概要
90年代中頃、欧米のハウスミュージックの影響を受け、インドネシアでは大衆歌謡のジャンルであるDangdut(ダンドゥット)のRemixが流行する。初期は4つ打ちのRemixと非4つ打ちのRemixが混在していたが、とある時期にBarakatak(バラカタ)というグループの「Bergoyang Lagi」が大ヒットする。
この曲のビート(ファンキービート)が現地の人々の心を捉え、ジャカルタのコタ地区を中心に流行。様々な曲に使われていく中、2000年頃には遂にファンキービートの勢いが4つ打ちを打ち負かし、Funkotとして定着していった。
もともとはFunky Kota(ファンキーコタ)と呼ばれており、日本に初めて伝わった当時はこの名前で呼ばれることが多かった。
それ以外にもFunky House Kota、Indonesia House、House、Funkyなど、いくつかこのジャンルを指す語があったが、現在ではFunkotと呼ぶのが主流になっている。
インドネシア国内で局地的に流行しており、これまでほとんど国外に出てくることが無かった。
他の様々なジャンルから要素を貪欲に取り入れ、現在もなお進化を続けている。
黎明期から活動する伝説的DJに「JOCKIE SAPUTRA」「DJ TOMMY FAN'S」「CRAZY SANDY」がいる。
主な特徴
- BPMが180〜190あたりと非常に高速。DJプレイ時にはBPM190〜200あたりにさらに上げてプレイされる。
- 独特の「ドッタドッドタ!」といった感じのビート(ファンキービート)。
- 太い定型ベースライン。音色は3つほど重ねて作られているらしい。
- サンプリングボイスを多用する。「アーユーレディー!」とか「ティッケー!」とか。
- カウベル系のパーカッションがスッコンスッコン鳴ってる。
- 曲の中ほどで急激にBPMが落ちて別の曲のように変化する(ダウンビート)。
...というものがあるが、それぞれ必須というわけではなく声ネタの全くない曲なども存在する。オリジナル曲はもちろんのこと、最新の洋楽、日本の邦楽や特撮曲のRemix、トランスやハードコアテクノネタのRemixや近年では世界的な流行となったEDMの手法を取り入れた楽曲やEDMアンセムネタのRemixなども続々と生まれており作風は幅広い。
Funkotの楽曲構成や音作り・サンプリング音源の元ネタに関しての情報は国内で活動しているFunkot DJ・トラックメーカーであるJockie"MASTA BASS"SuamaやDJ tagosakuのブログに詳しく書かれています。
関連用語
Mandarin | コタ地区と関係の深い華僑の客向けに作られた、中国語圏のヒット曲のRemixのこと。 |
Hardfunk | よりミニマリズム・陶酔感を追求した曲をいう。インスト(ボーカル無し)ものも多い。 最近では語の定義をFunkot自体の総称とする例も見られる。 |
Kencang | 読みは「クンチョン」。インドネシア語で「速い」、DJ用語としては「ブチ上げ」を意味する。 |
Pumpin | 曲の途中で4つ打ちに変化するものを指す。近年では先述のHardfunkと同意義の言葉としても使われる。 |
Prokot (Progressive Kota) |
近年、現地ディスコにおいて西洋的なProgressiveHouseなどの影響が大きくなってきたことに対抗して作られた。 ProgressiveをFunkot流にアレンジしたもので、Funkotのダウンビート部分だけを取り出したようなもの。 最近ではProkotという呼び方はあまりされなくなったものの、独立した一つのジャンルとして確立している。 |
Breakbeat | |
Breakfunk | |
Dugem | 読みは「デュゲム」。インドネシア語で「夜遊び・ディスコ」。dunia(世界・〜界) + gemerlap(きらめく・華やかな)の略語。 |
Bagus | 読みは「バグース」。インドネシア語で「とても良い・美しい・最高」などを意味する。 |
Enak | 読みは「エナッ」。インドネシア語で「おいしい・楽しい・気持ちいい」などを指す。 |
ティッケー! | よく使われるボイスサンプルのひとつ。「Deeejaaaaay!」らしい。 |
さかさま | 高野氏が作成したFunkotを現地DJが初めて聞いた際「さかさまだな」と言われて曲を切られたというエピソードが発端。ベースとビートのバランスが悪いことを指している、と言われているが詳細は不明。褒め言葉ではない。 |
日本のFunkotシーンとその周辺
ファンコットに関する詳細な情報はDUGEM RISINGブログの「funkot基礎知識」や「Funkotの情報を集めるブロマガ」を、インドネシアのクラブシーン・DJなど現地のファンコット情報についてはブログ「FUNKOT 4EVER JEPANG」などを参照。
Funkotオンリーパーティー
東京では渋谷で「DUGEM RISING」「DUGEM BAYANGAN」「ENAK MONDAY」
神田で「DUGEM FRIDAY」高円寺で「BAYANGAN OBAT」が定期開催されている他
京都「DUGEM DI BARAT」 大阪「DUGEM DI OSAKA」 愛知「Yang Penting Funky」
北海道「Funkoters Jepang UTARA」が不定期で開催している。
ファンコット関連のイベント情報は「ファンコット関連イベントまとめ」や「FUNKOTERカレンダー」等のサイトで。より速報性の高い情報はツイッターアカウント「ティッケー情報」で確認できる。
国産音源の入手
関連商品の項に掲載したものはニコニコ市場(Amazon.co.jp)上で買うことができるが、同人CDとしてのリリースされているものについてはコミケやM3などの即売会や各種同人ショップ、GUHROOVYの通販及び店頭での購入などが基本となっており、最近ではタワーレコードの大高店とモレラ岐阜店でも音源の取扱いが始まっている。また2014年にはインドネシアのネットレーベル「Kota Records」が楽曲の配信を開始、国内外のアーティストの楽曲を購入することができる。
日本国外での動き
日本以外の国に在住しているDJにも、Funkotの存在に気付く人々が出はじめてきた。
多くは日本的なハードコアテクノ、「J-CORE」のシーンに興味を持っていた人々で、その延長でFunkotにたどり着いたようである。あるオランダのDJはアニメ・漫画・日本文化のイベント『Abunai!』のクラブイベントスペースでFunkotを回していたりする。
近年では国内のファンコットDJと現地インドネシアのファンコットDJとの関わりも生まれており、国内でリリースされた音源にインドネシアのDJチームである「NRC DJ Team」のリミックスが収録されたり、DJ Shunによって「NRC DJ Team」の楽曲を集めたコンピレーションアルバムの製作と頒布が日本国内で行われている。
また2014年にはDJ JETBARONとShisotexがインドネシアのバリ島・バンジャルマシン・ジャカルタでのクラブイベントに出演している。
日本のFunkot DJ・トラックメーカー
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