FPSとは、以下のことを指す。
- FPS = First-Person Shooterの略称。ゲームジャンルのひとつ。本稿で詳述。
- fps = Frame per second … 動画の1秒あたりの静止画枚数を表す数値、フレームレート。詳しくは「60fps」の記事を参照。
(明確な基準があるというわけではないが、同じ文章内では混同を避けるためにゲームの場合は大文字、フレームレートの場合は小文字で表記されることも多い。) - ボーカロイドの楽曲 →【鏡音レン】 FPS 【オリジナルMV】
概要
目次 |
ファーストパーソン・シューター[First-Person Shooter]とは、プレイヤーもしくは主人公の視点(一人称視点、主観視点)でゲーム内の世界を任意で移動することができる3Dのアクションシューティングゲームのこと。ニンテンドウ64世代の人なら「64のゴールデンアイみたいなゲーム」と説明するとだいたい通じるかもしれない。
主に銃器を題材にした一人称視点のアクション・シューターを指すジャンルではあるが、シューティングが中心ではなくても近接武器による格闘を導入したものや、一人称視点による独自の演出を利用したアクションやアドベンチャー主体のゲームでも一人称視点であれば「FPS視点」のように呼ばれることもある。なお、車両や航空機の操縦を扱うゲームの操縦席視点も広義では一人称視点のゲームと捉えることもできるが、こちらは一般的にシミュレーターと呼ばれている。
※狭義ではシューターのみがFPSに該当しますが、本稿では便宜上限定せずFPS視点といった具合で一人称視点に特化したゲーム、現代的なFPSに似た作りのゲーム全般を扱います。
ジャンルの発祥元がPCタイトルであったことと、独自の操作方法から、かつてはPCゲームタイトルが主流であったが、現在では様々なプラットフォームで販売されており専用タイトルも数多く登場している。
海外のゲームの中では一般的なゲームジャンルのひとつである一方で、日本国内では国産タイトルがほとんどなく、他のジャンルと比べるとまだまだマイナーかもしれない。普段ゲームをよくプレイする人たちの間ですらもFPSというジャンルが正しく理解されず、他のジャンルのTPSやガンシューティングと混同されてしまっていることも珍しくはない。
そういった理由のためか、国内のコンソール(据え置き機)タイトルやアーケードゲームタイトル、オンラインゲームタイトルでは「3Dガンアクション」「ミリタリーアクション」などといった独自の呼び方がされている場合もある。また、一部の国内のメディアやコミュニティで使われることのある「ファースト・パーソン・シューティング」は和製英語である。
特徴
現代的なFPSの画面構成。「Farcry4」に登場する武器の射撃とリロードをまとめたゲームエフェクト集の動画。銃器の細かいアニメーションはFPSの特徴のひとつとも言える。 初期のFPS「DOOM」の画面構成。中央に主人公の武器、下段にはDoomguyの顔アイコン。詳細な銃器のアニメーションはこの頃から導入されている。 |
現代的なFPSは画面右下に武器を持った主人公の腕が表示されているという画面構成が一般的である。画面中央に照準点(Crosshair)、体力や銃弾数の表示は画面隅に小さく表示されている。近年は没入感を高めるため、いわゆる体力メーターのような記号的な表示はなるべく抑えられたHUDレスデザインで設計されたゲームも多い。シングルプレイのゲームではよりその傾向が多くみられるが、一方でマルチプレイのゲームでは利便性を優先してレーダーやミニマップが常時表示されているものもある。
2Dのスプライト画像が用いられていた頃の初期のFPSは画面中央下に武器を持った腕、画面下には体力や武器の所持段数といったプレイヤーのステータス表示枠といった画面構成が一般的だった。DOOM系列のタイトルに限定されたものではあるが、ダメージを受けるとボコボコになる顔アイコン(通称"Doomguy")は有名で、初期のFPSというジャンルのアイコンだったと言えるかもしれない。
一人称視点はプレイヤー自身の主観視点でもあり、ムービーやカットシーンを使用せずにゲームプレイの出来事だけで物語が進行するものや、プレイヤーキャラクターが入れ替わり、文字通り別視点で語られるといった、ストーリーの手法として用いられているゲームは多い。また、視点操作は同時に狙いをつけて(Aiming)撃つことでもあり、一人称視点とシューティングゲームの親和性が高い理由であるとも考えられる。
視点移動と同時にプレイヤー自身の移動やアクションも導入されている。初期の3DのFPSや、スポーツ系FPSではジャンプを駆使したアクションで相手の攻撃を避けることもゲームプレイのひとつであった。近年のミリタリー風のデザインのFPSでは、リーンやカバーといった物陰に隠れる動作や、相手の背後に回り込む、いわゆる裏取りといった立ち回りも基本的なゲームプレイの一つである。例えば対戦用のマップは、どこかで立ち止まって相手を狙うのではなく、常に移動することが重要なレベルデザインになっていることが多い。これらは視点や移動が固定されていて自動で進行する「ガンシューティング」と大きく異なる部分でもある。
以下では現代的なFPSにおける基本設計の一例を簡潔に解説する。
Aim Down Sight(ADS)銃の照準器(サイトやスコープ)を覗き込む動作のこと。ゲームによって異なる部分はあるが平たく言えば命中率(集弾率、散弾率)が変化する。近年のFPSやTPSでは多く導入されている。ADSを使わずに画面中央に表示された照準点のみで狙うことを国内コミュニティでは対義語として「腰だめ撃ち」とも呼ばれている。 より狙いやすくなるかわりに視点移動が抑えられプレイヤーの移動速度が遅くなるといった具合で、ADSといわゆる腰だめ撃ちを切り替えることがテクニックのひとつである。 ヘッドショット文字通り標的の頭を狙って撃つことで、ダメージ量が大きい、一撃必殺といった作りが一般的である。より小さな的を狙うというシューティングゲーム的な設計と言える。 体力(Health)基本的には他のゲームジャンルと同様である。かつては回復アイテムを使用する体力管理が一般的であったが、近年ではシールドとも呼ばれている自動回復が導入されていることも多い。リアル系よりのタイトルでは基本的には回復がなく、負傷や出血といった概念が導入されているものもある。 対戦の変則的なルールではInstagibという一撃必殺モードもある。いわゆるオワタ式。 大人数の対戦やCo-opタイトルでは、倒されても追加ダメージを受けなかったり一定時間内であれば味方プレイヤーによる蘇生や復活が可能なシステムが導入されている。FPSのプレイヤーは注射器やAEDで生き返る。 蘇生時に誤って味方にとどめを刺してしまう医療ミスを「神田川」と呼ぶ。 しゃがみ(Crouch)、伏せ(Prone)文字通りその場で身を屈めること。武器の反動を抑える、足音を抑える、物陰に隠れること。シングルプレイではスニーキングとして用いられている。一方、対人戦のマルチプレイでもスニーキングの効果は十分で、じっとしていれば意外と気づかれなかったりする。 ジャンプ基本的には一般的なアクションゲームと同様のものである。スポーツ系タイトルでは「ストレイフジャンプ」や「バニーホップ」などといった特殊なテクニックが用いられている。特にバニーホップ、通称バニホという言葉は有名で独り歩きしており、ジャンプしながら攻撃を避けるという程度の意味合いで呼ばれていることも多いだろう。 |
リーン(Lean)上半身を左右に傾けて覗き込む動作。誤解を恐れずに言えば手動で行うカバーアクション。曲がり角や物陰を覗き込むときに使用する動作。リアル系よりのタイトルで導入されていることが多い。 リロード文字通り銃弾の装填である。ゲーム的な意味では銃弾の管理やリロードを行うタイミングといった具合。自動で行われるものとプレイヤーが任意のタイミングで行うものがある。 リロードといっても一連の動作は自動である。一部のゲームではリロード時のアニメーションをスキップしたり、動作を中止する「リロードキャンセル」というテクニックが導入されているものもある。 リアル系タイトルではマガジンごとの管理を行うものやボルトアクションを手動で行うもの、RPGよりのタイトルでは、銃弾の種類の管理や、ジャム(弾詰まり)が再現されているものもある。 リコイル(Recoil)射撃の反動。強力な武器や連射が可能な武器は反動で照準が大きく揺れたり上方向にずれるように作られているゲームは多い。主にミリタリー風のゲームなどでは、フルオートやセミオートの切り替え、手動でのバースト射撃などで反動をコントロールすることで照準の位置を安定させるテクニックが求められる。 視界の揺れ(Head bobbing)移動と同時にプレイヤーの視点が揺れること。初期のFPSからある臨場感を出す演出のひとつだろう。一方で画面酔いの原因にもなりがちで、好みがわかれる部分もあり、大抵のゲームは設定で切り替えが可能である。 格闘・近接攻撃射撃武器のほかに格闘・近接武器が導入されているFPSは多い。ゴールデンアイ007のチョップやHalf-Lifeのカナテコが有名だろう。いわゆる初期装備といったところ。 装備ではなく独立した攻撃手段として導入されているゲームもある。背後からのステルスキルや止めの一発といったシステム。近年のBFシリーズではカウンターも導入されている。 近距離でしか攻撃が当たらない代わりに攻撃力が結構高めに設定されているゲームは多く、実はFPSは素手が一番強かったりする…? 珍しい例では画面下から主人公の蹴りが飛び出すキック攻撃ができるゲームもある。 投擲武器手りゅう弾、投げナイフ、虫、などといった投擲武器が登場することも多い。一昔前は通常の武器と同様に持ち替えて選択するものが多くみられたが、近年は独立したホットキーなどに割り当てられてることが多い。 昔のタイトルでは基本的に手りゅう弾を投げる音や落下した音を頼りに判断する…といった具合であったが、近年ではグレネードがどこに落ちたかマーカーが表示されるようになっている。 爆発物だけではなく、主に対戦専用のゲームではスタングレネード(フラッシュバン)やスモークグレネードといった相手の視界を奪うアイテムが導入されている。 |
アイテム回復と自動回復
4人で協力プレイをする「LEFT4DEAD2」 回復アイテムを使って自分や仲間の体力を管理する。画面下にそれぞれのプレイヤーの体力メーターが表示されている。 自動回復の最初期の例「Call of Duty2」 画面には目的地を示すコンパスや銃弾数の表示だけで体力は表示されていない。 |
ヒットポイント制の体力(Health)の概念とアイテムによる回復の形式は、おおむね他のゲームジャンルと基本的な部分は同じである(詳しくはヒットポイントの記事も参照)。この形式はプレイヤーによる体力管理がゲームに組み込まれており、緊張感を生み出すゲームプレイに適しているとも言える。また、Co-op(協力プレイ)やチーム対戦が主体のゲームでは、味方との回復アイテムの共有や、メディックやヒーラーなどといった回復技能を持ったサポートキャラによる体力管理が協力プレイをより面白くする要素として導入されている。
アイテム回復形式とは別に現在では自動回復(Regeneration)も一般的である。これはプレイヤーに一定の耐久値があり、攻撃を受けて耐久値が減らされても一定時間後に自動的に回復され、一度に全ての耐久値を失わない限りゲームオーバーにはならないというもの。ヒットポイントやアイテム回復形式における数値化された体力管理という概念が無く、体力メーターなどの画面表示が無い場合が多い。この自動回復はアイテム回復形式にありがちだった、回復アイテムが尽きて体力が少ない状態で苦労してしまう、回復アイテムを探すためにマップを彷徨ってしまう、といった問題を解消した一面もあり、ゲームの進行をスムーズに改善したとも言える。
自動回復はFPSではHalo(2001)でシールドとして導入されたのが最初期の例であり、人間の体力という体で導入されたのはCall of Duty2(2005)が最初である。Haloはプレイヤーである主人公がパワードスーツを装備している設定であり、シールドの自動回復というシステムに納得がいくだろう。一方でCoD2(および以降のシリーズ)の場合はプレイヤーは生身の人間である。現代的なFPSやビデオゲームに慣れていないプレイヤーからは、銃弾を身に受けても自動的に回復する設定に違和感を感じられてしまっていることもあるようだ。ただ、そうした設定上の違和感よりもゲームとしての面白さの評価の方が上回っているようで、今日では一般的なシステムとして数多くのタイトルに導入されている。
これらの体力の概念の違いはゲームやプレイヤーよって評価が別れる部分もあるが、決して二極化されたものではなく、回復アイテムを使用する体力と自動回復するシールドやアーマーの二つの体力を導入したもの、体力メーターをいくつかのブロックで区切り、ブロック単位での自動回復、回復アイテムで消失したブロックの回復を行うもの、ヒットポイント制でも最低限の値は自動回復するものなど…アイテム回復形式と自動回復形式のそれぞれの利点を生かし両方を導入しているゲームも数多い。
参考リンク:
ネバーエンディング・リカバリー
Health(gaming)
珍しい例として、体力の概念はあっても死亡によるゲームオーバーが存在しないFPSもある。System Shock2およびBioshockの"復活装置"や、Prey(2006)の"死後の世界からの転生"などが該当する。どちらもゲームの舞台設定やストーリーを活かしてゲームの進行が阻害されないように考案されたユニークな要素だが評価は別れがち(ほとんどが簡単すぎるという話)でもある。
Hitscan と Projectile
「ARMA3」の狙撃をまとめた動画。このゲームは銃弾が物理演算で処理されており、標的までの距離に応じて着弾までの時間や落下を計算、照準器を調整する必要がある。 |
「Hitscan(ヒットスキャン)」とは狙った位置に攻撃が即命中する当たり判定、「Projectile(プロジェクタイル)」はゲーム内で実際に弾丸の3Dモデルが発射され弾丸自体に当たり判定があるもの、一部では物理演算でシミュレートされているものを指す概念である。
近年のアクションよりのゲームの多くはHitscanが採用されていると言ってもいいだろう(BFシリーズなどの例外もあり)。線状の弾道は演出上のものであり、システム上は点と点で当たり判定が計算されている。つまり、照準が合って攻撃された時点で当たり判定が発生するため、銃弾を避けることは不可能である。ピストルやライフルといった武器はHitcsanであることが多いが、グレネードランチャーやロケットロランチャーといった擲弾銃は、大抵どのゲームでも弧を描いたり弾頭が目で追える速さで飛び、命中した地点で爆発する(当たり判定が発生する)のでこちらはProjectileである。
