちょっと難しい側面こそあれ、たった3コストで「ドロー」「マナブースト」「墓地肥やし」ができる軽量コマンドというとんでもないカードパワーを誇る。
そのカードパワーから発売前から現在に至るまで低評価を受けることはなく、環境に与えた影響は大きい。また収録された商品の都合もあって高騰し、デュエル・マスターズプレイヤーたちの間で良くも悪くも話題に上がりやすい存在である。
アグロデッキなんかでは例外気味だが、通常3コストクリーチャーといえば、初動札、つまりデッキの動きをはじめるにあたっての準備という側面を持つことが多い。デュエル・マスターズの初動といえば、例えば3コストなら《アクア・ハルカス》や《青銅の鎧》が挙げられるであろう。前者は3コストで1枚ドローできる水文明のクリーチャー、後者は3コストで1マナブーストできる自然文明のクリーチャーである。
では《天災 デドダム》はどうか?このカードは3マナで1枚ドローし、1枚マナブーストし、1枚墓地を肥やせる。普通ならもっとコストの掛かる仕事量をわずか3マナでできるという点で高く評価されるのである。
ちなみに過去に同じ仕事量のカードは《パイレーツ・チャージャー》や《無敵死神ヘックスペイン》が存在する。前者は水/闇の4マナ、後者は闇/自然の7マナであり、到底《天災 デドダム》のコストパフォーマンスに敵うものではない。
上記のようなメリットを語ったところで、「そうは言っても3色揃えなきゃいけないんでしょ?」と思うことだろう。しかしそもそも論として《天災 デドダム》自身が3色なので、だったらこいつをマナに置いてやればマナゾーンにしっかり色が揃う。都合のいいことに、自然文明というのはマナゾーンを増やすだけでなく、マナゾーンからクリーチャーを場に出したり手札に回収するカードも多く、マナゾーンに置くことがデメリットになりにくい。
そして3色3コストということで、実は「文明指定」や「多色指定」「コスト指定」の効果を受けられる。わかりやすいケースだと《守護炎龍 レヴィヤ・ターン》や《瞬閃と疾駆と双撃の決断》、《凶鬼03号 ガシャゴズラ》、果てはあの《蒼き団長 ドギラゴン剣》にまで踏み倒してもらえる。
このクリーチャーの種族は『トリニティ・コマンド』である。このコマンドという種族群は「侵略」というギミックと密接に関わっている。この「侵略」とは、指定された条件のクリーチャーの攻撃時に重ねて進化できるという、登場した際にはかなりの好評を得たギミックであり、特に条件として指定されたのが「コマンド」であった[1]。
通常の「侵略」は手札からコストを支払わずにバトルゾーンに出せる効果であり、手札を増やす《天災 デドダム》の効果とは相性がいい。それだけにとどまらず、マナゾーンから「侵略」を行える「S級侵略[原始]」や墓地から「侵略」を行える「S級侵略[不死]」「S級侵略[轟速]」という派生能力もあるためなおさらそのマナゾーンや墓地にも影響できる《天災 デドダム》とは相性がいい[2]。
なお《天災 デドダム》の初収録セットはまさにその「侵略」をテーマとしたデッキであり、進化先として《SSS級天災 デッドダムド》というクリーチャーが同時収録されている。この《SSS級天災 デッドダムド》の効果である「SSS級侵略[天災]」とも相性がいい。つまり「侵略」と相性がいいのは当然であり、もともとそういうデザイナーズコンボなのである。
ここまでのメリットを持っていれば、過去にデュエル・マスターズをプレイしていた者は「じゃあパワーは1000くらいだろうな」と思うことだろう。しかしこのカードはパワー3000とマナコストに見合う水準程度はパワーを持つ。このためクリーチャーの除去能力や軽量除去呪文では対象にならないこともある。無論まったく対応策がないわけでもないが、「すでに仕事を終えた軽量クリーチャーを除去するためだけに、デッキコンセプトを崩してでも除去をデッキに投入するか」「本来大物相手に撃つべき除去札を軽量クリーチャーに撃つか」という点で葛藤を生む。とはいえ放っておけば「侵略」の下敷きになって大暴れするので対処を強いられる。
この《天災 デドダム》は登場前から多くのプレイヤーに高く評価された。カードショップ『flat-工房』代表のflat-氏はそのカードパワーを見て「コラかと思った」
とまで称えている。
しかしそんな《天災 デドダム》が収録されたDMBD-10 「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 SSS!! 侵略デッドディザスター」は早々に売り切れてしまい、再販もなされなかった。結果として、《天災 デドダム》は1枚3000円にまで高騰。収録された他のカードも当時高騰しており[3]、収録されたカードの合計金額が元のデッキの販売価格の3倍にまで膨れ上がっていた。チャンピオンシップのプロモーションカードにも選出されたが、チャンピオンシップ自体が新型コロナウイルス感染症の蔓延により開催が難しくなってしまったことでCSプロモの流通量も少量に留まり、余計に高騰を助長する結果となってしまう。
