通常の将棋のルールでは、対局する2人は飛車と角行を1枚ずつ使用する。対して、この動画は一方が飛車2枚、もう一方が角行2枚使用する特別ルールで、コンピュータ将棋プログラムBonanzaに対局させ、その様子を実況したもの。なお、動画中では便宜上、飛車を2枚使う側を“飛車厨”、角行を2枚使う側を“角厨”と呼称している。実況はプロパンゴリラ氏。一手1秒の早い展開に対する忙しない実況も面白く、将棋に詳しくない人にも楽しめる動画となっている。
なお、この記事では印象的な局面や実況の名台詞についても触れるため、ネタバレ注意。
第一局
| 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
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| 四 | ||||||||||
| 五 | ||||||||||
| 六 | ||||||||||
| 七 | ||||||||||
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| 九 | ||||||||||
| ▲持ち駒:なし△持ち駒:なし | ||||||||||
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| 二 | ||||||||||
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| 四 | ||||||||||
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| 六 | ||||||||||
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| 八 | ||||||||||
| 九 | ||||||||||
| ▲持ち駒:金歩二△持ち駒:歩二 | ||||||||||
- 初手▲3六歩(左図の局面)について「おおっと!」「シンメトリーだから7六も3六も変わらないということか」
- 「居飛車 対 居角の将棋となっております。この表現が正しいのか?」
- ▲7三角成(右図の局面)について「いきなり角を切っていった! 角厨の風上にも置けない」
- 終局後には「へぇ~」「てか実況めっちゃむずいな」と本音が漏れる場面も。
第二局
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| ▲持ち駒:歩△持ち駒:なし | ||||||||||
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| ▲持ち駒:歩△持ち駒:歩 | ||||||||||
- 初手▲5六歩について「おおっと▲5六歩! これは……中飛車宣言か!?」
- 「グランドクロスが美しい、シンメトリー」
- 「カニカニ銀、カニカニ飛車が見られるかもしれません」(カニカニ銀は実在する戦法)
- 「▲5八飛車右と……右ってなかなか言わないですね」
- 「この銀を引いて囲いを……そんな気はないでしょう」
- 先手の金銀4枚の囲いのようなものについて「金銀の美しい……美しい? 美しい形だ」
- 飛車先の歩を突いた場面で「▲8四歩と突っかけていったからには何か手があるんでしょう。本当か?」
- 盤中央を示して「ここら辺にラピュタが出来ております」
- 「オールゴールド」
第三局
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| 三 | ||||||||||
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| ▲持ち駒:なし△持ち駒:なし | ||||||||||
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| ▲持ち駒:飛歩三△持ち駒:歩二 | ||||||||||
- △5二飛左(左図の局面)について「おおっとこれは振り飛車! 振り飛車? 振り飛車です」
- 「▲5五角右と……なかなか見ない符号だ」
- 後手が飛車を切って角を手に入れた局面で「飛車厨の風上にも置けない」
- 先手が4枚の駒で飛車を囲んだ局面で「飛車を閉じ込めた! どっちだ、どっちが欲しいんだ」
- 「取るしかない、今流行りの“取るしかない”」
- 複雑な局面に思わず「よく分かりません」「これは何だ、これは……分かりません、まったく分かりません」
- Bonanzaが詰みまで読み切ったことをメタ読みして「いつものやつだ、いつものやつです」
第四局
| 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
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| ▲持ち駒:歩△持ち駒:なし | ||||||||||
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| ▲持ち駒:飛金歩五△持ち駒:なし | ||||||||||
- ▲6八飛右について「四間飛車・向かい飛車のダブルの組み合わせです」「なんと豪華な攻めだ!」
- ▲8八飛寄(左図の局面)について「おおっと! これはロケットだ!」
- 狙いの分かりにくい手について「高度なのか? 本当に高度なのでしょうか?」
- △2八飛打に▲3九玉と強気に受けた局面(右図の局面)で「ぉおっほ! すごい!」
- 「この龍を受けないといけない……受けない! あくまで攻め合い……銀を取って……銀を取らない!」
- 後手が飛車で角を取った局面で「さすが角厨……どっちが角だっけ? 後手が角」
- 「この成銀を抜くための一連の手順だったということか。本当か?」
- 「ここで受けるようでは先手が苦しいのかな? 苦しい……? 苦しいです! おそらく」
