Su-27とは、スホーイが開発した戦闘機である。愛称及びNATOのコードネームはフランカー。ロシアではスホーイ機の愛称としてスーシュカ(Сушка)とも呼ばれる。
概要
ソ連防空軍から、長大な航続距離とミサイル搭載能力を持つ機体を要求され、試作機T-10Sを基に開発された。初飛行は1977年、運用開始は1985年。
Su-27の最大の特徴は、西側戦闘機を大きく凌駕する高い機動性である。この機動性のため、コブラ(水平状態から高度を変えずに急激に機首を上げる機動)などと言った、通常の戦闘機では不可能な機動を行うことができる。
さらに発展型では、フック(旋回中に行うコブラ)やクルビット(高度を変えずに1回転する機動)などより高度な機動も可能である。これらの機動はあくまで航空ショーで行うものであり実戦には不向きではあるものの、Su-27がどれほど高い機動性を持っているかを証明している。
航続距離については、機内燃料のみで4000kmの飛行が可能なため、追加燃料タンクを必要としない。
また、兵器搭載量にも優れており、短距離空対空ミサイルR-73を4発、中距離空対空ミサイルR-27またはR-77を8発で、計12発の空対空ミサイルを搭載できる。さらに、R-73とR-77はそれぞれ似たような性能を持つ西側のAIM-9やAIM-120と比較すると射程距離では大きく勝っており、空対空ミサイルの撃墜も可能である。
Su-27に装備されているスロットバックレーダーは、西側のレーダーシステムと比較すると性能面で全体的に劣っていて、複数同時ロックオンが不可能なため、アビオニクスの低さがSu-27の弱点となっている(発展型では改良)。しかし、Su-27のIRST(赤外線捜索追跡システム)は、レーダーでは捉えづらいステルス機を探知する能力を持っており、最大50kmの索敵範囲を持つため、この性能は高いと言え(一般的なIRSTの範囲は15km)、また、このIRSTはロシア戦闘機にしかない優れた特徴とも言われている。
Su-27は戦闘機の中でも豊富なバリエーションを持つ機体であり、数多くの発展型が開発され、その多くが海外向けとなっている。主なバリエーションは下記参照。
バリエーション
- Su-27
- 基本型。最も多く製造された。直系の改良型も存在する。
- Su-30
- タンデム複座のマルチロール型。Su-27シリーズの中でも、カナード翼を追加したもの、アビオニクスを近代改修化したもの、Su-37の機構を応用したものなど、派生型が多岐に渡っており、そのほとんどが海外輸出用である。
- Su-32/Su-34
- 並列複座の戦闘爆撃機型。愛称はストライクフランカー(F-15に対するF-15Eと同じ理屈)及びプラティパス、NATOコードネームはフルバック。
生存性向上のため、コックピット装甲はチタン合金で造られている。アビオニクスは他のSu-27シリーズとは異なっている。
並列複座のコックピット、前脚収容庫内の扉からの乗降、長時間飛行に備えてのトイレとキッチンがある(とされていたが実際には携帯可能な簡易トイレと携帯食料を加温できる保温ボトルだけであった。個別記事参照)など、戦闘機の中でも非常にユニークな機体。 - Su-33
- 艦上戦闘機型。愛称はシーフランカー、NATOコードネームはフランカーD。カナード翼とアレスティング・フックの追加、主翼と水平尾翼が折畳み式、テールコーンが短くなっていること以外は基本的にSu-27と同じ。
- Su-35(Su-27M)
- カナード翼が追加され、アビオニクスを中心に大幅に性能を向上させた。
西側での非公式の愛称はスーパーフランカー。試験機や初期生産型など17機が製造されたが、ソ連崩壊後の経済危機で、結局ロシア空軍は採用せず、輸出も成功しなかった。[1] - Su-35S(Su-35BM)
- カナードは付いていない(そもそもカナードは電子装備の重量が増加して重心が前方に移動したことに対応して取り付けられたもので、電子装備の軽量化で必要がなくなった)。Su-27に比べ機内燃料搭載量を20%増やし、推力偏向ノズルも備えている。[2]
- Su-37(Su-27M2)
- Su-35の発展型。愛称はターミネーター及びスーパーフランカー。推力偏向エンジンを搭載。
ゲームなどの作品において
現役戦闘機で最強と言われるF-15のライバル機のため、知名度が高く、フライトシミュレーションやフライトシューティングで頻繁に登場する。またこの時、よく敵側の戦闘機として登場することが多い。
エースコンバットシリーズでは、全ての作品で、Su-27/32/33/35/37のいずれかが登場しており、Su-35はエースコンバット2では主役機となった。
また、エースコンバット6では、アイドルマスターの星井美希が描かれた痛戦闘機のSu-33が登場。
Su-37については当該記事を参照。
関連動画
ゲーム作品におけるフランカーシリーズ(主にエースコンバット)
MikuMikuDanceにおいてもフランカーモデルが絶賛活躍中
関連項目
脚注
- *飛来したSu-35はどの「Su-35」? ややこしいロシア機の名前、「27=35=37≠35」とは 2018.11.6
- *「スホーイ"PAK FA"(T-50)登場」藤田勝啓 航空ファン 2010年4月号
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