ヴィアシスティーナ (Via Sistina)とは、2018年生まれのアイルランド生産でイギリス・オーストラリア調教の競走馬である。
主な勝ち鞍
2022年: フィユドレール賞(
G3)
2023年: プリティーポリーステークス(
G1), ダリアステークス(
G2)
2024年: ランヴェットステークス(
G1), ウィンクスステークス(
G1), ターンブルステークス(
G1), コックスプレート(
G1), チャンピオンズステークス(
G1)
2025年: ベリーエレガントステークス(
G1), ランヴェットステークス(
G1), クイーンエリザベスステークス(
G1), ウィンクスステークス(
G1), コックスプレート(
G1), チャンピオンズステークス(
G1)
父Fastnet Rock、母Nigh、母父Galileoという血統。
父はライトニングステークスとオークリープレートの優勝馬。種牡馬としては多くの活躍馬を輩出しており、オーストラリアでリーディングサイアーにも輝いた。また、シャトル種牡馬としてアイルランドにも繋養されており、QualifyやFascinating Rockといった活躍馬を送り出している。
母父は説明不要のヨーロッパの名馬にして大種牡馬。
2018年3月27日にアイルランドにて誕生。生産者はLaundry Cottage Stud Farm。馬主はMrs R G Hillen。イギリスのジョセフ・ツイート厩舎に預けられた。
デビューは遅めの5月でサークス競馬場の未勝利戦でサム・ジェームスを背にデビューして3着。続いてグッドウッド競馬場の条件戦にてジム・クローリーを背に初勝利を挙げた。
その後は7月のマルレ賞(G2)にウィリアム・ビュイックを鞍上に迎えて出走するも10着に敗れるも、10月のニューマーケット競馬場の条件戦を鞍上ジェイミー・スペンサーで制して2勝目を挙げた。そして11月のギリーズフィリーズ(L)は13着に敗れた。
古馬初戦は8月のウィンターヒルステークス(G3)でデーン・オニールを背に出走して4着に敗れた。次は10月のプライドステークス(G3)にスペンサーを背に出走して2着に入った。
そして11月のフィユドレール賞(G3)を外から交わし去ってグループ競走初制覇を果たした。
5月のダリアステークス(G2)に出走。直線で各馬が一杯に追われるなか1頭だけ突き抜けて2着のAl Husnに6馬身差を付ける圧勝でグループ競走連勝とした。
そして7月のプリティーポリーステークス(G1)ではG1初挑戦ながらも単勝オッズ2.5倍の1番人気で出走となった。発馬の際に行き脚が付かずに後方2番手の位置取りで中間点を通過することとなった。しかし直線では馬群の切れ目を通って大外に持ち出すと豪脚を炸裂させ、2着のStay Alertに2馬身差を付けてグループ競走3連勝でG1初制覇を果たした。
だだ、残り2ハロンから斜行して続けたことによってStay Alertと4着馬のRosscarberyが被害を受けるがそのまま確定。Stay Alert陣営が異議申し立てをするも着順を改善することは不可能だったとして棄却となった。
その後は7月のファルマスステークス(G1)に1番人気で出走したがNashwaから大きく離れの3着。8月のジャンロマネ賞(G1)でも1番人気で出走したが、Mqse De Sevigneとの競り合いにハナ差で負けて2着に敗れた。
10月のチャンピオンステークス(G1)はオイシン・マーフィーを背に4番人気で出走。重い馬場のなか直線でも手応えよく、残り1ハロンで叩き合いから1頭抜け出すが、後方から脚を伸ばすKing Of Steelにゴール前で差し切られてしまい3/4馬身差の2着に敗れ去った。
タタソールズ繁殖牝馬セールにて270万ギニー(約5.2億円)でYu longグループに売却され、馬主がYu long Investmentsに変わり、イギリスのジョージ・バウヒー厩舎からオーストラリアに移籍。あの世界的名馬であるWinxを始めとしてVerry ElleegantやNature Stripといった多くの名馬を手掛けたクリス・ウォーラー厩舎に預けられた。
移籍初戦となったのは3月のランヴェットステークス(G1)で、オーストラリアの名手ジェームズ・マクドナルド(以後は基本的に彼が騎乗)を背に1番人気で出走した。最後方の6番手での追走から直線に入ると、大外に持ち出して追い出しを開始。末脚を炸裂させると2着争いを横目に交わし去り、同じく移籍組のPlace Du Carrouselに1.2馬身差を付けての快勝。移籍初戦で2度目のG1制覇を挙げた。