- 終局後には「さっさと決まってほしい」と疲れを見せる場面も。
第五局
| 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
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| 三 | ||||||||||
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| ▲持ち駒:なし△持ち駒:なし | ||||||||||
| 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | ||
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| 二 | ||||||||||
| 三 | ||||||||||
| 四 | ||||||||||
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| 六 | ||||||||||
| 七 | ||||||||||
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| 九 | ||||||||||
| ▲持ち駒:なし△持ち駒:なし | ||||||||||
結果
| 一 | 二 | 三 | 四 | 五 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 角厨 | ○ | ● | ● | ○ | ○ |
| 飛車厨 | ● | ○ | ○ | ● | ● |
3-2で角厨の勝利となった。実況のプロパンゴリラ氏は、将棋のタイトル戦になぞらえて「飛車厨から角厨がタイトルを奪取」と表現した。
反応
※以下、肩書・段位は当時のもの。
プロ棋士
片上大輔六段(日本将棋連盟常務理事)は、動画について「すごい才能」と感嘆した[1]一方、中終盤での逆転に注目[2]、改めて将棋の魅力を実感した様子だった。
野月浩貴七段は、ニコニコ生放送で問われた際に飛車側が有利ではないかと答え、今回の結果については意外といった反応を示した。奨励会時代に遊びで指してみたところ、飛車側が全勝したとのこと。両方の角の利きを止めるためにまずは▲5六歩(△5四歩)から5五の位を取り、その後は角によるコビン攻めに気を付けつつ、飛車を縦に並べた棒銀ならぬ棒飛車のような作戦が有効だったと述べた。
ニコニコ生放送中に山口恵梨子女流初段が野月七段と対局してみたところ、飛車側を持っても角側を持っても野月七段に容赦なく攻められてしまい、たまらず「飛車とか角とか関係なく強いほうが勝つんじゃないですか」と発言した。[3]
後日、野月七段もこの動画を視聴し、「一手1秒の将棋をスポーツ実況のように話すのが凄い!」とtwitterで感想を述べている。プロパンゴリラ氏がアップロードした他の将棋動画についても、トーク力や説得力に感心した様子を示した。[4]
将棋愛好家
本将棋において飛車(龍王)と角行(龍馬)は非常に強力な駒であるため、趣味で将棋を指す人、あるいは観る将の人の関心を惹くテーマであり、ランキング上位に入ったことも関係して2月25日頃から急速に再生数が伸びた。この動画を視聴した後、実際にコンピュータに対局させた方も多く、結果飛車側が勝利したという報告もある。また、金と銀、あるいは桂と香ではどちらが強いのかなど盛り上がる様子も見られた。
ちなみに、この動画が投稿される6年以上前に、同様の試みを行った将棋愛好家がおり、3局行った結果すべて角側が勝利したとのこと。詳細は2枚飛車vs2枚角 - マッタリプログラミング日誌
参照。
考察
| 飛車(龍王) | 角行(龍馬) | ※歩兵 | |
|---|---|---|---|
| 谷川浩司九段による評価[5] | 10点(12点) | 8点(10点) | 1点 ※比較用 |
| 佐藤康光九段による評価 | 19点(19+3点程度) | 17点(17+3点程度) |
- 飛車側は玉の囲い方が難しく、攻めに銀を使うと必然的に囲いが薄くなる。また、自陣の2枚の飛車は案外扱いづらい。大駒交換すると、角が持ち駒になる。飛車を持ち駒にするには相手に一度渡さないといけない。
- 角側は同じ筋に角がいるため、桂馬なども上手く活用し一か所を集中して攻める形にしないと機能しづらい。大駒交換すると、飛車が持ち駒になる。角を持ち駒にするには相手に一度渡さないといけない。
関連動画
企画
マイリスト
関連生放送
ニコニコ超会議2016の超囲碁・将棋ブースにて、プロ棋士による飛車2枚vs角2枚の対局が実際に行われた。対局者は佐藤紳哉七段と飯島栄治七段。解説は渡辺明竜王。実況はプロパンゴリラ氏(本動画実況者)が務めた。
関連リンク
- 将棋の「飛車・角」どっちが強い?コンピューターで5番勝負 - J-CASTテレビウォッチ
- 「飛車と角、どちらが強いか」問題の検証実況動画が面白い。飛車厨と角厨のBonanzaが5番勝負 - 将棋ワンストップ・ニュース
- 飛車と角はどちらが強いのか?【将棋世界版】 - マイナビ将棋情報局
- 日本将棋連盟出版部より発行される雑誌『将棋世界』の、2007年5月号に掲載された先崎学八段(当時)と中田功七段の対局企画を扱った記事。先崎学八段が角を2枚使う側、中田功七段が飛車を2枚使う側。
関連項目
脚注
- *@shogidaichan - twitter

- *@shogidaichan - twitter

- *リアル「角と飛車はどちらが強いのか」で勝負する野月七段と山口女流 - ニコニコ動画
(削除済み) - *@nozuki221 - twitter

- *谷川浩司『将棋に勝つ考え方』(1982年)では飛車(龍王)は15点(17点)、角行(龍馬)は13点(15点)としている。
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