《天災 デドダム》は水/闇/自然のいわゆる「アナカラー」の強化札として見られており、【アナカラーデッドダムド】のほか【アナカラーシャコガイル】、【5色コントロール】といったデッキに投入されていたが、《天災 デドダム》への過剰な評価から全く色が合わない【赤白ヴァイカー】などのデッキに投入されたこともあり、そして恐ろしいことにそれでもある程度は活躍してしまったために相場がどんどん高騰していたのだった。その後も【4色鬼羅.Star】や【オカルトアンダケイン】などのTier1~2デッキに絶えず採用され続け、ついには6000円程度で取り扱うショップも登場。
あまりの活躍ぶりに「《天災 デドダム》は規制されるのでは」という声もあり、実際殿堂発表前にはやや安くなることもあったが、殿堂入りしていない。このため、殿堂発表後は(殿堂入りしなかったため更に高騰することが見込まれるという理由から)メルカリの出品者たちは相次いで「デドダムを紛失して」取引をキャンセルしたという逸話もある。
この高騰劇により、プレイヤー間でも「初動札の《天災 デドダム》が高いんじゃとてもじゃないがデュエル・マスターズを続けたり、人に薦めたりできない」と話題になる。《天災 デドダム》はTier1デッキはおろか、色が合うならファンデッキでも入るようなタイプのカードであり、それゆえにそのカードが高止まりしている状態を嫌厭する者は多かったのである。しかし、これに対して心無い一部のプレイヤーたちが「見えている強カードを最初の段階で入手しないのが悪い、自己責任だ」「もし販売終了後に新規ではじめたというのなら覚悟して買うべきだ」等と発言、これに反発したプレイヤーたちとの間で罵倒合戦が繰り広げられる事態にも陥る。
《天災 デドダム》に限らず、トレーディングカードゲームというものはどうしても強いカードは高騰する性質があり、そういった相場の変動があるからこそカードショップという商売が成り立つ面はある。デュエル・マスターズに限っても高騰劇そのものは初めての話ではなく、古くは《ガイアール・カイザー》が高騰したことで「資産ゲー」と揶揄され、その後も《暴走龍 5000GT》や《熱血星龍 ガイギンガ》《超戦龍覇 モルト NEXT》など高騰したカードはいくつもある。
しかし上記のようなカードはいわば「デッキの核」、あるいはフィニッシャーと呼ばれるような性質のカードであったり、主人公の切札としてメディアミックスでもフィーチャーされるようなカードであった。しかるに、《天災 デドダム》はメディアミックスで使用者がいるわけでもなく、そもそも初動札という立場であった。有名プレイヤーのZweiLance氏も「当時フェアリーライフが4500円したら、今ZweiLanceはいません。
」「収録デッキの未開封の転売品買った方が安い」と発言するほどであった。
遊戯王で例えるなら「《レスキューラビット》や《水晶機巧-ハリファイバー》が1枚5000円くらいしたら、それでも遊戯王を続けたり始めたりするだろうか」という話である。しかもそれを4枚買う必要があるのである。
なお《天災 デドダム》の登場した2019年(超天篇)の時期はこの後も「5000円のルールブック」と揶揄された《全能ゼンノー》など、切札と言い難いカードの高騰が目立った。《全能ゼンノー》の場合は妨害札であり、これはこれで遊戯王で例えるなら《灰流うらら》や《原始生命態ニビル》が5000円するようなものである。
無論「強すぎたから」というのもあるが、一番の理由は「すぐに再販も再録もできないから」というのがある。まず再販に関してだが、最初から流通量が多かったのなら問題はなかったのだろうが、公式も販売見込みを低めに見積もっていたのか、流通量が少なかった。このような場合、すぐに再販をしてしまえば相場は落ち着くのだが、ここで「高騰している時にいきなり再販すると値崩れが大きすぎてショップへの影響が甚大である」という点を踏まえないといけない。
「ショップよりエンドユーザーのほうが大事だろう」と言いたくなる人もいるだろうが、TCGというのはプレイする人(エンドユーザー)だけではなく、プレイする場(カードショップ)がないと一定のシェアを築くことは難しい。現に、ゲートルーラーというTCGが開発者・池田芳正氏の問題発言・問題行動を理由に取り扱いショップを減らしていった結果、プレイヤー数も多く確保できなかったという事例が存在する。