初期のFPSやスポーツ系FPSはProjectileのエネルギー弾やロケット弾が多く、一部に攻撃力が高いが装填の遅いHitscanのライフルなどがある程度で、基本的にはProjectileの弾を目視で避けるというゲームでもあった。珍しい例でUnreal Tournamentシリーズに登場する"Shock rifle"という武器は両者の切り替えが可能で、自身が撃ったProjectile弾をHitscan弾で撃って爆発させるといったテクニックが導入されている。
リアル系やタクティカル系と呼ばれるのタイトルの多くはProjectileが採用されており、銃器や銃弾によって弾速や落下、跳弾などが物理演算によってシミュレートされている。
FOV(視野角)
本項で扱う「FOV」とは「Field of View」の略称であり、主に3Dのゲームにおいて水平もしくは垂直方向を基準とした視野角を指して呼ばれているものである。この概念は3Dゲーム全般にあるものだが、FPSというジャンルは一人称視点という形式から視野角の変化の影響が顕著であると言える。
PCタイトルでは水平を基準として90°前後の設定が一般的である。これは人間が目を動かさず真正面で見ることが出来るおおよその範囲と、一般的なディスプレイのアスペクト比に基づいた数値であると考えられる。プレイヤーや環境によっては100°前後のより広い数値の設定が使用されていることもある。ゲームプレイに適度な最大値は120°程度だろう。これ以上の数値は一般的なディスプレイの環境では魚眼レンズのように画面が歪んでしまったり、カメラの位置とプレイヤーの腕のアニメーションがずれてしまうからである。
コンソールタイトルは70°前後で固定されたものが多く、一部のゲームでは60°代の設定になっている。PCタイトルよりもFOVが狭く設定されている理由は諸説あるが、テレビ画面とプレイヤーの距離が離れていること、視点操作の範囲を小さくするため、フレームレートの向上などといった理由が考えられる。特殊な例では、アーケードタイトルも基本的にはコンソールと同等の設定であることが多い。
(※FOVの値は水平垂直どちらを基準にするかによって変わってくる、ここで解説した値は水平を基準にした一例であり、垂直を基準にした場合の数値は異なる。例えば、水平の適切値が90だとすると垂直基準での同等の値は60前後になる。水平と垂直の値を混同するとややこしいので注意。詳しくは参考リンクも読んでください。)
FOVの縮小に関しては、どのプラットフォームでも否定的な意見が比較的多く、狭い視野は画面酔い(3D酔い)の原因のひとつとも言われている。マルチプラットフォームタイトルのPC版で、FOVの設定がコンソール版に準している場合は、コミュニティ間で設定の変更方法が共有されることは多い。特にコミュニティ間で否定的な意見が多かったBioshockは、後年に発売されたリマスター版ではPC版とコンソール版共にゲーム内でFOVの設定変更が可能になっている。近年では一部ではあるがコンソールタイトルでもFOVの値の設定が行えるタイトルが出てきている。
どれぐらいの数値が適切かという話は、ゲームやプレイ環境ごとの最適化と単に慣れといったところだろう。
参考リンク:
FPSキーワード探究 第一回 「FOV」
Field of view in video games
その他関連用語
- Aim / Aiming [エイム、エイミング]
狙いを付ける、目標に対し狙いを定めるという意味の英単語。照準を覗き込む動作のADSと混同されがちでもあるが、本来は文字通りの意味である。 - Boost / Boosting [ブースト、ブースティング]
(※移動やレベルアップを加速させることとは別の意味を解説する)
他のプレイヤーの上に登って通常では行けない場所まで登る行為(参考動画)。バグ技に近いテクニックでサーバーや大会のルールによっては不正行為とみなされることもある。 - Bunny Hopping [バニーホップ、バニホ]
本来はQuakeが発祥のあるテクニックを指す言葉であったが、他のゲームにも解釈が広がりジャンプしながら移動して相手に狙われにくくするといった程度の意味合いで呼ばれている。 - Camp [キャンプ]
同じ場所に留まり相手を待ち続けること。ルールによってはゲームの進行を遅らせてしまうこともあり、サーバーによっては自動的にキックされる。またCampを行う人をCamperと呼ぶ。 - Crosshair [クロスヘア]
画面の中央に表示されている照準点。命中精度に応じて動的に変化するものもある。スコープやサイト内に表示されるものはReticle(レティクル)とも呼ぶ。 - Double kill [ダブルキル]
連続して敵を倒すこと。さらに多い場合はトリプルキル、マルチキルなど。ゲーム中にアナウンスが流れるのはUT99が発祥元。 - Drag shot[ドラッグショット]
狙撃系の武器でスコープを覗いた状態でエイミングを行い攻撃すること。(ADSを行う)右クリックをホールドしながらマウスを移動させる(ドラッグ)という意味合い。 - FF / Friendly Fire
FPSの対戦においては一般的に「Friendly Fire」の略称として使われている。味方を攻撃する行為や味方に対するダメージ設定のこと。「フレンドリーファイア」の記事も参照。 - Flick Aim[フリックエイム]
攻撃するときだけ標的を瞬時に狙うこと。基本的にはプレイヤーは移動せずに視点移動のみで照準を合わせる。視点移動の感度設定が高いプレイヤーの狙い方でもある。 - K/D(Kill / Death) / Kill Ratio [キルレシオ]
倒した数と倒された数の比較。 - Killfeed [キルフィード]
誰が誰に(何で)倒されたかを表示したテキストログ。国内コミュニティ間では和製英語の「キルログ」とも呼ばれている。 - Killstreak [キルストリーク]
一度も倒されずに連続して相手を倒すこと。ゲームによっては専用のアナウンスが流れたりアイテムやスキルなどが追加される。 - QS / Quick Scope
主に狙撃系の武器で照準の切り替えを瞬時に行うテクニック。ADSを使用していない(スコープを覗いていない)状態で照準を合わせてからADSで撃つという手法。国内の一部のコミュニティでは「クイックショット」という和製英語が用いられていることもある。 - Respawn kill [リスポーンキル]
復活した直後の無防備な常態を襲う迷惑行為。国内コミュニティでの略称は「リスキル」。大抵のゲームでは行えないように設定されている。 - Strafe [ストレイフ]
水平移動、横移動を意味する英単語。Quake発祥の横移動を用いた特殊なジャンプテクニック「ストレイフジャンプ」、CS1.6発祥の横移動で命中率をコントロールするテクニック「ストレイフシューティング」など。後者は国内コミュニティ間では「ストッピング」とも呼ばれている。 - TK / Team kill
味方を攻撃して倒してしまう行為。故意にTKをする人をTKerと呼ぶ。 - Tracking Aim[トラッキングエイム]
標的を追うようにして狙うこと。視点移動だけではなくプレイヤーも移動しつつ狙う。弾をばらまきながら攻撃したり、視点移動の感度設定が低めのプレイヤーの狙い方でもある。 - ハイセンシ / ローセンシ
センシはセンシティビティ[Sensitivity]の略。この場合は視点移動の入力感度のことを指しており、ゲームやプレイヤーによって様々な設定が用いられている。 - 芋 / 芋虫 [いも / いもむし]
狙撃銃を持った状態で後方から移動しない、試合を動かさない迷惑な味方プレイヤーのこと。キャンプに代わる国内独自の言葉。ただし、他所のコミュニティで誤って広まってしまったこともあり、意味合いは曖昧になっている。「芋虫スナイパー」の記事も参照。
※おおよそFPS全般で使われている一般的な用語に限定。オンラインゲーム全般の用語、特定のタイトルやコミュニティ上の用語、一部で使用されている和製英語などは基本的に除いています。ゲームやコミュニティによって呼び方や解釈が違ったり、独自のルールやシステムに基づいた用語、コミュニティ独自の和製英語やスラングなどもあるので、より詳しく知りたい方は該当記事や各種ゲームごとのwikiサイトを参照してください。
スポーツ系とリアル系
現実はリアル系FPS? |
FPSのサブジャンルの代表例として「スポーツ系」と「リアル系」と呼ばれるものがある。爆風でのジャンプや加速しながら移動するテクニックといったアクションを重視した競技性の高いFPSはスポーツ系、一発が致命傷になるダメージ表現や現実的な銃の挙動を再現したものはリアル系と呼ばれてカテゴリー分けされることもある。ただ、そういったカテゴリー分けが多かったのは昔の話であって、現在ではFPSといってもジャンルは多種多様であり、厳密にどちらかに線引きをすることは難しく、後述する特定のタイトル群を指すときにおおよそ限定されている。
留意してほしいのは、ここで言うリアル系とは写実的なグラフィックデザインを指すのではなく、ゲームデザインを指すものである。
コミュニティ間ではまれに誤解されていることもあり、例えば、Counter-Strike(CSクローン含む)やCall of Duty、Battlefieldシリーズは、相手と互いに向き合って撃ちあいを楽しむアクション重視で、どちらかといえばスポーツ系よりである。リアル系と呼ばれているタイトルはアクションシューティングというよりも、作戦立案を楽しむ戦術シミュレーションに近い内容も含んでいる。グラフィックを指してリアルに見える言うことは何も間違ってはいないが、ビデオゲームのグラフィック技術と評価は常に変化しているので線引きは難しいだろう。故にリアル系というカテゴリー分けはゲームデザインを基準としているのである。
スポーツ系とリアル系という呼び方は日本国内のコミュニティ独自のもので、英語圏ではスポーツ系は「Arena shooter」、リアル系は「Tactical shooter」と呼ばれている。また、先述したようにやや古い言い回しであることと、誤解をされやすい呼び方でもあるためか、近年のメディア上では英語圏での呼称に倣って「アリーナ系」や「タクティカル系」と呼ばれていることもある。
スポーツ系 / アリーナ系
スポーツ系は初期のFPSに近い内容である。主にQuakeやUTなどの初期のFPSタイトルと似たデザインのゲームを指して呼ばれている。英語圏では「QUAKEⅢARENA」に由来して「Arena Shooter」と呼ばれている。基本的にはプレイヤー同士の対戦が主体になっている。
主な特徴として、レーザーやロケットといった派手な武器をはじめとするSF的な設定のビジュアルが多い。対戦に使用されるマップは、マップのあちこちに置かれた武器や回復アイテムを回収する作りになっており、アイテムの位置を記憶してお互いに回収する動きを先読みするマップコントロールなどのテクニックが要求される。そのためマップにはワープポイントやジャンプパッドといったギミックが導入されているものも多い。
他には加速しながら移動する「ストレイフジャンプ(Strafe-Jump)」や「バニーホップ(Bunny hop)」、自分の足元にロケットを撃ち込んで自らの爆風で飛距離を伸ばす「ロケットジャンプ」、相手と同じ場所にテレポートして圧死させる「テレフラッグ(Telefrag)」などといった特殊なアクションやテクニックが盛んに使用されている。特にストレイフジャンプとバニーホップは有名で、後年のタイトルでも同様のシステムが採用されていたり、プレイヤー間のテクニックとして使用されている。また、武器の弾道が遅く相手の攻撃を目視で避けることもテクニックのひとつである。
純粋なスポーツ系はPCタイトルが一般的であり、コンソールでは視点移動やFOVの制限から難しく不向きなジャンルであると考えられ、純スポーツ系のタイトルと言えるタイプのものはほとんど無かったが、近年ではTitanfallやCoD:AW、Overwatchのようにスポーツ系に近い多彩なアクションを導入したタイトルも登場している。
主なスポーツ系タイトルの一覧
リアル系 / タクティカル系
リアル系は現実での戦闘や戦術を再現したシミュレーションに近い作りのFPSである。初期のRainbowSixやOperation Flashpointが草分け的タイトルと言えるだろう。銃撃戦よりも目的地までの移動行動や立ち回りだったり、実戦開始前のプランニング(作戦立案)がゲームプレイの主体であることも多い。対戦に限らずシングルプレイやCo-opでの対AI戦も人気が高いジャンルである。
回復アイテムや自動回復は無いものが多く、ダメージのほとんどが致命傷である。出血や負傷の概念があり止血処理が必要なものもある。銃器の動作も弾道計算や、携行数に限りのあるマガジン単位のリロード、距離に応じた照準器の調整などといった実物を再現した設計になっている。そのほか、リーンや伏せといった身を隠す動作が導入されているものが多いのも特徴である。
一般的なアクションよりのFPSと比較するとシビアで難易度が高い印象があるかもしれないが、根強い人気のあるジャンルでもあり、リアル系でないタイトルをリアル系として調整した(もしくは作り変えた)MODが作られることは数多く、BF2の「ProjectReality」、HL2の「Insurgency」、 W:ETの「TrueCombat:Elite」といったものが有名である。また、他のゲームではあまり見かけないようなマニアックな銃器類が実装、再現されていることが多い点も人気のひとつと言ったところだろうか。
スポーツ系とはまた別の理由で操作方法が複雑になりがちゆえPCタイトルがほとんどである。コンソール版がヒットしたCoD4の登場以降は、レールシューターの流行からFPS全体でリアル系よりのタイトルが減少傾向にあった時期があり、例えばRainbowSixシリーズはVegasシリーズ以降では開発元が移行しリアル系とは対照的なカバーシューターに変わっていた頃もあった。しかし、近年ではRainbowSixシリーズが再度路線変更され、復活無しの試合やリーンの導入などタクティカルシューターよりのゲームデザインが肯定的に評価されてもいる。
主なリアル系タイトルの一覧
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リアル系ではないFPSとリアル系FPSの比較
※表に当てはまらないゲームはたくさんあります。大体の目安か、あるあるネタ程度のものだと思ってください…。
リアル系ではないもの | リアル系にありがちなこと |
体力(Health)の回復 ヘッドショットが致命傷 フレンドリーファイアは無いから弾をばらまこう |
回復なし 負傷と応急処置の概念 跳弾や味方の誤射も致命傷 |
目標に即着する当たり判定(Hit scan) 真っ直ぐに飛ぶ銃弾 1発単位で何度でもできるリロード 照準器やスコープによって命中率が変わる |
発射された銃弾ひとつひとつの当たり判定(Projectile) 落下や貫通をシミュレートした銃弾 マガジン単位のリロード 標的の距離に応じで照準器を手動で調整する |
体力や銃弾、ミニマップやレーダーなどの画面表示 | 必要最小限の画面表示、別画面のマップやコンパス HUDレスデザイン |
