非致死性兵器とは、文字通り相手を死に至らしめることなく制圧するための兵器である。ノン・リーサル・ウェポンとも呼ばれる。
概要
非致死性兵器とは、相手を死なせることなく制圧するための兵器全般を指す。その作動原理は多岐にわたり、例をあげると以下のようなものがある。一応あいうえお順。
- 音響兵器
大きな音や不快な音を対象に浴びせることで無力化する兵器。イラクでアメリカ軍が催涙ガスの代わりに使用したり、日本では調査捕鯨の船団がシーシェパードを追い払うのに捕鯨船に搭載・使用して一定の効果をあげている。
基本的に自分たちも巻き込まれないように音波には指向性を持たせている。 - 警棒
固い木や金属で作られた棒。長いものは警杖と呼ばれて区別される。
拳銃を使用すると何かとうるさい日本のおまわりさんの頼みの綱であり、拳銃は持ってなくても警棒は持っているという事は多い。もちろん警官が警棒を使用する際のルールは法と規則で縛られており、過剰防衛にならない制圧のための必要最低限であることが求められている。 - ゴム弾
金属をゴムで覆ったり、あるいは弾丸すべてをゴムで作った弾丸。当たると非常に痛いため抵抗する気が削がれるという仕組みである。後述する催涙ガス・放水銃と共に暴徒鎮圧で使用されることが多い。 - 催涙ガス
特殊な化学物質で目や耳を強烈かつ不快に刺激して咳・クシャミ・嘔吐などを誘発させて無力化するガス兵器。
ガスマスクで簡単に防護でき、化学物質を拡散・除去すれば後遺症が残らないのが一般的であり、暴徒鎮圧などに使用される。一般人向けにも催涙スプレーとして販売されているものも存在する。 - 刺又
棒の先端にU字状の金具がついた道具。この金具で相手の腕、脚、首を挟んで壁に押し付けることで無力化する。
棒 は1.5~2m程度の長さをもつため、相手がナイフなどの接近戦用の武器で武装していても安全に取り押さえることができるのが特徴。江戸時代から使用され ており、非常に有効な捕物道具として重宝された。現在では誰でも使いやすいように胴体を抑えるようにU字状の金具が大型化されたものが防犯用品として販売 され、警察だけでなく不審者対策に学校が購入・配備したりしている。ちなみに、江戸時代の刺又はU字状の金具に近い部分の棒は相手に掴まれないよう針がびっしり植え込んであったが、現代の刺又にはそういうモノは無く、複数で一斉に抑えたり催涙スプレーと併用したりと工夫が求められる。 - スタンガン
電気ショックで相手の神経網を強烈に刺激して行動不能にする兵器。ハンディタイプ、警棒タイプ、ワイヤー針タイプの3つに分類され、特にワイヤー針タイプはテーザー銃として有名である。ちなみに日本ではテーザー銃は発射機構が実銃として扱われるため、一般販売はされていない。あとスタンガンで人間は簡単には気絶しないらしい。 - スタングレネード
爆発時に莫大な音と閃光を発して対象を一時的に無力化する手榴弾。フラッシュバンとも呼ばれ、自衛隊では閃光発音筒と訳している。軍事関連の動画やFPSゲームで目にすることが多い。 - 放水銃
要するに超強力な水鉄砲。対象に浴びせかけてその行動を阻害するのが目的。暴徒鎮圧用の代表的な非致死性兵器であり、暴徒対警察のニュース映像でよく見ることができるだろう。日本の警察も持ってます。 - 麻酔銃
麻酔薬いりのダートを発射して相手を無力化する銃。主に動物に対して使用される。使用する麻酔薬は「対象のどこに撃ちこんでも短時間で効果を発揮し、しかも量が適正量より少しくらい多くても問題なく、自発呼吸も可能である」という理想的なモノが必要とされるため制約が厳しく、対動物はともかく対人用の麻酔銃はほとんど存在しない。
一方、フィクションではMGSシリーズを初め大活躍である。 - BolaWrap
火薬の力でケブラー投げ縄を射出するもの。テーザー銃よりも苦痛と危害性を下げつつ安全に制圧・拘束することを目的としたもの。
非致死性兵器の致死性について
いくら非致死性兵器と言っても使い方を誤れば相手を死に至らしめたり、重大な障害を残すことがある。
例えば警棒やゴム弾は当たり所が悪ければ死亡する可能性は十分あるし、催涙ガスやスタングレネードでも大量使用による死亡やショック死の可能性が指摘されている。あくまで「死ぬ可能性を大幅に減らした兵器」くらいに捉えて考えた方が良いのかもしれない。
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