メイケイエールとは、2018年生まれの日本の競走馬である。
2021年クラシック世代を代表する狂気の牝馬。
父ミッキーアイル、母シロインジャー、母父ハービンジャーという血統。母名でピンときた人もいるかと思われるが、母の母は白毛馬初の重賞ホースであるユキチャンであり、その母シラユキヒメを祖とする白毛一族と同じファミリーである。もっともメイケイエールは祖父ディープインパクト由来の鹿毛だが。
父はマイル・短距離戦線で活躍したディープインパクト産駒でこれが初年度産駒。母父はキングジョージなどを勝って種牡馬として来日、ディアドラやノームコアを輩出しまずまずの成績を収めている。
「メイケイ」の冠名を掲げる馬主の名古屋競馬株式会社は、全国9か所の中央競馬レース場の一つ・中京競馬場の施設管理を業務とする企業。他の8レース場が全てJRA直営な中で唯一外部企業としてレース場をJRAへ貸し出しており、同時に中央競馬の企業馬主も務めるという割と珍しい企業である[1]。
潤沢な資金を持つわけではない名古屋競馬(株)は、2019年のセレクトセールで牡馬を探していたが、めぼしい牡馬はどれもこれも高額で手が出なかった。そんな折、世話になっていた武英智調教師から「牝馬でいいのがいるよ」と紹介され、2808万円(それでも同社にとっては相当の大盤振る舞いだったとか)で競り落としたのがメイケイエールである。馬名は同社の伝統で社内公募され、「みんなにエールを与える馬になって欲しい」ということで名付けられた。
8月、福永祐一を鞍上に小倉競馬場でデビュー。新馬戦では行きたがるそぶりは見せたが内枠もあってそれほど極端ではなく、直線はスッと持ち出されて豪脚を披露。1200m戦なのに持ったまま5馬身差をつける圧勝を決める。
同じ舞台のGⅢ小倉2歳Sでは武豊に乗り替わり。前走以上に引っかかった上に大外を回らされたが、直線では再び鋭い末脚を発揮、1番人気モントライゼを難なくかわして重賞初制覇を飾る。
3戦目は地元関西に戻ってのGⅢファンタジーS。200m距離延長となったこのレースもやはり外で派手に引っかかり早々と先団に進出。しかしまたも直線では手応えの違う脚で後続馬を振り切り3連勝を飾る。
4戦目はさらに距離を延長したGⅠ阪神JF。重賞2勝の実績は上位だったが、距離延長が不安視され3番人気にとどまる。1番人気は同じく重賞2勝を含む3戦全勝、しかも同じシラユキヒメの一族でこちらはきちんと白毛のソダシである。
大外枠からのスタートとなったメイケイエール。やはり道中は相当掛かったが、これまでのキャリアの中では比較的スムーズな競馬になる。しかし1600mでこのロスは大きく、直線で一時は先頭に立つ勢いだったが最後に脚色が鈍り4着。初黒星を喫した。
阪神JFでワンツーのソダシ、サトノレイナスが桜花賞に直行する中、メイケイエールはトライアルのチューリップ賞に出走。気性面の不安は明らかだったが出走馬のうち重賞ホースは自身のみ。さすがに格が違うとあって1.6倍の断然人気に推される。
8番枠から発走してインを確保・・・したまではいいのだが、周囲を囲まれるやエキサイト。その掛かりようはこれまでの比ではなく、「ロデオ」どころか「獅子舞」とまでコメントされるほどの暴れようを見せる。結局武豊も抑えるのを諦め、3角で先頭に立つめちゃくちゃな競馬。直線に入った頃には全く手応えがなくなった・・・ように見えたのだが、後続各馬が追ってきてもなかなか先頭を譲らない。結局内で粘ったエリザベスタワーともつれるようにゴール板を通過。判定の結果1着同着となり、重賞3勝目を手にした。しかしこれで35年連続重賞勝利(!?)となった武豊の表情はさえず、地力の差で勝ったには勝ったが課題がさらに大きくなったトライアルとなってしまった。
本番の桜花賞。中間に武豊が負傷離脱というアクシデントに見舞われ、代打としてクセ馬操縦に定評がある自分の方がクセが強い横山典弘を鞍上に迎える。気性の不安は尽きなかったが実力と実績からは見限るわけにもいかず、またノリならなんとかするんじゃないかという期待もあり3番人気に支持される。