お互いが向き合う近距離での撃ちあい | 相手が豆粒みたいな距離から狙撃 |
目的地まで一秒でも早く走る | 目的地まで一時間ぐらい歩く |
リアル系の違いは現代的なFPSによくある乗り物にも見ることができる。例えばアクションよりのゲームでは、戦車であればプレイヤー自身で移動しながら大砲を撃つことが出来るし、戦闘機でムチャクチャな曲芸飛行も出来るだろう。一方でリアル系よりのゲームでは、実際の戦車と同じように複数人での運用が求められたり、戦闘機であればフライトシミュレーターに近い作りになっている。
歴史
この項目ではFPSというゲームジャンルの起源と発展の過程を解説する。FPSは他の様々なゲームジャンルの影響もあって発展したものであるが、本項では便宜上FPSのタイトルを中心に扱う。なお、時代の分類はメディアやコミュニティの評価や当時の情勢を参考にした筆者の独自研究である。同時期のタイトル一覧の項目では発売当時革新的で後年のタイトルに影響を与えたものやシリーズ作品の原点などを取り扱い、マイナーではあるが時代を先取りしていた作品も一部紹介する。
揺籃期:~1991年
一人称視点で自由に移動ができるゲームが作られたのは1973年の「Maze War」がはじまりと言われており、のちに一人称視点で迷路状のダンジョンを探索するRPG、「3DダンジョンRPG」と呼ばれるゲームジャンルが誕生した(詳しくは該当記事参照)。一人称視点のRPGはFPSと互いに影響を受けながら発展し近年のFalloutシリーズのように現代に受け継がれている。
こちらもまた最初のFPSと言われることもある。 |
1991年11月にid Softwareから発売された「Catacomb 3-D」は魔術師が地下墓地のダンジョンを探検する内容のゲームで、それまでのシューティングゲームで見られた戦車や戦闘機の操縦画面とは異なる、人型キャラクターを扱った一人称視点のシューティングの最初期の例である。画面中央下に武器を持った主人公の手が表示されている初期のFPSの画面構成は本作が原型である。
噂程度の話ではあるが、Catacomb 3-D開発中の当時、最初の3Dの一人称視点RPGと言われている「Ultima Underworld(1992)」の開発者と交流があり、技術的な面で影響を受けた…らしい。
黎明期:1992~1995年
1992年5月にid Softwareからリリースされた「Wolfenstein 3D」はCatacomb 3-Dを発展させたもので、よりシューティングに特化した設計になっている。本作が一人称視点シューティングというゲームジャンルを確立したと言われている。超初期のFPSタイトルではあるものの、1994年にはスーパーファミコンにも移植されて日本でも発売されたので意外とプレイヤーは多いかも。
そして1993年、同じ開発チームが発表した「DOOM」が本国では社会現象になるほどの爆発的なヒット作品となり、本作をきっかけに一人称視点のシューティングゲームは独立したゲームジャンルの一つとして定着していった。この頃は「DOOM系シューティング」や、見た目だけを変えてゲーム内容がほとんど同じものは「DOOMクローン」とも呼ばれいた。
当時のFPSはまだ擬似的な3Dアクションであり、マップこそは3Dで作られていたが敵やアイテムなどのオブジェクトは2Dのスプライト画像が用いられていた。実際にDOOMには3Dモデルは一切使われていない。多くは照準を上下に動かすことはできず、敵がどの高さにいても方向さえあっていれば攻撃が命中する設計が基本的なものであった。
同時期の作品
Marathon | 1994 | Macintosh専用タイトル。設定が練りこまれた難解なストーリー、パズル要素のあるシングルプレイをはじめ、マルチプレイのチーム戦の人気もあった。高さや重力の概念を導入した革新的な作品で、エレベーターで高い場所に移動する、水中に潜る、グレネードは放物線を描いて飛ぶ…など、現在のFPSの基本的なシステムはこの作品でほぼ完成されていたとも言える。続編とWindows版も発売された。現在、PC版は無料配布、リメイク版「Marathon: Durandal」はXbox Live Arcadeで配信されている。この開発チームは後に「HALO」を製作する。 | |
System Shock | 1994 | 本格的なストーリーが導入された一人称視点のFPS / RPG。後の「Bioshock」シリーズの原典的作品である。 「Ultima Underworld」を原型とする視点を上下にも動かせる自由視点(フリールック)は当時は革新的なものだった。また、音声記録を用いた演出は後世のホラーゲームに大きな影響を与えたとも言われている。特に続編の「System Shock 2」はPCゲームやホラーゲームのオールタイムベスト作品として今現在でもランキングの常連である。 | |
Rise Of The Triad | 1994 | 5人の能力の異なるプレイヤーキャラクターを選んでカルト教団を倒しまくるFPS。実写を取り込んだグラフィックデザインで、ある意味では最初のフォトリアル路線のFPSとも言えるかもしれない。また、肉片があちこちに飛び散るゴア描写も後のFPSに影響を与えたとも言われている。3D RealmsのFPSタイトルの前身でもあり、カルト的な評価のある作品のひとつ。動画は2013年のリメイク版。 | |
Descent | 1995 | 3D空間として設計されたステージを360度自由に移動することができるフライトシューティング。当時における革新的なゲームのひとつであり、これが最初の3DのFPSであるとも言われている。1996年にプレイステーション版が国内で発売された。 | |
Duke Nukem 3D | 1996 | それまでは無名で無言の主人公が多かった中、フルボイスで喋る強い個性を持ったキャラクターを主人公に持ってきた点が斬新だった。ふんだんに盛り込まれたアダルト要素やジョーク要素も本作品の特徴で、アダルトビデオを鑑賞してるエイリアンがいたり、トイレで用を足したり…。同じ開発スタジオによる方向性が同じの「Shadow Worrior」も人気作のひとつ。様々な機種への移植版やリメイク版が作られている。苦節14年間の開発期間を経て発売された続編の「DUKE NUKEM FOREVER(2011)」は、いろんな意味で伝説。 |
革命期:1996~1999年
完全な3DのFPSが作られたのは1996年6月にリリースされたid Softwareの「Quake」が最初であると言われている。ゲーム内のほとんどのオブジェクトが3Dで描写されるようになり、それまでよりも進化した高さの概念が導入され、高低差を生かした3Dアクションシューティングとなった。
Quakeはインターネットを通じたマルチプレイ(対戦プレイ)も非常に人気があり、この頃にマウスを使用して自由視点を動かす現在における一般的なFPSの操作方法がコミュニティを通じて定着していった。同年12月にはオンラインの機能を拡張する無償のアップデート「QuakeWorld」がリリースされ、FPSにおけるオンライン対戦の基礎が築かれた。このQuakeWorldを通じてMODコミュニティも発展し、後のCounter-Strikeの原型になった「Action Quake 2」や、クラス制FPSの元祖「Team Fortress」が登場した。QuakeWorldの流行をきっかけにPCゲーム界隈でMODという概念が定着し広まっていったとも言われている。1997年にはサーバーブラウザやリーダーボードを導入する「Qspy」というツールがMODコミュニティで開発され、これは後に「GameSpy」というサーバーサービスに発展する。
また、Quakeの柔軟なゲームエンジンは進化と派生を繰り返して現在の最新のFPSでも使用されている。(参考:Quake樹形図)
そして2年後の1998年5月、Epic Gamesが発表した「Unreal」は、当時の常識を打ち破る驚異的なグラフィックで話題となった。それまでのゲームの舞台が屋内中心だったのに対し、広大な高地が描かれている点も新しかった。今となってはグラフィック技術は旧世代のものだが、洗練されたビジュアルデザインは現在でも十分通用するものであると言えるだろう。プレイヤーの攻撃を回避するなどといった高度なAIも導入されている。完成度の高い柔軟な「UnrealEngine」は改良を繰り返し、こちらも今現在でも多くのゲームで使われている。
ちなみに、PCゲームにありがちだった「グラフィックが凄すぎて(発売時点での)最高スペックのPCでも快適に遊ぶのが難しい」という話はUnrealが最初らしい。
同時期の作品
ゴールデンアイ007 | 1997 | レア社が開発したNINTENDO64専用タイトル。世界で800万本以上を売り上げる大ヒットを記録し、それまではこのジャンルと縁遠かった家庭用ハード、そして国内でもFPSを浸透させた立役者となった。現在でも根強い人気があり、中古市場では高値で取引されている。対戦プレイに夢中になった人は多いはず。2000年には精神的続編の「パーフェクトダーク」が発売された。 | |
Thief: The Dark Project | 1998 | System Shock 2の開発スタジオによって作られたステルス要素を初めて本格的に導入したFPS。リーンやカバーアクションという動作を導入した最初期のゲームであり、戦闘ではなく機密行動が重視されるそのゲーム性から「First Person Sneaker」「ステルスシューター」というジャンルを確立したとも言われている。中世と産業革命時代の両方を持ち合わせた独特の世界観も本作の特徴。現在は拡張パックが同梱された「Thief GOLD」がダウンロード販売で購入できる。2014年にはリメイク版が発売された。 | |
Tom Clancy's Rainbow Six | 1998 | トム・クランシーの同名の小説が原作。戦闘そのものよりも作戦立案(プランニング)や戦術面(ストラテジー)を重視したゲームになっている。「Tactical Shooter」「リアル系」と呼ばれるジャンルの金字塔であり原型となった作品。以降はシリーズ化され、ゲーム内容を一新しながら様々なプラットフォームで発売された。特に初期の作品は2017年現在でもその評価は高く、再版希望ランキングの常連のひとつ。 | |
Starsiege:TRIBES | 1998 | FPSにVehicle(乗り物)の要素を追加した最初期の作品。広大なフィールドでの対戦が特徴で、他にもジェットパックを使った空中戦、自動機銃の設置など、それまでにはなかった新しい要素を数多く取り入れている。初期の作品は無料化されており、2012年にはF2Pタイトルとして「Tribes: Ascend」が公開された。動画は続編の「Tribes 2」。 | |
Jurassic Park: Trespasser | 1998 | 映画ジュラシックパークを題材にしたFPS。恐竜の生態を再現したAI、オープンワールド、手を伸ばしてアイテムを拾う鍵を開けるといった人の手の動きをシュミレートした独特の操作、物理エンジンを利用したパズルなどいった、今日の物理演算が導入されたゲームやVRゲームのような要素を先取りしていたとも言える非常に斬新だったゲーム。しかし、当時の評価は低く失敗に終わってしまった。時代が早すぎた作品。女性主人公で視点を見下ろすとおっぱいに体力が表示されているのも特徴的。(※過去に掲示板でおっぱいが誤字であると指摘されましたがマジです) | |
SiN | 1998 | Half-lifeに先駆けて本格的なストーリーを組み込んでいた意欲作ともいえるFPS。UnrealやHalf-lifeといった大作に隠れてしまったが、ユニークなキャラクターやマルチプレイの評価が高かった。動画は2006年の続編「SiN Episodes」で3部作になる予定だったが、続編が作られないまま開発チームは解散してしまった。敵キャラのおっぱいも特徴的。 |
Half-Lifeの登場
1998年11月にValve Softwareから発表された「Half-Life」は、ムービーやカットシーンといった客観的な演出を一切使わず、ストーリー展開が全てプレイヤーが見るゲームの中で実際に起こる独自の演出により、それまでは単なる設定でしかなかったストーリーをゲームプレイと融合させ、ゲームの中の世界をプレイヤーに体感させることに成功した。主人公はプレイヤー自身であるという一人称視点のゲームの最大の魅力を引き出したのだ。FPS界に革命を起こした本作は、多くのプレイヤー、ゲーム開発者に絶賛され、同年度の50種類以上のメディア賞、ゲーム賞を独占した。現代のFPSの原型となった作品と言えるだろう。
また、Quake Engineを改良したゲームエンジン「GoldSrc」も完成度が高く柔軟なもので、MODから派生したタイトルも数多く、「Counter-Strike」「Team Fortress Classic」などといった現代の対戦FPSの基礎となった作品も登場した。
これらの理由から「Quake」「Unreal」「Half-Life」はFPSを代表する三大作品と言われることがある。
同時期の作品
Counter-Strike | 1999 | 2チームに分かれて競う対戦専用のFPS。それまではステージのあちこちに散らばっている武器を拾うのが主流だったのに対し、試合で獲得したスコアによる武器の購入というシステムが新しく特徴あるものだった。Half-lifeのMODが製品化されたのが本作であり、初代は最終バージョンに由来して「CS1.6」と呼ばれている。後にシングルプレイヤーを追加した拡張版や、最新のゲームエンジンで一新したリメイク版、アーケード版、オンラインゲーム版も登場した。現在でも初代CS1.6の世界大会が行われるほどプレイされており、対戦FPSの代表作のひとつと言えるだろう。 | |
Team Fortress Classic | 1999 | チーム対戦専用のFPS。QuakeのMOD「Team Fortress (1996)」をHalf-Lifeのゲームエンジンに移植して製品化したのが本作。メディック、エンジニア、スパイ…といった異なる特徴を持った9種類のキャラクターを選択するクラス制を導入したチーム戦が特徴。このシステムは後の「Return to Castle Wolfenstein」や「Battlefield」のベースになったと言えるだろう。同年に続編の制作が発表されたが何度も延期されたのち、当時のバージョンはお蔵入りになってしまった。2007年になってグラフィックを一新した「Team Fortress 2」が発売され、現在ではF2Pタイトルとしてプレイされている。 | |
Sven Co-op | 1999 | その名の通りCo-op(協力プレイ)専用のFPS。通称すべこ。HLのシングルプレイをネットワークを通じて複数人でプレイするMODからはじまり、後に専用のマップやユーザー製のカスタムマップが導入され人気を博し、2000年代前半頃までは最もプレイ人口の多いCo-opタイトルだった。2016年にスタンドアローンタイトルとして無料公開されている。 | |
