E233系とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)で首都圏在来線に導入している直流一般形電車である。
概要
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本系列は、ファンの間では「にーさんさん」と呼ばれる。指令と乗務員との通話では「にゃくさんじゅうさんけい」と呼ばれている。
209系、E231系などで故障が多発した反省として、故障や事故などに備えて同一機器を2基以上搭載(パンタグラフ・空気圧縮機(CP)・MT比を上げることでの主回路機器の個数増など)したり、二重化(モニタ装置の伝送・演算部や保安装置・補助電源装置(SIV)など)を施し冗長性を確保した。万が一片方が故障しても(パンタグラフの場合は使用中のものすべてが破損した際にも畳んである待機中の1基を使用)自力走行ができるようになっている。当形式ではバイパス路線建設の進展に伴い投入路線での混雑率が下がった事、ホームドアの整備もあって6ドア車の製造は行われていない。
デザインはE531系を発展させたデザインであり、上部にHIDライト、フルカラーLED式方向幕、尾灯が設置されている。先頭車下部のスカートは連結器下部を黒塗りとすることで一見車体から離れているように見える。全面もよく似ているがE531系より丸みを帯びたデザインになっている。
E231系と比較した場合、209系以来のグレー系の内装がシロ系になり明るくなった。シートのクッションも柔らかく改善された。
本系列は、JR東日本の首都圏営業路線における「直流一般形電車」の決定版として各線区に大量に投入されている。最終的に予定通りの本数が揃った場合は、3,308両(0番台と3000番台の増備を含む)となり、E231系の2,632両(廃車分除く)を大幅に上回る在籍数となり、JRグループでは最も在籍数が多い車両となる。(結局3,297両が製造された。)なお、10両事故廃車が発生しているので、すべての車両が同時に在籍していた訳では無い。
また、国鉄時代も含めると103系の3,447両(他形式からの編入を含めると3,503両)、0系の3,216両に次ぐ多さとなる。
なお、JR東日本は今後E235系を山手線を皮切りに総武快速・横須賀線に投入する予定であるため、新規製造番台区分は南武線仕様8000番台を以て終了する見込みとなっている。
なお、小田急(新)4000形、相鉄11000系、都営10-300形3次車はこの本系列をベースにしており、東急5000系、東急5050系、東急5080系の後期型、東急6000系、東急7000系についても、本系列の要素を取り入れている(ドア、縦握り棒など)。
また、新潟地区に投入されたE129系も、先頭形状を除き本系列をベースとしている。逆に東京臨海高速鉄道71-000形は先頭形状はE233系だがベースはE235系である。
なお、鉄道車両としては珍しく、1/350スケール「figma」としてフィギュア化されている。
0番台
中央線快速と直通路線の多くの車両。201系全車を置き換えた。
始発駅停車時には、次の停車駅の代わりに全停車駅を表示するのだが、「停車駅は……駅に停まります」と言う文法的に誤った表記になっている(1000・3000・5000番台も同様)。これは実際に見た時、最初から最後まで見る人はいないだろうと判断されたためだと思われる。また「最初から読んだ時でも、途中から読んだ時でも理解できるように」ともいわれている。6000番台以降では変更済みである(後述)。
E233系のうち、この形式だけ正面帯が白い。
また101系以来伝統となっていた「中央特快」などの正面下部の種別表示も継承されなかった。
2017年3月に6両編成1本が南武線に転属、8500番台に改番された。
