アメリカの給食とは、主にアメリカの学校給食事情について解説する動画である。
概要
アメリカ合衆国の食事は基本的にピザやハンバーガーなどジャンクフードが多く、日本料理でよくある野菜や魚料理が少ない。これは国の大きさのわりに川や海岸線が少なく、水を大量に使う野菜の栽培や魚介類の漁や養殖に不向きなのが要因である。また、アメリカは共働きが多く料理をする時間が限られている事や、そもそも調理に時間をかけたくないという文化が根付いており、そのことからアメリカの料理は大雑把というイメージがついている。また、アメリカは都市化や工業化が進んでおり、移動は環境負荷の高い自家用車や飛行機が中心で負荷の低い鉄道利用が少ないなど環境面でも問題を抱えていることが多く、このことから材料の品質も高いとはいえない状況である。
このことから他の国では「アメリカの料理はマズい」というイメージがついており、実際アメリカのレーションは他の国の軍隊から「一番マズい」として槍玉に挙げられるが、学校給食についてもそれは例外ではなく、ニコニコ動画やYouTubeで挙げられる動画では「ネタじゃないよね?」と思わせるものが多い。
説明
ではアメリカの学校給食事情について説明すると、出されるものはジャンクフードを中心に揚げ物や穀物ばかりある。アメリカの場合食堂で提供されるが、チキンナゲットやポテトフライ、マカロニ、ハンバーグが中心で、野菜類はトウモロコシやジャガイモ(この2つはどちらかといえば穀物)、ニンジンかほうれん草が申し訳程度に添えられ、あとはコーラや着色料の多いジュースとなっている。日本でよく見られる牛乳とかはレアケースで、魚類はフィッシュフライがあるが、「何の魚か、どの部位を使っているのか、そもそもこれが魚を使っているかすらわからない」とのこと。勿論栄養士がカロリーとか脂分や塩分を計算して云々なんてやるはずがなく、とにかく好きな物を配膳しているだけである。
しかも量が少ない(カロリーが少ないとは言っていない)ことから不足分は家から弁当を持たせることが多いが、その弁当も「パンにケチャップかピーナッツバター、あとは果物少々を詰めて持たせる」という適当っぷりで、さらに子供が好きだからとスナック菓子(大体「チートス」というチーズスナックが定番)が入れるありさまである。なお、日本のような弁当を持っていくと逆にいじめに遭うので要注意だとか。
このような弁当ですら「面倒くさい」という家庭があることから、スーパーマーケットでは「ランチャブル」という弁当キットが売られている。中身はピザだったりパンケーキだったりビスケットだったりオレオだったりと様々で、食べる際子供たちが具材やソースなどをのせて食べるのであるが、見た感じ弁当というよりおやつである。これでもアメリカの子供たちには好評で、母親に「ランチャブルがいい」とねだられることがよくあるとか。
このようにどう見てもネタにしかみえない状況であるが、国際結婚してアメリカへ移住したYouTuberが「初めは私もこの状況を疑ったけど本当にこうなんです」と紹介しており、逆にアメリカ人が日本の給食を食べて「日本の子供はこんないいものを食べているのか」と驚いている動画もあるので、ほぼ正解と思ったほうがよい。
原因
このような惨状ともいえる給食事情になった原因は概要でも触れた内容以外にも行き過ぎた資本主義にあるとされている。後述の関連動画にアメリカの100年間の学校給食を紹介する動画があるが、出た当初は酷かったが段々と改善されていき、1960年代は日本の都市部の学校給食と遜色ないレベルにまでなっていた。ところが1970年代あたりからまた酷くなり始め、1980年代には現在のスタイルが確立されている。
実は1970年頃からアメリカの自治体は学校給食に経費を費やすことを渋り始め、さらに1980年代にはロナルド・レーガンの政策により学校給食の自由化が行われたが、手を挙げたのはドミノ・ピザやバーガーキングなどといったファーストフードチェーンばかりであった。日本であれば自治体が給食センターを作って自前で調理するか専用の給食業者が請負い、家庭からの給食費のほか自治体からの補助があるのでやっていけるが、アメリカの場合は給食費の概念がないところが多く、また先述の政策で自治体からの補助も大幅に削られたため、日本の方式だと倒産不可避である。そこで大手ファーストフードチェーンが採算度外視の宣伝目的で引き受け、本業の片手間で給食を提供しているのである。また、これらファーストチェーンの参入を正当化するためかは不明だが、1981年に農務省が「ケチャップはトマトからできるから野菜と同類に扱う」というトンデモ理論を展開している(さすがにこの理論は却下されたが)。この結果給食費の予算を浮かせることには成功したが、実態は健康面度外視で食育にも優しくない給食事情になってしまっている。
トランス脂肪酸などが騒ぎになった2010年頃になってようやく健康面のことを考え始めたのか野菜をふんだんにした給食を提供し始めたところも出てきているが、時を同じくして今度は「ピザはケチャップが多いから野菜と同類」というなんなのこの国と言いたくなる主張をしている。
ちなみに
アメリカ同様「給食が酷い」とされているのがイギリスである(ここも給食に限らずレーションから機内食までネタにされることが多い)。こちらはシステムが日本寄りで、給食費を払って提供される(ちなみに給食が提供されない日があるので、その時は弁当)が、提供されるものがアメリカ同様揚げ物と穀物ばかりであった。ローストビーフはまだマシで、金曜日は必ずフィッシュ・アンド・チップスが提供されるが、これが不評で食事の後は食べ残された給食がごみ箱に捨てられる光景が日常茶飯事である。
ただイギリスのほうはアメリカ以上に深刻に捉えらており、2010年頃よりBBCがこの問題を取り上げ、保護者やシェフが給食の改善を訴えて活動を行なうようになった。その結果国は給食予算の増額を決め、現在では幾分改善されている(まだ酷いところもあるようだが、少なくとも「ケチャップは野菜」なんてことはしていない)。
関連動画
関連項目
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