Unreal Tournament | 1999 | Unrealから派生した対戦専用のタイトル。チームに分かれてミッションを攻略するゲームモード「Assault」の追加や、高度なAIを持ったNPCプレイヤーが高く評価され、同年のGame of the Yearを受賞した。発売された年代に由来して初代にあたるの本作は「UT99」と呼ばれている。あのキーボードクラッシャーがプレイしていたのは続編の「UT2004」。現在ではゲーム開発の教育目的としてグラフィックを一新した「Unreal Tournament(2014)」が無償で公開されている。 | |
Quake III Arena | 1999 | Quakeシリーズから派生した対戦専用タイトル。ストレイフジャンプやバニーホップといったテクニックを駆使するスポーツ系FPSを代表する金字塔的作品。2009年に本作をベースにしたオンラインゲーム「QuakeLive」が公開され、2017年にはグラフィックを一新した「Quake Champions」がF2Pタイトルとして発表された。 |
成長期:2000年~2006年
基本的な操作方法、一人称視点を活かしたストーリー演出など、ゲームデザインの基礎が出来上がったFPSはその後、独自の要素、シューティング以外のジャンルとの融合など、様々なゲームデザインを持ち合わせた個性のある作品が多く作られるようになっていた。
それまではPCゲームでのタイトルが主流であったが、2000年前後になってからは家庭用ゲーム機(コンソール)でも「Killzone」「メトロイドプライム」などといった各種専用タイトルやマルチプラットフォームに対応した作品も数多く発表されるようになり、プレイヤー層はより幅広いものとなっただろう。
特に2001年のXbox向けタイトル「Halo: Combat Evolved」はコントローラーでのプレイに最適化されており、ダメージの方向を示すマーカーやシールド制の体力などといった画期的なシステムを導入している。本作はコンソールタイトルにおけるFPSの金字塔と言えるだろう。
2000年のゴア描写も話題になった 「Soldier of Fortune」 でQ・Eキーを使った体を傾けて物陰から覗き込む動作"Lean(リーン)"が導入。2001年のリアル系FPSの代表作 「Operation Flashpoint: Cold War Crisis」で銃の照準器(アイアンサイト)の表示、 2003年の 「Vietcong」や 「Call of Duty」でAim Down Sight(ADS)の切り替えが初めて導入され、この時期に現代的なFPSのゲームデザインが形成されていった。
2004年に発表された「DOOM 3」と「Half-Life 2」は、ビデオゲームのグラフィック技術や物理エンジンを革新的に向上させ、当時は"次世代のグラフィック"、"グラフィック新世代"などと呼ばれていた。DOOM3のゲームエンジン「id Tech」、Half-Life2の「SourceEngine」は共にQuakeEngineから発展したものである。両者とも柔軟で高性能なゲームエンジンであり、以降多くのゲームに導入された。
また、2005年ごろから韓国でサービスが展開されていた無料オンラインゲームが日本国内でも展開されるようになり、後述する無料オンラインFPSと呼ばれるタイトルも多く見られるようになった。
同時期の作品
Daikatana | 2000 | DOOMやQuakeを開発した有名クリエイターが独立して作り上げた最新の超大作ゲーム…になるはずだったが、相次ぐトラブルで開発が遅れた結果、発売された頃には何もかも時代遅れになってしまい、理不尽な難易度やバグの多さと過剰な宣伝が裏目に出てしまって散々な評価に終わってしまった。海外では現代でもクソゲーの代名詞的な悪名高い作品。現在Steamで配信されているバージョンは難易度が調整されバグも修正されているのでわりと遊べる。 | |
Deus Ex | 2000 | サイバーパンクを題材にしたRPG色の強いFPS。ゲームプレイにはプレイヤーによる自由な選択が可能な作りになっており、ステルスプレイを重視するかアクションを重視するかはプレイヤーの任意であり、非常に多彩な攻略方法が用意されている。また、プレイヤーの判断や結果によってストーリーやエンディングが分岐するようになっている。現在でも評価の高い作品のひとつ。ちなみに上記のDaikatanaと開発スタジオがある会社が同じで、当時は同じ年に同じ会社から最高傑作と最低作品が登場したと言われていた。 | |
No One Lives Forever | 2000 | スパイアドベンチャーFPS。60年代風の世界観に映画007シリーズに出てくるような秘密アイテムが多数登場する。当時はHalf-Lifeを超えるとも言われていた。独特の世界観やシングルプレイの完成度の高さなどが当時のプレイヤーとメディアから絶賛され多くのゲーム賞を受賞した。GOG.comの再販希望ランキングの常連のひとつで、女性主人公はFPSを代表するヒロインのひとり。 | |
Return to Castle Wolfenstein | 2001 | Wolfenstein3Dの続編。ゾンビやクリーチャー、サイボーグ兵士が登場するため、他の第二次世界大戦を題材にした作品とは違いSFホラー風の作品になっている。クラス制を採用したマルチプレイの人気が高く、拡張パックとして発売される予定だった「Wolfenstein: Enemy Territory」は無償で公開され日本国内でも人気のあるタイトルのひとつであった。ちなみに本作のシングルプレイの開発元は後のTreyarchである。 | |
Serious Sam | 2001 | 両手爆弾首なし男KAMIKAZEが無数に襲ってくるゲーム。初代DOOMのようなひたすら敵を倒すというFPSのスタイルを復興させたのがシリアスサムだ!ジーパンがあれば世界が救えるぜ!ahhhhhhhhh!!!時代を逆行したようなゲームデザインと見た目とは裏腹に、広大なフィールドで無数の敵を同時に登場させる技術は当時は革新的なものであった。現在でもグラフィックを一新したリメイク版や続編が数多く出ている人気作。(動画は2009年のリメイク版) | |
Operation Flashpoint: Cold War Crisis | 2001 | 1985年前後の冷戦時代を題材にしたリアルな戦場をシミュレーションしたゲーム。一発の銃弾が致命傷となるシビアなゲーム性、広大なフィールドが特徴。リアル系FPSを代表する作品。2006年にはゲーム性を受け継いだ「ArmA」が発売され、現在でも続編や拡張パックが制作されている。また、軍事機関向けに開発された派生作品の「DARWARS」「Virtual Battlespace」は実際の戦闘シミュレーションに使用された。 | |
Medal of Honor: Allied Assault | 2002 | 1999年にプレイステーション用タイトルとして発売された「Medal of Honor」シリーズの3作目。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線や北アフリカ戦線を題材にしている。スクリプトによる映画的演出が組み込まれたシングルプレイや実銃からサンプリングされた効果音を使用しており、当時は非常に臨場感のある作りであった。FPSといえば第二次世界大戦…というイメージを創り上げたのは本作と言えるだろう。 | |
Battlefield 1942 | 2002 | 第二次世界大戦を題材にした対戦専用FPS。有名な戦場をモチーフにしたステージで連合国軍と枢軸国軍の戦いを再現している。搭乗兵器の多さも本作品の特徴で、有名な戦車、戦闘機をはじめ、戦艦や潜水艦も使用することができる。当時は画期的だった64人対戦も大きな特徴である。また、兵士と搭乗兵器のバランスが(いい意味で)適当で白兵戦も楽しめるため、プレイヤーからはお祭りゲーとも言われている。後にシリーズ化され、多くの続編や派生作品が作られた。 | |
メトロイド プライム | 2002 | ゲームキューブ専用タイトル。メトロイドシリーズの外伝にあたる本作は、シューティングだけがメインではなくメトロイドの舞台設定の再現やキャラクターとの一体感を重視して作られており「First-person adventure」というジャンル名を掲げている。本作以降にはメトロイドシリーズから独立したプライムシリーズとして続編や移植作品が発売された。ちなみに、かの宮本茂氏の"ちゃぶ台返し"によってFPSになったという経緯がある。 | |
Call of Duty | 2003 | Medal of Honorの開発スタッフの一部が独立して製作されたのが本作品。ヒーロー的な主人公像ではなく、戦場に送り込まれた一兵卒を描くというコンセプトが本作の特徴である。スクリプトによる映画的演出、高度なAIをもったNPCによるシングルプレイが高く評価された。後にシリーズ化されて舞台設定やマルチプレイヤーなどゲームの内容は大きく変化しているが、シングルプレイヤーのレベルデザインは一貫して初代と同じ設計になっている。 | |
Planetside | 2003 | 400人近い対戦を実装したMMOFPSの代表作。当時のオンラインゲームの一般的な形式であった月額制のタイトルとして運営されていた。公式サイトには日本語フォーラムも設けられていて国内でのコミュニティも盛んであった。現在はサービスが終了してしまったが、2012年から後継作の「Planetside2」がF2Pタイトルとしてサービスが運営されている。 | |
Farcry | 2004 | 南国の島を舞台にしたオープンワールドのFPS。独自に開発されたCryENGINEによって広大なフィールドがシームレスに再現され、これによってプレイヤーが自由に行動できるようになった。当時は同時期に発売された「DOOM3」「Half-Life2」によって、やや隠れてしまったが、高度なグラフィック技術もあってプレイヤーの評価は高かった。同開発スタジオによるゲームエンジンを受け継いだ「Crysis」シリーズと、別のスタジオによりゲームデザインを受け継いだFarcryシリーズが作られた。 | |
Killzone | 2004 | プレイステーション2専用タイトル。PS2の性能を極限まで引き出した高度なグラフィックが特徴。宇宙開拓時代というSF設定もあって、当時はHALOキラーとも呼ばれていた。後にPS3やPS4での続編やスピンオフタイトルが数多く作られる人気シリーズとなった。 | |
F.E.A.R. -First Encounter Assault Recon- | 2005 | モンスターではなく幽霊を題材にした異色のホラーFPS。NPCのAIが優秀であり現在でも語られることは多いだろう。マルチプレイも人気があり、後年にはマルチプレイ部分を独立させた無料版も公開されていた。続編の「FEAR2」では搭乗可能なメック型のロボットが登場したことも話題になった。 はし~りぬく、つよい~せなかが~♪ |
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Red Orchestra: Ostfront 41-45 | 2006 | 第二次世界大戦の東部戦線を題材にしたFPS。弾道の計算が必要なリアル系よりのゲーム性が特徴。もとは「Unreal Tournament 2004」のMODとして開発されたもので、UT2004の開発元のEpic Games社が主宰したコンテストにおいて見事優勝して製品化の権利と100万ドルの賞金を得た。優秀なMODが独立した例の一つ。グラフィックを一新した続編「Red Orchestra 2:Heroes of Stalingrad」と、舞台を太平洋戦争に移行させた拡張パックが発売されている。 | |
Prey | 2006 | 元々は1995年に開発がスタートしたゲームで、後年の「Portal」に先駆けてポータルを使った空間移動というギミックを導入している。他にも重力移動やゲームオーバー時に死後の世界に移動するといった独特の内容になっている。日本国内では主人公の容姿に由来して「しげる」とも呼ばれている。続編を思わせるエンディングになっているが、実質的な続編は2017年現在作られていない。多数の種族が住み着いた宇宙船という設定を受け継いだ「Prey2」は一度キャンセルされてしまったが、一から開発がやり直されて2017年に「Prey(2017)」が発売されている。 |
変革期:2007年~2011年
2007年に発表されたCall of Dutyシリーズの「Call of Duty 4: Modern Warfare」は様々なプラットフォームで展開し異例ともいえるほどの大ヒット作となった。国内でも日本ゲーム大賞2008の特別賞を受賞した。
本作の大きな特徴はストーリー演出を重視した一人称視点によるカットシーンで、言わばHalf-Lifeで確立された一人称視点ならではの演出をより発展させたものである。また、それまで主流だった回復アイテムを使う体力システム撤廃し、HALOでも導入されていたシールドとも呼ばれる体力の自動回復を導入したことで、プレイヤーが回復アイテムを探して右往左往するようなことはなくなり、ゲームの進行をスムーズなものに仕立て上げ、FPSはより軽快なアクションシューティングに変わったと言えるだろう。
このようなゲームデザインはのちに「レールシューター」などと呼ばれ、本作以降多くのタイトルが同様の設計を導入するようになっていった。また、模倣されるようになったのはゲームデザインに限らず、現代戦というテーマやビジュアルも後を追う作品が多く、それまでは戦争ものと言えば第二次大戦が主流だったFPS界隈の流れを大きく変えるものであった。第二次大戦ものの代表作であったMedal of HonorシリーズやBattlefieldシリーズも現代戦争もののジャンルとして続編が作られることになった。
Disれ!CoD vs BFラップバトル! |
これらの理由から主にコミュニティ間ではCall of Dutyシリーズと、対をなすBattlefieldシリーズは近年におけるFPSの代表作として扱われていることは多い。
Call of Duty4がFPSのゲームデザインだけでなく市場やコミュニティの形成にも大きな影響を与えた作品であることは確かだと言える。しかし一方では、いわゆる一本道的なレベルデザインや、類型的な内容が続くシリーズ構成などを筆頭に、FPSのゲーム性が失われてしまっているという声も決して少なくはなく、レールシューターでは"ない"ことが評価されるタイトルも多かった。
同時期の作品
S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl | 2007 | 6年もの歳月をかけて開発されたウクライナ発の異色のFPS。東欧ならではの雰囲気、細部まで再現されたプリピャチ市内の廃墟、高度なAI、マイナーな銃器、弾道が計算されたリアルな銃の挙動など…多くの独自の要素を持っている。2つの続編が発売されてシリーズは完結したが、現在でも根強い人気があり数多くのMODが制作されている。 | |