2023年度末までに、中央快速線・青梅線にてグリーン車サービスを実施する予定であるため、3号車と4号車の間にグリーン車を2両連結する予定である(詳細)。それに伴い、10両貫通編成は編成組み換え[1]を行い、現6号車(編成組み換え後は4号車、グリーン車組み込み後は6号車)のサハE233-500番台にトイレを取り付ける改造工事も行われる。6両+4両編成は現4号車(グリーン車組み込み後6号車)のモハE233-200番台にトイレを取り付け、モハE233-800番台に改番されている。
2022年7月頃より製造が開始され、長きに渡る試運転の末、2024年10月よりダブルデッカーを組み込んで8両編成・12両編成が組成され2025年3月までお試し運用を始めた。これにより山手線の11両より長くなり、在来線の編成では最長となる12両固定編成が組成された。
グリーン車組み込み準備工事による車両不足解消のため、2020年6月に10両編成1本(T71)が増備された。細かい改良はされているが、既存の0番台とほぼ同一仕様である。工事開始後に製造されたが、トイレ設置などはされていない。こちらの編成はグリーン車正式開始後は京葉線に転用されるという噂がある。
線区 |
中央線快速電車 東京駅~立川駅~高尾駅 中央本線 立川駅~高尾駅~大月駅 青梅線 立川駅~奥多摩駅 五日市線 拝島駅~武蔵五日市駅 八高線 拝島駅~高麗川駅 富士急行線 大月駅~河口湖駅 |
編成 | 10両・6両+4両・6両・4両 |
所属 | 豊田車両センター(八トタ・東京都日野市) |
設備 | LCD×2、半自動ドア開閉ボタン (導入予定:バリアフリー対応トイレ、2階建てグリーン車) |
1000番台
京浜東北線・根岸線の横浜線直通以外の全車両。83本が導入され、209系全車を置き換えた。
京浜東北線はJR化後に209系0番台で統一されていたが、209系の当初コンセプト通りに15年程度で置き換えることとなった。
2014年2月に川崎駅で工事用車両とウラ177編成が衝突し脱線、当該編成は休車になっていたが、転覆大破した2両が2016年12月に廃車(JR東日本総合研修センター内に衝突した工事用車両とともに展示)、残り8両も2018年5月に廃車解体された。上野東京ラインの開通により京浜東北線用編成の必要数が減少したため、代替新造は行われていない。
線区 | 京浜東北線 大宮駅~横浜駅 根岸線 横浜駅~大船駅 |
編成 | 10両 |
所属 | さいたま車両センター(宮サイ・埼玉県さいたま市南区) |
設備 | ワイドLCDx2、デジタルATC |
2000番台
常磐線各駅停車(地下鉄千代田線直通)の全車両。2009年~2011年にかけて18編成が製造され、203系と207系900番台の全車を置き換えた。209系1000番台は置き換え対象外だったが、2017年に1編成が置き換え用に追加製造され、209系1000番台は中央快速線のE233系0番台グリーン車組み込み改造に伴う予備編成用に転用された。
2013年4月から3年ほどかけて、小田急線へ直通するための工事を行い、2016年3月のダイヤ改正で小田急線への直通が開始。また、準備工事のみであったワイドLCDの広告部分が取り付けられている。
常磐線内が原則駅扱い無しのため乗降促進放送を扱う頻度が非常に多いが、ある時期から直通先に準じた仕様のものも追加されている。2021年3月より常磐緩行線でもATOでの運用を開始した。
線区 | 常磐線各駅停車 取手駅~綾瀬駅 東京地下鉄千代田線 北綾瀬駅・綾瀬駅~代々木上原駅 小田急小田原線 代々木上原駅~本厚木駅 小田急多摩線 新百合ヶ丘駅~唐木田駅 |
編成 | 10両 |
所属 | 松戸車両センター(東マト・千葉県松戸市) |
設備 | ワイドLCDx2、非常用貫通扉、ストレートボディ、シールドビーム前照灯、新CS-ATC |
3000番台
2019年3月現在は、国府津車両センターにE01~17(基本)・E51~67・71~74(付属)、小山車両センターにU618~633(基本)・U218~235(付属)が在籍している。
東海道線・宇都宮線・高崎線を始めとして、その直通線区や湘南新宿ライン、上野東京ラインで運用に就いている。
