「本当の」と書いてはいるものの、前に書いた内容が完全に間違っているわけではない。なぜか存在するアイテム欄やダッシュ操作に違和感を抱くかもしれないが、プレイヤーがある行動をしない限り、このゲームは楽しい教育学習ゲームであり続ける。
その行動は「問題を間違える」こと。一度でも問題を間違えると、バルディ先生の表情は一変。定規を片手で打ち鳴らしながら、プレイヤーを捕まえようとする。捕まったプレイヤーがどうなるのかは定かではないが、良からぬことになるのは容易に想像がつくだろう。
問題に間違わなければ良いと思うかもしれないが、そうはいかない。2冊目のノートの時点で、どうやっても解答しようがない問題が表示される。どんな問題だろうと間違った時点でバルディ先生は怒るので、プレイヤーは彼から逃げるしか選択肢がないのだ。
そう、このゲームの正体は、教育学習ゲームの皮を被った鬼ごっこホラーゲームである。もともとはitch.ioが主催したゲームジャムで準グランプリを獲得した作品。ネット上で配布されると口コミで話題となり、ダウンロード回数は100万回を突破。海外では多数のMODや二次創作が作られ、ミュージカル動画が製作されるまでに至った。ゴア表現があるわけでも、陰湿なホラー要素があるわけでもないのだが、かつてのコンピューターを知る世代の記憶を掘り起こす、独特の雰囲気を持ったホラーゲームとなっている。
ちなみに、一応ストーリーがあり、「HOW TO PLAY」から確認できる。
Oh noes! School is out, but your friend has a problem!
He left all his notebooks in school, but doesn't have time to go get them, because if he does he'll be late for eating practice. To help him out, you have to go back in the school and find all his notebooks for him. It won't be easy though! Baldi loves challenging his students with fun trivia problems whenever he can! Each time you find a notebook, you'll have to answer some questions.
大変!学校は終わりなのに、友達に問題があるみたい!
彼は学校にノートを全部置いてきちゃったけど、取りに行く時間がない。取りに行ったら食事に遅れてしまうからね。彼を助けるために、あなたは学校に戻って、彼のノートを全部見つけてあげなければなりません。簡単なことじゃないけどね!バルディは面白い雑学問題で生徒を試すのが大好き!ノートを見つけるたびに、あなたはいくつか問題に答えることになるでしょう。
To win the game, you must find 7 notebooks, and then exit the schools! You have to have fun too, of course!
ゲームに勝つためには、7冊のノートを見つけて、学校を出る必要があります! もちろん、あなたも楽しまなくてはいけませんよ!
いや自分で行けよ。
大好評だったため、リリース後も何度かアップデートが行われ、新キャラクターやアイテムの追加、インターフェイスの調整が行われた。
2018年7月には新モード「Baldi's Basics - Field Trip」の体験版がリリースされた。Baldiと一緒にキャンプに出かけ、焚き火を3分間絶やさないように薪を集めるといった内容となっている。
リリースから一年後の2019年4月1日には、一周年記念仕様の「Baldi's Basics Birthday Bash」がリリースされた。ゲーム内容に大きな違いはないが、各所にカラフルな風船が置かれ、バースデーパーティーの賑やかな雰囲気になり、ホラー感が薄れている。また、本編をクリアすると、全てのキャラクターがプレイヤーを祝福してくれる。
2020年6月12日、「Baldi’s Basics Plus」がSteamにて早期アクセスを開始した。様々な新キャラクターやランダムイベントが追加されているが、最大の特徴はローグライク要素を取り入れたこと。プレイする度にマップがランダムに生成され、アイテムやキャラクターの配置もその都度異なるものとなっている。
Baldi
Oh, hi! Welcome to my Schoolhouse.
今作を象徴するキャラクター。最初は非常に優しいのだが、一度でも問題を間違えると、学校から脱出するまで延々と追いかけてくる理不尽な一面を持つ。定規を叩きながら追いかけてくるので、音でどれくらい迫っているのかが分かるようになっている。追いかけるスピードは問題を間違える度に上がっていくのだが、どうやら上限がないらしく、問題に間違えまくるとものすごい速さで襲いかかってくる。聴覚が優れており、プレイヤーがドアを開けた音から位置を特定しているようだ。英語のBald(ハゲ頭)が名前の由来と思われる。
全てのノートを集めると、プレイヤーを褒めた後
G E T O U T W H I L E Y O U S T I L L C A N !!!!