Portal | 2007 | 一人称シューティングを最大限に生かしたアクションパズルゲーム。アメリカの専門学校生が卒業制作で作った「Narbacular Drop」というゲームが原型となっている。専用の銃を使って壁に次元の扉(Portal)を開けて空間を繋ぐことで様々な仕掛けを突破していく。重力と物理エンジンをフルに活用した独特のゲームスタイルが高く評価された。2011年に続編の「Portal 2」が発売された。他にもユーザー製のMODやカスタムマップも数多く投稿されている。ケーキは嘘。 | |
Bioshock | 2007 | System shock2の精神的続編。海底に築かれた都市Raptureを探検する。超能力の装備、お金を使いアイテムを購入するシステムなどRPGのような特徴が多い。水流のグラフィックをはじめ、60年代のレトロフューチャーをモチーフとしたデザインや秀逸したシナリオも高く評価された。 | |
Crysis | 2007 | 非常に高度なグラフィックが話題になったFPS。当時は最高画質で動かすと最も動作が重いゲームでもあった。オープンワールドに近い広大なマップやジャングルの地形を利用したステルスプレイの評価も高い。国内では日本語版の吹き替えが話題にもなった。続編の「Crysis2」「Crysis3」は舞台を都市部に移行しゲーム内容も大きく変わっている。 | |
Mirror's Edge | 2008 | 一人称視点で高層ビルを駆け抜けるアクションゲーム。パルクールというエクストリームスポーツを題材にしている。FPSのゲーム性にアクション要素を多く取り込み新たなジャンルを開拓したとも言えるだろう。エッジの効いた独特のグラフィックも本作の特徴。 | |
Left 4 Dead | 2008 | 無数のゾンビが徘徊する都市から脱出するストーリー仕立てのCo-op専用FPS。プレイヤーはゾンビ映画の登場人物という設定。ゲームシステムを改良した続編の「Left 4 Dead 2」は現在でも人気が高いFPSのひとつで、後に国内ではアーケード版も登場した。 | |
Borderlands | 2009 | 敵を倒して経験値とより強力なアイテムを手に入れる、RPGにおけるハック・アンド・スラッシュのスタイルを採用したタイトル。ゲーム中で手に入るアイテムは自動で生成されるため、銃器だけでも1600万種類を超える。Co-opが人気の作品のひとつ。後に続編やスピンオフ作品が発売されている。 | |
Killing Floor | 2009 | UT2004の人気MODの製品化。ウェーブごとに襲い掛かってくる大量の敵との耐久戦のCo-op専用FPS。季節ごとにアップデートがされるイベントがよく行われていた。2016年にグラフィックやゴア描写を一新した続編「Killing Floor 2」の正式版がリリースされた。 |
派生期:2012年~2014年
2012年に「ArmA2」のMODとして登場したリアリズムを追求した対人サバイバル系シューター「DAYZ」はFPSというジャンルに限らず、ゾンビものやサバイバルものというゲームジャンル、オンライン対戦ゲームの流行を大きく変えるものであった。
PC専用のリアル系FPSのMODという形式から、一からプレイするまでのハードルが若干あったにも関わらず、ベースになったArmA2の月間の売り上げ率をそれまでの500%近く伸ばすまでに至った。本作の流行をきっかけにインディータイトルやアーリーアクセスタイトルを中心に、「Rust」「7 Days To Die」「H1Z1」、後の"PUBG"の前身となった「PLAYERUNKNOWN's Battle Royale」などといった、大人数での対戦サバイバル系やバトルロイヤル系FPSが多く登場した。DAYZ自身ものちにスタンドアローンタイトルとしてリリースされた。
DAYZのベースはFPSではあるものの、FPSとTPSを切り替えることが出来るゲームであり、フォロワータイトルはTPSベースのものも多く、純粋なFPSとはまた違うジャンルと言った方がいいかもしれない。例えるならRTSタイトルのMODから派生したMOBA(DotA系)のように、FPSから派生した新しいアクションシューターのジャンルのひとつと言ったところだろうか。
大人数での対戦ものが流行する一方で、対戦主体のゲームだけではなく「Bioshock Infinite」や「Metro2033」「Deus Ex: Human Revolution」のように一人称視点による演出を重視した物語主体の作品や、現代におけるThiefとも言えるステルスシューター「Dishonored」も高く評価された。
2014年5月にPCゲーム界隈で大きな出来事があった。FPSというジャンルにおいても1996年の初代Quakeから利用されていたオンライン対戦用のサーバーサービス、つまるところマスターサーバーであったGameSpyの運営が終了した。影響は大きく、ひとつの時代の終焉とも言えるかもしれない。GameSpyを導入していたゲームの多くは新しいサービスに移行したが、BF1942やBF2のように販売終了してしまったタイトルもあった。ただ、一方で販売終了したことにより「ProjectReality」などといったMODタイトルが独立するきっかけにもなった。
同時期の作品
MASSIVE ACTION GAME | 2010 | プレイステーション3専用のMMOFPS。通称MAG。最大で256人同時対戦という類を見ない大規模な試合が楽しめるFPSであったが、2014年1月に惜しまれつつサービスが終了してしまった。続編を望んでいるプレイヤーの声は多い。 | |
Metro2033 | 2010 | ロシアの同名小説を題材にしたウクライナ産のFPS。ストーリーと世界の表現を重視したシングルプレイ専用タイトル。当時の最先端のグラフィック技術も話題になった。2013年に物語の続編「Metro: Last Light」、2014年には両作品のDLCを統合しグラフィックを調整した「Metro Redux」が発売された。 | |
Dishonored | 2012 | スチームパンク風の世界設定が特徴のステルスシューター。自由な攻略方法や多彩なAIの表現が盛り込まれていて、ThiefやDes Exなどの名作を現代風に再解釈した作品とも言われており評価が高い。2016年には続編の「Dishonored 2」が発売されている。 | |
PAYDAY2 | 2013 | 銀行強盗や囚人の強奪をテーマにした犯罪系のCo-op専用FPS。2011年の「PAYDAY: The Heist」の続編にあたる。前作から数多くの要素が追加され、2017年現在でもコンテンツの追加やイベントが開催されており根強い人気があるタイトルのひとつ。 | |
Titanfall | 2014 | 元Infinity Wardの主要メンバーによって設立されたスタジオの一作目。パワードスーツや搭乗可能なロボットが特徴の対戦専用のFPS。ウォールジャンプなどのアクションが多く導入されており、スポーツ系FPSに近い作りにもなっている。2016年には実質的なストーリーラインのあるシングルプレイが追加された続編「Titanfall 2」が発売された。 | |
Destiny | 2014 | MarathonやHaloを手掛けた開発スタジオBungieによるPS3・PS4専用タイトル。”First-person"shered world shooter”というMMOの要素を含んだゲーム内容が特徴。後にマルチプラットフォームタイトルとして続編も登場した。 |
現在:2015年~
2015年の「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」は初期のRainbow Sixシリーズを思い起こさせるタクティカルシューターに近い作りになっており、近年の対戦系FPSの中ではプレイヤー数の増加が最も多かったタイトルとも言われている。2016年の「Battlefield 1」は、BF2以降続いていた現代戦から大きく変わって第一次世界大戦を題材にしており、高度なグラフィックやシングルプレイの評価も高い。
近年においては、世界大戦ものの復興や、新生「DOOM(2016)」「UnrealTournament(2014)」「Quake Champions(2017)」といった旧作のゲームデザインを受け継いだリメイクなどから、FPSにおける原点回帰的な流れが見えるかもしれない。
新しいFPSのジャンルとしては、非対称型対戦の先駆けとなった「Evolve(2015)」、人間同士のプレイヤーの疑心暗鬼を取り入れた人狼ゲーム風の「Deceit(2017)」、また2016年にはMOBA風の要素を含んだ「Overwatch」「Battleborn」「Paladins」が登場し、MOBAのプレイヤーキャラクターを指す言葉の"ヒーロー"に由来して、国内コミュニティ間では"ヒーロー系FPS"とも呼ばれている。
オンラインゲーム / F2P
ブロードバンド回線が普及してからは、無料のアカウントとクライアントを導入したいわゆる無料オンラインゲーム形式のタイトルも多く登場した。かつては月額料金制のものも一部存在したが、現在ではアイテム課金制やF2P(Free-to-play)の形式が広く一般的である。国内では2005年ごろから主にオンラインゲーム事業が盛んな中国や韓国の企業によるサービスが展開されており、それらのタイトルはプレイヤーや広告上では「オンラインFPS」「無料FPS」とも呼ばれている。形式上、ローカル対戦やユーザーによるサーバー稼働が可能な一般的なFPSとは違い、運営側のサーバーやサポートが終了した場合はプレイ自体が不可能になる。
中韓系オンラインゲームタイトルのゲーム内容はCounter-Strikeのゲームルールを模倣したCSクローンと呼ばれるものが大半である。アイテム課金制・無料オンラインゲームという形式や、地域ごとに隔離されたサーバー、日本語入力が中心のチャット、運営元の掲示板を中心にした独自のコミュニティが形成されていることから、一般的なFPSタイトルとは異なる独自の文化や用語が形成されていることが多い。その様子はニコニコ動画に投稿されている動画の内容やコメントからも伺えると思う。
英語圏のタイトルでもF2Pモデルは数多く導入されている。新規で登場する専用タイトルだけではなく製品タイトルとして販売されていたものが後年にF2P化されることもある。「Team Fortress 2」や「Evolve Stage 2」といったものが例として挙げられる。現在でいうF2Pとは若干異なるが、開発中止になったあと無償公開された「Wolfenstein: Enemy Territory」や対戦モードだけを無償化した「F.E.A.R.Combat」という例も過去にはあった。これらのゲームは隔離された国別専用サービスといったものはなく、コミュニティも英語が中心であり、先に述べた中韓系の無料オンラインFPSとはプレイヤー層やコミュニティは異なっている。
MMO形式は大規模な対戦を実装するための技術的制約からか数は少なく、2017年現在に実質的な運営がされているのは「Planetside2」のみである。
アーケードゲーム
日本国内に限定された珍しい例で、国産タイトルや独自に移植を行った主に対戦専用のタイトルが一部リリースされている。ある意味では国産のFPSとも言えるかもしれない。特徴としてトラックボールやジョイスティック、足を使うペダルといった専用のデバイスが用意されていることが多い。また、PCタイトルの移植作品では、ルールの変更や流血表現が抑えられていたり、設定やキャラクターが独自にアレンジされている。アーケードタイトルという形式上、オンライン対戦やリーダーボードは専用のサービスが終了してしまった場合利用できなくなる。下記で紹介するタイトルは現在全てオンラインサービスは終了しているが、ローカルでの対戦を楽しむことはできる。
アーケードタイトルの一覧
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マルチプレイ / Co-op
FPSは黎明期の頃からローカル対戦をはじめ、ネットワークを通じたマルチプレイ(対戦)やCo-op(協力プレイ)の人気があり対戦専用のゲームも数多く作られてきた。DotA系(MOBA)やバトルロイヤル系といった新しいゲームジャンルが登場する以前、FPSはオンライン対戦が最も遊ばれているゲームジャンルでもあった。現在のFPSにおける対戦の基礎を築いたQuakeは開発途中の段階でスタッフが対戦プレイに夢中になっていたという逸話もある。ある世代にとってはゴールデンアイ007の対戦モードが馴染み深いものかも。
FPSの対戦の基本設計はプレイヤーの実力が試されるもので、その競技性の高さからe-sportsやゲーム大会で試合項目になっている代表的なジャンルのひとつであり、twitchをはじめとする動画配信サイトでの配信番組や、試合中の高度なプレイや決定的瞬間を収めた「フラグムービー」の製作と投稿も盛んである。
基本的なルール
ゲームによって名称は異なるが、デスマッチ、チームデスマッチ、Capture the flag(旗取り)、Capture Point(陣取り)…などといったものが代表的な例として挙げられるだろう。PvP(Player vs Player)ではなく協力して攻略をする対AI戦のPvE(Player vs Environment)形式のCo-opも数多い。ほかに例を挙げるとCounter-Strikeの爆弾解除ルールが有名であり、中韓系無料オンラインFPSの多くはこのルールを採用している。
一般的には計10人前後での対戦やチーム戦で試合が行われ、1ゲームはおおむね10~20分程度のカジュアルなゲームが楽しまれている。他にはBFシリーズを筆頭に32人対戦や64人対戦、さらに一部のタイトルは100人対戦…といった大人数での対戦が楽しめるゲームもあり、MMOFPSの代表作であるPlanetside2では1000人以上の同時対戦を実現している。ArmaやDAYZ系のようなリアル系FPSでは長時間のCo-opやサバイバル対戦もあり、特殊な例として近年ではEvolveのような1対4の非対称型の対戦ルールも注目されている。
主なルールの一覧
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Co-op
協力プレイ専用のマップやゲームモードをはじめ、シングルプレイやストーリーモードを複数人でプレイするものもある。協力プレイという形式からプレイヤーごとに技能や役職が割り当てられていたり、チームメイトによる回復や復活が導入されていることも多い。FPSにおける協力プレイは古くはUnrealやSystem Shock2にも実装されており楽しまれていた。中でもHalf-Lifeを大人数協力プレイに対応させたMOD、Sven Co-opは当時相当な人気があり、数多くの追加マップが制作され2000年代前半頃までは最も遊ばれていたCo-op対応FPSであった。近年ではLEFT4DEAD、PAYDAY、Killing FloorなどがCo-op主体のFPSの代表作として挙げられる。また、CoDシリーズのおまけとして実装されているゾンビモードも人気作のひとつと言えるだろう。