E231系近郊型との併結も可能とされており、2014年に何度か併結試運転が行われ、2015年3月14日から併結運転が開始された。唯一ワイドLCDが搭載されておらず、トレインビジョンによる案内がないが、これはE231との併結を行う関係で設置されなかったものである。
国府津車第1編成は2008年3月10日(当初は7日であった)から、E217系更新工事による同系の本数確保のために配置され、国府津車第2編成は武蔵小杉駅開業(2010年3月13日)による横須賀線増発のため、東海道線のE217系が転用されることになったために、本数確保のために配置された。この2編成(E01・51~02・52)は国府津車両センター所属となっている。
田町車は、2011年度から211系を置き換えるために製造され、2012年5月に全て置き換えを完了した。この14編成(NT01・51~14・64)は田町車両センター所属となっていたが、2013年3月16日に全て国府津車両センターに転属し、編成番号がE03・53~16・66に改番された。
その後、高崎線の211系全車を置き換えるために、基本編成17編成(L01~17)、付属編成16編成(D01~16)を投入した。2012年9月1日から、運行を開始し、2013年3月16日までにほぼ全ての211系を置き換え、211系は2014年3月14日に引退した。2013年3月から宇都宮線でも運用を開始した。
2014年~2015年には上野東京ライン開業用の増備として、小山車両センター所属の付属編成(U233~235)が登場したほか、国府津車両センター所属の付属編成(E71・72)も登場した。
後に上野東京ライン開業日の2015年3月14日に高崎車の転属が実施され、L01・D01が国府津に転属してE17・67に、L02~17・D02~16が小山に転属してU618~633・U218~232にそれぞれ改番された。
また、国府津車と小山車でE231系を含めて運用が共通化された。2017年には国府津所属の付属編成が2編成(E73・74)追加製造された。
なぜか国府津車両センターの付属編成に欠番が生じているが、増備予定なのかあえて空けたものなのかは不明である。
線区 | 東海道線 東京駅~沼津駅 伊東線 熱海駅~伊東駅 上野東京ライン 東京駅~上野駅 高崎線 上野駅~大宮駅~高崎駅 上越線 高崎駅~新前橋駅 両毛線 新前橋駅~前橋駅 宇都宮線 上野駅~大宮駅~黒磯駅 湘南新宿ライン 大宮駅~新宿駅~大船駅~逗子駅 |
編成 | 10両+5両 |
所属 | 国府津車両センター(横コツ・神奈川県小田原市) 小山車両センター(宮ヤマ・栃木県下野市) |
設備 | 二段式三色LED、半自動ドア開閉ボタン、バリアフリー対応トイレ、セミクロスシート、2階建てグリーン車 |
5000番台
京葉線と直通路線のうち24編成(固定編成20本、分割編成4本)。E331系(2014年に廃車)を除く京葉線用全車両が置換え対象で、2011年9月末に209系500番台1本を除いて置き換えが完了した。
なお、当初は固定編成は21本投入される予定であったが、後にE331系で209系を置き換える計画になったためか、1本減らされた。しかし、肝心のE331系は運用終了した後に廃車されたので、209系1本は置き換えられず2019年4月時点でもそのままとなっている。(こちらは中央線グリーン車組み込み関係で増備されたE233系で置き換える噂もある。)
線区 | 京葉線 東京駅~蘇我駅 外房線 蘇我駅~勝浦駅 内房線 蘇我駅~君津駅 東金線 大網駅~成東駅 |
編成 | 10両・6両+4両 |
所属 | 京葉車両センター(千ケヨ・千葉県千葉市美浜区・習志野市) |
設備 | ワイドLCD×2、モバイルWiMAX(ニュース更新用) |
6000番台
横浜線に2014年2月16日から8両編成28本が投入。同年8月23日に205系が引退し、置き換えが完了した。横浜線が103系から205系へ置き換えされた時と同じくらいのハイスピードで増備された。
埼京線・川越線用の7000番台より後に投入されたが、番台区分はこちらが若い。
