乾くるみ

乾くるみ（いぬい くるみ）とは日本のミステリー作家である。女性のような名前だが、男性。名前の由来は小説中の同名の登場人物（さらに言えばその名前の元ネタは”ぬいぐるみ”）である。

概要

「竹本健治の代表作『匣の中の失楽』を全く同じ設定で色物にしたら」という作品『匣の中』をメフィスト賞に応募するが、落選。次作の『Jの神話』で1998年にめでたく受賞＆デビューを果たす（浦賀和宏、積木鏡介と同時デビュー）。
ちなみに『Jの神話』は「全寮制女子高を舞台にした本格百合ミステリと見せかけたエログロバイオホラー」というかなりのトンデモ作品であり、『コズミック』『六枚のとんかつ』に続き「メフィスト賞はイロモノ」という評価を不動のものにする。

2004年に発表した『イニシエーション・ラブ』と『リピート』が高く評価され代表作となる。その後『イニシエーション・ラブ』は2007年に出た文庫版がベストセラーとなり、人気作家になった。デビューからしばらくは寡作だったが、『イニシエーション・ラブ』が売れ出して以降は短編集を中心にコンスタントに新刊が出ている。

作風は言葉にできないがなんとなく後味が悪いものが多く、作品によっては幸福なバッドエンドを体験することができる。また、短編ではやたら凝った暗号ネタを好んで書き、短編集にはたいてい1本は暗号ネタの話が入っている。

表紙にタロットカードを1枚ずつあしらった一連のシリーズがある。共通して「天童太郎」という人物が登場し、カードによって内容が暗示されているが、作品同士に深い関連はない。

作品リスト

1. Jの神話 （1998年、講談社ノベルス→2002年、講談社文庫→2008年、文春文庫）
2. 匣の中 （1998年、講談社ノベルス→2006年、講談社文庫）
3. 塔の断章 （1999年、講談社ノベルス→2003年、講談社文庫→2012年、講談社文庫（新装版））　【タロット：塔】
4. マリオネット症候群 （2001年、徳間デュアル文庫）
5. 林真紅郎と五つの謎 （2003年、カッパ・ノベルス→2006年、光文社文庫）　【林四兄弟シリーズ】
6. イニシエーション・ラブ （2004年、原書房→2007年、文春文庫）　【タロット：恋人】
7. リピート （2004年、文藝春秋→2007年、文春文庫）　【タロット：運命の輪】
8. クラリネット症候群 （2008年、徳間文庫）　※『マリオネット症候群』を収録
9. カラット探偵事務所の事件簿 1 （2008年、PHP研究所→2009年、PHP NOVELS→2011年、PHP文芸文庫）
10. 六つの手掛り （2009年、双葉社→2012年、双葉文庫）　【林四兄弟シリーズ】
11. 蒼林堂古書店へようこそ （2010年、徳間文庫）　【林四兄弟シリーズ】
12. スリープ （2010年、角川春樹事務所→2012年、ハルキ文庫）
13. セカンド・ラブ （2010年、文藝春秋→2012年、文春文庫）　【タロット：女教皇】
14. 嫉妬事件 （2011年、文春文庫）　【タロット：嫉妬】
15. カラット探偵事務所の事件簿 2 （2012年、PHP文芸文庫）
16. 北乃杜高校探偵部 （2013年、講談社ノベルス）

関連商品

関連項目

• メフィスト賞
• 小説家の一覧