おおよそ2000年代前半頃までは試合開始時のプレイヤーは基本的な装備のみで、マップのあちこちに散らばった銃器や回復アイテムを回収する形式のものが多く、そのためマップコントロールと呼ばれる地形やアイテムが置かれる位置を把握することが非常に重要でもあった。その他にはCounter-Strikeのような試合中のスコアで装備を購入するシステムや、Team Fortress、RtCWolfenstein、BF1942などの専門の技能と装備を持つプレイヤーキャラクターを選択するクラス制を導入したものもあった。
現在では、「ロードアウト」と呼ばれる試合の前にプレイヤーが使用する武器やアイテムをあらかじめ選択、カスタマイズして、それらを装備した状態で試合を行うという形式が多い傾向にある。また、相性が異なる専用のスキルや技能を持ったキャラクターを選択する、MOBA風のルールが取り込まれたゲームも登場している。
かつては個々のプレイヤーが持つものはプレイヤー名とスキン(使用するキャラクターの見た目)だけというものが多かったが、近年ではプラットフォームやオンラインサービスのアカウントに紐づけされた永続的な数値化された経験値とレベルアップの概念が導入されたタイトルも数多く見られるようになってきた。ここでいう経験値やレベルは一般的なビデオゲームのRPGにおける能力の強化とは異なるもので、あくまで単なる称号だったり、使用できる武器やスキンなどのバリエーションのアンロックなど、直接ゲームバランスに影響するものではない。このような仕様は、不正防止やマッチメイキングの基準、プレイヤーの技量を示すといった役割も持っている。
技量の格差
ニコニコ動画で有名なキーボードクラッシャー。対戦専用FPSのUT2004で対戦相手にキレるという"ネタ"動画。 |
FPSにおける対戦は基本的にプレイヤー自身の技量が求められるゲームであることが多く、それこそが競技性の高さであり楽しさの一つでもあるが、初心者と熟練者との差が顕著に現れて試合内容が一方的なものになってしまうなと、試合中のゲームバランスが崩壊してしまう問題も存在している。
プレイヤーの技量に合わせた相手を見つけてくれるマッチングシステムや、チームメンバーを技量によって平均化したり、メンバーをシャッフルするオートバランスシステム、それらのゲーム内のシステムだけではなく、コミュニティによって初心者専用、熟練者専用サーバーなどとプレイする場所を分けることによってバランスを保とうとする活動は多くあるが、最終的な判断はゲーム内のプレイヤーやサーバーを選択する個々のプレイヤーに求められるものであるため、全てが解決したわけではないのが現状である。
技量の格差は個人戦や少人数でのチーム戦では顕著に現れてしまうが、大人数でプレイするルールを採用したものや、専門技能を持ったクラス制を導入し役割分担が可能なものなど、単なる戦闘だけではなく味方へのサポートにも焦点を当てたゲームであれば個人の格差は目立たなくなるだろう。個人同士の試合が苦手と感じるプレイヤーはそういったゲームをプレイしてみるといいかもしれない。
また、コンソール専用タイトルや中韓系無料オンラインゲームの場合は、PCタイトルとは対戦環境が大きく異なり、サーバーが地域によって隔離されていることもあること、サーバーブラウザの閲覧やユーザーによるコミュニティサーバーの運営が不可能な場合が多いことから、どうしてもコミュニティやプレイヤー層が限定的になりがちでもあり、雰囲気が自分にあわないということもあるかもしれない。特定のプラットフォームの特定のゲームのオンラインプレイが自分にあわないと感じたときは、異なるタイトル、異なるプラットフォーム、異なるサーバーとコミュニティという選択も考えてみよう。
FPSに限らず対戦ゲーム全般で見られることだが、プレイヤー同士の暴言を見かけることは残念なことに決して珍しくはない。そのような行為はコミュニティの評判だけではなく、ゲームそのものの評価を下げることに繋がってしまう。暴言をまき散らす迷惑プレイヤーと遭遇したら決して相手にせずに通報しよう。もし、どちらかが一方的でフェアな試合ではないと感じたら、熟練者の方から率先してチームシャッフルの投票など試合内容の改善を行っていくことが望ましい。FPSの対戦に一番必要なのはPMA(Positive Mental Attitude / 肯定的精神姿勢)であるとプロゲーマーたちは提唱している。
操作体系
現在のFPSはほぼ全てのタイトルが、視点の移動とプレイヤーの移動を同時に行う独自の操作方法を持っており、一般的にキーボードでのプレイヤー移動とマウスでの視点操作、もしくは二つ以上の方向入力のあるコントローラーを使用する。基本的にFPSというゲームは前者のキーボードとマウスでプレイするように設計されている。というのもFPSの操作体系はPCタイトルでのFPSそのもののゲームデザインの発展とともに形成されていったからである。ただし、全体での優劣があるかという話では決してなく、向き不向きはタイトルごとの最適化と、単に慣れといった具合だろう。
キーボードとマウス
プレイ中の手元を映した動画。冒頭でESDF配置の解説を行っている。 |
黎明期のFPSであるWolfenstein 3D(1992)やDOOM(1993)のようなシューティングにおいて高低差の概念がまだなかった頃は視点移動も同様で、視点の高さ、つまり上下の視点移動はなく、キー入力でプレイヤーを水平に旋回させるだけであった。上下左右自由に見渡すことが出来る自由視点はSystem Shock(1994)とその前身となったUltima Underworld(1992)が最初期の導入例である。ただし、当時の視点の操作は全てキー入力もしくは画面のクリックで行うという現在の操作方法とはかけ離れたとても複雑なものだった。
その後、Marathon(1994)においてマウスの移動を使った視点移動「フリールック」「マウスルック」が導入され、そしてQuakeおよびQuakeWorld(1996)のマルチプレイにおいてキーボードとマウスを使用する操作方法がコミュニティ間で一気に広まったと言われており(一説にはDennis Fongというプロゲーマーが使用していたという影響が大きかったらしい)、以降FPSをはじめ多くの3Dのアクション・シューティングゲームがこの操作方法を導入した。現在ではPCタイトルのFPSやTPS、自由視点が導入されているアクションゲームはほぼ全てが同様の操作で統一されている。
(※FPSにおける視点移動は厳密にはプレイヤーの向きの移動である。プレイヤーの向きとは別にさらに視点や照準だけの移動も導入したゲームもあるが、それは稀な例であり、ゴールデンアイ007のような特定のコンソール専用ソフトや、Operation FlashpointやArmAなどのより細かい操作が求められるリアル系タイトルにほぼ限定されている。)
プレイヤーの移動を行うキー人力はQWERTY配列で左手の位置にある”W,A,S,D”キーが使われているのが現在では一般的である。この操作方法もまたQuakeで普及したと言われており、後年のHalf-Life(1998)ではじめてデフォルトの操作方法としてWASDが採用され定着した。他の例では移動用のキーの周りで操作に割り当てられるキーを増やすために位置を右に一つずらした”E,S,D,F”という設定を使用しているプレイヤーもいる。
~ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | = | ^ | | | Bs |
Tab | Q | W | E | R | T | Y | U | I | O | P | @ | [ | | | Enter |
Cap | A | S | D | F | G | H | J | K | L | ; | : | ] | En |
L Shift | Z | X | C | V | B | N | M | , | . | / | \ | R Shift |
L Ctrl | L Alt | Space | R Alt | R Ctrl |
W,A,S,D | プレイヤーの前後水平移動 | 左Shift | スプリント、ダッシュ |
左クリック 右クリック |
攻撃 ADS, Alt fire, セカンダリ攻撃 |
左Ctrl or C | しゃがみ、Crouch、スニーキング |
R | リロード | 数字キー and マウスホイール |
武器やアイテムの選択 |
Q, E | リーン、もしくはアイテムの使用やUseキー | スペースバー | ジャンプ、壁の乗り越えなどのアクション |
ゲームによって異なる場合もあるが近年のPCタイトルのデフォルト設定は上記の操作方法で概ね統一されている。キーマッピングを見ての通りキー操作は左手のみで行える配置になっている。
PCゲームのプレイヤーにとっては当たり前のことでも、コンソールタイトルのゲームが中心でコントローラーを使用してゲームをしている人からはキーボードとマウスを使う見慣れない操作方法が敬遠されてしまうこともあるかもしれない。コントローラーに対応したFPSが多く登場する以前はコミュニティ内で操作方法やデバイスに関する質問が挙がることは珍しいことではなかった。そうした当時はコントローラーでプレイしたい場合にはコントローラー入力をキー入力に変換するソフトウェアが利用されていた。
コントローラー / ゲームパッド
かつては先に解説した理由から、FPSはキーボードとマウスを前提に設計されておりコントローラーでのプレイは困難で使用が推奨されないとする声も多かったが、XBOX専用タイトルとして開発されたHALOといったコントローラーでプレイするように最適化されたゲームの登場や、コンソールでのCall of Duty 4のヒット以降にはコンソール専用タイトルやマルチプラットフォームタイトルなどのコントローラーでプレイすることを前提にゲーム内容が調整されたFPSも多く登場した。
近年ではPC専用タイトルやPC版でもデフォルトでコントローラーの入力に対応したものは数多い。DirectX9とXbox360世代以降のタイトルではXbox360コントローラー用のAPI「XInput」の登場により、同APIに対応したタイトルではUSB端子に対応コントローラーを接続するだけで遊ぶことが出来るようになった。
こうした理由から、現在ではコントローラーでのプレイが中心のプレイヤーも一般的であると十分に言えるだろう。特にコンソール機がゲーミングプラットフォームの主流である日本国内では比較的多い方かもしれない。
コントローラーでのプレイの特徴としては、アナログスティックによる移動入力の強弱が可能であり、キー入力ではトグル入力かホールド入力を使うスプリント(ダッシュ)や忍び歩きといった動作がスムーズに行えることや、コントローラーの振動といった体感的なフィードバックが挙げられる。移動入力の利点はFPSによく登場する乗り物の操縦で活かされるとも言える。コントローラーでのプレイの利点を生かし、PCタイトルのプレイの際にエイミングや視点移動はマウスを使用し、アクション動作や移動入力はコントローラーを使用するプレイヤーもいる。
コンソールゲーム機においてサードパーティ製の専用マウスを使うプレイヤーは通常のコントローラーのプレイヤーと区別して「マウサー」とも呼ばれている。ただし、一部の対戦専用のタイトルではそういった外部デバイスの使用は(ゲーム機側がサポートしていても)サポート対象外であり、特にオンライン上や公式大会では、いわゆるハードウェアチートという扱いで使用が禁止されている例もあるので個人の範囲を超えた使用は事前確認が必要である。
コントローラーの持ち方やボタン配置設定の比較動画 |
コントローラーの形状に違いはあっても基本的にFPSは常に両手でそれぞれ二つの移動入力をする独特な操作方法であり、大抵のコンソール向けタイトルでは使用頻度の多いボタン操作や同時入力が必要な操作は、側面や背面のトリガーボタンや移動入力の押し込みなどに割り当てられている。これはコントローラー正面にあるボタン(ABXY、□△〇×、十字キー…)入力に指が届かず、移動入力と同時に扱う操作が困難なためである。そのため、より複雑な操作や細かい操作を求めるプレイヤーは、通常のコントローラーの持ち方とは異なる持ち方、中指でコントローラー上部(トリガーボタン)を扱い、人差し指の側面で正面のボタンを扱う「クローグリップ(Claw grip)」や「モンハン持ち」と呼ばれる独特な持ち方をする人もいる。
コントローラーでのプレイに調整されたFPSの大きな特徴には「エイムアシスト (Aim assist)」と「エイムスムージング (Aim smoothing)」がある。前者は自動的に照準をあわせてくれる補正機能である。ゲームの難易度が緩和される反面、偏差射撃といった意図的に狙いを外したいときに足枷になってしまうこともある。後者は視点移動の加速であり、アナログスティックの入力でスティックを傾ける速さによって視点移動の範囲を動的に変更して視点移動入力の補助を行う機能である。これらの補正機能は設定から変更が可能なものと、内部設定として固定化されたものとゲームよって異なる場合がある。
こうしたコントローラー向けの調整は、よりゲームをカジュアルに楽しめるように作られたものではあるが評価は別れがちでもある。アシスト機能をはじめ、コントローラーでのエイミングを前提にしたヒットボックス(当たり判定)の拡大、敵や対戦時のプレイヤーの耐久値の削減といった安直な難易度の低下、視点移動の範囲を減らすためとも言われているFOV(視野角)の縮小、他プラットフォームにある操作項目やゲーム内容の削除(例えば武器の切り替え操作が限定的で、結果として所持できる武器の数も減ってしまう)など、ゲームの内容に悪影響を与えるような設計をしているものもあり、また、マルチプラットフォームで展開しているタイトルや複数の入力デバイスに対応したものでは、対戦プレイにおいて入力デバイスによって技量の差が出てしまうのではと、コミュニティ上で論争になってしまうことも少なくはない。
参考リンク:
ただし、項目の冒頭で述べたようにデバイスによって優劣があるかという話では決してない。重要なのは個々のゲームタイトルが何に最適化されているかということである。
PCタイトルはキーボードとマウスでの最適化、コンソールタイトルはそれぞれのゲーム機用コントローラーでの最適化がされており、同じFPSというジャンル、場合によっては同じタイトルでも、それぞれは異なるゲーム内容であるとも言えるだろう。エイムアシストがあるコンソール版とそうでないPC版ではプレイヤーの統計データは当然変わってくる。コミュニティ上で両者を区別せずに混同すると話が噛み合わなくなりがちなので注意が必要である。