またちょうどこの頃、歴代競走馬を擬人化した美少女キャラによるレースゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が爆発的なブームを起こしており、この話題を受けた名古屋競馬の中西社長が「是非ともメイケイエールもウマ娘に加えて欲しい」と発言。同ゲームのファンからもにわかに注目を浴びることになった。
だがしかし、当日はシャドーロールやメンコ等の矯正器具を全て外す全ての拘束を解除しての出走という奇策にでる。レース前から制御不能な状態で、ゲートで立ち上がり出遅れ。さらにノリも早々に諦めるほどの掛かりようでまたも道中先頭に立つ大暴走。直線では早々にガス欠し、最下位18着の大惨敗。おまけにハミ受け不良で調教再審査まで食らい、さすがのノリも「競馬以前の問題」とバッサリ。ずっと囁かれながらなんだかんだ乗り越えていた不安が最悪の形で噴出し、また「ウマ娘」をきっかけに競馬を見始めた初心者には「出遅れ」「掛かり」[2]がどういう状態なのかをまざまざと見せつける結果となってしまった。
桜花賞のこの結果を受け、陣営はオークス出走を回避し、スプリント路線転向を表明。平地調教再審査も無事にパスし、鞍上には武豊が戻って8月最終週のキーンランドカップから再始動。折しもこの年の夏競馬ではソダシ、ヨカヨカと同期の3歳牝馬たちが次々に重賞で古馬を撃破する快進撃を続けており、その流れもあってか不安視されつつも実績のある古馬や同期牝馬のレイハリアらを抑えて1番人気に推される。
勝ち負け以前に果たして無事に走ってくれるのか、誰もが期待半分不安半分で見守る中迎えたレース本番だったが……
結果はゲートで出遅れ、掛かりまくって強引に馬群に割り込み、道中早々に先頭に立った末に直線でガス欠してズルズル後退と、まるで桜花賞のコピーのようなレース展開で、勝ったレイハリアに0.3秒差をつけられる7着と完敗。武豊の操縦もあってか前走よりかはいくらか落ち着いていたものの、相変わらずの暴れぶりを見せつける結果に終わってしまった。レース後には武も「難しい馬。返し馬までは落ち着いていたのに輪乗りで気合が入り過ぎた」と肩を落とすしかなかった。
次走はスプリンターズステークスを検討している模様だが、結果が結果だけに不透明。ソダシ、ヨカヨカ、レイハリア、更にユーバーレーベン、サトノレイナス、アカイトリノムスメと、同期牝馬が実力と華を兼ね備える黄金世代と目され始めた中で、重賞実績では筆頭格ながらすっかり置いていかれつつあるが、果たして気性難を乗り越えそのポテンシャルを再び見せることが出来るだろうか。
| ミッキーアイル 2011 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
サンデーサイレンス | Halo |
| Wishing Well | |||
| ウインドインハーヘア | Alzao | ||
| Burghclere | |||
| スターアイル 2004 芦毛 |
ロックオブジブラルタル | デインヒル | |
| Offshore Boom | |||
| アイルドフランス | Nureyev | ||
| ステラマドリッド | |||
| シロインジャー 2013 白毛 FNo.2-w |
ハービンジャー 2006 鹿毛 |
Dansili | デインヒル |
| Hasili | |||
| Penang Pearl | Bering | ||
| Guapa | |||
| ユキチャン 2005 白毛 |
クロフネ | フレンチデピュティ | |
| ブルーアヴェニュー | |||
| シラユキヒメ | サンデーサイレンス | ||
| ウェイブウインド |
クロス:サンデーサイレンス 3×4(18.75%)、デインヒル 4×4(12.5%)
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最終更新:2025/12/07(日) 06:00
最終更新:2025/12/07(日) 06:00
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