と怒鳴り散らし、校内が真っ赤に染まる。最後に目指す出口は一つを除くとダミーであり、近づくまで判別できない。この段階だと既にバルディの追跡スピードも速くなっているため、有用なアイテムを揃えておかないとクリアがかなり厳しくなる。
Field Tripモードでは、帽子とリュックを背負った彼に出会える。夜のキャンプファイヤーで焚き火を切らしてしまうと、ものすごい勢いで襲ってくる。沸点低くね?
Playtime
Let's play!
子どもの落書きのような見た目をした少女のキャラクター。彼女が近くにいる時はオルゴールの音楽が聞こえる。
プレイヤーを見つけると一目散に寄ってきて、無理矢理縄跳びで遊ばされる。スピードが速いため、ダッシュで撒くことは不可能。縄跳び自体はスペースキーを押してタイミングよく跳ぶだけなので難しくないが、5回連続で成功させることを強いられる上、バルディが目の前にいようがお構いなしにやらされるので、慣れないうちはかなり焦る。アイテムのSafety Scissors(安全ハサミ)を持っていれば、縄を切って中断することができる。Playtimeは英語で学校の休み時間を意味する。
Principal of the Thing
Detention for you!
顔とポーズが非常にムカつく校長先生。時折吹いている口笛も絶妙にウザい。
校内のあちこちを見回りしており、校則違反は絶対に許さない。彼の前で走ったりBSODAを飲んだりしようものなら、即座に捕まえられ、自身のオフィスに閉じ込められてしまう。最初は15秒で済むが、捕まる度に秒数が加算されていく。もちろんバルディは問答無用で追いかけてくるため、待っている時間は心臓に悪いことこの上ない。また、Bullyがプレイヤーを通せんぼしているのを見つけると、(いじめは許されないので)Bullyをどこかへ連れ去り、道を空けてくれる。なお、彼のオフィスには各キャラクターの額縁と説明文が書かれており、校長については、校則を破ったものに罰を与えるのが生きがいと書かれている。
Principalには校長、Principal of the Thingには「物の道理」といった意味がある。
It's a Bully
What!? No items? No items, no P A S S……
名前通り(Bully)のいじめっ子。雑に描かれたジャイアンのような姿をしている。
どこかしらで道を塞いでおり、アイテムを1つ渡さないと通してくれない。Gotta sweepや1st Prize、BSODAに押されないという頑固な一面を持つが、唯一の弱点はPrincipalで、彼に見つかるとどこかへ連れ去られてしまう。
Gotta Sweep
Gotta sweep sweep sweep!!
言葉を話す巨大なほうき。ノートを2冊回収してからしばらくは掃除用具入れでじっとしているのだが、一定時間が経つとものすごいスピードで校内を掃除し始める。プレイヤーだろうがバルディだろうがお構い無しで押し流すため、敵でもあり味方でもある存在と言える。
Arts and Crafters
目玉と口をつけた靴下を腕につけ、パペットのようにした謎の存在。
最初は何もしてこない存在だが、プレイヤーがノートをすべて集めると一変。プレイヤーが視界に入ると襲いかかってくるようになる。捕まってしまうと、バルディのすぐ近くまでワープさせられるため、目も当てられないことになる。
1st Prize
ver1.3から追加されたキャラクター。
動力源と思わしきハートを取り囲むように骨組みが組まれ、顔と手、車輪がくっついている謎のロボット。こんな見た目でも科学コンテストで優勝したロボットらしい。
こちらを発見するとゆっくりと回転し、加速しながら何かにぶつかるまで突進し続ける。捕まってしまうと抜け出すのが難しく、Gotta Sweepと同様にバルディの元まで押し込められる可能性もある。しかし、上手く利用すればプレイヤーを意図した方向に加速させることができるため、いかに利用するかが重要となる。Safety Scissors(安全ハサミ)があれば拘束から抜けやすくなる。