プラットフォーム別によるゲームデザインやゲームバランスの混同はコミュニティでの評価と解釈に限らず一部タイトルにも見られる話であり、コンソール版を調整せずにそのままPC版に移植したものや、他機種を考慮していないマルチプラットフォームタイトルは操作方法に関しての否定的な評価が目立つと言える。ただし、これはあくまで一部のいい加減なゲームタイトルの話であって、プラットフォームごとに専用のチーム(ときには別の開発スタジオ)が調整と変更を行っているものや設定から変更可能な場合が一般的である。
珍しい例として、アーケードゲームのタイトルではジョイスティックやペダル、機体専用のマウスなどのタイトルに最適化された専用のコントロールデバイスが設置されており、おおむね快適な操作環境が用意されていると考えてもよい。
また、近年ではスティック入力ではなくポインティングデバイスとして最適化されたトラックパッド(タッチパッド)で設計され、細かい設定や操作の割り当て変更が可能といった、FPSのプレイを前提にしたゲーミングコントローラー、”Steamコントローラー”も登場している。
技術年表
FPSはビデオゲームにおける様々な最先端技術が導入されていることが多いゲームジャンルのひとつでもあり、最新のゲーミングプラットフォームやグラフィックボード向けに最適化されて発売されることも多かった。例えば最初のフル3DのFPSのQuakeは、当時の大手グラフィックボードメーカー3dfxから技術連携を受けて開発されたものであり、高度なグラフィックが話題になったFarcryはnVidiaの技術デモ、Half-Life2はATIの技術デモになった一面もある。また、使用されたゲームエンジン(基幹となるプログラムのこと)やグラフィック技術が後年のゲームに大きな影響を与えた例も多く、FPSタイトル用に開発されたゲームエンジンが総合開発環境として独立し、様々なゲームの開発にも用いられている。
有名な例として、初代Unreal(1999)から使用されているゲームエンジン「UnrealEngine」はFPSに限らず様々なジャンルのゲームで使用されており、現在は教育目的を兼ねた無償の開発環境「Unreal Development Kit」として公開されている。他にもHalf-Life2の「SourceEngine」やCrysisの「CryEngine」なども同様に開発環境が一般ユーザー向けに公開されている。これらはゲーム開発に限定せずグラフィックの技術デモや3Dモデルを使用したアニメーション作成ツールとしても使われている。なお、id Techもユーザーには公開されていないが開発スタジオ向けの総合開発環境が用意されている。
ユーザー向けの開発環境のルーツを辿ると初代DOOMの共有ライブラリ「WAD」や初代QuakeのMODコミュニティがあり、これらは今日でいうPCゲームのMODという概念の発祥元とも言われている。初代QuakeEngineはユーザーによる拡張を前提にした設計であり、故に派生を繰り返し様々なゲームエンジンに発展していったとも言える。
こうした理由からFPSはビデオゲーム全体の発展と密接な関係のあるゲームジャンルのひとつであるとも言えるだろう。
この項目では初代Quake(1996)以降の3DのFPSに関するビデオゲームの技術と、FPSで使用されている代表的なゲームエンジンをおおまかに解説する。先の歴史の項目と同様にFPSは他のゲームジャンルや様々なタイトルをはじめ、3DCGやAPI、デバイスやハードウェアなどと共に発展したものであるが、便宜上FPSタイトルや専用のゲームエンジンを中心に扱う。
※初稿の筆者は専門知識が不足しており内容がまだ不十分です。専門用語はどこまで解説するか、どの辺まで拾うか(3DCGの話とかサーバーサービスとかミドルウェアとか…)はかなり適当です。みなさまの加筆修正やご意見ご要望を希望しております。
2015年~現在
- スクリーンティアリングの問題を解決する技術G-Sync、FreeSyncの登場。
- 次世代APIのVulkanが登場、新生DOOMやBF1などが対応しパフォーマンスが改善される。
- リアルタイムレイトレーシングがDirectX Raytracing、nVidia RTXで実装される。Unreal Engine 4でのサポート。
新生DOOMやBF1などの最新タイトルでは最先端のグラフィック技術が導入されているその一方で、Overwatchはハイエンド向けに限定せずパフォーマンス優先でゲーム向けではないPCでも快適に遊べるように、また、マルチプラットフォーム間で同時期にアップデートが可能なように最適化がされている。
ここ数年間の傾向では、かつてのUnrealやCrysisのような超凄いけど超重たい感じのゲームは主流から減りつつあり、FPSに限らずビデオゲーム全体の傾向としてゲームエンジンや、コンソールゲーム機の性能の向上も含めてのデバイスの最適化、パフォーマンスの安定化が進んできているとも言えるだろう。ゲームエンジンだけではなく次世代APIのVulkanの登場も含め、マルチプラットフォームへの最適化も進んでおり、クロスプラットフォームの実現に向けた動きも見え始めている。
個別記事のあるFPSのゲームエンジン
日本での認識
この項目は独自研究です。 単なる一筆者による考察です。くだらなくても生暖かい目で見てやってください。 |
エフ・ピー・エスとは… |
記事の冒頭で触れたように日本国内ではFPSは他の一般的なゲームジャンルと比較するとマイナーで誤解されがちな存在である。特に現代的なFPSの国産タイトルがほぼ皆無であることから国内でのゲームジャンルとしての定着具合が伺えるだろう。普段ゲームを多くプレイするユーザー同士のコミュニティ内でさえも、TPSやガンシューティングなどの別ジャンルのゲームと混同されてしまっていることは珍しくない(というか、かなり多い…)。メディア上でも過去には海外タイトルを発売する際に国内の広報がわざわざジャンルの解説をする動画を製作していた例もある。
本記事の掲示板も含め、ゲームの話題を扱うコミュニティではときおり国内でのFPSの認識についての話題が挙がることがある。この項目ではコミュニティ上でよく挙げられるユーザーの意見を例に参照しつつ、国内での現状の理由を考察してみる。
洋ゲーという印象
先に誤解の無いよう説明しておくと、インディーゲームやMODの範囲であれば日本人や日本のコミュニティによって開発されたFPSは数多い。しかし国内の有名企業や開発スタジオによる商業ベースのタイトルは、ほとんど開発すらされていない状況である。もちろん厳密に言えば過去に一人称視点のゲームが作られていた例もあるが、それも一部であり、また当時の一般的なFPSのゲームデザインとは大きく異なり、ロボットの操縦画面などといった独自のジャンルに近いものが大半である。(ただし、2017年にはホラーゲームのバイオハザードシリーズがFPS風にジャンルが転換したといったケースもある)
国産のFPSがほとんどない今日では、国内からしてみれば海外産のゲームがほぼ全てであることは事実で、コミュニティ上では”一つのゲームジャンル”というよりも”洋ゲー”という広く曖昧な括りで解釈されてしまっていることもあるかもしれない。果ては「FPSは外国人が好きなジャンルである」とまで言われてしまっている。国内ファンサイトやニコニコ大百科の個別記事がたくさんあるのに…。
そして、海外や異文化という印象が影響していると思われる以下のような意見が見かけられることもある。
単に「銃が出てくるゲーム」と思われがち?
一人称視点とシューティングを最大限に生かしたパズルゲーム |
FPSというジャンルが定着しない理由として「日本は銃に馴染みがないから」という意見がコミュニティ上で挙がっていることは多く見かけられるだろう。しかし、この意見には大きな疑問がある。国産タイトルのゲームでも銃器は多く登場し絵描かれているはずである。そもそも逆に言い換えてみれば「海外は銃に馴染みがある」なんてのは諸外国へのとんでもない偏見でしかない。
ビデオゲームにおける銃の描写の補足として、FPSに限らず銃器が登場するゲームでは基本的に商標の関係上で実在の銃ではなく架空の銃である方が多い。この辺りの事情は国産のゲームもだいたい同じである。また、FPSにおいてはSFやファンタジーの世界観設定を持つものや、ストーリー主体のアドベンチャー的作品や独自のゲームデザインを持ったものなど、つまりは実銃をモデルにした銃撃戦がメインではない作品は多く挙げられる。
ただ、国内版が発売されるような近年のヒット作では現代戦争をモチーフにした写実的なビジュアルの内容であるものは多く、また国内でサービスを展開している無料オンラインFPSなどでは「銃撃戦ゲーム」や「ガンシューティング」(ややこしい…)という言葉を広告として使用していることも多くあり、現状”ゲームデザインよりもビジュアルだけが目立ってしまう”のは…仕方ないね。これらのことが別ジャンルのTPSやガンシューティングとの混同をされてしまう要因とも考えられる。お堅いWikipediaですらも過去の版ではゲームセンターでガンコン(光線銃)を使用するガンシューティングと完全に混同されていた時期もあった。
銃器がアイコンとして登場する他のゲームとの大きな違いとは何だろうか。FPSの最大の特徴で大前提にあるものは「一人称視点」であることだろう。
一人称視点への理解
ゲーム内でパートナーとなる彼女との交流は全て一人称視点で描かれる。 プレイヤーが操作する主人公は明確なキャラクター像を持っており、文字通り"主人公の視点"で物語は進む。 |
「FPS」という名称の由来でもあるFirst-person(一人称)とは、ゲーム内の主人公の視点、プレイヤー自身の視点であるということである。
国内のコミュニティ上ではFPSに対して「主人公の姿が見えない」「キャラクターが見えない」と言われてしまっていることもある。本記事でも過去リビジョンでは「自機が見えないゲーム」といった逆説的な解釈に基づいた概要説明が書かれてしまっていた。
これは、ある種の国産ゲームタイトルに慣れ親しんでいる人からは、一人称視点の3Dゲームそのものが稀で、三人称ないし客観視点で設計された、三人称視点で操作する客観的なプレイヤーキャラクター像を描かないということ自体に違和感を覚えられてしまっているのかもしれない。
ここで今一度考えてもらいたいのは、一人称視点という描き方がFPSだけの特殊な例では決してないということだ。国産ゲームでも多く作られているノベルゲームやアドベンチャーゲーム、しいてはギャルゲーの多くも主人公もしくはプレイヤー自身の視点を一人称視点で描いているという点では同じではないだろうか。また、レースゲームのドライバー視点や、ロボットを操縦するゲームのコックピット視点などもFPSと同じ3Dの一人称視点によるゲームの描き方をしている。
ほんとあたりまえの話なんだけど、必ずしも三人称視点でキャラクター像を描いたり、もしくは主人公というキャラクター像がなくてもゲームプレイはもちろん物語や体験も十分成立するのである。FPSは一人称視点という広く大きなゲームの描き方のなかで、シューティングやアクションに特化したジャンルという単純な話なのである。
現在のFPSではあたりまえのように見られるプレイヤーの手と装備の動きの描写。手や装備だけが画面に映るのはおかしい?このような描写は国内の一人称視点のゲームではどういうわけかオミットされていることが多い。 実は現代的なFPSの作りが形成される以前では、初代RainbowSixを例に画面にプレイヤーの装備が表示されないゲームもあった。 |
一人称視点で設計されたゲームに対して「視界の一部しか画面上にないのはおかしい」「見えないところから攻撃されてしまうのは理不尽だ」などと言われてしまう様子を見かけることもある。
国内でもポピュラーであるゲームジャンルのRPGを例に考えてもらいたい。今日の国産RPGタイトルでも見かけられる"ターン制のコマンド入力の戦闘"や"ランダムエンカウント"といったシステムやルールは、普段そういったゲームをよくプレイする人であるなら何の疑問もなくゲームとして自然と楽しんでプレイできるだろう。
そこで「交互にしか行動できないのはおかしい」「ランダムエンカウントは理不尽だ」という野暮な疑問を投げかけることはないはずだ。
FPSは自由視点を取り入れて活かしたゲームであり、プレイヤーが自分の意思で視点を動かしゲームの世界を一望する、だからこそ没入感がある。敵が後方に回り込んでいないか自分で振り向いて背後を確認する、そうした緊張感やテクニックが面白いゲームである。
ゲームジャンルとは数多くのゲームの開発の積み重ねの上でゲームとして楽しめるように設計され、多くのプレイヤー間でそのゲームデザインとルールが認識され定着したからこそ成り立っているのである。
ゲームジャンル、すなわち基本の設計やルール、その描写や演出自体が奇妙に思われてしまうのは、プレイヤーやコミュニティの中ではまだジャンルのひとつとして周知されておらず定着していないからなのだろう。じゃあ何で日本ではFPSというジャンルが定着していないのだろうか(あれれ?)。逆にそもそも何故日本以外ではFPSがゲームジャンルと定着しているのか、いつどこでどのようにして定着したのだろうか。
ここでFPSの歴史の話をおおまかに振り返ろう。
文化の基盤
このマークは何? |
DOOMにはじまり、Quake、Unreal、Half-Lifeなど、新しいゲームジャンルを形成し現在のFPSの原型を作り上げたゲームは全てPCゲームタイトルとして作られたものであった。特に3DのFPSの原型で操作方法や対戦の基礎を作り上げたQuake、グラフィックやレベルデザインが革新的だったUnreal、一人称視点のストーリー演出を完成させたHalf-Lifeは当時の日本では輸入版という形でしか入ってこなく、コミュニティの形成も個人のファンサイトや掲示板こそあったが、大きなコミュニティや開発者との交流の場は少なかったと思われる。
そして何より、昔から今日に至るまでコンソール機が広く一般的であった日本ではFPSの主流であったPCゲーム市場とそのコミュニティは海外と比較すれば小さく、決して国内におけるゲーム文化のメインストリームではなかっただろう。
PCゲームという大きなプラットフォーム、オンラインのコミュニティ、そしてFPSがひとつのゲームジャンルとして形成され定着していくまでの過程、すなわちFPSという文化の基盤となる部分が、近年まで国内のコミュニティにはほとんどなかった…ということなのかもしれない。
今後の行方は
舞台は日本! |
国産はなくともゴールデンアイ007にはじまり、HALOやCODシリーズなどの日本語版のあるタイトルのヒット作や無料オンラインゲーム、一人称視点のゲームそのものであればマインクラフトやスレンダーマンなどの海外インディーゲームも国内でも人気作として広く知られているはずだ。一昔前と比較すればFPSは国内のコミュニティ間でも周知されて偏見や誤解も減ってきたと思いたい。
国内のコミュニティでもFPSの文化の基盤が出来上がり、一般的なゲームジャンルとして周知され理解が広がれば、いつの日か名作と言われる国産FPSが生まれる日が来るかも?