なお、車内のLCDのアニメーション表示は7000番台より後に投入されたにも関わらず、5000番台以前と同一仕様になっている(5000番台運用開始時に設計を行ったため)。なお、停車駅表示は7000番台と同一となっている。
「横浜線活性化プロジェクト」の一環として、オリジナルのロゴマーク「YOKOHAMA LINE」と駅スタンプ(沿線駅周辺名所のイラスト画)が車両側面に掲出されていた。掲出されている駅スタンプは各編成ごとに異なり、八王子駅~東神奈川駅~横浜駅~大船駅の28駅分あった。
期間限定だったようで、2015年11月頃から順次駅スタンプは剥がされている(別に条例による規制があった訳ではない)。
定員に余裕ができたため、先に登場した埼京線の7000番台共々6ドア車が用意されていない。
線区 | 横浜線 東神奈川駅~八王子駅 京浜東北線 東神奈川駅~横浜駅 根岸線 横浜駅~大船駅 |
編成 | 8両 |
所属 | 鎌倉車両センター(横クラ・神奈川県鎌倉市・藤沢市) |
設備 | ワイドLCD×2、LED照明 |
7000番台
埼京線・川越線に2013年6月末から2014年2月にかけて、10両編成31本を投入し、205系を1本を除いて置き換えが完了した(205系1本が残されたのは、将来のATACS導入により予備車減が見込まれるため)。その後、ATACS対応工事が行われ、2016年10月に全編成が完了して、同時に205系1本も運用から離脱した。
停車駅表示は5000番台以前と異なり、「停車駅:川越、南古谷、指扇……東雲、終点 新木場です。」と文法的に正しいものになっている。また、LCDのアニメーション表示が東京メトロ16000系と同一のものになっている。
2019年1月から相鉄・JR直通線開業に向けて増備が再開され、7編成が増備された。この編成は従来1号車のみに設置されていた防犯カメラが全車に設置されるなど、細かく改良されている。
2019年7月より相鉄・JR直通線が開通し、相鉄への乗り入れも開始された。
2000番台同様直通先では直通先に準じた仕様の乗降促進放送が扱えるようになっているため、東急目黒線の発車メロディが流れる場合がある。
線区 | 川越線 大宮駅~川越駅 埼京線 大宮駅~大崎駅 東京臨海高速鉄道りんかい線 大崎駅~新木場駅 相鉄新横浜線~相鉄本線 大崎駅~羽沢横浜国大駅~西谷駅~海老名駅 |
編成 | 10両 |
所属 | 川越車両センター(宮ハエ・埼玉県川越市) |
設備 | ワイドLCD×2、防犯カメラ(1号車。ハエ132編成以降は全車)、LED照明 |
8000番台
南武線に2014年10月から2016年1月にかけて投入された。6両編成35本を投入し、205系・209系を置き換えた。なお、209系1本が残存していたものの、2017年3月に0番台の改造・転属(=8500番台)により置き換えられた。
車内のLCDのアニメーション表示は6000番台以前と同一となっている。
1・6号車の側面には「NAMBU LINE」と書かれたオリジナルロゴマークが掲出されている。
線区 | 南武線 川崎駅~立川駅 |
編成 | 6両 |
所属 | 鎌倉車両センター中原支所(横ナハ・神奈川県川崎市中原区) |
設備 | ワイドLCD×2、LED照明 |
フルカラーLED
E231系などには存在しなかったフルカラーLED方向幕がこの形式より採用された。
赤・橙・緑の三色表示のLEDより視認性が高く、複雑な運転系統にも対応できると言える。
以下に表示例を示す。
表示例2:3000番台 東海道線 快速アクティー 東京行 小田原駅停車中 側面
関連動画
関連項目
脚注
- *Tc-M1-M'2-M1-M2-T'-T-M1-M'2-T'c→Tc-M1-M'2-T'-M1-M'2-T-M1-M'2-T'c グリーン車組み込み後は Tc-M1-M'2-T'sd-Tsd-T'-M1-M'2-T-M1-M'2-T'c
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