アドマイヤキッス(Admire Kiss)とは、2003年生まれの日本の元競走馬である。栗毛の牝馬。
2006年の牝馬三冠全てで1番人気に支持されながら、佳人薄命を地で行ってしまった馬。
主な勝ち鞍
2006年:ローズステークス(GⅡ)、チューリップ賞(GⅢ)、愛知杯(GⅢ)
2008年:京都牝馬ステークス(GⅢ)
概要
父サンデーサイレンス、母キッスパシオン、母父ジェイドロバリーという血統。父は言わずとしれた大種牡馬。母は3勝のほか重賞2着が一度ある。母父は米国産でフランスGⅠ1勝。種牡馬として輸入されヤマカツスズランやタイキシャーロックなどを輩出した。半弟に重賞2勝のパッションダンスがいる。
デビュー前から好馬体で期待を集め、2歳7月に福永祐一鞍上でデビューしたが2戦連続で2着に敗れ、横山典弘に乗り替わった3戦目で5馬身突き抜け初勝利。横山は能力の高さを感じ、福永に「よくこの馬で2回も負けられたな」と冗談を言ったという。
この勝利で2歳戦線の主役候補に浮上したのだが、その後次走報が出ては延びを繰り返し、気づけば年を越すほどの長期休養。調教師の松田博資は「権利なんていつでも獲れる」と心配していなかったらしいが、ファンは「いつになったら出てくるんだ」とやきもきしていた。
結局復帰戦に選ばれたのはGⅢチューリップ賞。いきなり桜花賞トライアルである。しかしファンは素質を見限らず2歳女王テイエムプリキュアに次ぐ2番人気に支持。武豊を鞍上に迎えたアドマイヤキッスもこれに応え、後方からマクリ加減に進出し、直線の叩き合いを制して重賞初制覇を果たす。
この勝利で桜花賞では単勝2.4倍の断然の1番人気に支持され、トライアル同様の競馬で直線も伸びたが、さらに後方にいたキストゥヘヴンに外からかわされ2着。
オークスでもキストゥヘヴンと人気を分け合い3.0倍の1番人気に推されるも、末脚が弾けずカワカミプリンセスの4着に敗れる。
休養明けのGⅡローズSは武豊が巧みにインを突いて抜け出し、逃げ粘るシェルズレイを寸前でとらえて勝利。残る一冠に期待が掛かったが、2.6倍の1番人気に支持された秋華賞は差し届かず4着。同馬主で3年先輩のアドマイヤグルーヴと同様、牝馬三冠全てで1番人気に支持されながら無冠に終わる。
アドマイヤグルーヴのようにエリザベス女王杯でリベンジを図るも、前目の競馬を試すが、カワカミプリンセスの降着による繰り上がりで5着と冴えない結果。
負けっぱなしではいられないと年末のGⅢ愛知杯に乗り込み、ここはさすがに力を見せて3、4番手から余裕たっぷりに突き抜けての完勝。重賞3勝目を挙げて3歳を終える。
しかし4歳になると勝利もおぼつかなくなり、初戦のマイラーズCで4着、ヴィクトリアマイルは初めて掲示板を外す7着と不甲斐ない競馬。安田記念は15番人気に転落するが4着に食い込み、上昇ムードかと思いきやクイーンSも1番人気を裏切り4着。秋も府中牝馬S3着、エリザベス女王杯5着、愛知杯3着。上がりは2位くらいでまとめており、ヴィクトリアマイル以外は掲示板を外さないなど安定した競馬はしていたのだが、結局未勝利で4歳を終えてしまう。
5歳初戦の京都牝馬Sは初の重馬場もなんの、前目から上がり最速という強いアドマイヤキッスが復活。粘るザレマを振り切り1年半ぶりの勝利を挙げる。なおこの勝利はサンデーサイレンス産駒にJRA通算2700勝、さらに鞍上の安藤勝己にJRA通算800勝と二つの記録を届ける勝利となった。
この後ヴィクトリアマイルへの出走が予定されていたが、調整中に右中手骨を骨折。手術は成功し静養していたのだがその最中疝痛を起こし厩舎内で暴れ、さらに同じ部位を開放骨折。予後不良と診断され、僅か5年の生涯を閉じることとなった。
現役時代からつぶらな瞳に通った流星の美しい顔立ちで人気が高く、今なおルックスのいい牝馬論争では度々名前が挙がる。さらに素直でおっとりとした性格から関係者の人気も高く、武豊は「人間の女の子だったら男の子が長い行列を作っていた」と評したほか、調教師の松田博資も「嫁にするならこういうタイプ。美人で気立てが良くて優しくて・・・」と惚れ込んでいた。
運命に見放された薄幸の美女アドマイヤキッス。今はファンの記憶にその美しく強い姿が残るのみである。
血統表
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
キッスパシオン 1993 栗毛 FNo.20-a |
*ジェイドロバリー 1987 黒鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Number | Nijinsky | ||
Special | |||
*レツツキツス 1982 黒鹿毛 |
Lyphard | Northern Dancer | |
Goofed | |||
Limoya | Riva Ridge | ||
Peronelle |
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関連項目
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