テトリス(キリル文字: ТЕТРИС ラテン文字: TETRIS)とは、世界一有名なコンピューターパズルゲームである。
概要
いわゆる「落ち物パズルゲーム」の元祖。「上から落ちてくる7種類の『4個の正方形で構成された多角形ブロック(=テトリミノ tetrimino)[1]』を操作して、埋まった横列のみが消えるのを利用してテニス(tennis)のラリーのようにひたすら消し続けていく」という単純明快なルールと直観的な面白さで世界規模で大ヒットした。
1984年に旧ソビエト連邦のロシア科学アカデミー・コンピュータ工学センターで人工知能と音声認識の研究をしていたアレクセイ・レオニードヴィチ・パジトノフ(Алексей Леонидович Пажитнов)が同僚の伝手で知り合ったモスクワ州立大学のインターン、ヴァジーム・ヴィークトロヴィチ・ゲラーシモフ(Вадим Викторович Герасимов, 2003年にMITで博士号を取得)と共同開発。その版権をこのゲームのために創設されたソビエト連邦外国貿易省の傘下にある国営のコンピュータ機器貿易企業エレクトロノルグテクニカ(Электроноргтехника、Elektronorgtechnica)=略称エルログ(Элорг、Elorg)が一元管理していた。このため、あれだけの世界的ヒットにも係らず、パジトノフ個人は後にアメリカで自身の会社を立ち上げて特許を取得・管理するまで給料以上の対価を1コペイカも受け取っていない(なお1コペイカ=1/100ルーブル、当時のレートで約4銭)。
日本では1988年にBPSがパソコン版とファミコン版を発売、セガがアーケード版をリリースした。
翌年に任天堂が直接エルログと交渉し、家庭用ゲーム機向けの独占販売契約を結びゲームボーイ版を発売。
これがGBのキラータイトルとなり、日本だけで424万本を出荷した。
それに対し、元々家庭用ゲーム機向けに販売していたアタリゲームズ(テンゲン)が任天堂を提訴するも、任天堂側もアタリを逆提訴するなど徹底抗戦の構えを見せた。結局アタリが取得していたのは、ハンガリーのアンドロメダ・ソフトウェアからイギリスのミラーソフトを経由して取得した IBM PCとその互換機向けの三次版権だったことが判明し、家庭用ゲーム機向けでなかったことでアタリの完全敗訴となった。
これによりアタリから取得した四次版権を以てメガドライブ版を開発してたセガも開発中止を余儀なくされた。ただし、メガドライブ版は出荷できる状態でお蔵入りしていたらしく、海外で製品版に近い形で海賊版として流出していた他に製品版そのものが流出しており、ゲームラボで紹介された等、少なくとも最低でも二つはセガから流出していたとみられる。
ソ連が解体してロシア共和国連邦となってから約4年後の1996年1月、テトリスの特許権取得(と『ヨッシーのクッキー』海外移植版のデザイン協力)の為に5年前から渡米していたパジトノフ[2]は、かつてゲームボーイ版テトリスの版権取得と移植開発に携わっていたヘンク・ブラウワー・ロジャーズ(Henk Brouwer Rogers)[3]と共同で「テトリス・ホールディング(Tetris Holding LLC)」と版権管理用の子会社「ザ・テトリス・カンパニー(The Tetris Company Inc.)」を設立、民営化していたエルログと提携を結んで版権販売を手がけるようになる。
これ以降はゲーム機カテゴリーにおいて独占販売権を付与することは無くなった為、MD版販売を断念していたセガはACにて「セガテトリス」をリリースできるようになった。1997年頃には、キーホルダータイプのテトリスが遊べる小さな玩具が発売され、これも大ヒットする。
2002年、それまでプラットフォームやメーカーによって細かい部分が異なっていた、操作方法やルールを統一するガイドラインが設けられた。その後2005年、2008年、2010年に一部改定されている。
2005年、エルログはザ・テトリス・カンパニー社に1,500万米ドル(当時のレートで約15.5億円)で買収された。
ニコニコ動画におけるテトリス
幅広い層に受け入れられ、誰もが知っているゲームであることから、プレイ動画よりもテトリスを題材とした動画作品が多い傾向が見られる。
プレイ動画では主にBPS社が発売したテトリスシリーズ(『テトリス2』『スーパーテトリス2』など)や、アリカ社のテトリス『ザ・グランドマスター』(通称TGM)のプレイ動画が多い。特に後者は20Gという、1フレームで20ピース分の速度(つまりブロックが出てきた時点で一番下に来る)で落ちてくる事と、永久ループを敢えて廃止した上でクリアラインを設け、スコアよりもクリアラインに到達したタイムを競う事を目的としていることから上級者に受け入れられ、根強い人気を誇っている。
2007年夏頃までテトリスのとあるクローンゲームの改造動画が大量に上がっていたが、現在の版権元であるザ・テトリス・カンパニーの著作権侵害にあたる可能性があったことから、このゲームの移植元となったTGMの開発会社であるアリカが改造動画を一斉に権利者削除。この件を受け、改造元のクローンゲームを開発した作者はソフトの公開を停止したという経緯があった。
以降、(少なくともニコニコ動画では)2012年現在でも改造クローンゲームのプレイ動画はおろか、上原テトリスや壊リスなどと言ったテトリスのルールから外れたゲームを除き、テトリスのクローンゲームを見かけることは事件が発生した当初よりもかなり少なくなったと思われる。
ニコニコ生放送におけるテトリス
ニコニコ生放送で「テトリス」というと、オンライン向けの『テトリスオンライン』(特に「みんなでテトリス」)を指すことが大半である。簡単に登録できる上要求されるスペックの低さから現在のパソコンでプレイできないものは殆どないと思われるが、多人数大戦ができる「みんなでテトリス」はWindows専用である。しかし生放送では人気があるこの『テトリスオンライン』は、動画としての知名度となると上記の家庭用タイトルには及ばない部分が多い。しかしながら上級者同士の対戦動画などが定期的に再生数を上げている模様。
※『テトリスオンライン』は2011年7月5日でサービスを終了。現在は『テトリスオンラインポーランド』でプレイが可能。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- テトリス ザ・グランドマスター
- テトリス武闘外伝
- フルHD版テトリス
- テトリスオンライン
- テトリスフレンズ
- 任天堂
- セガ
- パズル
- 落ちゲー
- コロブチカ
- TECHNOTRIS
- ハットリス
- テトリスの有名プレイヤー一覧
- 上原テトリス
- 壊リス
- ボンブリス
- ぷよぷよテトリス
- テトリス99
- テトリス(映画)
脚注
- *テトリミノは造語で、数学では同様の多角形をテトロミノ(tetromino)と称する。つまり正方形の個数4を表すギリシア語の数詞に接尾辞~オミノ(-omino, ドミノに由来)を加えたもので、連格多面体(ポリオミノ、 polyomino)の一種。
- *なおパジトノフは同年から2005年までマイクロソフトに入社し、幾つかのパズルゲームの製作に関わっている。
- *1983年に日本でソフトメーカーのビービーエスを設立し、最初期のJRPG『ザ・ブラックオニキス』シリーズをヒットさせたことでも有名。
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