個別記事のあるタイトル一覧
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主な開発スタジオ
id Software | 読み方は「イド・ソフトウェア」。DOOMやQuakeなどで一躍有名スタジオになった。高度な自社製ゲームエンジンid Techでも有名である。現在はZeniMax Media傘下に入り過去作の販売元も変更された。 代表作: Wolfenstein 3D DOOM Quake |
Epic Games | 革新的なグラフィックで話題になったUnrealと総合開発環境のUnreal Engineを制作したスタジオ。TPSのGears of Warシリーズでも有名。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Unreal Unleal Tournament |
Valve | FPSの開発経験がゼロの状態から会社を立ち上げて現代のFPSの原型となるHalf-Lifeを完成させた。ダウンロード販売最大手のSteamも運営している。最近はVR機器やゲーム機事業にも参入。一方でゲーム開発はお休み気味で3がいつまでたっても出ない。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Half-Life Counter-Strike Portal |
Red Storm Entertainment | 初代Tom Clancy's Rainbow Six、Ghost Reconの開発元。リアル系FPSと言えばここだった。なお、近年のTom Clancyシリーズは別スタジオのUbisoft Montrealが中心であり、現在は共同開発としての参加が中心。新作が待ち遠しい。 代表作: RainbowSix Ghost Recon |
Raven Software | かつては硬派なFPSを作っていて、Quake4といったシリーズ大作も開発していた。以降はヒット作に恵まれず最近はCall of Dutyシリーズの共同開発が中心のようで…。 代表作: HeXen Soldier of Fortune Quake 4 |
Bungie | ゲームにおけるストーリーとそれを活かすためのグラフィックにFPS黎明期の頃から力を入れているスタジオ。独自の舞台設定やストーリーのファンは多い。会社には日本のアニメのファンが多く、ポスターがたくさん貼ってあるらしい。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Malathon Halo Destiny |
2015.Inc | QuakeModコミュニティから設立された開発スタジオ。SiNというFPSの拡張パックが評価されMoHシリーズの新作に参加、完成されたMoHAAはFPSの流行を大きく変える大ヒット作になった。しかし、その後意見の食い違いでスタジオは分裂してしまう。長らく新作は登場していないが一応スタジオは残っている。 代表作: Medal of Honor: Allied Assault |
Infinity Ward | 2002年に2015元社員20名によって設立されたスタジオ。Call of Dutyシリーズを手掛けFPSの流行を大きく変えるヒット作を多く生み出した。しかし、販売元との賃金に関わるトラブルから主要メンバーを含め数多くの社員が脱退してしまう。現在もスタジオこそ残っているが在籍している人はほぼ別人と言っていい状態でもある。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Call of Duty Call of Duty 4: Modern Warfare |
Respawn Entertainment | 2010年にInfinity Wardの主要メンバー含む元社員40名によって設立。何かと話題となった。新規IPタイトルのTitanfallで成功し、後に正式にEA傘下となった。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Titanfall |
Sledgehammer Games | 元々はCoDシリーズのスピンオフのTPSを開発しようとしていたらしい。Infinity Wardの社員の半数が脱退してしまい、当時の新作MW3の開発に急遽参加することになった。以降はCoDシリーズのリード開発チームとして活動中。 代表作: Call of Duty: Modern Warfare 3 Call of Duty: Advanced Warfare |
Treyarch | CoD2のコンソール版を手掛けた後、コンソール専用の新作CoD3を開発を担当。この成功が後のCoD4の現代戦争路線に繋がる。現在はCoDシリーズの開発が中心であり、Infinity WardやSledgehammerとは違う独自の路線が評価されている。詳しくは個別記事も参照。 代表作: Call of Duty 3 Call of Duty: Black Ops |
Gray Matter Interactive | かつてRedneck Rampageというバカゲー路線のFPSを作っていたスタジオ。Wolfensteinの完全新作やCoDの拡張パックが高く評価された。2005年にTreyarchに統合。 代表作: Return to Castle Wolfenstein Call of Duty: United Offensive |
DICE | スウェーデンのゲーム開発スタジオ、Digital Illusions CEの通称。AmigaやSFCの頃から様々なゲームを作っていたが、BF1942が大ヒットして一躍有名企業となった。高度な自社製ゲームエンジンFrostbiteでも有名である。現在はEAの完全子会社となり社名もEA DICEになっている。 代表作: Battlefield 1942 Mirror's Edge |
DICE Los Angeles | 映画のDreamWorksがゲーム開発事業に参加していた頃のスタジオやEA Los Angeles、Danger Close Gamesが解体と統合を繰り返して現在の会社に落ち着いたところ。いろいろあった。 代表作: Medal of Honor: Pacific Assault Medal of Honor(2010) |
Splash Damage | Return to Castle WolfensteinのマルチプレイヤーおよびEnemy Territoryを開発したスタジオ。クラス制とオブジェクティブ形式の対戦ルールには根強い人気と多くのファンがいて現在はF2PタイトルのDirty Bombを製作し運営中である。 代表作: Wolfenstein: Enemy Territory Brink Dirty Bomb |
Starbreeze Studios | スウェーデンのゲーム企業。Xbox360専用の硬派なFPS、The DarknessやThe Chronicles of Riddickの評価が高く、同じ国内の開発スタジオOverkill Softwareを傘下に収め共同制作したPAYDAY2もヒット作となった。Dead by Daylightなどの販売元としても活動している。 代表作: The Darkness Syndicate PAYDAY2 |
Bohemia Interactive | チェコの大手ゲーム開発企業。革新的なリアル系FPS、Operation Flashpointで一躍有名になった。意見の食い違いから販売元のCodemastersからOFPシリーズの版権を残して独立した。現在は実質的な後継作Armaシリーズを展開している。スタッフがリアルを追求して取材した結果ギリシャ政府に捕まったりしたこともあった。 代表作: Operation Flashpoint: Cold War Crisis ArmA |
Croteam | クロアチアの独立系ゲーム企業。バカゲーと思いきや硬派なFPS、Serious Samシリーズで一躍世界的有名企業になった。独自のゲームエンジンのクオリティも相当スゴイ。最近はVRゲームも開発中。 代表作: Serious Sam The Talos Principle |
Rare | イギリスのレア社。スーパードンキーコングでも有名な名スタジオ。ゴールデンアイ007の評価は現在でも変わらない名作。ただ、いろいろあったようで当時のスタッフはほとんど残っていないらしい。詳しくは個別記事も参照。 代表作: ゴールデンアイ007 パーフェクトダーク |
Free Radical Design | 1999年に元レア社の社員が設立。ゴールデンアイ007やパーフェクトダークの精神的続編を制作していた。2009年にCrytekに吸収合併され現在はCrytek UKとして活動中。 代表作: タイムスプリッター Haze |
Retro Studios | ゲームキューブ専用のメトロイドプライムシリーズの開発元。海外ではFPSというジャンルの中でも非常に人気が高い。ただ、残念なことにシリーズ完結後に主要スタッフの多くが退社してしまった。それでも新作を待ち望むファンは多い。 代表作:メトロイドプライム |
Guerrilla Games | オランダの開発スタジオ。PS2専用FPSのKILLZONEが高く評価され、SCEワールドワイド・スタジオの一員となった。最近ではFPSではないがオープンワールドのアクションゲーム、Horizon Zero Dawnを手掛けている。 代表作: KILLZONE |
Crytek | ドイツのゲーム企業。自社製の高度なグラフィックを持ち合わせたゲームエンジンで有名。海賊版に相当嫌気がさしているようで過剰なDRMやコンソールへの方向転換などでPCゲームユーザーとは若干関係がぎくしゃくしている…。現在でも全ゲームのマルチプラットフォーム展開を貫いている。Farcryの版権はUBIに売却され現在でも続く人気シリーズとなっている。 代表作: Farcry Crysis |
Arkane Studios | フランスの開発スタジオ。Dark Messiah of Might and Magicという一人称視点のRPGの制作やBioshock2、CoDWaWの共同開発を行っていた。Half-Life 2 episode4の開発も予定していたが無かったことに…。新規IPのDishonoredが高く評価されシリーズ化、名スタジオの一員となった。 代表作: Dishonored Prey(2017) |
Techland | ポーランドのゲーム企業。むかしChromeっていうFPSがありましたね。Call of JuarezシリーズやDead Islandが高く評価されヒット作になった。 代表作: Call of Juarez Dead Island Dying Light |
Tripwire Interactive | UT2004MOD、Red Orchestraがコンテストで優勝、賞金$50,000とゲームエンジンのライセンスを手にし開発スタジオとして独立した。その後、Killing FloorのMOD開発チームも参加し、両者とも名シリーズとして楽しまれている。 代表作: Red Orchestra Killing Floor |
Gearbox Software | 初期はHLの拡張パックやコンソール版を手掛けていた。新規IPとして人間ドラマに焦点を当てたBrothers in Armsやハクスラ風FPSのBorderlandsで高い評価を得る。 Duke Nukem ForeverやAliens: Colonial Marinesといった地雷を踏んだりBattlebornの時期が悪かったりもした…。 代表作: Half-Life: Opposing Force Brothers in Arms Borderlands |
Turtle Rock Studios | Counter-Strikeのコンソール移植版や拡張パックを制作。Condition Zero開発時のノウハウが後のLeft 4 Deadの制作に繋がったらしい。協力プレイ専用FPSで名高いスタジオ。完全新作のEvolveも発売当初の評価は非常に高かったが残念な結果にもなってしまった。最近はVR向けのゲームを制作している。 代表作: Counter-Strike: Condition Zero Left 4 Dead Evolve |
Looking Glass Studios | 革新的なゲームを数多く制作。1997年にスタジオ分裂、後にIrrational Gamesと共同開発で屈指の名作System Shock 2を発表、そして2000年に閉鎖。知的財産権が散り散りになって再版が長いことなかったりでカルト化していた。無くなった後でもゲーム界に大きな影響を与えていたスタジオ。 代表作: Ultima Underworld System Shock Thief |
Irrational Games (2K Boston, 2K Australia ) |
Looking Glass Studiosから独立して設立されたスタジオ。System Shockシリーズの精神的後継作のBioshockシリーズを手掛ける。ボストンとオーストラリアの二か所にスタジオを持つ珍しい会社でもあった。2017年に閉鎖。ボストンのスタジオは新スタジオのGhost Story Gamesに移籍、オーストラリアのスタジオは2K Marinに吸収された。 代表作: System Shock 2(共同開発) SWAT4 Bioshock |
Ion Storm | 屈指のクソゲーと名作が同じ年に同じスタジオから販売された珍事は現在でも語り草。解体されてしまったが、現在は販売元であったEidos Interactive(アイドス )が開発スタジオとしてシリーズを引き継いでる。 代表作: Daikatana DeusEx |
Monolith Productions | 独自のゲームエンジン、独特の舞台設定とストーリーなどユニークなFPSを数多く制作している。FEAR以降、FPSという分野では影が薄くなっていたが、最近はアクションゲームのShadow of Mordorが大ヒットして成功を収めている。 代表作: No One Lives Forever FEAR |
3D Realms | 販売を手掛けていたApogee Softwareから開発スタジオに転身、Duke Nukem 3Dで一世を風靡する。しかし、新作の開発中止や開発延期を何度も繰り返し散々世間を騒がせたあと結局は契約違反という形で2009年に閉鎖されてしまう。あっけない最後だった…と思いきやApogee Softwareとして再出発した。 代表作: Duke Nukem 3D Shadow Warrior |
GSC Game World | ウクライナのゲーム企業。7年の月日を隔てて完成したSTALKERが大ヒット作となった。現在でも人気が高い名シリーズである。しかし、2012年にゲーム事業を休止したためシリーズ新作は開発中止、開発チームは解散してしまった。2014年にゲーム事業を再開、2018年現在はSTALKERの新作も予定されている。 代表作: STALKER |
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