デュエル・マスターズは「値段が低く扱っても利益にならない」ことを理由にカードショップから嫌厭されてしまった過去があり、開発陣としても市場に与える影響には敏感にならざるを得ない事情はあったものと推察される。
「じゃあある程度の期間過ぎたら再録すればいいじゃない」と思うかもしれないが、ここでデュエル・マスターズの開発手法が妨げとなる。デュエル・マスターズの開発は常に1~2年スパンで行われており、ブロック構築というフォーマットの存在もあって「ある時点で特定のカードが高騰したので急遽再録します」がやりにくい。また再録もある程度の市場の納得感を得なければならず、あまりに早い再録だとショップはもとより、高い値段で買ってしまったプレイヤーからも反感を得てしまう。
先に罵倒合戦、と記述したものの、実際には罵倒合戦というレベルでは済まされない言葉が飛び交ったこともあり、プレイヤーの中にはその当時のことを振り返って「酷い時期だった」と評する者もいる。
《天災 デドダム》を早期に4枚確保した者は、買えないと嘆く者に対して「貧乏人」呼ばわりするに留まらず、「情弱」「アフガキ[4]」「デドダムは令和の人権札」「デドダムを持っていないプレイヤーには人権はない」とまで批難するほどであった。それに対して言われた側も黙っておらず、「デドウヨ[5]」などと反論する事態になっていた。
デュエル・マスターズは小学生向けホビーであり、それを一緒に遊んでいる大人たちが発言していいセリフではないため[6]、この騒動を冷ややかに見たり、問題視する層も多かった。
《天災 デドダム》が本来入らないようなデッキにも無理やり投入される、という《宝船の巡航》や《王冠泥棒、オーコ》のような事態になっていたが、これは裏を返せば「《天災 デドダム》の初動の速度についていけないデッキは環境から落伍してしまう」という可能性が浮上したからというのも大きい。
要は極端に特定カラーが強化されることで、他のカラーが弱くなるという懸念が生まれたからこそ何にでも《天災 デドダム》が投入され、挙句替え歌
にされる事態に陥ったのである。
ひとつに、公式は1年8ヶ月の期間を経て《天災 デドダム》を再録。この頃でもなお一部プレイヤーはこの再録を批判していたが、大多数のプレイヤー、そしてカードショップはこの再録を歓迎していた。小売と大多数のプレイヤーの支持を得られるまで待ちつつも、時期を見計らい再録を敢行。Twitterでは「デドダム再録」がトレンドになるまでになった。
もうひとつが「王来篇で各色にデドダムを配布」である。要は、各色の初動に《天災 デドダム》のようなパワーカードを収録することでバランスをとったのである。実は《天災 デドダム》の登場した超天篇のあと、十王篇は珍しくそこまでインフレしなかったことでプレイヤーの購入へのインセンティブが小さくなってしまうといいう問題も発生していた。半ばかつての不死鳥編のような状態だったのである。そこで、当時も極神編・戦国編でやったようにインフレを起こし、インフレによる購買意欲の刺激と《天災 デドダム》高騰解決を一石二鳥で行ったのである。
その結果水・火・自然には《Disノメノン》、光・闇・自然には《Disゾロスター》、光・水・火には《Disクチック》などと言った「《天災 デドダム》並のパワー」を持つ初動札が登場したのである。
さらに王来MAXでは黒トレジャーという再録枠を置くことでデドダムを再配布。これは2弾続けて行われ、供給量はぐんぐん増えている。
こうして《天災 デドダム》の騒ぎは落ち着きつつも、やっぱり強いことは強いので現在でも環境で大いに活躍している。
SSS級天災 デッドダムド P 水/闇/自然文明 (8)
進化クリーチャー:トリニティ・コマンド/S級侵略者 11000
進化:水、闇、または自然いずれかのクリーチャー1体の上に置く。
SSS級侵略[天災]:水、闇、または自然のコマンド(自分の水、闇、または自然のコマンドが攻撃する時、バトルゾーン、自分の手札、墓地、マナゾーンにあるこのカードをその上に重ねてもよい)
W・ブレイカー
このクリーチャーを別のクリーチャーの上に重ねた時、相手のクリーチャーを1体選び、持ち主の墓地かマナゾーンに置く、または手札に戻す。
《天災 デドダム》はこのカードとのデザイナーズコンボで生み出されたカードであり、設定的には《SSS級天災 デッドダムド》の進化前の姿、と言えるだろう。このカード自体環境において非常に優秀なフィニッシャーとして活躍している。
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