その後は秋の大一番である4月のクイーンエリザベスステークス(G1)に単勝オッズ1.85倍の1番人気で出走。後方3番手から最終コーナーで2番手集団に並び掛けるも大逃げを打ったPride Of Jenniには程遠く、必死で猛追するも到底届かず6.54馬身差の2着に敗れた。
8月のウィンクスステークス(G1)にケリン・マカヴォイを背に出走。1400mという距離が不安視されて6番人気タイの評価に留まった。しかし中団後方の9番手の追走から内埒沿いを通って進出を開始。直線では馬群の内を最短距離を通って前に迫り、押し切りを図ろうとするZougotchaを0.07馬身で際どく差し切り、1400mという短い距離への対応力を見せて3度目のG1制覇を挙げた。
続いて9月のマカイビーディーヴァステークス(G1)に鞍上をマクドナルドに戻して1番人気で出走するも、Mr BrightsideとPride Of Jenniの一騎打ちから離れた5着と完敗を喫した。
機を取り直して10月のターンブルステークス(G1)ではダミアン・レーンを鞍上に2番人気で出走。12番枠からの発馬から中団後方あたりの馬群の外に付けて追走。直線に向かって進出を開始するも後ろから勢いよく来たBuckarooと叩き合いとなり、一度は交わされるもそれを差し返して0.2馬身差で勝利。追い比べをきっちり制して4度目のG1制覇を決めた。
その後はコックスプレートを予定していたのだが、最終追い切りでマクドナルドが落馬。空馬となったまま暴走してコースを約3周も走り切ってしまった。このため状態を考慮して管理するウォーラーは出走の可否は当日に決めることになった。
こうして迎えたコックスプレート(G1)の当日に陣営は出走を決断。落馬したマクドナルドも無事に鞍上を務めることとなった。レースにはマイル路線の王者Mr Brightsideやこれまで何度か苦杯を舐めさせられてきた快速逃げ馬Pride Of Jenniといった強豪が集まり、日本からもG1初制覇を狙うプログノーシスが参戦した。JRAオッズでは6.0倍の4番人気の支持を受けた。
レースは想定通りPride Of Jenniが逃げて、ヴィアシスティーナは7番手を追走。中盤で少し位置取りを上げて仕掛ける準備を行い、残り700mから捲って一気に前方との差を詰めにかかる。最終コーナーのところでPride Of Jenniとプログノーシスをまとめて飲み込むと、約170mほどの短い直線を突き抜けて完全なる独走態勢。鞍上のマクドナルドが早々に腰を上げてガッツポーズを決めるという舐めプ余裕を見せながらも、2着のプログノーシスに8馬身差を付ける圧勝で5度目のG1制覇を挙げた。そして早すぎたガッツポーズにはお仕置きとして2000豪ドル(日本円にして約20万円)という尋常じゃない額の過怠金が科されるオチがついた。
走破時計の2分1秒07は2017年のWinxを1秒87も更新するトラックレコード。8馬身差も2016年にWinxが記録した着差レコードに並ぶ破格のパフォーマンスであった。
このパフォーマンスは世界からも高い評価を受け、2024年のロンジンワールドベストレースホースランキングでは127ポンドという年間1位のCity Of Troy(128ポンド)に次ぐ評価を受けた (ただし彼女は牝馬のため、セックスアローワンスとして4ポンド減となっていることを踏まえると、実質的には131ポンドの評価を受けていたことになる)。
その後は豪州恒例の中1週でチャンピオンズステークス(G1)(旧マッキノンステークス)に参戦。当然ながら圧倒的な1番人気の支持を受けた。7・8番手の追走から最終コーナーで大外を通って進出を開始。残り300mで楽々と抜け出して、鞍上が振り返る余裕も見せてAtishuに2.75馬身の完勝で6度目のG1制覇を挙げた。
秋は2月のアポロステークス(G2)から鞍上マカヴォイで始動して1番人気に推されるも、馬群から抜け出すのに手間取って差し届かず、僚馬Fangirlの3着に敗れて連勝は途切れた。
続いて3月のベリーエレガントステークス(G1)に鞍上をマクドナルドに戻して参戦。レースは縦長と馬群となりヴィアシスティーナは中団の5番手に構えての追走で機を伺う。直線に入ってからは馬場の中央から伸びて先行馬を捕らえて先頭に立つと、外から追い上げるFangirlの追撃を0.36馬身差で封じて勝利。雪辱を果たして7度目のG1制覇を飾った。
連場を狙って出走したランヴェットステークス(G1)では、逃げ馬から5馬身ほど後ろの3・4番手の位置で追走して、最終コーナーから進出を開始。押し切りを図るLindermannを交わして残り200mで先頭に立ってそのまま快勝。危なげのない走りで8度目のG1制覇を連覇で飾った。
シーズン最終戦は大一番クイーンエリザベスステークス(G1)。一昨年の覇者Dubai Honourやオーストラリアンカップを制したLight Infantry Man、マイルG1・2勝のCeolwulf、日本からはローシャムパークとジオグリフが参戦。前年の雪辱を果たせるかどうかに注目が集まっていた。
本番は日本オッズ・現地オッズ共に1番人気を背負い、1番ゲートよりスタートするも出遅れ気味のスタートとなってしまう。なんとか持ち直して中団の内ラチ沿いの位置を確保し、そのまま4角を向いたものの、前は壁になっており絶体絶命。このまま万事休すか……と思いきや、鞍上マクドナルドはジオグリフが垂れて出来たわずかな隙間を見逃さず、指示を受けたヴィアシスティーナもそこを目掛けて一気に加速をかけ、馬群の突破に成功する。突破した後はもうぶっちぎるのみである。追いすがるDubai Honourに1と3/4馬身差を付け、前年の雪辱を果たす9回目のG1勝利を挙げた。
オーナーはこの勝利に際し、「ロマンチックウォリアーと芝2000mで現役最強のレースをしたい
」とコメント。対決を目指していくならば、既にあちらが目標と表明している香港カップなどがその機会の候補にあがるが、果たして年末の遠征に出るのか、彼女の動向に今後も目が離せない。そしてもし対決が実現した場合、ロマンチックウォリアーとヴィアシスティーナのどちらに騎乗するのかという究極の選択を迫られるマクドナルド騎手はどうするのだろうか。
総じてこのシーズンは1年で七つものG1勝利を挙げる凄まじい活躍となり、7歳にして豪州現役最強牝馬としての地位を確固たるものとしたのであった。
2025/26シーズンも現役続行。初戦は連覇の懸かるG1ウィンクスステークス。
この日のロイヤルランドウィック競馬場は24時間降水量42.4mmという土砂降り明けだったこともあって馬場状態は不良も不良、芝コースは最悪値のHeavy 10であった。ヴィアシスティーナは1番ゲートからそつなくスタートをこなし後団に構え、内ラチ沿いを淡々と追走。4角では馬場を考慮してか各馬が外に持ち出す中、ヴィアシスティーナは内を綺麗に旋回しロス無く立ち回って直線入りで先団につける。馬場に足を取られてか伸びあぐねる外の馬群を傍目に加速していき、最後はヴィアシスティーナをガッツリマークしてきた同厩のAelianaとの追い比べに突入するも、追撃をきっちりクビ差封じ込めてゴール。連覇を成し遂げ、G1勝利数も遂に大台の10に到達した。なお、オーストラリアで8歳牝馬がG1勝利を挙げたのは1945年にTranquil Starがマッキノンステークスを勝って以来、80年ぶりの出来事であった。オーナー曰くこれでも仕上がり7割
とフルの調子ではなかったらしい。マジで?
ところが翌月のマカイビーディーヴァステークス(G1)では少々掛かり気味になってしまったところにスローペースの前残り展開を作られ、過去負かしたMr BrightsideとAelianaにまさかの3着敗戦。連覇の懸かった10月のターンブルステークス(G1)でも3着と、豪州移籍後初の連敗を喫してしまう。「衰えが来てしまったのだろうか……?」との風評も囁かれつつ、昨年全世界に衝撃を与えたコックスプレートへ向かうことになった。
迎えたコックスプレート(G1)。会場のムーニーバレー競馬場はこのレースを以ってコース形態を変更するほどの大規模リニューアル工事に入ることが決定しており、これが旧コースで行われる最後のコックスプレートとなった。彼女の現地オッズは連敗による不安が顕れてか、1番人気に支持されるも単勝2.2倍に留まった。
ヴィアシスティーナは好スタートを切り、いつもの中団へ。1000m64秒ほどのペースを追走しつつ、残り800mからNepotismに着いていく形で仕掛け始め、4角で先団に取り付き、これが正真正銘最後となるムーニーバレー名物の超短直線へ全てを懸けに出る。最後はこれまた彼女をマークしてきた同厩のBuckarooと激しい末脚比べとなるも、アタマ差凌ぎきりゴール。ウィンクス以来となる同レースの連覇を成し遂げ、鞍上のマクドナルド騎手もヒュー・ボウマン騎手以来となる同レース4連覇の快挙となった。なんで4連覇騎手が2人も居るんですか?
なお最後のレースを終え、観客の"Horses"大斉唱
で締められたムーニーバレー競馬場では馬場開放が行われ、日本の馬場開放と同じく人の突発かけっこが始まったり
、役目を終えたラチを協力して破壊し持ち帰ったり
とフリーダムな光景が繰り広げられたそうである。
その後はまたも中1週の過酷ローテでこれまた連覇の懸かるチャンピオンズステークス(G1)に参戦。
1.8倍と再びの単勝オッズ1倍台を背負い、10番ゲートからスタートしたヴィアシスティーナはすっと後方へ。前半1000m67秒ほどのかなり遅いペースになるも、彼女はそこからじわじわと位置を上げていき、直線入りで先団に追いつく。馬場状態はHeavy 9とかなり悪かったが、Heavy 10の極悪馬場すら踏破する彼女のパワーの前には些細な問題である。外に持ち出していた彼女の前に遮るものは無し、そのままぐんぐん加速して残り300mで先頭に立ち、鞍上も後ろを振り返り、最後は流しながら2着に2.75馬身差と完全なる昨年の再演で連覇を成し遂げた。
なお、鞍上マクドナルドが直線で振り返ったのはリードの確認のためではなく、まさかの舌を出しての「あっかんべー」で後続を煽るためであった
。案の定口頭注意は食らったけどマックのことだし多分全然反省してないんじゃないかな。
次走は不明だが、12月の香港国際競走には香港カップと香港ヴァーズへの予備登録が確認されており、順調ならば香港遠征に出る未来もありそうだ。昨シーズン末の展望実現に向け動き出すのか、続報を待ちたい。
これまで何度か日本馬とも対戦しているヴィアシスティーナであるが、彼女にはもう一つ日本との縁がある。
2024年初頭にヴィアシスティーナを購入した現オーナーのYu longグループは、オーストラリアとのシャトル種牡馬として供用されているパンサラッサの豪州側のバックアップを担っているのだが、実は彼女はその一環としてパンサラッサとの交配相手に購入された
馬なのである。そう、言わば彼女はパンサラッサの許嫁なのだ。繁殖目的で購入した牝馬を豪州で走らせてみたらあれよあれよとG1勝利を量産し、遂には世界的にも現役最強牝馬と評される馬になってしまった、オーナーの心境やいかに。
彼女の豪州移籍後の大活躍により日本のゴールドシップ・ロータスランド夫妻であったような「許嫁が強すぎてなかなか嫁に来ない」現象が発生しているが、彼女とパンサラッサの交配が実現した場合、どのような子が産まれるのか、楽しみにしたいところである。
| Fastnet Rock 2001 鹿毛 |
*デインヒル 1986 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer |
| Pas de Nom | |||
| Razyana | His Majesty | ||
| Spring Adieu | |||
| Piccadilly Circus 1995 鹿毛 |
*ロイヤルアカデミーII | Nijinsky | |
| Crimson Saint | |||
| Gatana | Marauding | ||
| Twigalae | |||
| Nigh 2010 鹿毛 FNo.1-t |
Galileo 1998 鹿毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
| Fairy Bridge | |||
| Urban Sea | Miswaki | ||
| Allegretta | |||
| Native Force 1998 鹿毛 |
Indian Ridge | Ahonoora | |
| Hillbrow | |||
| La Pellegrina | Be My Guest | ||
| Spanish Habit |
クロス:Northern Dancer 4×5×4×5(18.75%) 、Natalma 5×5×5(9.38%)
▶もっと見る
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/12(金) 11:00
最終更新:2025/12/12(金) 11:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。